OATA 新理事長に前田氏 組合員と契約機関拡充

2023年4月12日(水) 配信

就任のあいさつをする前田栄次新理事長

 協同組合大阪府旅行業協会(OATA、鈴木隆利理事長)は3月24日、リーガロイヤルホテル(大阪府大阪市)で第48回通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選で、前田栄次氏(大阪大栄旅行)を新理事長に選出した。

 鈴木理事長は「昨年からの全国旅行支援により個人旅行は回復傾向にあるが、我われが得意とするグループ・団体旅行はまだまだ。そんななか、今期はクーポン発券高が37億5千万円と前年比180%の伸び率となった。OATAの活性化に欠かせない新規組合員も、この2年で延べ9社の入会があったが、一方で複数社の退会もあった」と報告した。

 新年度については「今年夏には事務所移転を予定しており、新しい時代に即した『NEW・OATA』として、今後も相互扶助の精神に基づき、組合運営に努めたい」と語った。

 前田新理事長は「皆さんにさまざまな面でお世話になると思うが、新役員一丸となって取り組んでいきたい」と抱負を述べた。

 新年度は、OATAの活性化に不可欠な組合員の増強とOATAクーポン協定契約機関の拡充に励むほか、これまで以上に大阪府や大阪商工会、大阪府中小企業団体中央会といった関係各所との連携、交流を進め、OATAの知名度向上に努めていくことが決まった。

 同日には、受入機関などで組織するOATA連絡協議会(服部一平会長)の第32回定時総会も開かれ、すべての議案が承認可決された。

 服部会長は「コロナも3年が過ぎ緩和策が出てきたが、観光事業者はまだ受入態勢が万全ではないのが現状。ただ、昨年に比べると観光客の動きは活発で、インバウンドも戻り始めてきており、明るい兆しが見えている」と期待感を寄せた。

前田新理事長から鈴木前理事長に花束が贈呈された

 総会終了後には、合同懇親パーティーが盛大に開かれた。OATAの新役員が紹介されたほか、退任役員に感謝状が贈呈され、前田新理事長から鈴木前理事長に花束が贈られた。

 鈴木前理事長は「新役員は若手と中堅、ベテランとバランスが良く、これからのOATAを担う人材がそろっている。今後の組織運営に期待したい」とエールを送った。

 新役員は次の各氏。

理事長】前田栄次(大阪大栄旅行)

副理事長】笠舞紀伴(照南トラベルサービス)

専務理事】福島優(北港ツーリスト)

理事】松下安利(パインツーリスト)▽辻田洋一(国際交流サービス)▽衣川賢一(都トラベルサービス)▽河内崇(河内屋)▽田中忠和(エキスパート)▽角家篤(トラベルウェーヴ関西)

監事】北嶋修治(浪速観光社)▽田中久子(田中観光センター)

「岡崎さくら回廊 十石舟めぐり」フォトCP実施中 ギフト券1000円分プレゼントも

2023年4月11日(火) 配信

岡崎さくら回廊 十石舟めぐりのようす

 岡崎さくら回廊 十石舟めぐり実行委員会は4月13日(水)午後11時59分まで、琵琶湖疏水の桜を船から眺める「岡崎さくら回廊 十石舟めぐり」の画像を指定のハッシュタグを付けて投稿した人のなかから20人に、全国の園芸店で使用できる花とみどりのギフト券1000円分をプレゼントするInstagram・Twitterフォトキャンペーンを行っている。岡崎さくら回廊十石舟めぐりの認知度向上をはかる。

 「岡崎さくら回廊 十石舟めぐり」は南禅寺溜り乗船場(京都府京都市)から夷川ダム(同)までの往復約3㌔を25分ほど掛けて巡る。京都府旅行業協同組合と京都市観光協会、京都商工会議所、京都市MICE推進室、京都再発見会などで構成する同委員会が運航している。

 応募は、京都府旅行業協同組合のインスタグラムまたはツイッターのアカウントをフォーローし、#京都さくらと#2023京都満開、#京都岡崎十石舟を付けて投稿すると完了する。当選者には4月下旬ごろまでに投稿時に使用されたアカウントにダイレクトメッセージが届く。

