観光マーケティング責任者を公募、最高年収1000万円(静岡観光コンベンション協会)

 転職サイトを運営する「ビズリーチ」(東京都渋谷区)では、日本版DMO候補法人に登録された静岡観光コンベンション協会の観光マーケティング責任者の公募を7月21日から始めた。募集職種名はチーフマーケティングオフィサー(CMO)、年収は最高1千万円。勤務地は静岡県静岡市。ビズリーチのサイト上に特設ページを開設し、8月17日まで募集する。

 観光庁は、地域の「稼ぐ力」を引き出し、地方創生を推進するため、観光分野でマーケティングに基づいた観光戦略の策定や推進、地域住民との連携強化を図り、観光地域づくりを推し進める組織「日本版DMO」の確立を推進している。

 2016年4月に、第2回日本版DMO候補法人の登録を実施し、静岡観光コンベンション協会も登録された。静岡県中部地域は、関東と中京・関西を結ぶルートにあることから2020年の東京オリンピック開催に向けて新たな観光客の流入が期待される。

 静岡観光コンベンション協会は2017年度より静岡市や焼津市、藤枝市、島田市など静岡県中部地域の5市2町を対象にマーケティング分析を行い、科学的根拠に基づいた戦略による観光地経営を行う「地域連携DMO」の機能強化および地域経済の活性化を目指している。同協会の斎藤誠専務理事は、求める人物像について「DMOの中で先頭に立って静岡県中部地域の観光を盛り上げ、マーケターとして調査分析だけではなく、事業を企画立案するオールラウンダーを募集。将来的には、DMOの代表者として地域の観光経済をけん引する人材を求めています」と期待も大きい。

 募集特設ページURLは、https://www.bizreach.jp/content/executive/shizuoka-cvb/

外客受入の最重要点、実体験に基づく説明会開く(JIG)

原祥隆氏
原祥隆氏

 NPO法人ウェルカムジャパンとジャパニーズ・イン・グループ(JIG、福田金也会長)は6月27日に、「外国人観光客受入基礎研修会」を東京都立産業貿易センター(東京都台東区)で行った。旅館経営者などインバウンドに意欲を示す業界関係者を対象とした同説明会に講師らは、「小規模旅館が外国人観光客を受け入れる際のポイント」をテーマに、予約管理の簡易化から外客宿泊時の留意点まで、実体験に基づく具体的な方法論を展開した。

 冒頭、ウェルカムジャパンの原祥隆副理事長は、「インバウンドは本当に奥深い。世界の政治経済と非常に強く結びついている。そのため、日本を訪れた外国人観光客数の背後には、国際間の人の流動性があることを意識しなくてはならない」と語り、インバウンド対策には、専門知識が必要不可欠だという考えを示した。

 GLOBAL NETWORK(京都府京都市)代表を務める梶山淳JIG理事は、オンライン決済システム「SQUARE」の紹介から予約サイト手数料の削減まで、予約管理の簡易化などについて解説した。

 「SQUARE」は、直接決済と非対面決済に対応しており、宿は、クレジットカード番号1つで、決済を済ませることが可能。梶山理事は、「仮押さえのキャンセルを防ぐのに最適な決済システム」だと語る。「たとえば、予約をしたときに宿泊費の10%をキャンセル料として請求すると設定すれば、繁忙期の直前キャンセルや冷やかし予約を減らすことができる」とし、自社が経営する旅館でも効果を発揮している。なお、「現在、非対面決済ができるのは同システムだけ」だという。

 また、予約サイト利用によって発生する手数料を減らし収益増を目指すためには、「自社ホームページでの予約を増やさなければならない」と強調。(1)予約ができること(2)プランの充実(3)予約サイトより料金が安いこと(4)決済もスマートフォンに対応(5)多言語化(6)SNSからの誘導――の「6つの取り組みが、自社ホームページの魅力アップと収益増の秘訣」だと力強く語った。

 魚敏旅館(長野県下高井郡)の主人で、宮阪和久JIG副会長は、「外国の方の特別扱いはしない。日本人と同じように接すれば、楽だし長続きする。ただし、国民性や文化は理解すべき」だと自身の経験を中心に、施設内外で過ごす外国人観光客への対応方法について説明した。

