旅行業公取、ステマ禁止の規定を追加へ 小谷野会長が再任
2025年6月25日(水) 配信

旅行業公正取引協議会(小谷野悦光会長、273会員)は6月24日(火)、東京都内で2025年度通常総会を開き、ステルスマーケティング禁止の規定を追加する、公正競争規約の一部変更を承認した。また任期満了に伴う役員改選では、小谷野会長の再任を決めた。

同協議会は今年1月、設立40周年を迎えた。今年度の取り組みについて、小谷野会長は「公正競争規約の周知徹底、昨年度に再開した規約違反未然防止のためのWeb広告表示審査会を重点施策とするとともに、お客様に信頼される旅行広告に取り組んでいる証となる協議会マークを、設立40周年のさまざまな機会を捉えてPRしていく」と述べた。
旅行広告が紙媒体からWebに移行するなど、旅行会社を取り巻く環境が変化するなか、「これらに対応する見直しが必要になっている。50周年に向けて、消費者の適正な商品選択に資する事業を展開していきたい」と意気込んだ。
今年度のWeb広告表示審査会はWeb広告における公正競争規約の遵守状況を調査し、不適切な表示を行う会員に対し、是正指導を行う。公正競争規約の認知度向上に向けては、会員以外にも消費者や自治体などに対し、出前講座や講師派遣を行っていく。広報誌の「Fair Wind」は25年度からDX化として、紙を廃止し、ホームページ上での掲載に変更した。
また、公正競争規約の一部変更については、消費者庁が23年3月に事業者の表示でありながら、第三者の表示であるかのように誤認される、ステルスマーケティングについて、景品表示法第5条第3号の規定に基づき指定(ステマ告示)を行い、同年秋から施行されたことを受け、旅行業界でも規制が必要だと判断した。同協議会によると、未然防止が重要との観点から規定を追加したとし、他産業と比べても公正競争規約への対応は早いという。関係省庁に承認申請を行い、承認後早ければ秋ごろには具体例を示し、変更内容の周知をはかっていきたい考え。
総会には来賓として、消費者庁、公正取引委員会の担当者が出席。それぞれの立場で、業界内の取引適正化や違反行為の未然防止などを呼び掛けた。
なお、役員改選で新たな理事に阪急交通社社長の酒井淳氏、読売旅行常務取締役の堤辰佳氏、フィンコーポレーション社長の美甘小竹氏が就任した。また、同協議会の役員として約30年、うち会長を10年務めた古木康太郎氏(グローバル相談役)は退任。小谷野会長は古木氏の長年の労に謝意を述べた。