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「提言!これからの日本観光」 〝通過駅〟で考える

2024年3月31日(日) 配信

 連休中、東京近郊の「各停」電車しか停車しない駅を利用する機会が何度かあった。そこで改めて気になったのは、このような中間駅の乗客が毎日、何度も不愉快な体験をさせられていることであった。

 それは、停車列車に比べてはるかに(倍近い)多い通過列車によるものである。都近郊の中間駅では、ほとんどの場合、幅広い用地が得難いこともあって、乗客の数の割にホームの幅が狭くホームに待合室や安全柵などが設けにくい駅が目立つ。

 しかし、通過列車はこのような場合でも、(ホームに乗客が多数待っていても)減速することなく、通過していく。そのたびにかなりの風がホームの乗客を襲う。(日によってはほこりも巻き上げて)慣れている人はとにかく、たまに体験した者は、危険がないとは知りつつも、かなりな不快感に襲われる(両親に連れられた幼児が突然、泣き出すほどの風)。

 しかも、大手民鉄などの各線では、停車列車の倍以上の本数の通過列車があり、その都度ホームでは精神的に身構えなければならないほどの緊張感さえ、覚えることも多い。とくにいらだつのは、このような通過列車の速度が次第に速くなっていくこと、また通過列車の本数が停車列車に比べ、はるかに多いことである。

 朝の爽やかな気分での外出途上、突如厳しい精神的圧力をかけられたようで不愉快である。

 しかも、列車本数の多い時間帯では通過列車のため、各停列車の時隔が乱れたり、通過列車と各停列車の乗換可能な駅のホームでは、別々の方向に向かう多くの乗客が、ホームで交錯する異常な混雑状況が短い時間で発生する。

 列車本数の多い路線では線路のゆとりがないため、通過列車もそれほどの到達時間の短縮効果はみられない。むしろ遠距離客と近距離客を分離し、混雑を平準化する効果の方が、大きいようにさえ思う。線路を最も効率的に使う方法として考えられるのは、全列車を「各停」にして、速度差をなくすことによってダイヤを組みやすくし、列車増発を可能にすることだと思う。

 しかし、遠距離の列車利用客には、既得権のような意識があることから、これには反対が多く、実現は難しい。

 近年技術面の改良で加速減速性能が高い車両が開発されるようになった。このような車両を乗客の多い路線に集中的に投入し、それを動機に極力列車種別(特急や急行、快速など)を少なくして、等速(場合によっては加速性能の高い車両による混雑時のオール各停化なども)列車の等時隔ダイヤ方式を導入することが望ましい。

 併行して、乗降時間短縮のため、車両の扉数の増加(通勤型車両の標準である20㍍車両の場合、片側5扉以上の設置)拡幅のほか、座席の幅を少しでも狭めて、通路幅を拡げる。さらに、ドアの開閉速度の調整など秒単位の乗降時間短縮策などを総合的にシステム化して、導入することを考える時期が来ているのではないだろうか。

 

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

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