さくらももこさんの愛カメが産卵 体感型動物園iZoo

2021年1月8日(金)配信

産卵時のようす

 体感型動物園iZoo(イズー、静岡県賀茂郡河津町)で飼育されている、ちびまる子ちゃんの原作者、故さくらももこさんゆかりのビルマホシガメ「カメミ」が、2021年1月3日(日)に産卵した。

 さくらさんが飼育していたリクガメで2019年5月、最適な環境で繁殖を目的として欲しいとiZooに来園した。日本国内はもちろん、国際的にも商取引が原則禁止されている絶滅危惧種だ。

 iZooでは「カメミ」の飼育環境を整え、繁殖最適期のオスとともに飼育してきたところ、1月3日(日)午後4時半ごろ3個の産卵を確認した。「有精卵であれば概ね150日程度での孵化が期待できる」(同園)という。

宿研とステイシーがシステム連携へ 部屋と顧客情報を一括管理

2021年1月7日(木) 配信

宿研ロゴ

 部屋在庫一元管理システム「宿研サイトコントローラー」を提供する宿泊予約経営研究所(矢津達彦社長、神奈川県横浜市)は昨年12月16日(水)、ステイシー(前田益宏社長、大阪府大阪市)とシステム連携を始めた。これらのサービスが連携することで、集客からチェックアウトまでを一括管理できる。

 Web集客コンサルティングサービスは、宿泊予約サイトやホームページ、SNS(交流サイト)などを活用した、あらゆるWeb集客ができる。サービス契約施設に提供している「宿研サイトコントローラー」は、現在はじゃらんnetや、楽天トラベル、ブッキングドットコムをはじめとした11サイトに対応している。

 ステイシーが提供する無料で始められるホテルシステム(PMS)「Staysee」は、部屋の在庫や、顧客、売上情報を一括して管理することで集客からチェックアウトまでの作業負荷が軽減できる。外出先や厨房など、フロント以外の場所でもタブレットなどを使い予約や空室状況を知ることができるのが特徴だ。

 なお、システム連携機能の利用は、Stayseeの「アドバンスプラン」(月額税込9980円)の契約が必要。

 同社では、このほどのシステム連携を記念して、新規契約施設を対象に3大キャンペーンを行う。

 1万1000円(税込)のPMS初期接続費を初回無料にするほか、3300円(税込)のPMS連携月額費を1年間無料にする。Stayseeの「アドバンスプラン」を、月額9980円(税込)のところ、1カ月間無料トライアルで提供する。

 キャンペーン期間は3月31日(水)まで。

HIS、オンライン宇宙ツアー実施へ ”宇宙を身近に感じて”

2021年1月7日(木) 配信

ツアーのイメージ。宇宙食が届くプランも用意した

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)は1月24日(日)午後12時、宇宙飛行士の山崎直子さんを招き、五感を使って宇宙を感じる「オンライン『宇宙』体験ツアー」を行う。

 同社は2025年の宇宙旅行の実現向けて、有人宇宙機を開発するPDエアロスペースと資本提携し、商業運航を支援している。宇宙に行ける時代の到来に向けて、宇宙を身近に感じてもらう考えだ。

 同ツアーは、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在した山崎さんが宇宙タレントの黒田有彩さんの司会進行のもと、宇宙飛行士としての経験や今後の宇宙開発などを話す。さらに、宇宙飛行士が行う宇宙での筋トレも披露する。

  プランは、「視聴プラン」と「宇宙食セット付特典プラン」を用意した。「宇宙食セット付特典プラン」には、高校生が作った食品として世界で初めてISSに持ち込まれたサバ缶や缶入ソフトパン、ロケット射場がある鹿児島県・種子島の自然水を精製し、宇宙へ運ばれた水のほか、山崎さんのサインを刺繍したHISオリジナルデザインのミッションワッペンなどが含まれる。

