花咲く浜名湖

 今年、浜名湖花博の開催から10年を記念した「浜名湖花博2014」が開かれた。10年前より短期間にも関わらず、目標の80万人を上回る130万人が来場。来年も「浜名湖花フェスタ」としてイベントを継承する予定だ。

 成功を支えたのは、観光従事者はもちろん、ボランティアの力も大きいという。同地域ではこの10年間に、花博を含め3回の大きな花の催しがあり、その度にボランティアが育ってきた。また市民の間にも、花や緑を育てる取り組みが息づいてきたという。

 イベントは開いて終わりではない。来る人に思いを馳せ、知恵を出し、エネルギーを注ぐ。その過程のなかで人が育ち、初めて観光客を迎え入れる土壌ができる。来春も浜名湖周辺には、きっときれいな花が咲き誇るだろう。

【森山 聡子】

新会社「ハナビ」設立、訪日向け国内旅行扱う、HISとANAセールス

深木重和社長
深木重和社長

 エイチ・アイ・エス(HIS、平林朗社長)とANAセールス(白水政治社長)はこのほど、訪日旅行需要の創出と地方活性化を目的とした新会社「H.I.S. ANAナビゲーションジャパン」(略称:HAnaviハナビ)を設立した。訪日旅行者向けに、日本国内の個人型旅行商品の企画・造成・手配を行う。

 名前の由来は、日本各地の魅力を発信、“ナビゲーション”することで大都市だけでなく地方への誘客をはかることと、世界中で知られる日本の伝統的な“花火”を組み合わせた。同社は、ANAの強みである51都市115路線の国内線とHISの宿泊予約サイト「スマ宿」を通じた日本国内のホテルなどを自由に組み合わせることで、訪日外国人の多様なニーズに対応。販売はHISの海外店舗網を活かして、店頭とWebで行う。

 既報の通り、社長にはHIS本社新規事業開発室長の深木重和氏が、副社長にはANAセールス経営企画部担当部長の廣岡伸雄氏が就任。事務所はHISのフロアの1室に入り、6―8人体制でのスタートとなる。営業開始は15年4月1日。電話番号は03(6864)4891。住所は東京都新宿区西新宿6―8―1住友不動産新宿オークタワー14階。

外客免税認定制度始まる、地元に根差した販売を

中村好明社長
中村好明社長

 ドン・キホーテグループのジャパンインバウンドソリューションズ(中村好明社長)は、10月29日に開いた同社主催の「観光立国フォーラム2014 in Tokyo」で、11月1日の「外客免税コーディネーター(外客免税販売士)」認定制度創設を発表した。中村社長は「地元に根差した外客免税販売をする」と力を込めた。

 同制度は復興庁の「新しい東北」先導モデル事業の1つとして日本インバウンド教育協会との共創で創設されており、東日本大震災の岩手・宮城・福島から養成講習を実施している。小売店に対して免税免許の取得や免税販売に関する講習ができる専門人材を養成するための制度で、中村社長は「単に免許を取るだけでお客が来るわけではない。どのように接客し、プロモーションし、地域連携するかのノウハウを具体的に伝えていく」と述べた。講習会では、座学や実習を通じて、訪日外国人の集客プロモーションや免税手続きにおける接客など専門的な知識を体系的に身に付けていく。

 東北3県では2015年3月までにコーディネーターを15人以上育成し、14年4月1日現在で69店舗の免税店数を倍増させる。東北での実施検定後、来春以降に順次全国展開の予定。

【JATAの道プロジェクト】道標と案内板設置へ、「目利き」の力でコース踏査

意見交換会のようす
意見交換会のようす

 日本旅行業協会(JATA)は、東北復興支援事業の一環で、10月24、25日にJATA会員の旅行会社と関係団体を対象に、青森県の階上町と八戸市で、トレイルの道標や案内板の設置でコース整備を行う「JATAの道プロジェクト」を実施した。実際のトレイル体験も行い、旅行会社社員の「目利き」の力でコースを踏査した。
【丁田 徹也】

 「JATAの道プロジェクト」では、環境省が設定した「みちのく潮風トレイル」を活用し、トレイルコースの一部に道標を立てるなど自然環境の整備活動を行う。旅行会社社員が実際のトレイルコースを体験するので、旅行商品の造成の足掛かりにもなる。トレイルコース周辺地域に送客をすることもプロジェクトの大きな役割として期待されている。

