オンラインで軽井沢の食文化学ぶ セミナー後は現地へ ハイブリッド型ツーリズム企画

2021年2月17日(水) 配信

軽井沢の歩き方学ぶ(イメージ)

 長野県・軽井沢の着地型旅行会社、軽井沢トラベル&コンサルティング(河野岳代表)はこのほど、オンラインセミナーと現地での旅行を組み合わせた、「軽井沢の歩き方 食文化編」を企画した。コロナ禍のハイブリッド型ツーリズムとして実施する。

 セミナーは、軽井沢出身で各メディア出演も豊富な「軽井沢ヴィネット」編集長の広川美愛さんが案内する。スライドや映像を用い、「軽井沢の食文化」をテーマに歩き方を指南。ZoomやYouTube、また配信会場の「軽井沢書店内カフェスペース」での現地参加もできる。3月のオリエンテーションのほか、4~10月に計3回実施する。参加者には毎回、紹介した「軽井沢の歩き方マップ」をプレゼント。セミナー後は現地散策を楽しめるほか、セミナー参加者限定のスピンオフ企画「軽井沢ツアー」も行う。

 さらに、全3回のセミナーに参加し、各回のテーマに沿った作文を提出した人には「軽井沢の歩き方 マイスター」の免状が贈られる。

 セミナーの日程は、オリエンテーションが3月16日(火)午後7時から。第1回は4月20日(火)、第2回は7月13日(火)、第3回は10月19日(火)でいずれも開始時間は午後7時から。なお、当日の参加ができなくても開催後2週間はYouTubeで視聴が可能だ。

 同社は昨年、「軽井沢の歩き方 歴史編」を企画し、7~9月にオンラインセミナーを全3回実施。全国から112人がオンラインで参加した。22年以降もテーマを変えて開催する予定という。

“行きたい”まちのつくり方 ロケツーリズムで地域が盛り上がる

2021年2月17日(水) 配信

 地域に人を呼び込む手段として、また地域が交流人口を増やし、地域経済を循環させるための手段としてロケツーリズムが注目されている。

 コロナ禍で家で過ごす時間が増え、メディアでの露出が大きな宣伝効果を生み出している地域もある。

 ロケ実績はうまく活用すれば、新たな観光資源を生み出すことや、企業価値の向上にもつながる。

 静岡県・西伊豆町と長崎県島原市に、ロケツーリズムの役割や地域に及ぼす効果などをきいた。

西伊豆町

『ゆるキャン△』モデル地 堂ヶ島のトンボロ

 日本一の夕陽が自慢の静岡県・西伊豆町。一方で、同町は人口減少や少子高齢化が課題となっており、観光客数は年々減少傾向にある。こうした状況を打開するため、2020年ロケツーリズムの取り組みを始めた。

 同町ではロケツーリズムを、「無料でできる地域情報の広告」と定義。「景勝地や観光施設ではないスポットが観光地になるのでは」と考えている。ロケ実績は、ロケ地マップやDVDの作成、ロケハンツアーなどに活用。昨年11月に公開された映画「たぶん」のロケ後には、特別試写会を開催した。今後は、町民や地元企業中心のロケ受入体制を構築する。

ロケ誘致のホンネ ~星野淨晋町長~

 ――町長の目から見た地域の変化は。

 今までは「ここには何もない」と言い続けてきた地元の人たちも、町が全国ネットに出ることで、「うちの町も捨てたものじゃない」という感じに変わりつつあるように感じます。

 ――ロケツーリズムを実施しての手応えは。

 町民の意識が少しずつではあるが変わり始めたという点と、SNS(交流サイト)で夕陽の風景が発信され、夕陽日本一の町と自称している西伊豆町や、伊豆西海岸の認知度が上がっています。
 観光地ですが、西伊豆町といってもすぐに解る人は少ないため、メディア露出増によるロケツーリズムにはとても期待しています。最近では漫画『ゆるキャン△』のモデル地巡りで訪れる食堂もあるようですし、モデル地巡りをした人がSNSに投稿し、それを見た人が来るという好循環も生まれています。

島原市

市のおすすめロケ地島原鉄道「大三東駅」

 長崎県島原市がロケツーリズムに着目したのは、「ロケ地が観光資源となることで、ロケを誘致するたびに新たな観光資源が生まれ、別の層の観光客を得られる」と考えたから。ドラマ、アニメなどは若者向けのものも多く、ロケ地やテーマとなったまちを巡りたい彼らをターゲットにすることで、若い層の旅行需要も喚起したいという。