 料金は宇宙食セット付特典プランが1万5000円(税込)。同プランは最大100人まで募集する。視聴プランは9990円(税込)となり、人数制限はない。
 

読売旅行、ガイドラインを策定 感染症対策を講じた旅を

2021年1月7日(木)配信

写真はイメージ

 読売旅行(坂元隆社長、東京都中央区)は昨年12月25日(金)、「感染防止ガイドライン」と「新しい旅のかたち」をまとめた。感染症の専門家の意見を取り入れたガイドラインを踏まえて、安心・安全を基本に、バラエティに富んだ旅の楽しみ方を提案していく狙い。

 いずれも、昨年11月に設置した「新しい旅のあり方検討委員会」で協議を重ね、取りまとめたもの。とくにガイドラインは、旅行でのさまざまな場面を想定し、専門家から具体的にリスク軽減策のアドバイスを受けて作成したと説明している。

 ガイドラインは、検温や健康状態の確認などの従来の対策を継続したうえで、感染リスクを最小限に抑える対策を取り入れた。ツアー全体に「ゆとり」を持たせるほか、食事もできるだけ「密」を避けるよう、施設側と協力して対策を取るよう呼び掛けている。

 具体的には、行程や観光時間に余裕を持たせるほか、バスの場合、乗車人員は定員の7割まで、90分に1回休憩し、休憩中に強制換気するなど。マスクは感染防止効果の高い不織布マスクを推奨し、添乗員も不織布マスクを着用する。このほか緊急時の医療相談や、新型コロナ感染症を対象とする保険「コロナお守りパック」の付帯などを盛り込んだ。

 一方の「新しい旅のかたち」は、読売旅行の商品コンセプトを一新するもの。従来の「盛りだくさん」から変わり、「ゆとり」のツアーを用意。「ワンランク上」と「プレミアム」では、お客のさまざまなこだわりに応える。観光地を巡るツアーだけでなく、テーマ性の高いプランや個人型商品にも力を入れる。

 同社は「ツアー参加者から感染者が出てしまったことを反省し、専門家から具体的なリスク軽減策を指導いただいた。あわせて、お客様の多様な要望に応えられるよう、商品コンセプトを一新。当社の再出発だという強い思いとともに、安心・安全な旅を提供していく」とコメントした。

【開催中止】1月15日(金)旅館100選表彰式について

2021年1月7日(木)配信

拝啓 初春の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、2021年1月15日(金)新宿の京王プラザホテルで開催を予定しておりました
 ・プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選
 ・プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選
 ・プロが選ぶ優良観光バス30選
 ・プロが選ぶ水上観光船30選
 ・選考審査委員特別賞 日本の小宿
 ・もてなしの達人・優秀バスガイド・優秀バスドライバー
の表彰式ですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言発令などを鑑み、開催を中止することといたしました。これに伴い、同日午後の旅館経営教室セミナーも延期させていただきます。

ご出席でお返事をいただいた皆様には個別に連絡させていただきますが、ここに改めてお知らせさせていただきます。

観光業にとって厳しい状況が続きますが、弊社では紙面や各種事業を通じて、業界発展に寄与すべく取り組んでまいります。引き続きよろしくお願いいたします。

敬具

 

2021年1月7日
株式会社旅行新聞新社
代表取締役 石井 貞德

 

津田令子の「味のある街」「信州安曇野りんごジャム&りんごジュースの詰め合わせ」――安曇野市観光情報センター(長野県安曇野市)

2021年1月6日(水) 配信

 

安曇野市観光情報センター 「信州安曇野りんごジャム&りんごジュースの詰め合わせ」3150円(送料、梱包代込み)▽☎0263(82)9363。

 「北アルプスに雪もかぶり、白鳥も飛来し、安曇野にも冬が来たんだなと実感しています」と、安曇野市観光情報センターの新谷真佑さんは話す。

 
 同センターはJR大糸線穂高駅正面を出た左側にあり、駅を出てすぐ路面と看板に案内表示があるので分かりやすい。扉を開けるとパンフレットやマップなどがずらりと並ぶ。地酒やソバ、道祖神グッズ、安曇野の作家たちの作品など思わず手に取りたくなる地元のお土産がそろって迎えてくれる。さらに詳しい観光情報や案内は、新谷さんをはじめスタッフに直接尋ねれば親身になって教えてくれる。