 主催者の吉川勝久JATA副会長(KNT―CTホールディングス会長)は、階上岳(階上町)で行われた開会式で、「旅行業界の皆さんには隠れた資源を発掘し、磨き上げるという『目利き』の力があるので、この力をもってトレイルコースを踏査し、体験してほしい」と参加者を鼓舞した。

JATA会員による道標設置活動
JATA会員による道標設置活動

 環境省自然観光局の岡本光之国立公園課長は「環境省の現場職員『レンジャー』は地域の人々と一緒に、どういう道を設定し、どういうおもてなしができるかを考えてきた。自然の良さ、おいしい食べ物などを旅行業界の方に知ってもらい、しっかりと発信してほしい」と期待を寄せた。

 その後の活動で参加者は各班に分かれ、階上岳のトレイルコースの森林地域に道標を設置した。

 地元関係者との意見交換会では、小林眞八戸市長をはじめとした八戸市と階上町の観光関係者が加わった。小林市長は「震災から3年7カ月以上が経ち、ハード面では1つの区切りを迎え、地域のPRが必要とされていたところでこのプロジェクトに選んでいただいた。無料の高速道路も順次開通していくので、色々な旅行商品の造成を期待している」と語った。

 2日目は八戸市の蕪島神社からトレイルコース体験。コース案内人には、国土交通省河川水辺緑の国税調査アドバイザーの高橋昇氏が招かれ、種差海岸と周辺の自然について詳しく解説し、参加者は関心を寄せた。

 古くからの軍事要塞の名残を見せる葦毛崎展望台から海が間近に迫る種差海岸に沿うコースを歩き、ミネラルをたっぷりと含んだ潮風を感じた。司馬遼太郎や東山魁夷、吉田初三郎など多くの芸術家や文豪が愛した地でもあり、インパクトのある大小さまざまな岩礁や天然芝の光景が広がる。

 海岸コース周辺は岩礁や砂浜、芝生地帯など地形の変化に富み、植生も豊かで、四季折々の何種類もの植生を楽しめる。通常は海岸には存在しない高山植物「ニッコウキスゲ」など珍しい植生も見ることができるのも特徴のひとつ。

案内板除幕式
案内板除幕式

 体験トレイルコースのゴールはJR種差海岸駅。種差海岸駅前ではトレイルコース案内板の除幕式セレモニーを行った。JATAの吉川副会長は「これはJATAと八戸市の最初の共同作業だ。この案内板が30年、50年と皆さんの目に留まるようにしたい」と述べた。小林八戸市長は「皆様に地域を盛り上げていただけて光栄だ。我われも地元のおもてなしで盛り上げ、旅行者に楽しんでいただける体制を作っていきたい」と強調した。

≪「旅は復興の機会に」、プロジェクトへの期待≫

 意見交換会で「JATAの道プロジェクト」への期待を各関係者に聞いた。

JATA
吉川勝久副会長
(国内旅行推進委員長)

 旅とは遠くから人が来るもので、全国各地から復興活動に参加できる機会になっている。まずは7年の計画だが、復興や社会貢献、ビジネスなどにつながる総合的なプロジェクトなので、経過を見ながらその後の展開も考えていきたい。

平林朗理事
(社会貢献委員長)
(エイチ・アイ・エス社長)

 旅行業界として震災復興のプロジェクトに参画できたことは大きく、我われにはこの地に送客をするという役割がある。HISでは国外であるタイから青森にチャーターを入れる。訪日旅行でもぜひ震災復興の旅行を紹介できるようにしたい。

八戸市
小林眞市長

 観光地としての三陸はまだまだ全国的に情報が不足しているので、今回のJATAの道プロジェクトは情報発信としても大きな柱になると期待している。これからは格段に交通のアクセスが良くなるので、資源が豊富な地域を多くの人に見てほしい。

階上町
久保和子副町長

 階上町を知っていただける、というのがなによりうれしい。道標を設置していただけたことで町民の機運も高まり、町を大事にしようと活動の幅も広がる。階上町としても、JATAの道を参考に整備を進めていきたい。

