アニメツーリズム協会設立、“聖地”軸に広域観光創出へ

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 「アニメツーリズム協会」(富野由悠季理事長)が、9月16日設立された。今若い世代を中心にアニメや漫画の舞台を「聖地」と呼び、そこを巡る「聖地巡礼」が大きなブームになっている。このブームは、外国人が日本を訪れるきっかけになることもあり、観光地ではない地域にも多くの人が集まることで地域活性化につながる自治体もある。同協会は今後、アニメ聖地を88カ所選定し、それらをつないだ広域周遊観光ルートを官民一体となって造成する。
【後藤 文昭】

 同協会は、日本全国に点在する、アニメやコミックの聖地のプラットフォームとなり、広域周遊観光ルートを造成。海外・国内のジャパンコンテンツファンへ発信し、地域への観光客を増やす官民連携の推進母体としての役割を担う。「日本の知的財産と、世界中の観光客、地域(聖地)を束ね、アニメ聖地を軸にした観光資源の掘り起しと、広域観光ルートの創出」を使命とし、2020年には各地域に国内外から年間400万人の送客を目指す。

 アニメーション映画監督の富野由悠季氏が理事長に、日本動画協会の石川和子理事長とKADOKAWAの角川歴彦会長の2氏が副理事長に就任した。理事にはJTBの坪井泰博取締役と、成田国際空港の夏目誠社長、日本航空の藤田直志副社長、やまとごころの村山慶輔代表、大正大学地域構想研究所の清水愼一教授、KADOKAWAインバウンド推進部の森好文部長(事務局長兼任)らが名を連ねる。

(左から)上住氏、村山氏、夏目氏、角川氏、富野氏、坪井氏、藤田氏、森氏
(左から)上住氏、村山氏、夏目氏、角川氏、富野氏、坪井氏、藤田氏、森氏

 同協会はアニメ聖地を、(1)アニメや漫画の舞台やモデルになった地域や場所(2)作家ゆかりのまちや生家、記念館(3)作品などに関連する博物館と建造物、施設――と定義した。12月31日までアニメ雑誌「Newtype」の協力を得て、「おすすめのアニメ・マンガ聖地」を専用サイトで募集。同サイトは日本語と英語、中国語(繁体字・簡体字)、タイ語、マレー語に対応しており、これをもとに17年度中に88カ所を選定。日本全体を聖地でつなぐ「エンターテイメントパーク」にし、旅行前から旅行後までのすべての時間軸で観光客に日本ならではの「アニメパーク」体験を提供する。

 400万人の送客達成に重要なことは、「地域と、日本の知的財産や観光に関わる企業の密接な連携」に加え、「外国人観光客の目線を持つこと」が大前提になる。そのうえで同協会は、地域と企業、著作権者をつなぎ、その土地のコンテンツを活用したサービスや商品の提供を促進していく。同時に受入環境を整備することで、新たな経済効果を創出する。聖地とされる地域では、観光資源の発掘や観光客による消費増、広域連携による送客連携などの波及効果が見込め、地域活性化につなげていく。

 9月16日に東京都内で行われた会見で富野理事長は、立ち上げた経緯を「アニメから得たモチベーションを単に心に留めておく以上に、外に向かって発信して行くことで、体験にまで育てていきたいと考えた」と説明。ビジネスの成功が無ければ、文化への貢献が得られないとし、「アニメツーリズムを通じて21世紀の日本を広く海外に理解していただき、相互協力の花を咲かせてほしい」と語った。

 観光庁の田村明比古長官は、地方消費の拡大やリピーターにつながることなど協会の活動の観光面での利点について話した。また「典型的な観光地ではないところにスポットライトを当てる」面でも同協会の取り組みを評価した。

 聖地巡礼は、多くの観光客を集められる。アニメ「ガールズ&パンツァー」の舞台となった茨城県・大洗町は、同作品の放送をきかっけに多くの観光客が訪れ、観光収入増にも貢献している。自治体でも聖地巡礼を観光に活かすため、箱根町観光協会が「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」とタイアップした観光パンフレットを作成するなど、取り組みの先行事例は多い。

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 一方で、聖地巡礼中の私有地への立ち入りや、コスプレをしての写真撮影、ゴミの放置などに対し、地域住民が不安になったり、苦情が出たりするケースも報告されている。

