福島の観光支援事業、補助金6千万円を追加認定(観光庁)

 観光庁は2013年12月20日、早期の観光復興促進を目的とした福島県が実施する観光関連復興支援事業への補助金制度に基づき、福島県からの追加事業の補助金申請を受け、交付を決定した。今回決定した補助金総額は6200万円。

 観光庁は13年度予算で「福島県における観光関連復興支援事業」に3億7700万円を計上。13年9月18日には総額2億8300万円の支援事業への補助金を決定しており、今回はそれに続くものとなる。

 認定事業は、国内と海外の風評対策で、総事業費7700万円、補助率は80%で補助金合計は6200万円となる。

 国内風評対策は国内の誘客を促進するため、首都圏での観光キャラバン実施と連動した広告展開、首都圏の情報発信拠点PRを行う。海外風評対策は、韓国に特化した旅行会社とメディアの招聘、福島の観光素材を発信する観光PR用多言語DVDの制作を行う。

心動かす深海の世界

 2013年は深海生物が大きな注目を集めた。ダイオウイカの特集がテレビ放映されたことを機に、東京で開かれた深海展は連日、長蛇の列。関連本も多数出版された。沼津港にある深海水族館はオープンから2年で入場者が50万人を突破。人気は一過性に止まらず、リピーターや熱心なファンを生んでいる。

 まだ見ぬ深い海の底に息づく神秘的な生命に、その世界観に、ブームを超えた普遍的な魅力があふれているということ。「きれい」「可愛い」とは一線を画する深海生物たちが、これほどまでに人々の心を動かし、魅了するとは誰が想像しただろうか。

 新しい年が明けた。今年もさまざまなモノ・コトがスポットライトを浴びる瞬間を、今か今かと深い海の底、じっと待っているに違いない。

【森山 聡子】

12月に40周年式典、次世代見据え「継承と共創」(日本秘湯を守る会)

佐藤好億会長があいさつ
佐藤好億会長があいさつ

 日本秘湯を守る会(佐藤好億会長、184会員)の第39回定時社員総会が昨年12月19日、静岡県・熱海温泉の熱海大観荘で開かれ、今年12月15日に40周年記念式典を開くことなどを決めた。会場は、創立会場である東京都の上野精養軒で300人規模のイベントを予定している。

 また、40周年式典のメインテーマを「継承と共創」とし、「先達から受け継いだ理念を次世代に継承し、同じ理念のもとで集まった仲間が共に新しい未来を創造していく」ことで一致した。「継承」については、「旅はなさけ、ロマン。山の中でもできることがある」「旅人の心に添う。秘湯は人なり」など秘湯の宿の理念を継承するほか、「共創」では、スタンプ招待事業のさらなる発展や、Web事業の進展による秘湯ファンの増大、温泉文化や地域文化の維持保全などに取り組む。40周年記念事業として1月から自動読み取り方式のスタンプ帳を導入する予定だ。

 佐藤会長は「会を立ち上げた昭和50年ごろは『秘湯』という言葉すら認知されることのない社会状況にあったが、まさか40年を経て生き残れる会になるとは想像もしなかった。しかし、40周年を機に、この会も次の世代のことを徹底的に考える時期にきた」との考えを述べた。

 次世代に対しては「社会にはさまざまな経済的なルールが存在するが、広範囲な勉強をお願いしたい」とし、「パートナーである朝日旅行がなければ日本秘湯を守る会は存在しない。組んではならない相手もある。この視点を忘れると、社会から葬られるだろう」と話した。さらに、「旅人を想う個性的な山の宿は将来的に貴重な文化財になるのではないか」と語った。

 13年度のスタンプ事業は2、5、10、11月の4回、計8万部のスタンプ帳を作成。会員宿の宿泊スタンプを10個集めると1泊招待する宿泊者数は12年11月―13年10月までの1年間で1万4590人で前年比で943人の減少となった。また、公式ホームページからの予約実績(宿泊額)は同1246万円減の4億3121万円だった。

