「令和トラベル」創業 新たな海外旅行事業に挑戦 篠塚社長「令和時代にふさわしい“価値体験を提供する”」

2021年4月6日(火) 配信

会社のイメージ。令和の時代にふさわしい〝価値体験を提供する”会社を目指す

 令和トラベル(篠塚孝哉社長、東京都渋谷区)は4月5日(月)、「新たな海外旅行事業への挑戦」を掲げ、創業した。第1種旅行業免許を取得し、令和の時代にふさわしい“価値体験を提供する”旅行会社を目指す。

 篠塚社長は、ホテル・旅館の宿泊予約サービス「Relux(リラックス)」を運営するLoco Partnersを2011年に創業。同社社長を退任後1年間、「これからの旅行会社における体験はどうあるべきかを徹底的に考えた」と振り返り、現在の旅行予約における手続きの複雑さに改善の余地を見つける。

 会社設立にあたり、「デジタル化で効率化をはかることで、低価格と高品質な旅行を実現し、将来必ず回復する海外旅行需要を取り込める」と勝機を語る。

 また、「既存の旅行会社を中心に、取り引きしていた現地のホテルなどが、新規参入の会社との交渉を始めている」と、この時期に海外旅行事業への参入の意図を話した。

篠塚孝哉社長。デジタル化で効率をはかり、低価格と高品質な旅行を実現し、需要を取り込む

 5月には、サービスの詳細を公表する予定で、利用者全員が使いやすく、自由に楽しめる旅や体験などを提供する。

東武トップ、妙高市へ社員派遣 課題解決に向けて協定結ぶ

2021年4月6日(火)配信

東武トップツアーズが妙高市の地方創生に取り組む

 東武トップツアーズ(坂巻伸昭社長、東京都墨田区)は4月1日(木)、新潟県妙高市と社員の派遣に関する協定を結んだ。派遣期間は同日から2年間を予定。派遣する同社社員は「地域創生戦略監」として、地域課題解決や地方創生に関する業務の提案、立案などを妙高市と共に推進する。

 同協定は、昨年7月に新たな人の流れの創出や地方創生に関する連携協定を結んだ妙高市と、総務省の「地域活性化起業人制度」(旧地域おこし企業人交流プログラム)を活用したもの。妙高市に民間企業の社員を一定期間派遣することで、民間知見の活用や、官民連携によって多様化する市民ニーズや複雑化する行政課題に対応した地方創生に取り組む。

 同社は昨年、妙高市の宿泊施設を活用したワーケーションプランを企画・実施し、その誘致などにも取り組んでいる。

島根県・ポーラ・ANA 「美肌観光」で連携 5月にはツアー販売予定

2021年4月6日(火) 配信

3月11日に行われたオンライン調印式のようす

 島根県は3月11日、「美肌ウェルネスツーリズム」の本格展開に向け、ポーラ・ホールディングス(東京都中央区)、ANAホールディングス(東京都港区)と連携協定を結んだ。

 美肌ウェルネスツーリズムは、ポーラが2019年に行われた内閣府主催のビジネスアイデアコンテストで提案し、ANAホールディングス賞を受賞した新しい旅のスタイル。肌カウンセリングやエステ体験をツアーに組み込みながら、その地域の観光資源をめぐることで、心身の活性化を目指す。

 美肌ウェルネスツーリズムの第1弾の開催地に選ばれた島根県は、ポーラが主催する「美肌県グランプリ」で第1位を全国最多の5回獲得するなど、「美肌観光」を売り出している。

 新しいツアーは新型コロナウイルスの感染状況を見ながら5月以降に販売開始予定。料金など詳細は未定だが、2泊3日のツアーを想定し、温泉やグルメ、肌カウンセリング、エステなどを組み合わせる。当初は全日本空輸(ANA)が羽田便を就航している米子鬼太郎空港(鳥取県境港市)発着の見込みだ。