 森理事はこれらの問題について「成功している自治体の話を聞き、全体でどうするかを考えたい」と述べた。田村長官は「マナーの問題を乗り越えて、住民の方々と旅行者が共存できる社会になることが、観光先進国に向けて重要なステップだ」とコメントした。

 地域によっては、聖地巡礼に積極的ではない地域もある。また、聖地巡礼による効果を持続させ、続けられる自治体も少ない。成功した自治体のなかには地域住民の協力と理解を得て、住民参加型の聖地づくりを行っている。観光素材としてアニメ聖地が魅力的な場所となるために、地域住民も参加したくなる取り組みが生まれていくことにも期待したい。

【特集No.442】扉温泉・明神館時代のニーズに合った施設づくり

2016年10月1日(土) 配信

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その理由を探っていく人気シリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」の第6回は、長野県松本市・扉温泉の明神館会長の齊藤茂行氏が登場。周辺の温泉旅館が大型化するなかで、「売上を伸ばしながら利益を確保するのが経営」との信念で、時代のニーズに合った施設づくりを続けてきた明神館の取り組みを語り合った。

【増田 剛】

 齊藤:大正のころですが、私の祖父が入山辺村の村長だった時代に、農繁期が終われば温泉でゆったりとできる村営の宿泊施設を建てました。しかし赤字経営が続いたため、1931(昭和6)年に祖父が責任を取るかたちで、会社を作り、宿泊施設を買い取ったのが始まりです。その後、父の妹(叔母)たちが学校に通いながら、自炊湯治宿として切り盛りしていましたが、戦後になって父が経営を担いました。

 内藤:齊藤会長が宿に戻られたのはいつですか。

 齊藤:東京の大学を卒業した1970年ごろで、当時の宿は襖で仕切られた鍵のない部屋が11部屋ありました。
 私は父を説得し、1億5千万円を投資して手前の敷地に、新たに8部屋の宿を造りました。高度経済成長期のころで景気も良かったのですが、その後オイルショックが来ました。宿を新築したのは、第1次と第2次オイルショックの狭間でした。
 このため私は、営業に出て、名古屋、関西、東京の旅行会社を回りました。当時、冬期の閑散期対策として、京都の旅行会社に1泊3500円のバスプランを提案すると、この企画が大ヒットしました。宿の周辺から山菜やキノコなどを採って来て、天ぷらにして提供すると、京都から訪れたお客様は喜んでくれました。原価は1割以下でしたね。翌年には他社からも「5千円で受け入れてくれないか」といったオファーがあり、あっという間に1泊1万円まで上がっていきました。
 当館には作家や学者の方々も逗留されており、さまざまなメディアに発信されたことも、大きな宣伝になり、幸運だった部分もありました。料理は東京や京都で提供される食材ではなく、地元の山菜やコイ、イワナなどを使っていました。ある文化人の先生は、当館の家庭料理の延長線上にある「おふくろの料理」を美味しいと書いてくれました。のちに板前を入れましたが、「明神館は料理が美味しい」というイメージの浸透につながっていきました。また、女性誌などに当館が掲載されると、若い女性が多く訪れました。

 内藤:高度成長からオイルショックを経験し、その後バブル期を迎えますが、多くの宿は大型化に向かいました。この流れに対してどのような姿勢でしたか。

 齊藤:近隣の浅間温泉や美ヶ原温泉では、次から次に近代的な大型旅館が建ち始めていました。私も宿を大きくしようと考えた時期もありましたが、経営にとても慎重だった父は宿の新築に反対で、私と父は考え方がずっと対立していました。ですから、次に増築をするのに7年ほどかかりました。その後も5年ごとに現在まで計7回増改築を繰り返しています。
 そのなかで2万円の客室を新たにつくると、これまで1万円に設定していた客室も、少し改装するだけで1万5千円の料金でも来てくれるようになりました。
 宿に続く細い山道は、冬は雪崩が起こると商売ができません。雪かきなども大変でした。冬場はつらかったですが、5月の連休後から11月まではコンスタントにお客様が来てくださるように、さまざまな努力をしました。