 
 今回紹介するのは、新谷さん一押しの、自宅(東京)に居ながらにして安曇野の味を楽しむことのできる「信州安曇野りんごジャム&りんごジュースの詰め合わせ」だ。安曇野の特産品といえば「リンゴ」。豊かな自然と寒暖の差が甘くておいしいリンゴを育てるというわけだ。

 
 とにかく甘い「サンふじ」、ほどよい酸味と甘みが特徴の「シナノゴールド」、昔ながらの定番・酸味が人気の「紅玉」とそれぞれのリンゴの甘酸っぱさが、ギューッとつまったジャム3瓶と、サンふじ(季節によって種類は変わる)ストレート果汁100%のリンゴジュース「すりおろし林檎」という強力なラインナップだ。ジャムは、毎朝クロワッサンに、その日の気分で銘柄を選び、たっぷりつけてパンのアクセントにしている。

 
 原稿を書きながら、シャンパングラスに氷を3かけら入れ、すりおろし林檎ジュースを注ぐ。そして、3度ほどグラスをゆっくり回す。ためらわずに一気に口へ運び、リンゴのざらざら感を舌で味わいながら喉へ落とす。「なんというさわやかな風味なのだろう」。口の中を安曇野の風と香りが占領する。観光情報センターに問い合わせれば希望に応じて熨斗掛けなども行ってくれるという。新年のごあいさつに、大切な方への贈り物に最適なこの詰め合わせ。今なら、買った方にもれなく安曇野グッズ(クリアファイル&ポストカード)が付いてくる。

 
 さぁ、「あのひと」に贈ろうっと。

(トラベルキャスター)

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

 

「街のデッサン(237)」「ちくわちゃん、ありがとう」 慈愛の社会を描く地域童話

2021年1月5日(火) 配信

慈愛の社会を描く「ちくわちゃん」の絵本

 エポックメーキングという言葉があるが、時代を画するという意味を持つ。昨年は、まさに社会を変えるコロナウイルスの蔓延というとんでもない事態が年初から勃発した。これを危機の時代が始まったとするか、旧弊を覆して新しいチャンスの時代の到来とするかによって捉え方が両極に分かれる。私は、次代をより良き方向に変えていくチャンスとして考えなければ、と思っている。

 旅好きな私は海外旅行に年2、3回は出ていたが、それが不可になったことは至極残念なことだった。外国の違った文化に触れる体験は、生きるための知的エネルギーを補充することで元気の源となった。旅は新しい発想をひらめくための涵養の場でもある。

 春にはコロナの感染を抑えるために、「ステイホーム」が強要されて国内旅行もままならなかった。いきなり「Go Toトラベル」と言われても、2次、3次の蔓延によってなかなか気持ちの禁足が解かれない。海外も国内の旅も不可な時にできるのは近所への散歩である。故に海外や国内の旅に代替する散歩(プチ旅行)をよくしている。

 旅に出ると歩いて見学やフィールド・サーヴェイが必至であるから、日ごろから足腰を鍛えておかなければならない。脚力増進に、散歩や遊歩が一番だ。住まいの近くに「代々木公園」があるから、近所をしばらく歩いて公園を何周かするのが、ニューノーマルな私の日課となった。

 漱石であれば「坂道を登りながらこう考えた」となろうが、私は「公園を巡りながらこう考えた」となる。それはコロナによる地域籠りの時間を、若い人であればWeb会議やデジタルラーニングで個人力を増強するであろうが、私のような年配は近所力(コミュニティ力)を伸ばすことで持続可能な社会をサポートできないかと考えるのだ。