平戸城 常設の城泊施設開業 1泊最大60万円

2021年4月6日(火) 配信

伝統とモダンが融合した空間

 長崎県平戸市の平戸城で4月1日、日本100名城で初の常設城泊施設となる「平戸城CASTLE STAY懐柔櫓(かいじゅうやぐら)」がオープンした。1日1組限定で、宿泊料金は素泊まりで1泊最大60万円(税・サ別)。オプションとして、茶道や座禅、乗馬などの各種体験メニューも用意する。

 城泊は、市の公募で選ばれた百戦錬磨グループの「kessha」と「アトリエ・天工人(てくと)」、日本航空の3社が設立した新会社「狼煙(のろし)」が運営。当初は海外富裕層を主ターゲットに、昨年夏から実施する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で見合わせていた。

 懐柔櫓は1977年に復元された建物で、鉄筋コンクリート造りの2階建て。延べ床面積は約120平方㍍。城泊施設への改修工事により、新たにリビング・ダイニングルーム、ベッドルーム、和室コーナー、ウッドデッキ、浴室を設けた。

 内部は、桃山後期から江戸時代にかけて広まった日本美術の流派の1つ「琳派」をイメージした内装を施し、華やかでありながらも、情緒ある日本らしい空間を創出。3面ガラス張りのバスルームからは、美しい海を一望することができる。

 利用は1日1組限定で定員は5人。食事は別料金で、専属シェフによる地元の旬の素材を使った創作料理を提供する。宿泊者向けに、平戸藩松浦家に伝わる武家茶道体験や、国指定重要無形民俗文化財である平戸神楽鑑賞など、平戸島の歴史文化を体感できるプレミアムな体験メニューも用意する(別途有料)。予約は公式ウェブサイトで受け付ける。

 また、平戸城では同じく4月1日、天守閣もリニューアルオープン。最新のデジタル技術を取り入れた、より楽しめる展示空間となっている。

日旅と日大事業部が包括連携協定を締結 グローバル人材育成など支援

2021年4月5日(月) 配信

日本旅行と日本大学事業部は3月18日付で包括連携協定を結んだ

 日本旅行(小谷野悦光社長、東京都中央区)と日本大学事業部(出村克宜社長、東京都世田谷区)は3月18日(木)付で包括連携協定を結んだ。2者の業務提携を通じて、多様なグローバル人材育成や、学生のキャリア育成に関わる諸事業など、日本大学が進める新規事業に貢献する。

 連携協定の主な内容は、①日本大学事業部旅行課の事業拡大に向けた業務・人的協力②学部・付属校の学外研修、校外研修などにおけるさまざまな課題解決に向けた提案③オーストラリア・ニューカッスルキャンパス運営全般④国際交流・外国人留学生受入拡大⑤医療ツーリズムに向けたコンテンツの共同開発や事業化⑥学生の人材育成・キャリア形成のための共同取組⑦日本旅行内に「日大事業部営業推進部」設置──など。

 日本旅行は教育旅行の分野で、従来の修学旅行などの概念から進化し、SDGsの理念を周知するため、次世代人材育成プログラム「SB Student Ambassador全国大会」を開催している。学生が自身のキャリアや未来の社会について考えるサポートを行う。

82人の新入社員迎える 感染対策下で辞令交付式開く、東武トップツアーズ

2021年4月5日(月) 配信

辞令交付式のようす

 東武トップツアーズ(坂巻伸昭社長、東京都墨田区)は4月1日(木)、82 人の新入社員を迎えた。感染防止対策のもと、千葉県成田市内の2カ所に分かれ、対面での辞令交付式を開いた。新入社員は、辞令を一人ひとり受け取ったあと、新入社員研修を受け、4 月中旬までに各々の配属先へ出社となる。コロナ禍だが、同社は2022 年度も引き続き、新入社員の採用を予定している。