 内藤:周辺の温泉地の旅館が大型化するなかで、小規模のままの明神館はどのように見られていたのですか。

 齊藤:周りの経営者からは「よくぞあんな小さな明神館に多くの宿泊客が訪れるね」と感心されていました。
 商売というのは、利益を出すことが最も大事です。いくら大型旅館を建てても、「経営者がきちんと報酬を得なければ、経営とはいえない」というのが、若い時からの私の持論です。
 私たちはお客様を喜ばせることによって利益を得る商売をしています。お客様を喜ばせるためには、利益や報酬を得ることが大事で、宿を大きくすることが最優先ではありません。大型化よりも、むしろ高級化することで利幅を大きくし、「売上を伸ばしながら利益を確保するのが経営」という信念でやってきました。
 そのためには、リピーターを作ることが大切です。どうしてお客様が当館に来てくださるのか、そこを考えなければなりません。単なる偶然でお客様が来るのではなく、アクセルを踏めば前に進み、ブレーキを踏めば止まる自動車のように、「こういう客室を、この金額で提供すると、このような客層に支持される」といったような具体的な想定を細かに考えながら商売をやってきました。また、息子(齊藤忠政・現社長)の経営判断で、松本城に面した松本丸の内ホテルを買収し、レストラン「ヒカリヤ」や「懐石花とびら」などを開業しました。そのほか、新浅間温泉にある20室ほどのホテルを改装して、社員寮にしました。

 内藤:無理に大型化せずに、その時代に合った設備投資を徐々にやっていくなかで、お客のニーズの変化に対応できていったということですか。

 齊藤:そうですね。数寄屋造りなど、その時代に合った施設をつくっていきました。マントルピースを備えたリゾート風の客室もありますが、最近畳とベッドの部屋に改装しました。時代によってお客様が宿に求めるものが変わっていきます。一度に大規模なものを造ってしまうと、装置産業の場合、動きが取れなくなります。今は高齢者のお客様が多いので、ベッドのある客室から先に予約が入っていきますので、ベッドルームを増やしています。連泊される場合でも、畳では横になりづらいですが、ベッドならゆっくりと休めます。
 70代にもなると夜中布団から起き上がって暗闇の中でトイレに行くのも大変です。また、一度部屋を明るくすると眠れなくなってしまうこともあります。このため、お客様が照明を調節できるように、客室に照明のコントローラーを付けました。
 料理も同じように、時代とともにニーズが変わっていきます。高度成長の時代は宿に「京料理」が求められていたので、京都から料理人を迎え入れました。今の時代は地産地消にこだわり、「この地で採れたものですよ」と説明しながらのメニューの方が喜ばれます。
 グループ会社が経営する静岡県伊豆・大滝温泉の「運龍」は、館名に“地魚の宿”を加えました。朝食に出すひものも、最近は1種類ではなく3種類出しています。このようにお客様のニーズに合わせて、食材やメニューを柔軟に対応していくことは、小型旅館の方がやりやすいですね。一方、大型旅館であっても、オープンキッチンでビュッフェスタイルなら、少量でも地元の食材を出しやすくなります。
 若い世代の所得が増えないなか、小さなお子さんがいる家族連れのお客様も、高級な御膳での提供よりも、ビュッフェスタイルで、好きな料理を取って食べられるスタイルの方が楽で、支持されます。

 内藤:明神館には立ち湯のお風呂もありますが、これも時代に合わせて造られたのですか。

 齊藤:息子の提案でバリのリゾートなどに行くと、ホテルにプールがあります。一方、日本の温泉地には大浴場があります。多くの日本旅館は、庭に鯉が泳ぐような露天風呂を造ってきましたが、私はもっとお洒落な方がいいと思い、直線でデザインした立ち湯を思いつきました。汗を流すお風呂に加え、心を癒す、リゾート風のお風呂も別に造ったのです。そのほかにも、リッツ・カールトンなどを参考に、客室2部屋を「クラブラウンジ」に変えました。

 内藤:明神館には和食だけでなく、フレンチのレストランもありますね。

 齊藤:息子が10年ほど前にアイデアを出し、取り入れました。お客様からは高い評価を得ています。

 内藤:レストラン業もやられていますが、旅館とレストランは、似て非なるものです。レストランは基本的に予約の無いところでのオペレーションが中心ですが、旅館の厨房は大型宴会など、予約のあるなかでのオペレーションが主です。旅館とはまったく異なるオペレーションのレストランを始めたのはどういう考え方からですか。