 19年度からロケツーリズム協議会に本格加入し、映像制作者とのトップ会談には、欠かさず市長が参加しトップセールスを行ってきた同市。20年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあり東京での活動ができないなか、映像制作者との連絡調整をウェブ会議中心で行い、最小限の人数でロケハンを実施。21年に放送されたフジテレビ新春特番「有吉くんの正直さんぽ新春スペシャル~長崎・島原」の誘致に成功した。広告換算効果は、市独自の試算で6億3千万円。

 担当者は、「20年度は、テレビ関係13件のロケを受け入れた。各番組を見た人から、『あの店のおばちゃん元気そうで良かった』、『コロナが落ち着いたら島原に行きたい』というコメントをいただいている。コロナ禍で観光での来訪や帰省が難しいなか、今の島原の姿を伝えることができた」と振り返る。

ロケ誘致のホンネ ~古川隆三郎市長~

 ――市長の目から見た地域の変化は。

 新春特番の放送翌日には、番組で取り上げられた小さな中華料理屋に行列ができているのを目の当たりにしました。市民からも、島原の魅力を再発見できたということを多く聞いています。

 ――ロケ誘致の難しさはどうでしょうか。

 島原市は日本の西の端にあるので、映像制作者が気軽に撮影に行ける場所ではないと思います。一方、まちなみ、海、ローカル鉄道などのさまざまなロケーションがコンパクトにまとまっており、域内の移動時間が短い町でもあります。豊富なロケーションで多くのシーンの撮影に対応できるまちとしてPRしていきます。

 ――ロケツーリズムを実施しての手応えは。

 ロケ誘致は、魅力的なロケーションも必要ですが、「人」と「人」とのつながりも重要です。19年5月にロケツーリズム担当者をロケーションジャパン編集部にインターン派遣し、ノウハウを学び、人脈作りを行ってきた成果が、今回の新春特番の誘致のように実を結んでいます。

 私も人脈づくりを意識し、ロケツーリズムの推進をはかっていきます。また、映像制作者から、「火山」や「島原鉄道」を基にした脚本も作れるとの意見もいただいたので、脚本作りも意識し情報を発信していきます。

ロケ実績を観光資源に 人を呼び込む仕掛けとは

2021年2月17日(水) 配信

 地域に人を呼び込む手段として、また地域が交流人口を増やし、地域経済を循環させるための手段としてロケツーリズムが注目されている。

 コロナ禍で家で過ごす時間が増え、メディアでの露出が大きな宣伝効果を生み出している地域もある。

 ロケ実績はうまく活用すれば、新たな観光資源を生み出すことや、企業価値の向上にもつながる。

 ロケツーリズム協議会で版権処理などのノウハウを学び、活用している千葉県茂原市と神奈川県綾瀬市、リーガロイヤルホテル東京のロケ実績の生かし方に注目し、ウィズコロナ時代の観光地づくりも考えた。

茂原市

ロケ地マップとパネルでおもてなし

 千葉県茂原市は2月9日、市内のロケ地を巡るモニターツアーを行った。シーン写真やロケ当時の裏話とともに市内を巡ったほか、21年春以降に全国公開予定の映画「今はちょっと、ついてないだけ」の撮影現場も公開。案内には市が整備した「音声ガイド」も併用した。

 同ガイドは、映画監督の柴山健次氏がシナリオを書き、アイドルの佐武宇綺さんがナレーションを担当。GPSと連動しており、ロケ地に着くと、そこで撮影された作品の情報や裏話などを聞くことができる。

 ツアーは榎町商店街、市役所、旧西陵中学校、旧新治分館、茂原公園を巡った。

 映画「浅田家!」などの撮影が行われた榎町商店街には、ドラマ「あなたには帰る家がある」のロケ地「大和屋旅館」や、ドラマ「パパがも一度恋をした」のロケ地「河野写真館」などが密集。

 市役所1階ロビーには、撮影に訪れた俳優のサインなどを飾るコーナーが設置されている。飾られるサインなどは作品の放送、放映に合わせて変更し、可能な場合は放送日なども公開。展示の変更時には、SNS(交流サイト)を通じ情報を発信している。