 外国人観光客は、チェックイン後の客室への出入りを嫌う方が多いため、「布団は折りたたんだまま置き、お客様自身に敷かせると良い」。浴衣についても、着付け方法の解説や着後の微調整対応など、“着物文化の体験”として位置づけると喜ばれるという。入浴については、時間指定があればしっかりと伝えることが大切。相手の立場に立ったおもてなしと、宿のルールの徹底が、施設内で求められる対応方法だと説明した。

 施設外では、「宿周辺の観光地については、自分で赴き、実際に体験してみることが必要。パンフレットや口頭で、集めた情報を伝えると喜ばれる」と知見を伝授した。また、宮阪副会長が運営する宿近辺には、「スノーモンキー」として親しまれる、温泉に入るサルの出没スポットがあり、「宿から目的地までの地図を、英語と日本語、最低2カ国語を記載して提供してきた。お客様が1人で散策する際にも役立つ」ほか、宿周辺の観光スポットは、リピーター獲得にもつながる集客ツールであるため、「外国人観光客が、どんな所や事柄に興味を持ち訪問するのか」ということを把握することが必要だと強調した。

 説明会では、ほかにもSNS対策や受け入れにおけるハードとソフト両面の準備について、林俊一JIG副会長や柏原益夫JIG理事、大野政道JIG理事から詳しい説明があった。

 福田JIG会長は、クレジットカード決済の手数料について、「安いところに鞍替えできるのであれば、するべきだ」とアドバイス。効率の良い旅館経営の必要性を、受講者らに訴えた。

熱心な聴講者ら
熱心な聴講者ら

達増知事から感謝状、いわておかみ会・大澤女将、観光振興の功績讃え

大澤幸子女将(左)と達増拓也知事
大澤幸子女将(左)と達増拓也知事

 岩手県(達増拓也知事)は7月7日、長きに渡り「いわておかみ会」の会長を務め、6月の総会で退任し、相談役に就任した大澤幸子氏(ホテル対滝閣女将)に対し、観光振興への功績をたたえ、県庁内で達増知事から感謝状を贈った。

 大澤女将は2004年度から15年度まで6期12年間会長を務めた。この間、さまざまな活動を行うとともに、08年6月の岩手・宮城内陸地震、11年3月の東日本大震災の2つの大きな災害に見舞われた際には先頭に立って岩手のPRに努め、大きく落ち込んだ観光客の入込み回復に貢献した。

 県観光課の高田聡課長は「おもてなし向上のための講演会開催やさまざまな場面で岩手観光をリードされたことに感謝します。今年は国体の開催により全国から多くの方々がお越しになります。オール岩手で前進する姿を見せるためにも今後ともご協力いただきたい」と期待を込めた。これを受けて大澤女将は、「いわておかみ会は全国旅館女将の集いに参加して、岩手にも組織が必要と考え設立、来年25年を迎えます。会が継続できるのも会員の協力に加え、行政や観光関連団体、旅行会社との連携を取りながら進めた結果。これからも微力ながら県の観光振興に携わっていきたい」と述べた。

観光政策や地域活性化学ぶ、8月22日まで参加者募集(飛騨高山観光大学 9月2、3日開催)

 観光政策や地域経済の活性化につながる事業などについて学ぶ「第33回飛騨高山観光大学」が9月2、3日に、高山市民文化会館で午後1時から開かれる。対象者に制限はなく、現在参加者を募集している。

 2日は弊紙でコラム連載中の日本観光振興協会常務理事・総合研究所長の丁野朗氏が「地域資源を活かした観光まちづくり」について基調講演を行う。このほか、飛騨産業の板屋敏夫氏が「伝統芸能を活かして~『飛騨の家具』の歴史と伊勢志摩サミット円卓の製作」、NPO法人神岡・町づくりネットワーク理事長の鈴木進悟氏が「走り続ける レールマウンテンバイク~誕生秘話から将来の話まで~」について事例報告を発表する。

 特別講演として白鴎大学名誉教授・東北福祉大学特任教授の福岡政行氏が「2016年 秋の政局と日本経済の行方」をテーマに語る。午後6時10分からは「高山グリーンホテル」に会場を移し、交流会を行う。

 3日は「飛騨の再発見ツアー」と題し、飛騨の伝統工芸や日本遺産見学、アクティビティ体験など、各3コースで市内を視察する。参加費は1人6千円(高山市民は無料、交流会参加者は別途3千円)で、2日目の市内視察は2500―3800円。申し込みは8月22日まで。