 その背景には2つの理由があって、その一つは仕事中心社会が家庭中心社会に、DX時代は必ずシフトしていくという予測。もう一つは、散歩の途中で1匹の茶縞の猫に出会って、この野良的な生き方にすっかり共感してしまったからである。人間を怖がらず、あらゆる人々にオープンで親和性を持った猫の存在は、実は互いに慈愛と寛容性に満ちた地域社会の人々が支えていた事実が分かったからである。

 「ちくわちゃん」と呼んでいた猫が病で亡くなった日、一緒によく遊んでいた広場に誰とも知れずたくさんの花束で飾った献花台が自然に生まれていた。私が書いた童話の最後に、その写真を載せておいた。

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

 

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(120) 経験豊富なお客様が感動して本物のおもてなし 「流石」のサービスを

2021年1月4日(月) 配信

 

 私たちが追い求めるのは、お客様が満足する接客だけではダメです。満足したお客様の「また来ます」という嬉しい言葉は、選択肢の1つとして残っただけです。また利用してもらうのがビジネスであり、その確率を高めるのが仕事です。

 リピートをより確かにするのは、満足を越えた感動です。どんなに優れた接客者が多くのお客様を満足させても、「必ずまたここを利用したい」という感動を創り出すのは難しいことです。多くの感動を体験した人の心には、残念ながら響かないかもしれません。満足したお客様が増えれば、間違いなく企業はブランディングされていきます。

 しかし、その評判で一見さんを多く集客できても、未来への不安は消えません。経験豊富なお客様に「ここは流石だ」と感動を与えるおもてなしで、リピーターを創造し続けることが大切です。

 先日、久しぶりに金沢・和倉温泉へ旅行しました。今回はどこを周ろうかと悩みましたが、金沢で人気の「寿司タクシー」を思い出し空き状況など問い合わせると、「大丈夫です。ぜひお越しください」と嬉しい返事が来ました。

 タクシー会社の感動を創造する仕事が始まったのはここからです。予約に必要な事柄だけでなく、利用者が楽しめる質問や提案がたくさんありました。

 その1つが、金沢市内のタクシーが、和倉温泉まで迎えに来てくれるという提案でした。観光と時間の効率を考えていただいての提案でしたが、地理的に疎い県外の私には想像もできないコースもあり、利用日から初めて一般公開される、気多大社の「入らずの森」の特別参拝も提案してくれました。

 道中で立ち寄った道の駅では、ドライバーが共に店内に入り、商品を詳しく説明してくれました。その話を聞いて、道の駅に立ち寄った理由を強く感じました。家内も両手いっぱいに買い物をすることができました。

 観光地では私の携帯で何枚も写真を撮ってくれました。その時にも「もう少しこちらに」と、写真の立ち位置にも、より良い構図になるように気を配ってくれたのです。

 最後は、タクシー会社のスタッフが最終目的地の寿司屋まで訪ねて来て、ドライバーが携帯で撮った写真をメッセージ付きの手紙と共に用紙に貼って届けてくれました。「ここまでされたら、びっくりだね」と家内が感動していたのはもちろんですが、私にとっては今回の旅の最大の目的である家内の喜ぶ姿が、一番嬉しいおもてなしとなったのです。

 多くの感動サービスを探し続けている私にとっても、どうすれば喜んでもらえるかという目的を探り、手間のかかる「考動」の実行に、心から感動する旅となったのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

あなたが好きな露天風呂のある宿 加賀屋(石川県・和倉温泉)

2021年1月4日(月) 配信

 旅行新聞新社ではホームページ上で「あなたが好きな露天風呂のある宿」のアンケート調査を実施しました。人気を集めた宿のなかからおすすめの施設を紹介します。

加賀屋 石川県・和倉温泉

婦人大浴場「辨天(べんてん)の湯」

 加賀屋は創業1906(明治39)年の老舗旅館。七尾湾の波打ち際に「雪月花」「能登渚亭」「能登客殿」「能登本陣」の4棟が建ち並び、細やかな気配り、心配りのもてなしで高い評価を得ている。