 市内でも人気の撮影スポット「旧西陵中学校」では、特別に内部見学を実施した。ドラマ「青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―」(毎週火曜午後9時、カンテレ・フジテレビ系 全国ネットで放送中)などの撮影に使われており、ドラマ「チア☆ダン」撮影時のまま保存されている部屋もある。

青のSP シーン写真

 ツアーの昼食は、「古民家居酒屋もんしち」のロケ弁を用意。栄養士が監修した弁当は、千葉の食材をふんだんに使用し、彩も鮮やか。

 参加者からは、「ロケ地として巡ると、普段とは違う発見がある」、「ロケ地が集積されてきていることが実感できた。来た人をもてなすグルメも早急に開発したい」、「一度作品の舞台になった場所を見てから作品を見返すと、より作品への愛着が湧くので良いツアーだと感じた」などの声が上がった。

なりきりを楽しむ参加者

 ツアーを実施した茂原市は、ロケ地パネルの設置やロケ地マップの提供など、魅力的なロケ地周遊ルートを提案する。既存の観光資源や地元商店を組み込むことで、ロケを入口に茂原市の魅力を発信している。

 市は、今回実施したツアーで得た意見なども踏まえプレミアムなツアーの企画も検討する。さらに地元タクシー会社も、ロケ地を巡るツアー造成の考えを示している。

ロケ誘致のホンネ ~田中豊彦市長~

 ――市長の目から見た地域の変化は。

 ロケ地となることで、日常の風景が魅力的なものになる。多くの人に訪れてもらい、地域が活性化していくことに加え、市民と一体となって受け入れ、協力していくことで地域のにぎわいが生まれています。

 未来を担う子供たちが、好きな俳優が茂原に来たことや、テレビに知っている景色が映ることを喜び、地域への愛着が高まっていることも感じます。

 ――ロケツーリズムを実施しての手応えは。

 市民にもこの取り組みが徐々に認知されており、地域のにぎわいにつながってきていると感じます。また、映画のワンシーンなども権利処理をしっかり行うことで地域資源として活用することができ、地域の魅力の向上につながっています。引き続き、積極的なロケ誘致で「ロケの聖地 茂原」として実績を積み重ね、行きたいまち、住みたいまちとなるよう取り組みます。

綾瀬市

ロケ地ツアーの一コマ

 観光地ではないまちに市外から人を呼び込み、魅力に触れてもらい、地域活性化につなげていく手段の1つとして、ロケツーリズムを採用した神奈川県綾瀬市。2014年に、「市」と市民団体「あやせ市ブタッコリ~ロケ隊(ブタロケ隊)」が「綾瀬ロケーションサービス」を立ち上げ、ロケ誘致に取り組んでいる。

 さらに、ロケ地巡りで綾瀬を訪れた人がグルメも堪能できるよう、ブタロケ隊と商工会、市が3年の歳月を費やし、ご当地グルメ「あやせとんすきメンチ」を開発。綾瀬産の豚肉を贅沢に使った、綾瀬の郷土料理「豚すき」を具材にしたオリジナルメンチカツで、差し入れた撮影隊からも好評という。16年度からは市内店舗で販売し、4年で約7万3千食を販売した。 

 昨年12月までに136作品のロケを受け入れた綾瀬市は、ロケ誘致の取り組みを「市民に知ってもらい、ロケ誘致に協力してほしい」、「市外に発信し、本市の魅力を知るきっかけにしてもらいたい」と、市ホームページなどで撮影実績の公表、市役所1階でのサイン色紙やポスターの展示などを行いPRした。

 17年度からは、全国で初めてシーン写真入りロケ地パネルの設置を進め、現在までに17基を設置。シーン写真の使用許可はさまざまな権利が絡むためハードルが高く、交渉の定石もないため、都度、作品PRなど最大限の協力を誠実に行うことで、利用協力を打診している。

 これまでに4回実施した「綾瀬市ロケ地ツアー」は、延べ151人が参加、毎回定員の2―3倍の申し込みがある人気企画だ。市役所や市内のロケ地、ロケ地パネルを巡るツアーで、昼食時には実際にロケで提供されたロケ弁を味わえる。

 参加者からは「普段入れない所にも行け、撮影の裏話も聞けた」、「身近な綾瀬が有名になりうれしい」、「ロケ地を巡るだけでなくスタッフの方々が色々な趣向を凝らした演出を見せてくれ、とても楽しかった」などの声が寄せられている。