 申し込み・問い合わせ=飛騨高山観光大学実行委員会事務局 電話:0577(35)3145。

No.436 九州観光推進機構・石原会長に聞く、熊本地震から観光復興へ

九州観光推進機構・石原会長に聞く
熊本地震から観光復興へ

 4月14日から発生した熊本地震で、九州観光は大きな打撃を受けた。直接被災した熊本・阿蘇地区と大分の一部に加え、九州全体が宿泊キャンセルなどの影響を受けた。7月1日からは、国の支援を受けて九州観光推進機構と、九州7県が一体で復興キャンペーンを開始。夏休み、秋の観光シーズンでの宿泊・観光客の呼び戻しを目指す。先頭に立つ九州観光推進機構の石原進会長に、観光復興への意気込みと、今後の戦略などについて聞いた。

【聞き手=九州支局長・有島 誠】

 
 
15年外客数が過去最高全国1の宿泊伸び率

 ――震災前まで九州観光は大変好調だったと思いますが。

 2015年は九州のインバウンドが大きく飛躍した年だと思う。直接入国外国人数が前年比69・1%増(115万7千人増)の283万2千人と過去最高を記録した。これは、機構が見込んだ200万人を大きく上回り、日本全体の訪日外客数の47・1%増と比べても高い伸び率となった。とくにクルーズ船が好調で、前年の19万8千人から約4倍の78万8千人と大きく飛躍した。国別では韓国人が全体の4割強でトップだが、クルーズ船の大半を占める中国人も韓国に次ぐ人数規模となった。

 九州全体の延べ宿泊者数も前年比8・6%増の4545万人泊となり、全国のエリア別で最も高い伸び率となった。日本人の延べ宿泊者数は同3・9%増だが、外国人は同67・7%増となり、全体を押し上げた。これらにより、日帰りも含めた15年の観光消費額は、前年より3千億円上回る2兆5千億円となった。

 ――好調の要因は。

 九州は温泉や自然が豊かで、食べ物もおいしい。インバウンドではアジアに近い九州の地の利もあり、中国や韓国からの観光客が伸びた。円安も追い風になり台湾、香港も増え、タイからは映画の共同制作などメディアを効果的に利用し結果に結びついた。舞台になった佐賀の祐徳稲荷神社には、タイの観光客が押し寄せた。免税やビザ緩和、格安航空の就航も大きい。九州観光推進機構が国別に九州の魅力を発信してきた成果もある。

 香港、台湾からは九州の鉄道が人気だ。乗り放題の九州レールパスは、14年の利用者は17万人だったが、15年は25万人まで伸びた。1人1万円としても8億円の売上増となった。海外客は旅行の日数も長く、平日に利用する。宿泊、交通、飲食など消費額を1人10万円と想定すると、283万人で3千億円近くなる。100万人だった数年前に比べ、2千億円増えたことになる。…

 

※ 詳細は本紙1636号または7月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

激変する世界 ― この夏もいつものように旅に行こう

 耳を澄ませば蝉の鳴き声が聞こえる。もう本格的な夏がやってきた。

 仏・ニースで大型トラックによるテロ事件が発生した。その直後にトルコでクーデター未遂が起こった。国民投票でEUを離脱した英国に、テリーザ・メイ首相が誕生した。仲裁裁判所は南シナ海をめぐる中国の領有権主張を否定した判決が下された。日本では参議院選挙が行われ、国民の多くが改憲を望んでいる結果が出た。そして天皇陛下が生前退位を望まれた。

 世界中で、これまでの枠組みを揺るがすような事件や出来事が毎日のように発生している。にも関わらず、日本のテレビニュースはリアルタイムで世界情勢を報じないし、相変わらずドメスティックな思考のまま、ワイドショー的な切り口でしか、ニュースを伝えない。私はテレビを消して、外に出た。

 外に出ると蝉が鳴いていた。変わらぬ夏が到来した、とその瞬間思った。最近は毎週土曜日、家の近くのブリティッシュバーで、ジントニックを飲む。昼の3時から開いているので、重宝している。世界がどんなに激動しようと、蝉は鳴くし、いつもの酒場で、いつもの酒を飲む。一見、世界と切り離されているように見えても、やはり世界とはつながっているのだ、と酒を飲みながら世界のことや、身近なことに考えをめぐらす。