 純和風の客室は気品ある落ち着いた風情で、特に「雪月花」の18階から20階は「浜離宮」として、調度など贅を凝らしたしつらえとなっている。

 男女大浴場は海に面しており、ロケーションも申し分なし。男性大浴場「恵比寿の湯」は3層に広がるもので、浴場内にエレベーターが付くというユニークな造り。湯船に浸かると、まるで七尾湾に浮かんでいるような感覚を味わうことができるだろう。女性用は広々と開放的な「辨天の湯」と鮮やかなモザイクタイルを使用した「花神の湯」がある。

 食膳は、山海の幸を盛り込んだ会席。プロの技ともてなしの心が郷土の味を引き立てる。

 館内には郷土の著名作家による工芸品が数多く展示され、さながら美術館の趣だ。また、エステティックサロンは宿泊だけでなく、日帰りでも利用可能。温泉旅館の中にありながら、静かな空間でゆったりと施術を受けることができる。東西が融合したマッサージと独自のトリートメントは、温泉との相乗効果で、より深いリラクゼーションが味わえること間違いなしだ。

宿データ

「加賀屋」全景
ロビーラウンジ「飛天」

住所:〒926-0192 石川県七尾市和倉町ヨ部80番地

TEL:0767(62)1111 FAX:0767(62)1121

チェックイン:午後3:00 チェックアウト:午前10:00

風呂:男女別大浴場各1(空中露天風呂、野天風呂、サウナ付)、女性用浴室1

泉質:強食塩泉

客室:全232室

料金:3万3000~7万6000円

「観光革命」地球規模の構造的変化(230)  コロナ禍克服の可能性

2021年1月3日(日) 配信

 昨年の流行語大賞は「3密」だった。昨年日本を含めた全世界を苦境に落とし込んだ新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)対策として避けるべき行動(密閉、密集、密接)を表す言葉であった。旅行・観光産業は「3密回避」の影響を大きく受けた産業分野だ。政府は「感染防止と経済再生の両立」をはかりながら諸施策を講じたが、感染拡大が続くなかで観光支援事業「Go Toトラベル」への批判が高まった。それに対して菅首相はGo Toトラベルは地方経済再生に貢献しており、旅行が感染拡大に影響するエビデンスが無いために事業継続にこだわった。

 ところが12月9日(水)に英スコットランド自治政府のスタージョン首相は科学者による詳細な調査結果に基づいて「コロナの感染拡大は旅行が原因であった」ことを公表。東大などの調査でも「Go Toトラベルの利用者は利用しなかった人よりも感染リスクが2倍高い」ことが判明した。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会も「感染拡大地域でのGo To トラベルの一時停止」を提言。さらに世論調査で菅政権への不支持率が一挙に高まったために、政府は「Go Toトラベル事業を12月28日(月)から1月11日(月)まで全国で一時停止」を表明した。

 一方、昨年12月に世界各国でコロナワクチン接種が開始された。世界で最初に国産コロナワクチンを承認したロシアでは12月5日(土)から接種を開始。英国でも米国製薬大手ファイザー社などが開発したワクチンを政府が承認し、8日(火)から接種開始。米国でも連邦食品医薬品局がファイザー社のワクチンに対する緊急使用許可を出し、接種を始めた。中国の製薬大手シノファーム社のワクチンもインドネシアなどで接種が開始される予定だ。

 日本では昨年12月に国会で「改正予防接種法」が全会一致で可決・成立し、コロナワクチンを国の費用負担で無料提供し、円滑に接種を進めることが可能になった。日本政府とファイザー社は来年6月末までに6000万人分のワクチン供給で基本合意済みだが、接種時期はまだ未定。

 コロナ克服のためにはワクチンが不可欠であるが、完璧なワクチンの開発は容易ではない。今年もまたコロナとの苦しい闘いが継続されるので、旅行・観光産業の苦境も継続される可能性が高い。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。