ロケ誘致のホンネ ~古塩政由市長~

 ――市長の目から見た地域の変化は。

 作品のクレジットに「綾瀬市」の名が掲載されることで、誇りを感じる市民が増えていると感じています。ロケ誘致により、「住んでいて良かった」との声も聞かれ、市民の綾瀬市に対する愛着が着実に高まっていると感じています。

 ――ロケ誘致の難しさは。

 東京都内からの交通の便の良さが売りですが、近年では近隣市もロケ誘致に積極的に取り組むようになっており、ロケ誘致のライバルが増えていると感じています。そのようななかで本市を選んでいただくには、事前調整の細やかさから、当日の撮影を円滑に進める支援まで撮影しやすい環境を整えることが大変重要だと認識しています。

 ――ロケツーリズムを実施しての手応えは。

 他の自治体の皆さんは観光名所などがあり、ロケ誘致が直接ツーリズムにつながりますが、本市では有名な観光地が少ないために、ロケ地を観光地とすることで誘客を目指しています。今後もさまざまな観光事業と連携し、新たな観光を創出しながら、他市にはない綾瀬市ならではのロケツーリズムを推進し、ファンを増やしていきたいと考えています。

リーガロイヤルホテル東京

セラーバー

 リーガロイヤルホテル東京(中川智子総支配人、東京都新宿区)は、1994年に開業した。リーガロイヤルホテルグループは関西を中心に展開しており、開業当時は東日本での知名度は高くなかった。このことから同ホテルは知名度アップの方策としてロケ誘致に乗り出し、今では年間で約120件のロケを受け入れ、経済効果は2千万円を超えるという。

 ロケの受け入れに際しては、宿泊客やレストランの利用客に迷惑をかけないよう、「ガーデンラウンジ」などのレストランは営業時間外としている。今では利用者も撮影を楽しみにしており、「今日は何を撮影しているの」などと声を掛けられることも多いという。

 ロケ誘致の実績は、知名度を上げる以外にもさまざまな利益をホテルにもたらしている。

 修学旅行で利用した子供たちがロケ現場を目にして喜ばれることが多く、「御校が宿泊されているときに、ロケが行われるかもしれませんよ」が教育旅行の誘致の際にウリになっている。

 また、ホテルのホームページにロケ実績を掲載しているため、ホテル業界に就職を希望する学生が「○○が撮影されたホテルで働きたい」と志望動機を語ることも多い。さらに職場がロケ地として使われることで、「好きな俳優と同じ空間で働ける」など、従業員のモチベーションを上げる効果も生み出している。

 新型コロナウイルス感染症の流行拡大によって一時ドラマ制作は止まったが、現在はロケも再開。ホテルでは、「半沢直樹」や「大恋愛〜僕を忘れる君と」などの撮影に使われた「セラーバー」が休業中であることから、より積極的にロケ誘致を展開。客室の撮影時に稼働率が下がっていることもあり、周りの客室との調整などにかかる時間が大幅に減少し、ロケの決定率が上がった。

 一方でシーン写真の使用など権利処理の問題があり、ロケ実績を今後どのように活用していくかがこれからの課題。ロケで使用したレストランにそのシーン写真を飾り、同じ席で同じ料理を楽しむなどの体験型商品を生み出すことで、ホテルに来る楽しみをさらに膨らませていきたい考えだ。

ロケ地巡りの醍醐味 見つけた時の感動はひとしお

2021年2月17日(水) 配信

 地域に人を呼び込む手段として、また地域が交流人口を増やし、地域経済を循環させるための手段としてロケツーリズムが注目されている。

 コロナ禍で家で過ごす時間が増え、メディアでの露出が大きな宣伝効果を生み出している地域もある。

 今回は、ロケ地巡りの楽しみ方や、魅力などを「ロケーションジャパン」編集長・山田実希氏が語る。

「ロケーションジャパン」編集長・山田実希氏が語る

ロケ地での一コマ

 映画「ローマの休日」を観て、イタリアのローマで真実の口に手を入れてみる。こんな名シーンを真似ることで、物語の追体験や、特別な思い出の写真が残せることがロケ地巡りの醍醐味。ときには、ガイドブックに載っていないような穴場スポットが見つかることもあります。

 観ていない人にとっては「何もない場所」でも、観た人にとっては特別な場所になるので、そこで“なりきり写真”を撮ると楽しいです。

 また、役者や制作者が通ったというお店で料理を味わうのも、楽しみ方の一つ。こういったお店の多くは地元の人に愛されるおいしいお店。お店の店主に、撮影時の話を聞いてみると、語り部のように当時のことを語ってくれるので、作品のファンにとって非常に貴重な時間になります。