 齊藤:結局、旅館で板前を雇用すると、“予約ありき”の料理しか作らなくなります。一方、レストランは予約なしで10人くらい一度に来られることもありますが、満席でなければ基本的に来客を断る店はありません。レストランでは普通に対応している柔軟な対応力を、宿の厨房スタッフに知ってもらいたかったというのが大きな理由です。
 レストラン(ヒカリヤ・懐石花とびら)と、宿の厨房のスタッフが常に入れ替わり、レストランの感覚をつかむことで、前向きな解決策を探ってもらおうと考えました。

 内藤:従来の旅館のオペレーションに疑問を持たれ、レストランのオペレーションを旅館の中に入れたいと、意識的に行われたわけですね。
 今後の旅館業界をどう見られていますか。

 齊藤:お仕着せの1泊2食のサービスは難しくなるのではないかと思っています。1泊2食でも、提供する料理の3分の1はお客様が選べるように対応するのも一つだと思います。
 客室だけでも利益を得られる料金体系とし、一方、料理部門も「3品で5千円」といった設定を用意し、少しでも利益を得ていくようなかたちがいいのではないでしょうか。
 大事なのは、お客様に選択していただくことです。逆に言うなら基本をホテル型にして、オプションで「1泊2食」のパッケージプランを作ることも一案です。
 宿泊のみで1人1万5千円、2人なら3万円(スリーベッドまで可能)などと設定して、和食や洋食のレストランを用意する。そのうえで、宿泊客が予約なしでレストランに入っても対応できる厨房スタッフの習慣をつけていれば問題ないと思っています。
 朝食も、少人数の厨房スタッフで対応できる「ビュッフェスタイル」でいいと思っています。これからは、旅館は短時間で生産性をどうやって上げていくかが勝負だと思います。
 加えて、当館でも、宿の周辺の山で採れた食材の提供などは、これまでも取り組んでいましたが、せっかくある豊かな自然環境を、宿泊客の「癒し」として、もっと活用できると考えています。滞在中に少し歩いて、川で魚釣りができるように釣り竿を貸しています。お客様が喜んで魚を持って帰ってきたら、料理をしてあげればいいのです。電気自動車(EV)のレンタカーサービスも行っているので、バスで来られた宿泊客がクルマを借りて、松本市内や周辺の美しい山道をドライブできるような準備もしています。リゾートのアイテムをどうやって重ねていくかということが大事だと思っています。

 内藤:お仕着せではなく、宿にたくさんのアイテムがあって、お客が自分で選択し、自由に組み合わせができるようにしていくということですね。

 齊藤:そうです。お仕着せのものはすぐに飽きられると思います。団体客なら、お客様同士で楽しもうとされますが、夫婦や家族旅行では、周辺の環境や宿が、自分たちをどのように「非日常の世界」で楽しませてくれるのかを期待して来られます。
 目の前の川で魚釣りができる用意や、テラスで読書ができる空間づくりが大切になってきます。自然に囲まれたデッキや、テラスでくつろいでいるときに、お客様がドリンクやスイーツを求められたときに、すぐに提供できる商品づくりも必要です。

 内藤:明神館では随分早くから従業員に社会保険を完備されていました。多くの旅館はなんとなく家族主義的な部分が残りながら大きくなったため、企業的な経営が追いついていない印象を受けますが、これからの旅館の企業経営的な部分でお考えになっていることはありますか。

 齊藤:当館でスタッフを預かっている責任のなかに、一般企業で働いている人と同じ土俵に乗せて上げるということを考えています。ただでさえ、旅館は拘束時間が長いなかで、優秀な人材を育てていくという視点からも、社会保障をきちっと整備しなければならないと思っています。
 今年は新卒で11人が入社しました。何人かは辞めてしまうかもしれませんが、残ってくれたスタッフには、いずれ支配人や部長、課長などの幹部になってほしいと思っています。
 とくに若いスタッフには「ピープルビジネス」の素晴らしさを教えてあげることが大事です。残念ながら、これまでサービス産業には専門に勉強できる学校がなかった。私は青年部のころから「いずれ海外から多くの旅行者が日本を訪れ、大きなお金を落とすようになる」と言い続けていましたが、国はサービス産業を少し軽く見過ぎていたと、今でも感じています。

 内藤:サービス産業の人材育成の議論もずっとされていますが、なかなか進まないですね。

 齊藤:文部科学省の認可がいらない、大学校でもいいので、一刻も早くサービス産業の経営と現場を理論的に学ぶ場が必要です。旅館の経営者は従業員を雇うだけでなく、長期にわたって人生設計ができるだけの雇用環境をつくり、いかに幸せにするかを考えなければなりません。