坂巻社長からの訓示

 入社おめでとうございます。入社にあたり、新型コロナウイルスの感染拡大により旅行業はどうなるのかと不安に思った方もいるのではないでしょうか。従来と同じことをやっていては立ち行かなくなることは、コロナがあったからではありません。人工知能(AI)や IT の進歩により、リアルエージェントとして何をしなければならないのかという課題は以前から存在しており、変革を求めるタイミングが少し早まっただけなのです。

 当社は、3 月 1 日に全社員を対象として会社について考える「THINKING DAY」という取り組みを行いました。例年ならこの時期に全国の事業所長を集め今後の方針について話す場だったのですが、今年はオンラインで一人ひとりが主体となり全員が考えるイベントとしました。皆さんも初めて仕事に取り組む中で「分からない」で済ませることはせず、しっかりと仕事を覚え、基礎をつくり、考えるようにしてもらいたいと思います。ノーマルからニューノーマルへと変化している状況は、皆さんにとって大きなチャンスです。従来のしがらみに捉われることなく、皆さん自身の考えや思いを伝えてもらうことにより、皆さんによって大きく変わっていくチャンスがあるのです。

 そのような状況を踏まえ、私から皆さんに 3 点お願いがあります。

 1 つ目は、「当たり前の概念を捨てる」ということです。ノーマルではなくなった今、どうしたら物事を達成できるかについて興味をもって考えるようにしてください。

 2つ目は、「時間の概念をしっかりと持つ」ということです。学生のときとは異なり、社会人になると時間にゆとりが無くなります。今日できることを可能な限り行うように意識してください。

 3 つ目は、どんな小さなことでもよいので、目標を持つようにしてください。身近なことでもかまわないので、自分は何がしたいのかを常に考え、目標や夢を持って取り組むようにしてください。

 今掲げた 3 つのお願いは、周囲に流される人間になってほしくない、という思いから来ています。旅行は人が主人公です。そして当社は人を中心に考えています。従業員をはじめ、お客さま、宿泊施設や運輸機関などのパートナーの皆様と関わっていく中で自分がどうしたいのかをしっかり考えるようにしてください。

 私たちは、従業員にとって良い会社であるグッドカンパニーを目指し、皆さんと一緒につくっていきたいと考えています。そのためには自分をしっかりもって取り組んでほしいと期待しています。今日がその第一歩です。よろしくお願いします。

JTBグループ、21年度は新入社員253人が入社 山北社長「社の未来を灯す『光』に」

2021年4月5日(月) 配信

新入社員にメッセージを送る山北栄二郎社長

 JTBグループは4月1日(木)、2021年度の新入社員253人を対象に合同入社式を開いた。山北栄二郎社長は新入社員に向け、「人々の交流は必ず回復する。長いトンネルの先には、必ず輝かしい光が待っている。あらゆることにチャレンジし、大きく成長することで、社の未来を灯す『光』となってほしいと強く願っている」と力を込めた。

 入社後に求める能力やマインドについて、①お客様の実感価値向上のために、自ら問いを立て、改善に取り組み続けること②自らの意志と努力で、必要とされるスキル・知識を自律的に高め続けること③One JTBにおいて自身が果たすミッションを成し遂げること――の3つを挙げた。

 また、JTBグループの経営ビジョン「地球を舞台に『新』交流時代を切り拓く」を基に、「アフターコロナの世界観や価値観のなかで、人々が地球を舞台に力強く、相互に、多様につながり合い、ローカルとグローバル、リアルとデジタルな交流が相乗効果を生み出していく時代を、新入社員の皆さんと一緒に切り拓いていきたい」とエールを送った。

 入社式は、例年約600人が出席する同会場で行われ、今年度は3密回避のため、新入社員と一部の役員のみの列席となった。各グループ会社代表からのメッセージはオンライン配信とするなど、感染予防対策を講じたうえで実施した。