 ファンは「物語の追体験」をするためにロケ地に足を運びます。そこには、好きな役者が居た特別な場所を押さえておきたいというファン心理も働きます。アニメの場合だと、リアルに存在するものを確かめたいという探求心も。いずれにしても、ロケ地が見つかった時の感動はひとしおなので、SNS(交流サイト)などで発信している人が多いです。

 私も映画、ドラマ、旅番組など、年間200タイトル以上(新旧作)のロケ地に行くことがありますが、旅行や出張の際には、必ずロケ地を調べてから行きます。驚くのは、ロケ地に選ばれた場所には、納得の風景が待っているということ。

 なかでもお気に入りは、どのまちも絵になり、食べ物もおいしい北海道。映画「鉄道員」のメインロケ地、幾寅駅(北海道・南富良野町)の景色は忘れられません。グルメのなかでおすすめなのは、富山県黒部市で食べた名水カツサンド。映画「RAILWAYS」の撮影の際、スタッフやプロデューサーが絶賛された一品で、おいしさにビックリしました。

綾瀬市のロケ地看板

 このほかにも、おもてなしや環境整備などが素晴らしいと感じるロケ地は全国にたくさんあります。神奈川県綾瀬市には、ロケ地パネルが設置されていて、誰でも何のロケが行われたのかが分かる工夫がされています。NHKの朝ドラ「あまちゃん」のロケ地、岩手県久慈市には“なりきり”用の衣装の貸し出しがあったり、〝海女絵〟のシャッターアートがあったり、世界感を楽しめる場所があちらこちらに残っています。

 1月からの新ドラマや新アニメでは、アニメ「ゆるキャン△ SEASON2」のポスターに描かれている西伊豆町に注目です。

山田 実希

 

山田 実希 氏

ロケ地情報誌「ロケーションジャパン」 編集長

日本唯一のロケ地情報誌「ロケーションジャパン」の編集長として全国を取材。各地で発足するロケ支援組織や地域産品を活用した物産開発チームの設立にも立ち会う。

ロケツーリズムに注目 地域を盛り上げ人を呼び込む仕掛けづくりとは

2021年2月17日(水) 配信

ロケ地巡りツアーなどにロケ実績を活用する自治体も

 地域に人を呼び込む手段として、また地域が交流人口を増やし、地域経済を循環させるための手段としてロケツーリズムが注目されている。

 コロナ禍で家で過ごす時間が増え、メディアでの露出が大きな宣伝効果を生み出している地域もある。

 ロケ実績はうまく活用すれば、新たな観光資源を生み出すことや、企業価値の向上にもつながる。

 静岡県・西伊豆町と長崎県島原市に、ロケツーリズムの役割や地域に及ぼす効果などをきいた。併せて、ロケツーリズム協議会で版権処理などのノウハウを学び、活用している千葉県茂原市と神奈川県綾瀬市、リーガロイヤルホテル東京のロケ実績の生かし方に注目し、ウィズコロナ時代の観光地づくりも考えた。

ロケツーリズムとは

 2008年から活動を続けるロケツーリズム協議会(藤崎慎一会長)は、ロケツーリズムを「映画・ドラマのロケ地を訪ね風景と食を堪能し、人々のおもてなしに触れ、その地域のファンになってもらうこと」と定義する。目指すのは、実績を活用し、観光客や移住者を増やすとともに、経済効果を上げること。同協議会には、自治体、企業合わせ延べ523団体(20年現在)が参加。年5回東京都内で開く会合では、会員と映像制作者が効果的なロケ誘致をしようと情報を交換し、これまでに多くのロケが決定している。

 自治体関係者は、「ロケ地になることで新しい観光資源ができる」、「宣伝効果の大きさを感じる」などと語る。また、制作者とのやり取りを通じ地域の良さが再発見できたり、撮影された作品を通じ地域住民が郷土愛を高めたりと、さまざまな効果を地域にもたらしているという。