 内藤:おっしゃる通り旅館、サービス業全体に企業経営という考え方を入れなければならない時期が迫ってきています。
 労務問題についてはどうお考えですか。

 齊藤:避けて通れない問題ですね。我われ旅館がきちんと雇用環境を守り、その積み重ねで気が付いたら旅館で働いていて良かったと思えるようにするには、やはり労務問題は避けて通れません。旅館はコンプライアンスのなかで仕事をしており、いい人材をつくるということにつながっていきます。
 宿にとって一番怖いのは、スタッフがすぐに退職して出入りすることです。ものすごく大きな損失です。「1年目は赤字、2年目はトントン、3年目に1年目の損した部分を返してもらい、4年目になってようやく自分は会社に貢献していると、胸を張ってほしい」と新卒で入社してくるスタッフには言っています。

 内藤:各社の労働時間のデータを見ていると、新人が入るとそれが大きく跳ね上がります。教える側も戦力にならなくなります。

 齊藤:新人スタッフには1カ月くらいきちっと勉強させて、それから現場に出すようにしないと、一昔前のように「見て覚えろ」なんてことは無理です。今は母親が台所で料理をしているそばで下ごしらえを手伝ったり、食卓の準備をしたりする子供はほとんどいません。旅館でお客様を迎え入れるには、まずは、そこから教育しなければならないのです。

 内藤:長く勤めてもらうためにどのような努力をされていますか。

 齊藤:さまざまな評価基準の中で、スタッフがランクを上げていくことも、モチベーションを上げる大きな動機となっています。

 ――時代の空気感を読み、その時代に合ったニーズを提供する嗅覚はどのように磨かれていますか。

 齊藤:それは、旅をすることです。旅をしてサプライズを受け、そのサプライズを自分のものにすることです。そして実行することです。旅をして感銘を受けたら、宿に帰って1つでも実行する。本を読んだら、すべてをやろうとするのではなく、1つでも実践してみる。そのようにして、お客様が感激したアイテムを1つずつ増やしていく。この積み重ねだと思います。

 内藤:経費を投資と捉え、どう回収していくか。経費なら減らせばいいが、経費を投資と判断するならば、どう回収するかという考え方ですね。

 齊藤:経費と捉えれば、どんどん削っていき、チープ化していきます。そうではなく、削らずにお客様が感動したり、喜んでくれたりして、また来てくれればいいのであって、100円をケチったために、1万円を得ることを逃すようなことはしない方がいいと思っています。

 内藤:10%を利益として取って、残りの90%をどうお客に返すかということを考える発想が大事で、多くの経営者はお金をどう取るかを考えがちです。労働生産性も同じで、1分、1秒かけた時間とお金を、どう回収するかという観点が要諦なのです。それを、「人件費は経費だから安くなればいい」などと思わないで、投資であり、どう回収するかという視点がとても大事だと思っています。

 齊藤:まったくおっしゃる通りですね。

 ――ありがとうございました。

※ 詳細は本紙1644号または10月6日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

“ヘタ”な温泉よりも… ― 清冽な湧水が多くの人をひき寄せる

 個体差について考えることが多々ある。例えば、山に棲むヘビの行動範囲に個体差がどれくらいあるのかなど、どうでもいいことを寝しなに考え出す。すると眠れなくなり、深夜にネットで調べたりする。また、公園のベンチで日向ぼっこなどをしているときに、足元にいる右のハトと左のハトはまったく同じように見えるが、運動能力や、知能に大きな開きがあるのだろうかと疑問に思うこともある。

 動物はさておき、人間の行動範囲に関しての個体差はとても大きいのではないかと感じる。世界一周旅行を楽しむ人や、生涯放浪し続ける人もいる。将来、宇宙旅行のリピーターも現れるだろう。一方、自分の家や部屋が大好きで、「不慣れで不便な場所をあえて旅する気にならない」と、旅に一切関心のない人たちも、少なからずいる。どちらがいいとか、悪いとかの問題ではなく、同じ人間でこれほどまでに行動範囲が2極化している状況が面白いと思う。