6月20日(火)東京でセミナー開催、ゲストに宮崎辰氏 おもてなし経営研究所

2023年4月11日(火) 配信

第20回「おもてなしセミナー」6月20日(火)に開催

 おもてなし経営研究所(所長=西川丈次・観光ビジネスコンサルタンツ社長、大阪府大阪市)は6月20日(火)、サービス業に携わる事業者向けに、第20回「おもてなしセミナー」を東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開く。講師にはおもてなし経営研究所の西川氏と、「世界一のサービスマン」と呼ばれるメートル・ドテルの宮崎辰氏(Fantagista21代表)が登壇する。

 ゲスト講師の宮崎氏は、2010年に「シャトーレストラン・ジョエル・ロブション」のサービスチームの最高責任者であるメートル・ドテルとなった。12年には「クープ・ジョルジュ・バティスト」サービス世界コンクールで優勝した経歴を持つ。

 講師を務める西川氏は、各地での体験を基にしたホスピタリティ実践論「もてなし上手」を旬刊旅行新聞コラムにて連載している。セミナーでは、西川氏が実際に体験した感動サービスの事例を紹介し、顧客の立場から内容を「翻訳」し、参加者に伝える。

 セミナーは、西川氏による「行動を『考動』に変える! ~コロナで変わるおもてなし~」と、宮崎氏による「世界一のおもてなし~サービスの本質~」の2講座。午後1時50分~4時45分まで。参加費無料。

 懇親会(自由参加)は午後5時半~7時半まで。参加費は7000円。

 申し込み・問い合わせはこちらから。

 

【特集 No.632】熱川プリンスホテル つながりの時間と空間を

2023年4月11日(火) 配信

 熱川プリンスホテル(嶋田愼一朗社長、静岡県・東伊豆町)は1月13日(金)、旅行新聞新社が取材活動などを通じて見聞きした観光業界の取り組みの中から、創意工夫の見られるものを独自に選び表彰する「日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2022」の優秀賞を受賞した。館内にカルチャーサロンなどで活用できるスペースを設け、エクササイズ・料理・クラフト・ヒーリングなどの講座を開き、宿泊者や地元の人の交流の場とした。ミヂカルを通じた持続可能な地域づくりについて、嶋田社長とミヂカル担当の今野一馬氏に話を伺った。

【馬場 遥】

宿泊者・移住者・地元の人の縁 ミヂカルを通じた地域づくり

 

 ──ミヂカルを発案したきっかけは。

 嶋田 新型コロナが感染拡大する前から、当館の施設空間を生かしていきたいという想いがありました。とくに、チェックアウトからチェックイン受付までの時間は宿泊施設にとって空き時間です。この休みのあいだ、時間も空間も持て余していたので、館内施設でゆっくりしていただけるようなスペースやコンテンツを提供することで有効活用できないかと考えていました。

 当館は国道135号線の目の前にあり、最寄りの伊豆熱川駅には伊豆急行線も通っている交通の便が良い立地です。また、温泉街の中心に近いこともあり、地元の人や観光客も訪れやすい場所となっています。このことから、宿泊しているお客様だけではなく、地元や近隣の人にも当館が提供するサービスや場所を利用していただきたいという想いがありました。

 人口については、東京にほとんど流出するばかりでしたが、ここ数年はリモートワークや地方への移住、2拠点居住する人が増えてきています。こういった人々の受け入れをしながら、宿泊のお客様とともにさまざまな方々にホテルを利用していただいて認知を高め、地域の良さ、人のつながり、交流などを通じて親しみを抱いてもらいたいと考えました。

 こうして生まれたのがカルチャーサロン「ミヂカル」です。

 

 ──ミヂカルについて教えてください。

 嶋田 カルチャーサロン「ミヂカル」は、地域交流と自分磨きをテーマに美と健康、伊豆の食、ものづくり、癒し──など、伊豆にこだわった4つのカテゴリで講座を展開しています。

 館内にはミヂカルなどで活用できるスペース「マルチスペース茅舎」(BOUSHA)を設けました。

 2022年8月から開始し、最初の3カ月はほぼ毎日1回開講していましたが、23年2月現在は繁閑を考慮した割り振りとし、毎月20回程度にとどまっています。半年間でおよそ150回講座を開きましたが、今後は開催する回数を増やしていくことよりも地域で行われるイベントや季節の行事と連動した内容、当館特有の温泉や景観(日の出や満月・星空)とマッチしてよりパワーチャージできる講座内容に充実させていきたいという想いがあります。

