農観連携の協定結ぶ、観光庁と農林水産省

農村振興局・小林次長(左)と久保長官
農村振興局・小林次長(左)と久保長官

 観光庁は1月17日、農林水産省と「農観連携の推進協定」を結んだ。農山漁村の魅力と観光需要を結びつける取り組みを推進し、農山漁村の活性化と観光立国の実現をはかるのが狙い。推進協定は農林水産省農村振興局の三浦進局長と観光庁の久保成人長官名で交わした。

 これまでも両者はさまざまな連携をしてきたが、和食の文化遺産登録や2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定で日本への注目が集まるなか、訪日外国人2千万人に向け、日本ブランドの確立を目指して協定を締結した。

 同日開いた共同会見で久保長官は「国として初めて『農観連携』という言葉を使ったが、農業と観光との連携が中央の役所だけではなく、日本の地域の隅々で当たり前のものになってほしいという願いを込めた」とし、「(協定の)かたちを取ることで恒久的な連携ができ、事務レベルなどさまざまな段階で場を設けることが可能になる。また、課題を明記することで、取り組む分野がはっきりする」と協定の目的や意義を説明した。一方、農水省農村振興局の小林祐一次長は「昨年12月、総理大臣を本部長とする農林水産業・地域の活力創造本部で、地域の活力創造プランが決定された。このなかで、美しく活力ある農山漁村の実現に向け、関係省庁が連携して取り組むためのグランドデザインが示された」と経緯を報告。「観光庁の目指す観光立国や農水省の目指す農山漁村の活性化はオールジャパンでの体制が必要。協定締結をキックオフとしてお互いに知恵を絞りたい」とし、協定が全国の関係者への大きなメッセージになると語った。

 推進協定では当面の課題として、農林漁業体験等のグリーン・ツーリズムと他の観光の組み合わせによる新たな観光需要の開拓や、訪日外国人旅行者を農山漁村へ呼び込むための地域資源の発掘・磨き上げと受入環境整備、プロモーションの推進など6項目をあげた。

憧れの海外旅行

 海外渡航自由化50年の今年、国産初の海外パッケージブランド「ジャルパック」も50年を迎えた。1965年に出発したヨーロッパツアーは、今の物価に換算すると約700万円と超高額。しかし、69年のデータによると、参加者の約40%が29歳以下だったという。資産家の令嬢や令息が多かったのだろうが、若者たちの海外への興味がとても強かったことがうかがえる。70年にはハネムーン専用商品もでき、若者はさらに海外への憧れを強くしただろう。時代は高度成長期。海外に行くことを目標にがむしゃらに働いた若者も少なくなかったかもしれない。

 ジャルパックは50周年で「世界一周」を企画する。価格は300万円から。中身はどこも行きたいところばかり、憧れそのものだ。今は少し頑張れば海外に行けるが、いつの時代も旅行会社のパッケージ商品は憧れを持てるものであってほしい。

【飯塚 小牧】

交通政基法に期待、日本バス協会が賀詞交歓会

高橋幹会長
高橋幹会長

 日本バス協会(高橋幹会長)は1月15日、東京都千代田区の経団連会館で2014年度新年賀詞交歓会を開き、交通政策基本計画に基づくバス事業の役割や、新高速乗合バスの今後の課題に取り組む決意を表明した。

 高橋会長はあいさつで、「昨年はバス業界の長年の悲願であった交通政策基本法が成立し、高速ツアーバスが新高速乗合バスに一本化されるなど、バス業界にとって大きく前進した年」とし、本年度の交通政策基本計画の策定について、「地方の路線バスは国や自治体の支援なくして維持していくことが大変困難になっている。地域の生活の足を確保していくために、バス事業の役割が明確化され、国や自治体の支援がさらに拡充されることを期待している」と強調した。