 最近、ブリティッシュバーの近くに、安い焼き鳥屋を見つけた。この焼き鳥屋は夕方5時から開くので、ブリティッシュバーで軽く、2、3杯飲んでから、河岸を変える。この焼き鳥屋は、焼き鳥1本60円、ポテトサラダなどのつまみは一皿200円。そして280円の焼酎も濃い。これだけ安いと、オヤジばかりが集ってくる。それも、みな1人客だ。散髪帰りに寄るオヤジもいる。店の中央に長テーブルがあり、オヤジたちは空いた席に座り、店にあるテレビで、相撲やサッカー中継を眺めながら、焼き鳥を食べ、酒を飲む。十年一日のごとくだ。

 このような風景は、世界中どこでも見られる。たとえ、自国の政権が変わろうと、あるいはクーデターが起ころうと、テロによる惨劇が発生しようと、近くの安い酒場に寄り、安い焼き鳥や、フィッシュ&チップスをつまみ、住み慣れた自分の住処に帰っていく。あまり騒ぎ立てない。静かに酒場の空気を感じながら、自分の長年のスタイルは、変えない。

 何が起こっても不思議ではない世界である。大規模テロもこの日本だって明日にも起こり得る。もちろん自然災害もだ。 

 しかし、何が起ころうと、生活の一つひとつを大事に生きていくことが大切である。世界で、あるいは、身近に起こるあらゆる動きを、どこかの国のテレビのように遮断せずに、つながりながら、なおかつ、日々の小さな楽しみを犠牲にしない姿勢が、結果社会を強くする。

 事務所に近い東京・上野の国立西洋美術館が世界遺産登録され、大きなニュースとなったのは喜ばしいけれど、登録翌日に国立西洋美術館を訪れ、炎天下の中で長蛇の列を作る人々が映し出されていた。メディアなどで話題になり、注目されるとすぐに集まる人々だ。一方、テロや災害があると、逆の反応になりがちでもある。外の世界を意識しながら、自分のスタイルを大事にしたい。この夏もいつもの酒場で酒を飲み、旅に行こうと思う。

(編集長・増田 剛)

今できる再発防止策を、情報流失検討会開く(観光庁)

検討会のようす
検討会のようす

 観光庁は7月8日、第1回「旅行業界情報流失事案検討会」を開いた。同会の委員メンバーには、淺野正一郎委員長(交通政策審議会会長)をはじめ、旅行業やサイバー犯罪対策などの専門家が名を連ねた。

 今回の検討会は、JTBと札幌通運2社の事案の問題点を確認し、両社が講じた対応策とその評価、観光庁の対応、旅行業界の状況についての報告が行われた。

 そのなかでJTBに対しては、「当面講じられるべき措置は取られている」と評価された。7月中に開かれる予定の第2回検討会では、「中小旅行会社の対策についても議論するべき」との意見から、その対策と旅行業界全体の再発防止策が検討される。   

 観光庁では、「重要インフラ以外での情報共有、報告の体制が整備されていなかった」として、テロや自然災害と同様の連絡網を整備し、不測の事態などが発生したときには迅速に情報共有をできるようにした。

 また観光庁としては中堅、中小旅行会社は自前で対策するのは難しく、外部に委託しているケースが多いのではないかと考えており、チェック体制や、業者選定基準といったサポートなどの方向性も示したい考え。

黒川×由布院が連携、特別企画で入浴無料に

割引プランのパンフレット
割引プランのパンフレット

 熊本県・黒川温泉と大分県・由布院温泉はこのほど、熊本地震をきっかけに展開する共同事業「黒川×由布院 夢つなぐ200日」を始めた。相互の温泉地を利用しやすいよう連携し、連泊割引プランや入浴無料チケットなどを提供する。

 黒川温泉観光旅館協同組合の北里有紀代表理事、由布院温泉観光協会の生野敬嗣事務局長ら4人が7月6日に本紙を訪れ、同事業をPR。熊本地震直後に両温泉関係者が集まり、なにかできないか、との想いで考え出されたという。その日から残りの1年頑張ろうとの意味を込め、「夢つなぐ200日」と題した。両温泉地での共同事業は初めて。

