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伊勢神宮・出雲大社、遷宮イヤーでにぎわい

2013年10月11日
編集部

伊勢神宮・内宮

≪伊勢・島根で観光客大幅増≫

 60年ぶりに平成の大遷宮を迎えた出雲大社、20年に一度の式年遷宮となる伊勢神宮。西日本では今年、2大神事が重なり、遷宮イヤーの盛り上がりを見せている。近年のパワースポットブームもあり、若い世代の関心も高まっているという両遷宮。周辺地域の状況を探った。

【伊勢神宮

≪参拝客1330万人に、過去最多の見込み≫

  今年、20年に一度の「式年遷宮」を迎える伊勢神宮。10月上旬に、クライマックスとなる神体を新宮へ移す「遷御の儀」が行われ、伊勢志摩地域は最高潮の盛り上がりを見せている。伊勢市は9月末、伊勢神宮の内宮・外宮を合わせた参拝客は当初1千万人としていたものを、1330万人に上方修正した。1896(明治29)年の統計以降、最多となる見込み。

 同市によると、今年1月から8月末までの伊勢神宮への参拝客数は、内宮が539万5727人、外宮が295万7883人で合わせて835万4610人。統計以降最多だった2010年の882万8851人に迫る勢いだ。10月頭に式年遷宮の最大行事「遷御の儀」が行われ、今後さらに参拝客増加に拍車がかかりそうだ。

 前回の式年遷宮があった1993年の参拝客数は、838万7124人。今回の式年遷宮で参拝客が急増している要因として、外宮の参道に飲食店や土産物店がここ数年で出店し、外宮の参拝客が増えたこと、メディアの露出などが考えられるという。

おかげ横丁

 伊勢神宮・内宮のお膝元にある、おはらい町内おかげ横丁(伊勢市)の今年1月から8月までの観光客は、前年同期比1・3倍の約410万人と好調。おかげ横丁を運営する伊勢福によると、今年の観光客数は、1993年のオープン以来最多の550万人を見込んでいるという。

 鳥羽市の宿泊施設や主要観光施設も、軒並み好調だ。鳥羽の温泉宿61施設で構成する「鳥羽温泉振興会」によると、今年1月から8月までの温泉利用者数は、前年同期比13%増の87万1千人。鳥羽市に訪れる観光客は、これまで中部・東海・関西圏が多かったが、今回の式年遷宮の特徴として、首都圏を中心とした関東の客が増えているという。鳥羽市のある宿の関係者は「関東からのお客様はこれまで2―3割だったのが半数を占めるようになった。テレビ番組などで伊勢志摩の特集を見たという話をよく聞きます」と話す。また、近年のパワースポットブームで、女性の願いを必ず一つ叶えるといわれる「石神神社」(鳥羽市相差)なども人気があり、20―30代の女性も増えているという。

 式年遷宮後の集客対策について、鳥羽市観光協会会長の吉川勝也氏(サン浦島代表取締役)は、「今年から、伊勢・鳥羽・志摩3市の観光協会が集まり、話し合いを行っている。伊勢志摩地域として地域のポテンシャルを上げ、最寄の市町の賛同を得ながら、持続的にできる具体策を考えていきたい」と話している。

 また、鳥羽水族館では、今年1月から8月までの入場者が前年同期比1・2倍の約64万6千人。同施設関係者は、「『変な生きもの研究所』など、新しいスペースもスタートしていることもあるが、例年より客は多い。式年遷宮の効果も考えられる」と話す。

 志摩市でも式年遷宮の集客効果が出ている。鳥羽や賢島のクルージングなどを運営する志摩マリンレジャーによると、賢島港から英虞(あご)湾などを巡る「賢島エスパーニャクルーズ」は、今年1月から8月までの乗客が5万9881人と前年同期比40・6%増。秋以降も、繁忙日は小型船(80人定員)運航の便を大型船(250人定員)に切り替えるなど対応するという。

多くの参拝客でにぎわう出雲大社

【出雲大社】

 島根県出雲市の出雲大社の60年に1度の遷宮効果で、県内の観光客数が大幅に増加している。経済波及効果は約300億円とみられている。

 出雲大社で5月10日、修造が完了した御本殿に大国主命がお還りになる「本殿遷座祭」が行われた。平成の大遷宮のメインとなる神事で、同日から6月9日までの1カ月間の参拝客数は75万2千人に上り、当初見込みの25%増となった。

 団体バスは本殿遷座祭から約1カ月間は毎日120―130台が押し寄せ、その後微減したものの現在でも1日平均70―80台に上る。島根県松江市と広島県三次市を結ぶ松江自動車道の3月開通で、広島方面からの個人客も増加し、マイカー用の駐車場は毎日のように渋滞の列が伸びる。連動するように神門通りは多くの観光客で溢れ、一部の食事施設などは前年比3―4倍の売り上げという。

 出雲大社の年間参拝客数は2011年が247万9千人、12年が348万3千人で、今年は倍増が期待される。

 出雲観光協会の小野篤彦事務局長は「おそらく650万人から700万人あたりになるだろう。近年のパワースポットブームなどもあり、女性客が目立つ。本殿遷座祭のときのようなピークは過ぎたが、現在も勢いは衰えていない」と話す。

ご縁横丁

 県内主要観光施設の入込みも伸びている。出雲大社に隣接する「古代出雲歴史博物館」は、本殿遷座祭に合わせた特別展「出雲大社展」を実施したことから、5月は前年同月比203・1%増の7万2546人、6月は同270・2%増の5万4949人を集めた。

 松江市内の観光施設では、松江城や堀川遊覧船などが好調。5月以降は毎月3―5割増で推移。なかでも、「鏡の池占い」で人気を集める八重垣神社の5月の参拝客数は前年同月比119・9%増の4万6132人。単月として松江城登閣者数(4万4864人)を抜き、パワースポットめぐりを楽しむ女性客の姿が鮮明になった。

 出雲大社から車で約30分の県内最大の温泉地、玉造温泉もにぎわっている。同温泉の5月の宿泊者数は6万2666人で前年比36・4%、6月は6万4500人で同73・4%とそれぞれ大幅に増加。夏場はさらに集客したとみられ、8月の1カ月間で1万人以上を集客した旅館もあったという。ある旅館関係者は「年内はどこもほぼ満室状態。毎日、予約を断るのに大変です」と嬉しい悲鳴を上げる。

 松江しんじ湖温泉も絶好調だ。4月の宿泊者数は1万9179人で前年比80・3%、5月は2万4908人で同91・7%、6月は2万2157人で同137・3%とそれぞれ増加した。予約で溢れた分は、隣接する鳥取県の皆生温泉やはわい温泉にまで波及しているという。

 日本銀行松江支店によると、13年の観光需要増加による県内への経済波及効果は300億円弱に達すると試算し、過去10年間のNHK大河ドラマの舞台となった各県の経済波及効果の平均(約200億円)を大きく上回るとしている。13年の県全体の宿泊者数は、前年実績を51万人上回る382万人と予想。日帰り客も303万人多い2890万人を見込む。

 県の12年観光客数は2918万1357人。県によると今年4―6月は前年同期比で既に3割以上アップしているという。

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