 高速乗合バスへの一本化については、「貸し切りバス事業の参入規制の見直し、新しい料金制度の構築、貸し切りバス事業の適正化などまだまだ山積している」と課題を語った。また、「消費税増税にともなう運賃改定の影響が懸念されるなど、見通しのつかないなかでのスタートとなるが、安全安心のバス輸送サービスを提供し、バス事業の発展を目指していく」と述べた。

 来賓の太田昭宏国土交通大臣は「人口減少のなかで地域の公共交通を確保しなければ日常生活でも災害時でも大変なことになる。だからこそ公共交通、バス路線は極めて重要。次の通常国会では交通を含めて地方自治体自体でどうまちを再編させるかということに寄与していく法律を提出することを目標にしている」と意気込みを語った。

事務用品を見直そう

 宿で使われている事務用品を目にして「おっ、これは」と思うことはあまりない。日本の文房具は、「外国人が萌える」といった雑誌特集が組まれるくらい、世界的に秀でているのにもったいない。無印良品は入手しやすく無難だが、さらに一歩踏み込むと新しい世界が広がっている。

 個人的なお気に入りは「クラフトデザインテクノロジー」というブランドだ。そのなかの1つ、日本の伝統色「白緑」(びゃくろく)を軸色に採用した鉛筆は「美しい」のひと言。アンケート記入用紙(用紙の色まで合わせると最高)と一緒に添えてあると素敵だ。

 これはほんの一例。工業デザインの形や色には理由がある。たまの休日、セレクトショップなどに出かけて、自館にあったものを探してみては。

【鈴木 克範】

第39回「100選」盛大に、来年40周年、「旅館アワード」創設(旅行新聞新社)

「100選」表彰式で各賞(部門)1位の受賞を喜ぶ
「100選」表彰式で各賞(部門)1位の受賞を喜ぶ

 旅行新聞新社が主催する「第39回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」と「第34回プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」「第23回プロが選ぶ優良観光バス30選」の表彰式と新春祝賀パーティーが1月24日、京王プラザホテル(東京都)で盛大に開かれ、観光関係者約650人が集い新年の飛躍を誓った。

 主催者の石井貞徳社長は「皆様のおかげで、観光業界から一般の方まで発表を待ち望む大きなイベントへと育った」と謝意を述べた。また、「1976年にスタートして以来、来年40回という大きな節目を迎えるが、『旅館アワード』(仮称)の創設を企画している。観光業界発展のため、手足となり盛り上げていきたい」と語った。34年連続でホテル・旅館の総合1位に輝いた加賀屋(和倉温泉)をはじめ、各部門のトップに表彰状と記念の楯が贈られた。

 「優秀バスガイド」「優秀バスドライバー」「もてなしの達人」の表彰式は2月14日、東京都港区の世界貿易センタービル内・浜松町東京會舘で午後1時から開く。

ミャンマーに数次ビザ、要件緩和拡大働きかける

 外務省はこのほど、ミャンマーに対し短期滞在数字ビザの発給を開始した。

 2014年は日・ミャンマー外交関係樹立60周年にあたり、年初からの数次ビザ解禁で訪日観光客の増加、ビジネス面での利便性向上などを狙う。

 滞在日数は15日で、有効期間は最大3年間。同国内に居住する国民(一般旅券所持者)であることが条件となる。

 久保成人観光庁長官は1月17日の会見で、今回のミャンマーへの要件緩和により、ASEAN各国への訪日ビザ要件緩和が一区切りついたことを報告。「次のステップへ進み、引き続き別国への要件緩和拡大を働きかけていく」と語った。訪日外客数増加へ向けて、今後は東南アジア以外への要件緩和に期待がかかる。

24%増の1036万人、東南アジアも100万人突破(13年訪日外客数)

2013年12月訪日外客数

 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)がこのほど発表した2013年12月の訪日外客数推計値は、前年同月比25・4%増の86万4600人。これまで12月の過去最高だった12年を17万5千人上回った。1―12月の累計は前年同期比24・0%増の1036万3900人と、悲願の1千万人を達成した。