 企画第1弾として「連泊特別割引プラン」を8月末まで実施。両温泉地の対象施設に連泊すると、前泊の宿泊明細書を提示することで2泊目の宿泊料金が10%引きになる(宿泊前に連絡が必要)。さらに期間中の特別企画として、黒川温泉の「入湯手形」、由布院温泉の観光乗合タクシー「スカーボロ」と「辻馬車」のいずれかを利用すると、もう一方の温泉地の対象施設での入浴が無料になる「湯巡りチケット」をプレゼントする。

 生野氏は「200日だけでなく、それ以降も交流を密にしていきたい。またこの企画で、『地震から立ち直ったのか。観光しても大丈夫なんだ』と思ってもらえれば」と話した。一方、北里氏は「近しい関係の温泉地から民民連携で取り組みを始め、地域を活性化させ、復興にもつなげたい。また、この企画がきっかけで50年、100年と続く温泉地を作っていきたい」と語った。

 このほか、黒川温泉は入湯手形30周年を記念し、くじ引き付き記念入湯手形を販売。大当たりが出れば1万円分の宿泊補助券、当たりは対象施設で利用できる金券1千円分がもらえる。一方、由布院温泉は、組合加盟旅館91軒の宿泊客を対象に、「旅の扉と旅の鍵」を実施。滞在中、対象施設でドリンクサービスや駐車場やトイレの利用提供などのおもてなしサービスを受けられる。

来社した黒川温泉と由布院温泉の皆さん
来社した黒川温泉と由布院温泉の皆さん

案内士リストの一元化、品質担保誰が、いかに(通訳案内士制度のあり方検討会)

第15回検討会(7月8日)
第15回検討会(7月8日)

 観光庁は7月8日、東京都内で第15回「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」を開いた。業務独占廃止後、名称独占のみとなる同制度のあり方とランドオペレーターについて、旅行業関係者らが意見を出し合った。共通の認識として、業務独占廃止後の「品質の担保を誰が、どのようにして」を軸に、通訳案内士については、「リストなどによる一元化」などが、ランドオペレーターについては、「登録義務の必要性」と「品質保証の確保」などが主な議論の的となった。

 現状の通訳案内士は、どの資格者がどの程度の語学レベルや専門知識などを有するか、顧客も業界も一元的に把握できていないため、需要と供給に齟齬が生じている。そこで、日本旅行業協会(JATA)の国内・訪日旅行推進部長の興津泰則氏は、「今後に向けて、語学別有資格者のリストの一元化をし、JATAのホームページで掲載する」などの意見を出した。これに対し、観光庁も「リストについては、今年度の予算措置をしてあるが、まだ完全な着手はできていない。各県で登録しているデータを一元化して、リスト化するなど、具体的にどうしていくのかは検討していきたい」と述べた。

 また、悪質なランドオペレーターなどが多く、手配代行が旅行業法に適用されない状況などを踏まえ、登録義務やルールの明確化、取り締まりの強化などの意見が出された。さらに踏み込んで興津氏は「ツアーオペレーター品質認証制度」について言及した。

 同制度は、業界内の自主規制として、企業の法令順守、品質管理やサービス水準、CSRの面から品質を評価。一定基準を満たした事業者のみを認証し、顧客に対して、品質保証や安心・安全を可視化する。「JATAで事務局を持っているが、直接は関与せず、第三委員会を設けている。いつでも国に譲る準備はできていて、手続きも進んでいる」と具体的な方向性を述べた。

小説、マンガの舞台へ

 谷村志穂さんの小説「いそぶえ」は昭和30年代の志摩半島を舞台に、海女の生きざまを描いた物語だ。たとえ変えられない運命でも、縁があったと受け入れ前に進む。主人公の心の持ちようは深く残った。女将サミット「ロス」の皆さん、ぜひ手に取って、再び鳥羽を訪れてください。

 もう1つ。「月影ベイベ」(小玉ユキさん)は、富山市八尾町の郷土芸能・風の盆を題材にしたマンガ。祭りに向けて稽古に励む高校生の日常が興味深く、踊りの一瞬を表現した画力も高い。今、一押しです。

 都道府県ごとに好きな作品を選ぶと、何割埋まるだろう。誰かと競ってみたいかも。そういえば、男女2人が出かけた都道府県を塗りつぶしていく、「ぬり絵の旅」(阿刀田高さん)という作品もありました。

【鈴木克範】