 ロケ地情報誌「ロケーションジャパン」の山田実希編集長は、「観光につなげるにはロケを誘致してからが肝心。地域側の準備、活用がものを言う」と強調する。

西伊豆町・島原市の事例↓

茂原市・綾瀬市・リーガロイヤルホテル東京の事例↓

ロケツーリズムの楽しみ方↓

【特集No.575】コロナ禍でも成長する 本業越え、新事業・販路を開拓

2021年2月17日(水) 配信

 新型コロナウイルスの感染拡大から1年が過ぎた。先が不透明で観光業としても耐える会社が多いなか、観光業という柱(本業)に捉われずに、新しいアプローチで収入源の確保をはかる会社がある。また、収束後を見越した誘客を行い、急回復を狙う企業やコロナ禍でも感染防止を徹底する旅行会社などさまざまなアイデアで危機脱却を模索している。会社の成長を目指す業界各社を紹介する。

【木下 裕斗】

 旅行業大手のHIS(エイチ・アイ・エス、澤田秀雄会長兼社長)は、主力事業である海外旅行の催行が難しいなか、自社が持つ海外ネットワークを活用した新しい商社事業を拡大している。

 澤田会長は昨年12月11日(金)の決算発表会で、旅行事業の売上が落ち込み、「ハウステンボスの売却も検討した」ほどの厳しさを明かした。同社は「成長が見込める商社事業を拡大する必要がある」と、旅行外事業分野の開拓に力を入れる考えを示した。

 とりわけ重点を置く商社事業は2015年11月にスタートした。新型コロナウイルスの拡大前までは、航空券や宿泊施設などを手配する業務の一環で、海外の現地法人が市場調査や有事の際に現地のようすを伝えてきた。20年6月にこれらの事業を発展させるため、「レンタルHIS」と名称を定めた。海外でさまざまな企業の営業を代行するなどHISの業務の範囲を広げることで、法人との連携を強化するためだ。

 商社事業を展開する法人事業の売上は20年10月期決算で、全体の約2割(18・8%)を占めるまでに育った。

 サービス開始から同年11月までの5年間に、1522件を受注し、依頼対象国数は83カ国。リピート率は約20%だった。依頼を受けた業種はサービス業や製造業、自治体などだ。

 コロナ禍でも連携強化を加速させている。西松屋チェーンのベビー服や、アイリスオーヤマの家電製品などの販売を、タイのHIS店舗でスタートさせた。

 海外への進出支援にも着手。石川県で和菓子店を経営するトイダックとのブランディングや、営業戦略などをサポートする契約を結んだ。

 今後は、ホテル&旅館再生事業と農業、人材派遣などにも新たに進出し、約3~4つを将来の大きな柱に育てる。

 オンラインツアーは、「障害者の利用が増加している」(広報室の三浦達樹主幹)という。ユニバーサルツーリズムは現在、催行を中止しているが、オンラインツアーへの参加で、HISが提供するサービスの魅力を知ってもらい、ツアーの利用につなげたい考えだ。……

【全文は、本紙1825号または2月24日(水)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

2022年度新卒採用の募集を決定 3月1日(月)から、東武トップツアーズ

2021年2月17日(水) 配信

アフターコロナの成長に優秀な人材を確保

 東武トップツアーズ(坂巻伸昭社長、東京都墨田区)は2月16日(火)、2022年度総合職新卒採用の募集を行うと発表した。募集開始は3月1日(月)の予定。

 同社は、アフターコロナの成長にはデジタル技術を積極的に取り入れた事業に取り組む人材が欠かせないものと考え、2022年度新卒採用の募集を継続することを決めた。 「暮らしと地域の発展に寄与し、社会に貢献する企業」として、優秀な人材を獲得することにより、革新的なサービス提供とさらなるイノベーションの推進を目指すという。

 詳細は同社ホームページから。サイトでは現役社員による各部署の役割や業務内容、やりがい、入社前後のギャップなどを掲載しており、同社で働くイメージができる。同社は「地域を元気にしたい、新しいツーリズムに挑戦したい、という学生の皆様からのエントリーを心よりお待ちしております」とアピールしている。

大胆なデジタル化と動画を使った効率的な研修 滋賀県・おごと温泉 湯元舘 宿泊業の生産性向上シンポジウム④

2021年2月16日(火) 配信 

第4回シンポジウムでは湯元舘がデジタル化と動画を使った研修の生産性向上の方法を紹介した

 観光庁と日本生産性本部は2月中、宿泊事業者の生産性向上に向けての取り組み事例を紹介する「宿泊業の生産性向上シンポジウム」を計5回行う。2月16日(火)に開かれた第4回シンポジウムでは、利他グループのおごと温泉 湯元舘(針谷了代表、滋賀県大津市)が「生産性向上と多様な働き方の実現に向けた業務棚卸、マルチタスク化に対応する動画マニュアルと連動したスキルマップの作製」をテーマに講演を行った。