 料金は税込2750円からで、各講座で材料費などにより料金が変動します。定員は講座ごとに異なりますが、およそ10~20人です。

 講師を務めてくださるのは、地元の方々や移住者、2拠点居住の方などさまざまです。

 

 ──移住者も講師を務めているのですね。

 嶋田 伊豆の景観や自然の豊かさに惹かれて移住された人は、実は地元の人よりも伊豆の良さが見えているのかも知れません。伊豆を気に入って移り住んでくれた人が多いので、「自分達の経験を通じてさらに交流をしたい」「自分達の持っているもので、伊豆をより盛り上げていきたい」という想いを、我われ以上に強く持ってくれています。

 こういった方々に講師を務めてもらうことで、受講者同士がつながり、講師と受講者がつながるような、当館とミヂカルを通してできた人と人とのつながりが今後広がっていければと思います。

 

 ──人気の講座は。

 今野 一番の人気は「伊豆の食」に関する講座です。海と山の幸にあふれた伊豆とその周辺地域の魅力を実感できるような、地元産の食材を取り入れたものとなっています。

 また、ヨガも人気を集めています。ヒーリングヨガ、腸活ヨガ、タイ古式ヨガなど3種類の講座を用意しており、ここではそれぞれ体操やヒーリングなどで身も心もリフレッシュすることができます。

 講師の先生のご都合にあわせて講座のスケジュールを決定していますが、人気度合いを考慮しながら組むようにしています。

 講座内容については、進めていきたい方向性にあわせてミヂカルの企画をしていこうと、講師の先生と我われで綿密な打ち合わせを行いながら決めています。…

【全文は、本紙1899号または4月17日(月)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

国際興業、NYマラソン出走権付きツアー販売 4年ぶり海外から参加受入

2023年4月11日(火) 配信

料金は出走権を含め65万円
 国際興業(南正人社長、東京都中央区)は3月22日から、4年ぶりに海外参加者の受け入れを再開する「ニューヨークシティマラソン2023」に参加するツアーを販売している。
 
 同マラソン大会は1970年から、毎年11月にアメリカのニューヨークで開催され、毎年5万人以上が出場している。抽選でエントリーすることができるが、国際興業のツアーは既に30人分の出走権を確保している。
 
 ツアーは11月3日(金)~8日(水)に実施。ハイアット グランド セントラル ニューヨークに宿泊する。料金はマラソンエントリー費用を含めて、65万円(税込)。申し込みは同社のホームページで受け付けている。 

〈旬刊旅行新聞4月11日号コラム〉―― 「旅行新聞バイク部」活動再開近し 日本の良さを再認識する旅が始まる

2023年4月11日(火) 配信

 今年は関東の桜の開花時期がとても早く、もう少し眺めていたいなと思っていた矢先に葉桜へと変わってしまった。これは何も今年だけのことではなく、毎年桜の散る季節には名残惜しさを感じる。一方で、新緑も美しい季節になってきた。

 

 冬の間、半冬眠していたバイクは、バッテリーが弱ってしまっていた。このため、エンジンをかけるために重い車体を日の当たるところまで押して行き、しばらくタンクやエンジンが温まるのを待って、セルを押して念力とともにエンジンをかけるという日々が続いていた。

 

 しかし、さすがにしびれを切らして春先に新しいバッテリーに交換した。あわせて、タイヤの空気も規定値まで充填したところ、眠気まなこのバイクが何やらやる気を見せ始めた。昨夏にはダンロップのタイヤに変えており、今はいわゆる“ツーリング待ち”状態にある。

 

 

 春らしい季節は心躍るものがある。昨春はバイクに乗って郡上八幡や飛騨古川、上高地、松本などを巡る1人旅をしたが、今年はどこに行こうかと思案中である。

 

 バイクに乗っている最中は、バイクを見ることはできない。信号待ちの間にせいぜいタンクか、足元に見える剥き出しのエンジン、少し前に突き出したヘッドライト、アナログ式のスピードメーターとタコメーターなどを、パーツごとに眺めるだけだ。

 

 ツーリングに出ると、サービスエリアや道の駅などでしばし休憩したあと、自分のバイクを遠くから眺めるという、新しい視点が加わる。とても小さなことに思われるかもしれないが、ツーリングにおける大きな楽しみの1つといっても過言ではない。

 

 小休憩の間に体の疲れも取れ、心もリフレッシュして遠くから自分のバイクに近づくと、とりわけエンジン周りを中心に、さっきまで走っていた熱が残っている。この余熱が漂う状態が愛おしく思える。空冷エンジンのため、止めたエンジンから発する薪ストーブのような乾いた音も心地よい。