大谷恭久氏が社長に、JTB国内旅行企画

大谷恭久氏
大谷恭久氏

 JTBは2013年12月20日、14年2月1日付で「JTB国内旅行企画」の社長に大谷恭久氏が就任予定と発表した。同社は4月1日から運営を開始する同グループの新会社。就任は臨時株主総会で決定される。

 大谷 恭久氏(おおたに・やすひさ)。1958年栃木県生まれ。80年北海道大学法学部卒業。同年日本交通公社(現JTB)入社。2000年JTB営業企画部海外企画チームマネージャー、02年同社海外格安専門電話販売センター所長兼エイ・ビー・アイ代表取締役社長。12年JTB執行役員旅行事業本部長などを歴任。13年から同社取締役旅行事業本部長、国内商品事業本部長CS推進担当の現職。


新設の観光庁参与に本保氏、国際会議出席で交渉・調整役に

 観光庁は1月1日付で、新設の観光庁参与に、初代観光庁長官で首都大学東京都市環境学研究科観光科学域教授の本保芳明氏を任命した。

 同庁は12月26日付で「観光庁参与の設置に関する訓令」を定め、観光庁参与を新設。英文名称は、「Special Adviser to the Japan Tourism Agency」。任期は2年。観光庁は本保氏の任命理由について、観光行政に精通し、国際的経験や交渉力が豊かなことを挙げる。今後は、観光庁が依頼するUNWTO(世界観光機関)などの国際会議への出席や、国内外の課題について関係機関との交渉や調整を行っていく。

過去最高約640万人へ、沖縄13年観光客数

新石垣空港の開港式典(昨年3月)
新石垣空港の開港式典(昨年3月)

新石垣空港開港効果で

 沖縄県の2013年入域観光客数が、11月までに589万8200人に達し、過去最高を記録した08年の604万人を上回る見通しとなった。12月も堅調に推移した模様で、最終的には640万人弱になる見込み。

 数字を押し上げているのは、八重山入域観光客数の好調ぶりだ。昨年3月、石垣島に新石垣空港が開港し、機材の大型化や便数の増加に加え、格安航空会社(LCC)が関西―新石垣路線に就航。4月以降、毎月、単月における過去最高記録を更新し、8月は11万4684人に上った。10月までに81万3106人となり、過去最高の78万7502人(07年)を大幅に上回り、13年の合計は90万人台半ばまで伸びる見込みだ。

 県では、沖縄観光の好調の要因として、(1)円安にともなう海外旅行から国内旅行へのシフト(2)沖縄発着航空路線の拡充(3)本島への台風接近の減少――などを挙げる。

 円安により割安感のある訪日旅行需要が台湾、韓国を中心に伸び、外国人観光客は、1―11月は51万4600人で、前年同期比46%増加した。

安全運行プラン策定、新車両も導入(ウィラーエクスプレス)

 ウィラーエクスプレスジャパン(村瀬茂高代表)は2013年12月18日、東京都内で「WILLER EXPRESS 2014 安全運行プラン」を発表した。

 同社は、13年8月からの新高速乗合バス制度への変更に合わせ、「安全・安心のプラットホーム」を構築。ISO取得や新たな安全運行協議会を設置するなど安全のマネジメントに取り組んできたが、今回のプランでさらなる安全性の向上を目指す。

 村瀬代表は同日の会見で、2014年のテーマを「お客様が安全なバスを選べるように積極的に『安全の見える化』をしていく」とし、「乗務員のヒューマンエラーが事故につながるのでハード面、ソフト面合わせて乗務員をサポートするための体制をしっかりと構築していきたい」と意気込みを語った。

