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固定資産税の評価見直しを

2010年11月1日
編集部

「経年減点補正率」見直し提案、年末の閣議決定目指す

2010年度第2回観光振興議員連盟総会が10月19日、衆議院第1議員会館で開かれ、11年度の旅館業界の税制改正要望として「ホテル・旅館の建物に係わる固定資産評価の見直し」や、厚生労働省、観光庁など関係省庁から11年度の税制改正の進捗状況が報告された。また、全国旅館政治連盟都道府県代表者から意見聴取を行い、意見交換を行った。

 総会の冒頭、川内博史会長は「全国旅館政治連盟の47都道府県すべての正副理事長にお集まりいただき、感謝している」とあいさつ。そのうえで、今年3月30日に開いた観光振興議員連盟の設立総会で、旅館3団体の会長からNHKの受信料の軽減措置、固定資産税の評価の見直し、国内旅行費用の所得控除等の要望を受けた件について、それぞれの進捗状況を報告した。

 NHKの受信料については、「今年9月28日に、2012年に向けてNHK内部で受信料制度のあり方の見直しに関する有識者会議を立ち上げていただいた。事業所として契約件数が最も多いのが旅館・ホテルで約2割を占めるため、この会議の中で、旅館・ホテルの意見をしっかりと反映してほしいと申し入れを行った。NHKの方からは『ヒアリングの機会などを設けるかなどを執行部で検討したい』との回答があった」と報告。

 また、「現在、一番の課題である年末の税制改正に向けて、固定資産税の評価の見直しについては国土交通省、観光庁、厚生労働省の関係省庁による大変な努力によって、2011年度税制改正要望として取り上げていただいた」と語り、「観光は成長戦略の3つの柱の大きな1つであるが、これまで旅館・ホテルに対して、政府として何らかの支援策が十分に講じられてきたかというと、まったくそうではなかった。観議連としても、固定資産税の評価見直しは税制改正の検討事項要望として、何としても年末の政府税調の閣議決定文書のなかに盛り込まなければならない」と強調した。さらに、「各都道府県の理事長にはそれぞれの地域の選出議員に、何としても実現していただきたいと、要望活動を行っていただきたい」と呼び掛けた。

 議題では、全国旅館政治連盟の佐藤信幸会長が「固定資産税の評価見直し」を訴えた。

 佐藤会長は「観光庁が創設され、その後成長戦略のなかに観光を入れていただき大変ありがたく思っている。しかし、我われ旅館業界は大変厳しく、1990年と比較しても、3万数千軒あった旅館の組合員が現在は半減している。売上もピーク時の半分になっている」と述べ、「そのなかで固定資産税だけはずっと変わらずほぼ同じ。基本的には少しずつ下がるというようになっているが、我われは30年間設備投資をせずにはいられない。数年ごとに少しずつ設備投資してリニューアルしており、結果的に下がらない。今日は47都道府県から理事長、副理事長が出席しており、それぞれの地域の先生にもお願いしていく。ぜひ固定資産税の評価の見直しにご支援いただけますようお願いしたい」と語った。

 観光庁の溝畑宏長官は「固定資産税の評価の見直しについて、国交省内部で要望に上げようと議論を重ねてきた。川内会長が各議員にお声掛けもしていただいたこともあり、きちっとした要望の事項にあがった。現在、固定資産税の専管事項である総務省と実務の協議(課長補佐レベル)をしている。我われが提案する『ホテル・旅館の建物に係わる固定資産評価の見直し』では、固定資産評価の方法で、『経年減点補正率』の見直しを提案している。現在、減価償却は例えば、鉄筋コンクリートの場合、経過年数50年を39年と実態に合うように提案している。少しでも前に進み、年末に向けて全力をあげて取り組んでいきたい」と語った。

 厚生労働省健康局生活衛生課の堀江裕課長は「地上デジタル放送対応における迅速な貸付業務」について、日本政策金融公庫の審査の迅速化について説明があった。

 川内会長は「来年7月に地デジに変わるが、地デジ対応のテレビを買えばいいと考えている人が多いが、旅館・ホテルの場合、アンテナ、配線、ブースターなど壁に穴を開けて全部変えなければならない場合も多い。人里離れた場所にある旅館は、電波が届かずにテレビが映らないケースもありうる。設備投資にもお金がかかり、しっかりと対応してもられるよう申し入れた」と説明した。

 衆議院議員の福田昭夫氏は「固定資産税の評価の見直しについて、経年減点補正率だけの見直しでは、すべての旅館・ホテルに該当する項目。これが実現するだけでも大したものだが、これに加えて考えてほしいのは、過疎地域には過疎法があるが、旅館・ホテルに適応されるのは新造築や新規立地の場合のみ。過疎地域に対する特別の固定資産税の評価の減税率を考えられるか。また、金融機関の破綻などによって、産業再生地域に指定された地域で頑張っている旅館・ホテルに対する補正率も検討してほしい」と求めると、会場から拍手が起こった。

 福田朋英氏(群馬県理事長)は「あちこちの旅館を買収し格安の宿泊料金で商売している事業者によって、既存の旅館・ホテル業界は傷ついている。そのような事業者は(固定資産税の評価見直しの対象から)排除してほしい」と要望。また、「観光立国を標榜するなかで、世界に冠たるホスピタリティを維持しなければデスティネーションとして日本が選ばれない。人材を育てていくには10年、20年かかる。日本の世界に誇れるホスピタリティを守っていける施策をお願いしたい。グローバルスタンダードであるキャッシュフローオンリーでいくと、人材がローコストオペレーションに変わっていき、5年、10年経てば、『あのレベルのサービスなら日本にいかなくてもどこでも受けられる』という事態も起こりかねない。残念なのは、本当に一生懸命地域に根差して頑張っている仲間が消えていっていること。旅館・ホテルが伝統文化を伝えていることも財務の評価に入れていただけるようなシステムも考えていただきたい」と意見を表明した。

 そのほかにも、旅館側から政府が進める休暇改革国民会議に観光産業から委員の拡大を求め、観光業の意見をもっと反映してほしいという要望などが出された。

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