 

 再びエンジンをかけると、滑らかに回る。ロングツーリングの場合、これが何度も繰り返される。そのうちに、バイクに跨ると、メカノイズのような軋み音が鳴るようになる。労わりたくなる瞬間だ。

 

 

 泊りがけの旅では「目が覚めたとき、バイクはちゃんとあるだろうか」という不安が強い。車の駐車場の空いているスペースに置くことが多いため、盗難やいたずらが恐い。翌朝バイクと再会するときは胸が高鳴る。

 

 最近はバイク専用の駐輪場を設置してくれている旅館やホテルも増えてきた。なかには屋根付きの車庫が備わっている宿もあり、ライダーの気持ちを理解してくれていると感激する。

 

 昨年宿泊した、飛騨古川の宿では、夕食後に雨が降り出した。気づかずにくつろいでいるとフロントから客室に電話があり、「もし良かったら雨に濡れない場所がありますから、そちらに停めてもいいですよ」と親切におっしゃってくれた。ツーリング中に雨天はつきもので、ベッドの中で夜の間ずっと濡れているバイクのことを想うのもつらいものだ。

 

 

 多方面からの期待が大きい「旅行新聞バイク部」もそろそろ本格的な活動再開の時か。日本の良さを再認識する旅が始まる。

(編集長・増田 剛)

外国人ノマドワーカーを呼び込む 自民党ワーケーション議連第3回総会

2023年4月10日(月) 配信

ワーケーション推進議員連盟は4月3日(月)、第3回総会を開いた

 自民党のワーケーション推進議員連盟(鶴保庸介会長)は4月3日(月)、第3回となる総会を開いた。内閣官房、総務省、厚生労働省、観光庁、文化庁、環境省、農林水産省、日本航空(JAL)、住宅宿泊協会、日本ファームステイ協会、日本テレワーク協会、長野県庁の代表者が出席し、ワーケーションへの取り組みを発表した。

 司会を務めた武井俊輔事務局長は、冒頭あいさつで、「コロナの前後でワーケーションに対する新しいチャンスや視点などがあろうと思われる。各省庁、団体、企業の皆様から広くお話を伺いたい」と述べた。

 長野県庁産業労働部産業立地・IT振興課は、普段の職場や居住地から離れ、信州ならではの魅力に触れながら仕事をする豊かなライフスタイル「信州リゾートテレワーク」を紹介した。県内のリゾートテレワーク受け入れ施設は100を超え、信濃鉄道沿線6市を周遊するワーケーションツアーなど、県内広域連携も行っている。

 県内に滞在する関係人口・企業の創出と拡大を目指し、新たなビジネスの創出や、地域経済の活性化、地域づくりの担い手の確保、移住・企業誘致──などにつなげていく考え。

 日本テレワーク協会では、これまでの反省点として「場所を強調しすぎていた」点を挙げた。テレワークとは本来、時間や場所を有効活用できる柔軟な働き方を指し、在宅勤務のみを指すものではないとして、「今後は真に時間や場所にとらわれないスタイルを追求し、『新テレワーク』として発信する」と意気込みを述べた。

 これに併せて、ワーケーションによって企業のビジネスと地域の課題解決がつながるような、関係づくりを突き詰めていく。

 質疑・意見交換では、「地域に呼び込むのは企業だけではなく、ワーケーションに取り組むユーザーにも効果的なアプローチを掛けてほしい」「企業側の制度設計が大事。先進的に取り組んでいる企業への優遇策や支援策によって推進できれば」「外国人ノマドワーカー需要も取り入れていきたい」など、活発な意見が交わされた。

 次回の総会では、実際にノマドワーカーなどさまざまな働き方をする外国人の意見をヒアリングする予定だ。

スペイン政府観光局、UTセミナー開催 現地視察踏まえた最先端の取組紹介

2023年4月10日(月) 配信

車椅子トラベラーの三代達也氏も登壇し、実際に訪れた際の体験を語る

 スペイン政府観光局は4月19日(水)午後1~2時、Zoomでユニバーサルツーリズムに特化したB2B向けオンラインセミナー開催する。「障害者や高齢者も安心して旅行ができるユニバーサルツーリズムの行き先として、先進的な取り組みに注力している」ことから、交通機関や観光施設、ホテルなど現地の視察を踏まえた最先端の取り組みを紹介する。