 今回のプランは(1)新車両・新シートの開発(2)24時間運行管理センターの設置(3)お客様サポート体制の構築――の3つを軸に掲げる。具体的には、(1)が衝撃被害軽減ブレーキや衝撃耐性の国際基準をクリアする新車両の導入、その車両に女性が快適に過ごせる新シート「RELAX〈NEW〉」の設置など。新車両は6月までに10両の導入を予定する。また、(2)は全車両に設置しているドライブレコーダーで走行状況を24時間巡視し、急ブレーキや蛇行運転など「不安全運転」をした場合に、乗務員への運行状況の確認と各営業所の運行管理者に連絡する。さらに(3)は、顧客の問い合わせ先として24時間対応の「安心ダイヤル」と「メールセンター」を用意。乗車中の体調不良や社内トラブルなどをメールでも受け付ける。

来場者が200万人に、銀座のぐんまちゃん家

200万人目の佐久間さんを祝う大澤知事(右)
200万人目の佐久間さんを祝う大澤知事(右)

 群馬県が東京での情報発信や県産品のPRのため、銀座に開設している「ぐんま総合情報センター(ぐんまちゃん家)」の来場者が昨年12月25日、200万人を突破した。達成記念式典に駆け付けた大澤正明知事は「群馬県の人口を上回る人に訪れていただいた」と喜びを語った。

 同センターは2008年7月に開所。オープンから5年5カ月の間、1階の物販スペースの拡張や近隣の歌舞伎座のリニューアルなどを追い風に、順調に来場者を伸ばしてきた。大澤知事は「今後も群馬の発信拠点として工夫をし、皆さんの期待に応え、愛されるぐんまちゃん家にしていきたい。ぐんまちゃんも人気がでているので、相乗効果で群馬の知名度が上がれば嬉しい」と述べた。

 200万人目の来場者は、常連の佐久間記代子さん(73)。現在は都内在住だが、群馬の実家には96歳の母親が健在で、群馬にも時々帰るという。式典の日は偶然、ぐんまちゃん家を訪れたところ200万人目となり驚いたが、「群馬の人は優しく人情味があるので、週に1度は来て楽しんでいます。野菜などを買って帰りますよ」とぐんまちゃん家への想いを嬉しそうに語ってくれた。佐久間さんには大澤知事らから、認定証や副賞などが贈られた。

【発表】第39回(2014年)プロが選ぶ100選

旅行新聞新社(石井貞徳社長、本社・東京都千代田区)は1月11日発行の「旬刊旅行新聞」と自社ホームページで、第39回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の入選施設を発表しました。料理部門ではホテル秀水園(鹿児島県指宿温泉)が30年連続1位の偉業を達成したほか、加賀屋(石川県)和倉温泉が34年連続総合1位になりました。

旅館100選は全国の旅行会社による投票を集計し100選施設を選出するもので、観光業界で最も歴史のあるランキング付イベントとして39年の歴史を誇ります。投票は昨年10月に全国の旅行会社(旅行業登録1種、2種、3種)の本社、支店、営業所など1万6560カ所に、投票案内を掲載した「旬刊旅行新聞」と投票用紙(専用はがき)を直接送り、実施しました。返信いただいた投票はがきを集計し、「もてなし」「料理」「施設」「企画」の部門ごとの100選および、4部門の合計点からなる「総合100選」が決まりました。

同時に「第34回プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」、「第23回優良観光バス30選」も発表し、観光・食事、土産物の両部門で群馬県・長野原の浅間酒造観光センターが、バス30選では東京都・大田区のはとバスがそれぞれ1位の座を獲得しました。

■第39回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選(総合トップ10入選施設)

順位          館名 (県・地区名)
1        加賀屋(石川県 和倉温泉)
2        日本の宿古窯(山形県 かみのやま温泉)
3        白玉の湯泉慶・華鳳(新潟県 月岡温泉)
4        稲取銀水荘(静岡県 稲取温泉)
5        水明館(岐阜県 下呂温泉)
6        ホテル秀水園(鹿児島県 指宿温泉)
7        萬国屋(山形県 あつみ温泉)
8        草津白根観光ホテル櫻井(群馬県 草津温泉)
9        あかん湖鶴雅リゾートスパ鶴雅ウィングス(北海道 阿寒湖温泉)
10       ホテル鐘山苑(山梨県 富士山温泉)

