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経営者と女将のトップセミナー、国際観光日本レストラン協会

2009年11月5日
編集部

 国際観光日本レストラン協会(津田暁夫会長)は10月16日、宮城県仙台市の「仙台 勝山館」で「09年経営者と女将のトップセミナー」を開いた。宮城大学大学院の鈴木建夫教授(食産業研究科長)が「国民の盛衰は『食べ方』にあり」を、同協会副会長で勝山館の伊澤平一代表取締役会長が「『一食懸命』これからの食を考える」をテーマに講演した。セミナー直前には、伊澤副会長が理事長を務める「宮城調理製菓専門学校」の見学会。セミナー後の食味会では松島産牡蠣や気仙沼産フカヒレなど地元食材を使った料理が振る舞われた。講演内容を紹介する。

「あなたは食べ物で死にます」

 鈴木氏は「血液のドロドロ、サラサラ」という概念を広めた人物。今回のテーマ名は、フランスの司法家で美食家としても知られる、ブリア・サヴァランの著書「味覚の生理学」(1825年)の一文。「どんなものを食べているか云ってみたまえ。君がどんな人間であるか云い当ててみせよう」と続く。日本で食の重要性を説いた文献を探すとサヴァランよりさかのぼること600年、道元禅師の「法と食は一如。食事作法は仏法そのもの」という言葉が残っているという。

 鈴木氏は、「日本人1人が一生の間に食べる食事の量は約70万トン。いいかげんな食事はいけない」と紹介。そのうえで今の食問題を、家族と一緒でも献立はそれぞれ違う個食、時間帯が違い1人で食べる孤食、血糖値の問題があるパン食中心の粉食、同じものばかり食べる固食、濃い味付けばかりを好む濃食、と5点上げ「誰もが毎日摂っていることからくる傲慢」と指摘した。

 鈴木氏は、一食ぐらい適当でいいだろうという人に対して、「あなたは食べ物で死にます」と釘をさす。日本人の死亡率の65%はガンや心臓疾患などのいわゆる、生活習慣病。厚生労働省が出す、生活習慣病を防ぐ12カ条は、煙草を吸わない、体を清潔に保つ、適度な運動の3つ以外は、緑黄色野菜を食べる、ゆっくり噛んで食べる、熱いものは食べない、などすべて食に関するもの。「国民の健康を守るのは、医者ではなく食に携わる人。だからいいかげんな食事の提供はいけない」。

 具体的な食事法についいては、脂質が少ない和食中心の食事で、細胞の酸化を押さえられることや、サラサラ血液にお茶、魚、海藻、納豆、酢、キノコ、野菜、ネギがいいと紹介。とくに咀嚼については、よく噛むことで肥満防止、味覚の発達、言葉の発音、歯の元気、ガンの予防、胃腸快調、全身の体力向上の8大効用があるという。

「口に入るまで責任持つべき」

 伊澤氏は小学校で食事の前、食べ物に感謝して歌った歌を披露。最近のお金さえ払い、ただ食べればいいという安易な発想を否定し、「私たちは生命のあるものから命をもらい、自然の恵みをいただいて生かされている。そうであるならばきちんと調理して、口に入るまで責任を持つべき。感謝の気持ちを持つ。これが食べる基本でないか」と話した。

 食産業全体の問題については「自給率の話は極めてナンセンス。今は幸いに国家として貯金があるから買えるが、なくなれば黙っていても数字は変わってくる」とし、「1次産業の従事者は60歳以上がほとんど。一大プロジェクトでもしない限りあと5年もすれば食産業は人的なもので崩壊する。これに対して誰も言わないのはなぜか」と語った。

 合成添加物については「1つでは安全でも毎日、複合的に入ってくる。皆さんがモルモットになっている」と危険性を指摘。「一切摂らないのは難題だが、自分で食材を探し、自分で調理する、その精神が必要。お客様の生命、安全を一食でもお預かりしている私たちは、食の安全を考えたとき、添加物は排除する方向で行くべきではないか」と話した。

 また、淡路島の五色町で体験した20日間にわたる低カロリーによる絶食療法を紹介。肉体面、精神面ともに劇的に変化が現れ、食に対する発想が変わったという。「食べ方、食べ物をどうやって自分で選んで自分を守るのか。自然のものをいかにありがたくいただき、それを活用してお客様の健康に役立つように実践するか。『一食懸命』の心がけを広げていただきたい」と語った。

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