 また、車椅子トラベラーの三代達也氏も登壇し、実際に訪れた際の体験を語る。申し込みは4月14日(金)まで、日本旅行業協会(JATA)のホームページで受け付けている。

わが国立公園・温泉地ここに注目 豊かな食と夕日のまち(千葉県旭市)

2023年4月9日(日)配信

飯岡灯台から見る夕陽

 年間の平均気温が15℃と温暖で、「夏は涼しく、冬は暖かい」とても過ごしやすい気候のまち、千葉県旭市。旭市の最大の特徴は、豊かな食。全国第2位の生産額を誇る豚肉を筆頭に、全国6位の農業産出高の野菜、畜産、千葉県2位の水揚げ量を誇る飯岡漁港に揚がる海産物など食べるものすべてが新鮮なまま提供できます。加えて、全国的に知られた鴨の飛来地でもあり、千葉県内でも珍しい鴨料理専門店が2軒あります。

 旭市の魅力は食だけではありません。「美人の湯」として有名な飯岡温泉は、黒褐色のナトリウム炭酸水素塩泉で、皮膚の表面を軟化させ、分泌物を洗い流してくれるので美肌効果が高いといわれています。

 また市の内陸には干潟八万石といわれる田園地帯が広がり、南側の一大リゾート地「九十九里浜」とともに、雄大な自然に触れることができるまちでもあります。

 さまざまな魅力がそろうこのまちで私が気に入っているのが、日本夕陽百選にも選ばれている屏風ヶ浦の西端、刑部岬から見る夕日。とくに空気の澄み切った冬の時期は、九十九里の湾の奥に見える富士山とのコラボレーションが絶景です。

 また2月の後半には、ダイヤモンド富士も見ることができます。屏風ヶ浦の下に広がる九十九里浜では、のんびりと珈琲楽しむ至福の時間が過ごせるので、夕日を楽しんだ後は、満天の星空の下、波音をBGMにゆったりした時間をお過ごし下さい。

 【旭市観光物産協会 事務局長 水野竜也】

「観光革命」地球規模の構造的変化(257) 地方の衰退と統一地方選挙

2023年4月9日(日) 配信

 4年ごとに実施される統一地方選挙が近づいてきた。日本の各地域はいまさまざまに解決困難な課題を抱えているために統一地方選挙が重要であるが、現実には地方選挙の盛り上がりに欠けており、大いに危惧している。

 今回の統一地方選挙では地方創生の総括が重要になる。政府は安倍晋三政権の下で2014年に地方創生政策を打ち出した。東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力の向上を目指して、巨額の税金を投入して数多くの地方創生事業を実施してきた。

 日本世論調査協会(1950年設立)は統一地方選挙を視野に入れて、地方創生に関する世論調査を実施した。先ず政府の地方創生事業に対する評価では79%が「効果がなかった」と厳しい評価を下している。また「大都市と地方の格差が拡大している」と思う人が84%を占めている。要するに自公政権による地方創生政策については否定的評価が圧倒的多数を占めている。

 日本では既に「2025年問題」が大きな話題になっている。25年にはいわゆる「団塊の世代」が75歳以上になるとともに、583万人の労働力が不足する。日本は世界に冠たる「超高齢社会」のトップランナーになるが、その結果、生産年齢人口の減少に伴う労働力不足、医療・介護分野における人財不足、社会保障費の増大、空き家・マンション問題の深刻化などの解決が必要不可欠になる。

 日本は22年に出生者が初めて80万人を割り込み、話題になった。世界的大富豪のイーロン・マスク氏は今年3月にツイッターで「日本では昨年、出生者の2倍の人が亡くなった」と投稿。昨年5月には「出生率が死亡率を上回らない限り、日本はいずれ消滅する」と投稿している。日本の少子高齢化は今後ますます顕著になるので、国と地方が連携して抜本的対策を講じないと亡国の危機が生じる。

 観光産業は労働集約型産業の典型であり、数多くの従業者を必要としているが、既に労働力不足で苦労している。人財不足対策の一環として、労働環境の改善、健康経営の推進、キャリア形成支援などをはかると共に、AIを活用した技術革新やロボットによる業務自動化なども必要になる。観光業界のリーダーは厳しい現実を直視して、諸々の改革を推進すべきだ。

 

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。