環境省自然環境局
岡本光之国立公園課長

 トレイルコースを地元の方と我われレンジャーで設定して作ってきたが、これからはお客さんにいかに来てもらうかが大事。プロジェクトの力で地域の良さを広めていただきたい。

女性利用率55%へ、「ソラ女子」でサービス向上(ソラシドエア)

高橋社長(中央右側)と「ソラ女子」プロジェクトチーム
高橋社長(中央右側)と「ソラ女子」プロジェクトチーム

 「ソラシドエア」ブランドを展開するスカイネットアジア(高橋洋社長、宮崎県宮崎市)は、11月1日から始まった女性へのサービス向上プロジェクト「ソラ女子」を記念して、10月30日に東京都内で発表会を開いた。女性による女性の利用を意識したサービスで、現在約50%の女性利用率を2015年度末までに55%まで伸ばす。

 高橋社長は「ハード面では飛行機材を全機新造機に入れ替えたが、ソフト面でもLCCとは一線を画したサービスを目指す。一つひとつのサービスは地味かもしれないが、今後は女性への定番サービスになる」と力を込めた。

 主な新サービスは、(1)ホットハーブティーなどドリンクの追加(2)ハンドソープや紙などアメニティにこだわった女性優先化粧室「ソラ女子ルーム」(3)客室乗務員の近くに設けられた「お子さま連れ優先シート」――など。ターゲットは20―30代の女性で小さな子供がいることも考慮している。同プロジェクトは「乗るたびに笑顔になって、また次も乗りたくなる。そんな、心地よい空の旅をすべての女性の皆様に届けたい」をコンセプトに、客室部や整備本部など、部署も年齢も違う12人の女性メンバーで立ち上げ、女性主導による女性目線でのサービスを開発している。なお、サービスは男性でも利用可能。

 発表会にはゲストとしてモデルの宮内千早さんが登場し、「ソラ女子」プロジェクトメンバーとトークセッションを行った。「旅行は移動するまでの間に疲れるのですが、それを快適に、しかも女性目線のサービスというのは嬉しいですね」と新サービスへの期待を述べた。そのほか、九州の就航地の一つである宮崎県の観光地トークなどで会場は盛り上がった。

ANAセールスが1位、旅行業の顧客満足度調査で

 サービス産業生産性協議会(代表幹事=秋草直之・富士通顧問)による2014年度第3回「JCSI(日本版顧客満足度指数)」調査で、ANAセールス(白水政治社長)が旅行業種で顧客満足度総合1位となった。

 同調査は、より高い付加価値や顧客満足度を高める経営の波及効果を狙い、2009年度から実施。14年度は年5回に分け、年間約30の業種、約400の企業・ブランドの価値を調査。旅行業種では13企業が対象となった。調査は、(1)顧客期待(2)知覚品質(3)知覚価値(4)顧客満足(5)推奨傾向(6)ロイヤルティ――の6つの指標でまとめた。

 ANAセールスは、サービス利用後の品質への評価を示す「知覚品質」と、サービスの品質と価格とを対比して利用者が感じる納得感やコストパフォーマンスを示す「知覚価値」、利用後の満足度を示す「顧客満足」、再利用意向を示す「ロイヤリティ」で1位となった。利用者が時前に持つ企業・ブランドの印象や期待を示す「顧客期待」はJALパックが1位、サービス内容を第3者に肯定的に伝えるかを示す「推奨傾向」は一休.comが1位となった。

 そのほかの業種では、衣料品店はユニクロ、各種専門店はIKEA、エンターテイメントは劇団四季、国際航空はシンガポール航空、国内長距離交通はスターフライヤー、生活関連サービスはミュゼプラチナムがそれぞれ顧客満足度総合1位となった。

14年秋の叙勲・褒章、笹本氏が藍綬褒章

  政府は11月3日付で2014年度秋の叙勲および褒章受章者を発表した。

 本紙関連では、全国旅館ホテル生活衛生同業組合副会長の笹本森雄(常盤ホテル)氏らが受章した。

 本紙関連の勲章、褒章受章者は次の各氏。

     ◇

 【勲章】旭日双光章
 中島 守
(望湖楼代表取締役社長)=元全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会副会長▽田村暉昭(つきぢ田村会長)=国際観光日本レストラン協会常務理事 観光事業振興功労