【NOW  ROOM 千葉社長に聞く】短期賃貸アプリが人気 宿泊施設と需要創出へ

2021年4月5日(月) 配信

千葉史生社長

 今年2月、帝国ホテル東京が月額36万円で「ホテルに住まう」という定額プランを発表、京王プラザホテルも長期滞在向け朝食付きプランを発売するなど、コロナ禍を逆手にとった企画として人気を集めた。一方、不動産業界でも近年、スマホひとつで住まいを借りられる「短期賃貸サービス」がしのぎを削っている。注目したいのは宿泊業視点の「長期」と不動産業側の「短期」が同じ1カ月であること。双方が手を取り合うことで、潜在需要を引き出すことはできるのか。短期賃貸アプリを提供するNOW ROOM(東京都渋谷区)の千葉史生社長に、サービスの利用者像や動向を聞いた。

【鈴木 克範】

NOW  ROOMとは

 「初期費用0円、家電家具付きで1カ月から今すぐ住める」を利用者に謳う短期賃貸アプリだ。物件探しから契約手続き、家賃支払いまでを、アプリ内で完結する。昨年5月のサービス開始以来、9カ月で掲載物件数が全国5万室を突破。登録者数は約2万8千人で、月間600人以上が同アプリを使い入居・滞在している。

 同業他社が自社ブランド物件の在庫を販売する一方、NOW ROOMは空室と利用者を結ぶ「プラットフォーム」運営に徹している。このため、掲載物件も全体の5割を占めるマンスリーマンションに次いで、ホテルが3割と続く。空室情報のデータベース化をすすめるなか、「今夏、サイトコントローラーとの連携も始める」(千葉社長)。

アプリの利用者像は

 NOW ROOMの利用者は会社員や外国籍の滞在者、フリーランス、学生など。年齢層は20代が7割を占め、30代の2割と併せ、9割に達する。利用目的で多いのが、「お試しでの1人暮らし」と固定の家を持たず、さまざまな場所を転々と宿泊する「アドレスホッピング」。「リモートワーク拠点」や「上京での仮住まい」「ワーケーション」がこれに続く。

 物件を探すにあたりよく検索されている語句は「Wi―Fi」「室内禁煙」など。オンライン活動で必要となる通信環境完備や禁煙ルームが好まれる傾向だ。コロナ禍で、ペットとともに滞在できる物件を探す人も増えている。

ホテル・旅館への期待

 「マンスリー市場はコロナ前から急激に伸びていて、ここ5年で3倍ほどに拡大している」(千葉社長)。コロナ禍は出張など法人利用を激減させる一方、テレワークやワーケーションを飛躍的に加速させた。同社はこの需要に応えるべくさまざまなキャンペーンも展開するが、掲載物件として、温泉などを有するホテル・旅館への期待は大きい。客室稼働率を上げるため、通常の宿泊や日帰り利用に加え、「ともに長期滞在を売り込みませんか」(千葉社長)と呼び掛ける。

津田令子の「味のある街」「古印最中」――香雲堂本店(栃木県足利市)

2021年4月04日(日) 配信

 
 先日、「おもてなし研修会の講師に」と観光協会のお招きで、栃木県足利市を訪ねた。生涯学習センターでの研修会を終え、校庭に引いてあるグラウンドを走っていると、二宮尊徳の銅像の近くで桜の花が満開を迎えていた。桜の木の下で「走る」ことが、どれほど気持ちのよいことか体感することができた。

 
 足利といえば、国の史跡にも指定されている「史跡足利学校」や「国宝鑁阿寺」が有名だ。そちらを見学してから向かったのが「太平記館」。観光パンフレットが並び、リーズナブルな価格で楽しめるカフェもある。嬉しいのは、ほとんどの足利名物がここで手に入るのだ。