総合(11位~100位)、部門(もてなし、料理、施設、企画)、観光・食事施設、土産物施設、優良観光バスの各入選施設につきましては弊社ホームページに掲載しています。

■表彰式・祝賀パーティー
1月24日(金)には東京・新宿の京王プラザホテルで、入選施設や来賓、招待者を交えての表彰式と祝賀パーティーを開催します。
日時:平成26年1月24日(金)
    表彰式 11:00~
    祝賀パーテイー 12:00~
会場:京王プラザホテル5F コンコードボールルーム
    東京都新宿区西新宿2-2-1 電話03-3344-0111

13年に訪日外客1000万人達成 ― 心理面で“国際化”のメッセージに

 2013年は、6月に富士山の世界文化遺産登録、9月には2020年東京オリンピック開催決定、そして12月には「和食」のユネスコ無形文化遺産登録と明るい話題が続いた。個人であれ、地域であれ、国であれ、他者から高い評価を受け、認められることは、心地良い充足感が得られる。しかしこれら当事者にとっては、心地良い充足感というレベルではなく、「ようやく勝ち取った!」という強い達成感を得たのではないか。

 年の瀬に、ホテル・旅館の固定資産評価の下限までの経年数が、50年から45年に短縮されることが決まった。これも、根気強く訴え続けた宿泊業界の努力の成果であり、まさに減税を「勝ち取った」ものである。

 そして、観光業界にとって13年は大きな達成感を共有した。「史上初めて訪日外国人客数1千万人を達成した年」として観光史に記録されるだろう。

 さて、一定の達成感を得たあとの2014年はどのような年だろうか。カレンダーを見ると、2月にはロシア・ソチで冬季オリンピック、6月中旬から約1カ月間は、ブラジルでサッカーワールドカップが行われる。世界的なビッグイベントが開催される年であり、世界中で旅行ムードも高まるはずだ。

 国内の話題としては、3月に大阪市に日本一の超高層複合ビル「あべのハルカス」が開業。また、羽田空港の国際線発着枠が年間6万回から9万回に拡大する。4月には岩手県三陸鉄道が全面復旧する予定だ。一方、4月から消費税が5%から8%に変わることで、「消費の停滞を招くのではないか」という心配の声も観光業界では大きい。さらに、増税直後のゴールデンウイークの日並びの悪さも、旅行動向にどう影響するか気になるところだ。

 「14年は訪日外客数2千万人を目指すスタートの年」と久保成人観光庁長官は語っている。1千万人という大きな壁の前に日本は長年立ち尽くし続けたが、この一線を超えると、2千万人に向けてどんどん前進していくと見る。現状では中国、韓国、台湾の占める比重が大きいが、近年は経済発展の著しい東南アジア諸国との政治や経済、文化、人的交流の拡大へと、日本政府も舵を切っている。これら地域では、日本への旅行は人気が高いし、今後LCC路線がさらに拡大していくと、訪日外国人2千万人達成もそう遠い未来ではないと思う。

 また、13年に達成した1千万人突破は、外国人の受入れを躊躇している地域の宿泊施設にも、観光の国際化が現実的なものになったという、心理面での強いメッセージとなるはずだ。

 世界中の人が自由に旅ができるようになる“大交流時代”が迫りくるなか、世界的な人気観光地は「人気観光地であるがゆえに訪れることが困難になる時代を迎える」という説も現実味を帯びてきた。日本でも桜や紅葉の名所は、最盛期には混雑で訪れることは難しい。世界遺産登録された富士山も、多くの観光客が期待される反面、入山料徴収による入場抑制の動きが出ている。人気観光地と、そうではないところとの2極化もさらに進む。観光の国際化が進めば、これまで想定しなかった問題や課題も現れてくる。

 新たなステージに入った14年は、誘客最優先ではなく、皆が知恵を絞って、高度な課題に立ち向かっていくスタートの年でもある。

(編集長・増田 剛)