 【褒章】藍綬褒章
 笹本 森雄
(常磐ホテル代表取締役社長)=全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会副会長 生活衛生功労

【11月16日まで】谷川岳の電気バス、高齢者や子連れ対象

ユニークな外観の電気バス
ユニークな外観の電気バス

 谷川岳(群馬県みなかみ町)で、11月16日まで歩行が困難な人や小さい子ども連れの方専用の電気バスが運行されている。谷川岳ロープウェイの土合口ロータリーから一ノ倉沢までの約3・5キロを、約20分かけ、1日7往復している。運賃は無料だ。

 群馬大学工学部と桐生のベンチャー企業「シンク トゥギャザー」の協業で生まれた電気バスで、車体の中央下に4基のかわいい車輪があるユニークな外観が特徴。最高時速19㎞で走る。

 昨年まで10人乗りのマイクロバスが運行されていが、今年から観光客や登山客には歩いてもらうことを推奨し、交通弱者を対象とした電気自動車のバスを運行を始めた。現在2台のバスが活躍している。今シーズンのみの試験運転で、運用実績や利用者の声が好評なら来年も実施する。お年寄りや子ども連れが快適に一ノ倉沢見物ができる素敵な試みだ。

 10月14-17日には、電気バスに乗って、秋の谷川岳一ノ倉沢の夜を楽しむ「谷川岳一ノ倉沢ナイトツアー」も実施された。

【旅行ライター&エディター 三堀裕雄】

ピンクリボンのお宿ネットワーク『会員リスト』『メディア掲載情報』を更新いたしました。

ピンクリボンのお宿ネットワーク『会員リスト』『メディア掲載情報』を更新いたしました。

ピンクリボンのお宿ネットワークのお宿に、以下の会員様が加わりました。
 ■ 奥飛騨薬師のゆ本陣 (岐阜県・奥飛騨温泉郷)
 ■ 湯原の宿 米屋 (岡山県・湯原温泉)
 ■ 湯原国際観光ホテル菊之湯 (岡山県・湯原温泉)
 ■ カナザワ工業 株式会社 (愛知県)

ピンクリボンのお宿ネットワークのお宿を、以下のメディア様にご紹介いただきました。
 ■2014年10月24日掲載 新潟日報
 ■2014年10月28日掲載 静岡新聞夕刊

その他の会員一覧はコチラ、メディア掲載情報はコチラから!
(弊社の『ピンクリボンのお宿ネットワーク』ページへリンクしています)

 
☆ピンクリボンのお宿ネットワークとは☆
 乳ガンを患い、手術を受けて回復の道を歩みながらも、術後を気にして旅をあきらめてしまうという女性の方たちに、心ゆくまで旅館・ホテルでの入浴などを楽しんでいただきたいという目的で設立しました。

No.386 47都道府県観光アンケート - 「観光」へ積極的な予算を!

47都道府県観光アンケート
「観光」へ積極的な予算を!

 年々高まる「観光」への期待のなか、一方で予算額の少なさを指摘する声も多く聞かれる。旅行新聞新社では昨年に続き47都道府県へ観光関連のアンケートを実施。観光関連予算の合計は586億2931万円、各都道府県の平均は12億4743万円、一般会計の総額における比率平均は0.1762%となった。人件費と補正予算の扱いなど条件は異なるので一概に比較はできないが、1つのデータとして紹介する。

【伊集院 悟】

 
 
 

34自治体で予算額増加

 2014年度の47都道府県の観光関連予算の合計は586億2931万円となった。昨年度の607億4155万円から約20億円の減少だが、昨年は石川県が新幹線開業PR推進ファンド造成における100億円の貸付金を含んでいたので、実質、80億円ほど増額していることになる。47都道府県の平均は12億4743万円。一般会計予算における観光関連予算の比率の平均は0・1762%となった。

 観光関連の予算を昨年度と比較すると34の自治体で昨年より増加。最大で13億円近く増加した自治体もある。一方、減少した自治体では5億円を超える減額も見られた。一般会計予算総額における観光関連予算の割合を昨年度と比較すると、32の自治体で前年度より割合を伸ばしており、各自治体で少しずつではあるが、観光予算を増やし始めているのがわかる。…

 

※ 詳細は本紙1565号または11月6日以降日経テレコン21でお読みいただけます。