 同グループは、優秀な人材確保のためには高待遇が必要とし、さらにそのためには生産性の向上が不可欠だと考えた。講演では、湯元舘の上田文雄氏(取締役営業部長兼経営企画室長)が、「2019年から生産性向上に向けて改革を行ってきた」とし、取り組みを紹介した。

 設備投資では、自動料理搬送システムや自動料理搬送ロボットにより各階、各部屋への料理の配膳を効率化した。また、今までホワイトボードに記入していたり、内線を使って連絡を取り合っていた業務にPMSを導入した。調理ボードやオーダーエントリーシステム、デジタルサイネージ、各スタッフのハンディー端末などに活用されている。

 部署改革では、調理部の提案で、大量に炊いておひつに分けていた従来のやり方から、小さな土釜で一人ひとりに提供し目の前で炊く、「炊飯器の小ロット化」を進めた。

 新型コロナウイルス禍での取り組みとして、キャンセルや日程変更、Go Toトラベルの問い合わせなどで予約係の負担が大幅に増えたことから、公式HPにチャットボットを導入した。昨年11月から1カ月で510人の利用があった。

 また、人材育成やマルチタスク化に向けて、動画でマニュアルを作成し、ユーチューブで限定公開をしている。リンクアドレスを持っているスタッフは自宅にいても動画を視聴できるため、何度でも復習ができる。

 同グループの旅館「湯の花温泉 京YUNOHANA RESORT 翠泉」の堤正和氏は、「スキルマップもマニュアルも、教える側の頭の中に必ずあるものだが、それぞれの捉え方や教え方が違う場合がある」と抱えていた問題点を指摘した。改善策として、「動画で統一することで誤解を減らす」、「教育者と一緒に動画を見ることでその都度補足してもらう」ことを挙げ、「研修をするにあたって一番近道だと思った」と振り返る。

 最後に「社員の成長・活躍の環境を整えることが、生産性の向上につながる。多様な働き方の提案を続けていきたい」と力を込めた。

1日1組限定のアクティビティ3月上旬開始 岡山県・湯郷温泉

2021年2月16日(火) 配信

雲海を楽しめる「天空の小部屋~ハーブティーと雲海~」

 湯郷温泉旅館協同組合(峯平晃行理事長、岡山県美作市)は3月上旬、自然を満喫する1日1組限定の「暮らしの体験」を始める。コロナ禍においても安心して心に残る旅を提供するため、1日1組限定のアクティビティを企画した。

 「天空の小部屋~ハーブティーと雲海~」、「野菜収穫体験&カラフル・バウムクーヘン作り体験」、「お茶畑ど真ん中ピクニック」、「田舎暮らしエクスペリエンス」、「極上のしいたけParty」の5種類のアクティビティを用意する。

 美作市は豊かな自然に、西日本有数の湯の国でもあり、なかでも「湯郷温泉」は1200年以上の歴史ある名湯として知られる。慈覚大円仁法師が白鷺に導かれ発見したと伝えられ、別名「鷺の湯」、湯治の湯、美肌の湯として人々に親しまれてきた。

 市内には現代玩具博物館、オルゴール夢館、あの日のおもちゃ箱・昭和館の3つの博物館があり、子供から大人まで楽しめる街作りとなっている。料理は地元の山の幸に加え、瀬戸内海と日本海両方の海の幸を味わえる。

「明石海峡大橋」の真下を咸臨丸で 3月からクルーズ実施

2021年2月16日(火) 配信

明石海峡大橋と咸臨丸

 「うずしおクルーズ」を運営するジョイポート南淡路(兵庫県南あわじ市)は3月20日(土)~5月30日(日)まで、ギネス記録にも認定されている世界最長の吊橋「明石海峡大橋」の真下を通過するクルーズを行う。

 クルーズ船で同橋の下をくぐる珍しい企画を、淡路花博20周年記念事業として展開する。

 現在うずしおクルーズ船として活躍している咸臨丸を、明石海峡大橋クルーズ船として、淡路交流の翼港(兵庫県淡路市翼港)に就航させる予定だ。

 同クルーズの周遊時間は約1時間で、1日3便を運航する。乗船料金は大人が2500円、子供が1000円。