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〈旬刊旅行新聞10月21日号コラム〉全国旅行支援がスタート――観光業界の元気な姿を再び見たい

2022年10月21日
編集部:増田 剛

2022年10月21日(金) 配信

 夏の暑さも遠のき、一雨ずつ秋の深まりを感じる。雨が上がった休日、久しぶりにバイクを磨いた。フロントフェンダーやガソリンタンク、チェーンカバーやタイヤのスポークなど丁寧に布で拭いていくと、雲間から少しだけ差し込んだ太陽の光が反射して輝いた。秋から冬にかけての時期がバイクを楽しむのに一番ふさわしい季節だと、個人的には思っている。

 

 バイクを一生懸命磨いたあと、エンジンをかけて、いつものように相模川に沿った道を走り、宮ヶ瀬湖まで向かった。

 

 黄色いセイタカアワダチソウの花と、芒が延々と続く晩秋の寂寥感漂う景色を横目に見ながら、「全国旅行支援がスタートしたから、日本各地の観光地は旅行ムードが高まっているのだろうな」と思った。

 

 

 全国旅行支援がスタートする直前だったが、私は休日を利用して九州の実家に向かった。新幹線で小倉駅に降りると、いつもならそのまま日豊本線に乗り換えて苅田駅まで行くのだが、今回は小倉の街をゆっくりと歩いてみたいと思った。

 

 その目的の一つは、今年4月と8月に相次いで火災が発生した「北九州の台所」と呼ばれる旦過市場を訪れることだった。間もなく解体作業が始まり、大幅なリニューアルが予定されているため、昭和の匂いが残る旦過市場をしっかりと記憶に留めておこうと思ったのだ。

 

 実際に訪れると、火災で焼けた店舗部分は壁で覆われていて半分ほどが営業をしている感じだった。私は市場内の店で焼き鳥を買い、空いたスペースで胃袋を満たした。

 

 もう一つの目的は、小倉城である。長年北九州周辺で生活していたが、小倉城の天守閣を登ったことがなかった。

 

 青空の下の小倉城は美しかった。決して城マニアではないが、旅先で少し時間が余ったりすると訪れることが多く、気が付くと割と多くの城を見てきたのだが、小倉城の抑制された装飾のトーンが自分好みであった。

 

 最後に小倉を代表する老舗デパート「井筒屋」も訪れた。子供のころの楽しい思い出しかない9階の屋上には、昔日の子供向けの遊戯類はなく、がらんとしていたが、母親に連れて行ってもらった“小さな遊園地”の残影が瞼の裏に甦ってきた。

 

 

 私はこの旅で長崎までも足を延ばした。9月23日に西九州新幹線が開業したばかりで、活気あふれる長崎を全国旅行支援の前に堪能しておきたいという思いもあった。

 

 実家の軽自動車を借りて、九州自動車道に乗った。まずは佐賀県唐津市の名物「呼子のイカ」を目指した。「河太郎」ではなんと2時間待ちだったが、呼子の朝市も楽しんだ。

 

 それから長崎では、憧れの「ホテルモントレ長崎」に宿泊した。夜も朝も新地中華街まで歩いて行き、皿うどんやちゃんぽんなどたらふく食べた。旧グラバー住宅がリニューアルしたグラバー園も秋晴れの早朝に訪れた。小学校の修学旅行以来の再訪となった。長崎駅の構内では、西九州新幹線「N700Sかもめ」の姿がちらりと見えた。

 

 

 長崎からの帰りには、福岡で今一番注目のスポットと言われる糸島に立ち寄った。中年男だが、写真映えする有名なロンドンバスカフェで、アイスクリームを食べた。全国旅行支援で観光業界の元気な姿を再び見たいと思う。

 

(編集長・増田 剛)

 

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