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岩手で「学ぶ防災」

2013年8月21日
編集部

田老の防潮堤で津波の被害を視察

全国商工会議所観光振興大会の分科会

 日本商工会議所は全国商工会議所観光振興大会前の7月4―5日、岩手県内で分科会を実施した。分科会は東日本大震災で被害が大きかった大船渡、釜石、宮古、久慈、気仙沼の5つのコースに分けて行われ、商工会議所会員と観光産業関係者らが参加した。宮古コースの「三陸鉄道と観光船から見る復興地と、そこに暮らす人々とふれあう」を紹介する。

【内川 久季】

 1日目は盛岡駅から出発し、宮古駅、田老地区、浄土ヶ浜園を巡り、2日目は浄土ヶ浜、宮古市魚菜市場などを視察した。

 集合場所の盛岡駅は、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」人気の影響からか多くの観光客が行き交う姿もあり、震災の影響は見てとれなかった。

 盛岡駅から宮古駅まではバスで移動し、車内では震災当時の宮古市や宮古商工会議所、会員の被災状況などが説明され、宮古・田老地区の津波の映像も上映された。

(1番上)落ちないにゃんこ

 三陸鉄道の宮古駅のホームに着くと、猫のマスコットが駅の梁に片手でぶら下がっていた。震災時も微妙なバランスを保ち落ちなかったことから受験生の間で「絶対落ちない」と話題となり、昨年6月には「落ちないにゃんこ神社」がホーム上に設置され、観光客たちから人気を博していた。

 三陸鉄道は、津波により線路や駅舎が流されるなど甚大な被害を受け、一時は全線不通となったが、震災5日後に北リアス線の久慈―陸中野田区間が復旧し、現在は一部区間を除いて運転を再開している。また、不通区間も来年春には復旧し、全線再開する予定だ。

 田老地区では、宮古観光協会の「学ぶ防災」のガイドたちが田老の防潮堤と、たろう観光ホテルを案内した。

 田老は、昔から津波被害に数多くあってきたが、子供たちへの防災教育や年1回の避難訓練、巨大な防潮堤の建設など「防災の町」として有名だった。しかし、予測を超えた大津波は全長2433メートル、海面高さ10メートルの防潮堤を乗り越え、田老の町を飲み込んだ。この津波で、地区人口4434人のうち、死亡・行方不明者は約200人となった。「立派な防潮堤があるという安心感から、津波から逃げ遅れた人もいる」というガイドの話は印象的で、「自分で自分の命を守る意識」がいかに大切かを再認識させられた。

1、2階部分が抜けたたろう観光ホテル

 たろう観光ホテルは、6階建ての建物だが、津波被害で1―2階のフロアはすべて抜け落ち、外壁は鉄骨がむき出しの状態となっている。4階以上の部分は営業当時のままの姿で残っており、現在は6階の客室で津波の映像の上映会場として使用されている。この映像は、同ホテルの松本勇毅社長が撮影したもので、「現地(たろう観光ホテル)に来て、当時のようすを体感してほしい」という社長自身の思いからマスコミには公開せず、同ホテルのみで上映している。映像を見終わった参加者は、撮影場所となった6階の客室の窓から田老の町を見下ろした。

 グリーンピア三陸みやこ(岩手県宮古市)の敷地内に「たろちゃんハウス」と名付けられた商店街がある。同商店街は、2011年9月にオープンした3棟2階建ての仮設店舗。飲食物の販売店や、雑貨や家電などの物品販売店、理容室、学習塾など22の店舗が入っている。主な利用者は同じ敷地内にある仮設住宅の住人や近隣住人で、観光客の数は少ない。今後は、田老に「学ぶ防災」で訪れた人たちや、観光客への利用にも力を入れていくという。

浄土ヶ浜で開かれた交流会

 浄土ヶ浜園では、宮古商工会議所の花坂康太郎会頭をはじめ多くの人が集まり交流会が行われ、美しい景観のなかで三陸の新鮮な魚介類が振る舞われた。

 2日目は、大津波から1隻だけ残った観光船で海へ出発し、被災地域を展望。宮古市魚菜市場では、市民や観光客に人気の商業スポットを視察した。

 そのほかのコースは次の通り。

 大船渡コースは、震災直後から市民に親しまれた「奇跡の一本松」を見学。大船渡市中心商店街では、仮設商店街などを訪れ、地元の人たちとの交流を深めた。

 釜石コースは、鵜住居地域の小中学生が自らの判断で高台まで避難し、津波から逃れた「釜石の奇跡」を現地で紹介し、避難行動を学んだ。

 久慈コースは、「あまちゃん」の主要ロケ地として活気を取り戻しつつある現場を訪れ、小袖海岸などを視察した。

 気仙沼コースは、気仙沼港から内陸800メートルの陸地に打ち上げられた巨大漁船を見学し、津波による被害の大きさを目の当たりにした。

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