 13年を振り返ると、円高是正による訪日旅行の割安感の浸透や、東南アジア諸国のビザ緩和、継続的な訪日プロモーションの効果、LCCなどの新規就航による航空座席供給量の増加などが、訪日客増加を後押し。台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インド、豪州、フランスが年間累計で過去最高を記録した。

 全体の4分の1を占める市場の韓国は13年累計で同20・2%増の245万6100人。07年の260万694人に次ぐ、過去2番目の人数となった。月別では3、4、6月で過去最高を記録。上期は、若年層需要の高まりなどで、同38・4%増と好調に推移したが、8月以降は原発汚染水問題の報道の影響や日韓関係の冷え込みにより、伸び率が減速、下期は同4・3%増と伸び悩んだ。

 台湾の13年累計は同50・8%増の221万800人と過去最高を記録。月別では、旧正月時期の変動により減少した1月を除き、毎月の訪日旅行者数は11カ月連続で過去最高を記録している。LCCの新規就航による座席供給量の拡大、円高是正によるショッピング旅行需要の増大などで訪日数が大幅に拡大した。

 中国の13年累計は同7・8%減の131万4500人と、12年、10年に次ぐ過去3番目の人数となった。月別では9―12月の4カ月で過去最高を記録。日中関係が冷え込んだあと、8月までは前年同月比で平均28%の減少が続いたが、9月以降は日本への忌避感が薄れ、前年同月比でプラスに転じた。

 香港の13年累計は同54・8%増の74万5800人と、08年の55万190人を大きく上回り、過去最高を記録。月別では、旧正月時期の変動により減少した1月を除き、毎月の訪日旅行者数は11カ月連続で過去最高を記録している。主要市場のなかではタイに次いで2番目の伸び率となった。

 そのほか、東南アジア諸国は、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムの6カ国の合計で、13年累計が同48・3%増の114万8800人と、100万人の大台を突破。ビザの要件緩和や、経済発展にともなう海外旅行市場の拡大などが追い風となった。とくに7月からビザが免除されたタイとマレーシアは下期の合計がそれぞれ同96・1%増、52・6%増と高い伸びを示した。

 なお、出国日本人数の13累計は同5・5%減の1747万3千人。

経常益13%増の152億円、過去最高の業績(HIS)

 エイチ・アイ・エス(HIS)が発表した2013年10月期(12年11月―13年10月)通期連結決算によると、売上高は前年同期比11・1%増の4794億7800万円、営業利益は同4・7%増の118億4300万円、経常利益は同12・8%増の152億300万円と過去最高の業績となった。一方、当期純利益はハウステンボスの繰越欠損金が解消したことで税金費用が増加し、同4・6%減の89億300万円となった。

 中核の旅行事業をみると、売上高は同5・9%増の4313億6800万円となったが、主力方面のアジアが外交問題などにより集客減となり、営業利益は同30・2%減の79億5200万円となった。日本発の海外旅行事業は、新たなサービスとして「シニア割」を導入。豪華客船「コスタビクトリア号」を利用したチャータークルーズや、スペインのサグラダファミリアなど人気施設の貸切鑑賞プランを組み入れた商品も売り出した。

 国内旅行事業は、全日本空輸(ANA)の国内線予約システムを導入し、全店舗で予約や販売を可能にするなど販路拡大に力を入れ好調に推移。国内宿泊予約サイト「スマ宿」の契約施設数は約9千軒となった。

 今期(13年11月―14年10月)は、空港発着枠増加にともなう新規就航や路線拡大、外交問題の沈静化やシニア世代の旅行気運高まりなどで、旅行需要は堅調に推移すると予想。クルーズ旅行への挑戦やチャーター便の積極活用などに取り組む。

専用パンフで特別企画、ブランド誕生50周年機に(ジャルパック)

