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人と物 「かけもち」へ、貨客混載で手ぶら観光も

2017年9月11日
編集部

 貨客混載の動きが本格化する。これまでバスは人、トラックは荷物の運送に特化してきた。ただ運送業界の危機的な人手不足などを踏まえ、9月1日から規制を緩和。国は一定条件下でバスは荷物を、トラックは人の運送を「かけもち」できるようにした。生産性の向上とともに、過疎地域における人や物の流れを効率化。観光の観点からも手ぶら観光の推進などに期待がかかる。貨客混載を呼び水に地域の人流・物流の再起を目指す。

 ヤマト運輸と宮崎交通では早くから取り組んできた。2015年10月から宮崎県の西都市―西米良村、16年6月から延岡市―高千穂町、日向市―諸塚村とエリアを広げ、3路線で人と物を運ぶ貨客混載のサービスを提供している。

 物流を効率化することで、ドライバーの地域滞在時間も増え、集荷の締切時間が延びる。地域住民へのサービス向上につながり「お客様からも好評いただいている」(ヤマト運送)という。

 一方、訪日外国人の受入体制の整備に向けた実験も進む。

 中部運輸局と北陸信越運輸局は8月28日、貨客混載を活用した手ぶら観光サービスの実証実験を開始した。外国人旅行者に人気の高山の古い町や、上高地、松本城などが多くある高山―松本間を走る高速バスで行う。

 これまでは「コインロッカーなどが不足し、大きな荷物を持っての移動が大きな負担になっていた」(中部運輸局)と、旺盛な訪日外国人旅行者に対応しきれていなかった。

 実験では高山・松本内のホテルで荷物を受け付ける。その後、バスの車庫で積み替えを行って、貨客混載で輸送する。到着地の車庫で荷物を積み替えて、ホテルに届ける。

 外国人旅行者は荷物を預けたまま手ぶらで観光でき、ホテルに着けば荷物を受け取ることができる。従来、手荷物は翌日配送だったが、当日配送が可能となる。

 今後は他地域や他区間のサービス導入を進めていく予定。さらに宿泊施設間の配送だけではなく「バスターミナルや、手ぶら観光カウンターでの取り扱いも視野に検討する」(同局)としている。

 現在、人口減少に伴う輸送需要の減少が著しい。日本バス協会によれば15年で全国の2千を超える乗合バス事業者のうち、7割が赤字となっている。

 過疎地域などで人流・物流サービスの持続可能性の確保が求められるなか、規制緩和で市場に活気を取り戻す。

【平綿 裕一】

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