 
 足利市観光協会の吉田雅裕事務局長は、「古印最中や栗蒸し羊羹は人気ですね。他にも足利には美味しいものがたくさんあります」とおっしゃる。土曜日ということもあり栗蒸し羊羹は、すでに売り切れていた。おすすめの古印最中を、手に取った。足利銘菓古印最中とあざやかなオレンジ色の包装紙が、こちらを見ている。「これだ」と思い、友人や隣家へのお土産も含め5箱購入する。

 
 今、我が家のテーブルに古印最中の箱がある。ふたを開けると最中の皮の匂いがほどよく辺りを包み込む。まず、香雲堂のご主人のあいさつ文が書かれた白い紙が目に入る。「ひとつのことでもなかなか思うようにはならぬものですだからわたしはひとつのことを一生けんめいやっているのです 香雲堂主人」と記されている。

 
 栞には、足利の歴史を銘菓にこめて……とある。創業百余年の香雲堂が自信をもって素材を吟味し「これなら美味しい」とほめていただけるものをと種々苦心考察し、さらには足利学校や鑁阿寺などに取材する中で生まれた1品であるということが記されている。

 
 さて、箱に5つ並んでいるうち細長い最中を選び、薄紙を剥ぐ。一気に口に入れてみる。国産の小豆と砂糖などで作ったという餡が、ぎっしり入っている。最中の皮との相性も抜群だ。

 
 「足利に銘菓あり」とうなずきながら濃い目の緑茶で2つ目をいただいている。

(トラベルキャスター)

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

 

「観光革命」地球規模の構造的変化(233)  コロナ禍と地方の頑張り

2021年4月3日(土) 配信

 東京五輪の聖火リレーが3月25日(木)に福島県からスタートした。五輪の象徴である聖火は121日かけて全国を巡り、7月23日(金)の開会式で東京・国立競技場の聖火台にともされる。聖火リレー開始はめでたいが、一方で東京五輪・パラリンピックで海外からの一般観客の受け入れ断念が既に正式決定されている。コロナウイルスは変異株出現などで厳しい感染状況が続いており、今夏に海外から日本への自由な入国は困難と判断された。

 菅政権は東京オリパラを契機に、訪日観光立国を軌道に乗せて経済再生をはかろうとしたため、海外観客見送りは大きな痛手だ。長引くコロナ禍に苦しむ旅行業・観光業・飲食業などへの影響は大きく、五輪特需が失われ、倒産・廃業に拍車が掛かり、失業者の増加が危惧されている。

 政府は感染拡大を危惧して「Go To トラベル」事業再開に及び腰であるが、地方の自治体は独自の施策で旅行・観光事業への支援を行っている。鳥取、島根の両県は共同キャンペーン「#WeLove山陰キャンペーン」を実施し、両県民が域内対象施設を利用する場合に費用を割り引く。新潟県は県民向けの「泊まっ得! にいがた県民割キャンペーン」を開始し、県内施設対象で宿泊割引を行う。

 高知県は県在住者を対象に「高知でお泊まりキャンペーン」を実施し、静岡県は県民対象の「バイ・シズオカ~今こそしずおか元気旅」を再開し、県内対象宿泊施設の予約を県内旅行業者店舗で行った場合に宿泊割引を適用する。北海道は「新しい旅のスタイル」モデル事業への助成を検討し、「黙食・黙浴」を守る同意書の提出を条件にして道内6圏域の在住者に限定しての宿泊割引実施を想定している。

 自治体による独自の旅行・観光事業助成は評価できるが、それらの原資は昨年4月に政府の緊急経済対策で創設された「地方創生臨時交付金」で2020年度の補正予算で総額4兆5千億円が計上されている。

 臨時交付金は使い道が多様で、地域の実情に合った政策実現に活用し易い点は評価できるが、将来世代に大きな増税負担を掛けるので、地域の課題解決に向けて最も効果的な財源の使い道かどうかの判断が重要になる。コロナ禍を契機にして中央から地方への財源・権限移譲の本格化が必要になる。

 

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。