二宮秀生社長
二宮秀生社長

 ジャルパック(二宮秀生社長)は1月20日、東京・帝国ホテルで会見を開き、「ジャルパック」ブランド誕生50周年特別企画と、2014年度上期商品を発表した。50周年企画は、1年間限定の特別企画で「日本一周」「世界一周」などを展開する。また、ブランド50周年を機に同社の取り組みなどを紹介する書籍も出版した。

 二宮社長は冒頭、50年の歩みを紹介。海外渡航が自由化された1964年に国産初の海外パッケージブランド「ジャルパック」が誕生。65年1月から7コースを売り出し、同年4月10日に出発した第1陣はヨーロッパ16日間で67万5千円(大学初任給は約2万1千円)と高価だったが、初年度実績は2192人を数えた。その後、69年に同社の前身となる日本初のホールセラー「旅行開発」が設立した。

 二宮社長はこうした歴史を踏まえながら「50周年を衣替えの好機と捉え、原点に立ち返って現商品の見直しや新しい取り組みを行い、ジャルパックならではの『いい旅、あたらしい旅。』を企画していく」と強調。「旅行会社でなくてはできない仕入れやJALグループだからこそできる要素を盛り込み、いかに付加価値をつけていくかが重要だ」と語った。

 2014年度は、国内・海外で50周年記念商品を用意。そのなかの「特別企画」は専用パンフレットを作り、海外6コース、国内8コースを設定した。期首商品内では新企画として、これまでにない素材を利用したツアーを14年上期パンフレットの巻頭で紹介。また、これまでの商品・サービスもブラッシュアップし、全方面でシニア向けの「朝を愉しむ」サービスなどを展開する。

 14年度の集客目標は海外が前年比1%減の24万3千人、国内が同2%増の196万4千人。海外は前年割れの設定だが、二宮社長は「計画は悲観的にしている。足元は、円安などで13年下期の動きが鈍っているので、14年上期も減少が予想されるが50周年企画でカバーしたい」と述べた。一方、国内は需要が落ち着くとみる関東以外は全方面で前年超えを目指す。なお、国内の13年度見込み人数は192万人。

1965年の第1陣ヨーロッパ旅行
1965年の第1陣ヨーロッパ旅行

社員集め勉強会、乳がん経験者受入れに理解(ホテル秀水園)

男性社員も熱心に聴講
男性社員も熱心に聴講

 鹿児島県指宿温泉のホテル秀水園(湯通堂温社長)は昨年12月15日、社員40人を集めて「ピンクリボンのお宿勉強会」を開いた。同ホテルで翌16日に開かれた「ピンクリボンのお宿シンポジウムin指宿」(ピンクリボンのお宿ネットワーク主催)に合わせて、スタッフのピンクリボンと乳がん経験者受け入れについての理解を深めるため実施したもの。

 人工乳房メーカー・池山メディカルジャパンの池山紀之社長を講師に迎え、約1時間にわたって乳がんに関する知識や医療現場の状況などを学んだ。

 あいさつに立った湯通堂社長は「乳がん経験者の女性の方々が、手術の痕を気にして、温泉に入れない、旅に行けないという状況を何とか改善したいと、2012年7月に全国の宿や観光団体、企業が参加してピンクリボンのお宿ネットワークが発足した。私も母や祖母が乳がんという経験から、真っ先にこの会に参画した」とこれまでの経緯を説明。「秀水園は細やかな気遣いで成り立ってきた旅館だ。明日のシンポジウムでは、乳がん経験者も来られる。勉強会で理解を深めて、おもてなしに活かしてほしい」と呼び掛けた。

 池山氏は妹さんの乳がんが「人工乳房を作るきっかけになった」と説明。完成まで3年間かかった苦労を語り、「人工乳房を装着して温泉入浴できる」ことを実証するため、全国の温泉地で展開する「おっぱいリレー」について紹介。「心の傷を埋めるため作っている」と語り、温泉入浴の大事さを訴えた。

 勉強会には女性だけでなく、フロントや調理場の男性社員も参加し、熱心に耳を傾けていた。

池山氏が講演
池山氏が講演