 旅好きにとって、海外旅行は国内旅行では味わえない楽しさがあり、刺激的である。その反面、治安や食事などは、普段の生活よりも注意が必要だ。食事の度に「この料理を食べてもお腹を壊さないか」といったことを気にしながら口にしなければならない。水道の水はほぼ飲めないし、氷も危険だ。それら一つひとつが、目に見えないストレスとなる。このため、海外旅行から帰った直後に国内旅行をすると、水や食についての大きな安心感に気づき、心身ともにリラックスできる。

 国内旅行の楽しみでは、その土地の料理を食べることや、温泉も人気が高い。私自身も温泉が好きなので、旅先の宿泊施設に温泉宿を利用することが多い。人気の秘湯や、歴史ある温泉にも訪れた。名の知れた多くの名湯は「やっぱり素晴らしい」と感じたが、残念に思うことも同じくらい経験した。

 あるとき、日本を代表する温泉に感慨深く浸かっていると、地元のおじいさんが入って来きて、入れ歯を外し、湯船の注ぎ口で、慣れた手つきでごしごしと洗いだした。私は反射的に湯船から出ていた。

 これは、極端な例だが、温泉で首を傾げてしまう場面を数多く見てきた。入浴する側のマナーに問題が多すぎるのだ。今は温泉への熱意は、一時期ほどではない。一方、温泉が出ないため、タンクローリーで遠くから温泉を運んで来て、数日間循環を続けている施設もある。塩素消毒をしっかりとやられているのだろうが、私はあまり心が誘われない。

 日本は古くから温泉の恩恵を大きく受けてきた。病や傷を癒してくれる温泉だが、現在多くの温泉施設が提供する温泉の状態が、古来の自然に湧き出た温泉と同じ環境とは言い難い湯もあるのは確かだ。無条件に温泉をありがたがり、泉質もさまざまなのに、温泉というだけで体に良いと過信してしまっている傾向がある。信仰と言ってもいい。このため、温泉偽装などの問題も出てきてしまう。

 “ヘタ”な温泉よりも、清冽な湧水を加温したお風呂の方に魅かれる。水が清らかな地域は食べ物も安心だし、空気もきれいだ。大きな観光名所がなく、温泉が出ない土地であっても、悲観する必要はない。もし、そこに豊かな自然と、清らかな水があるのならば、多くの人をひき寄せる時代がきっと来ると思う。

(編集長・増田 剛)

来場者数18万人突破、17年から次なるステージに(ツーリズムEXPOジャパン2016)

テープカットで開幕
テープカットで開幕
 田川博己会長(記者会見にて)
田川博己会長(記者会見にて)

 日本観光振興協会(山口範雄会長)と日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)は9月22―25日、東京都江東区の東京ビッグサイトで「旅は変える。人生を。世界を。」をテーマに「ツーリズムEXPOジャパン2016」を開いた。国内外から過去最多の1662コマの出展があり、来場者数は18万5800人となり、目標の18万5千人を上回った。

 22日朝に行われた主催者会見でJATAの田川会長は、ツーリズムEXPOジャパンの今後について語り、〝ホップ・ステップ・ジャンプ〟の3年間を終え、海外・国内・訪日旅行の一体のイベントとしてさらに発展させていくために、次なるステージに入る2017年からは、日本政府観光局(JNTO)、日本観光振興協会、JATAの3者による「新の三位一体型のイベント」として発展させていく旨を報告した。また、開催地として17年と18年は従来通り東京で開催を予定しており、東京五輪およびラグビーワールドカップの関連で東京ビッグサイトの利用ができなくなる19年、20年は東京以外で開催を予定している。

 22日午後から行われた開会式では冒頭、田川会長があいさつし、「ホップ・ステップ・ジャンプの3年目を迎え、このEXPOも三位一体の包括的なイベントとして、世界を代表する大きなイベントになってきた。この先の4年間では、国内については地域の魅力を送り込むDMOの役割を強化し、訪日の商談を意識したものに進化させていく」と述べ、三位一体での統合効果について強調した。続いて、国土交通省の石井啓一大臣から祝辞が述べられ、「ツーリズムEXPOジャパンを機に、九州地方への旅行需要の回復や、東北地方の観光復興が促進されて欲しい」と期待の声が寄せられた。

彫刻屋台
彫刻屋台

 その後、日観振の山口会長のかけ声のもと代表者らによる、開会を宣言するテープカットが行われ、世界最大級となる旅フェアの幕が上がった。開会式終了後、「輝き続ける日本、そして世界―インバウンド4000万人時代の交流大国を目指して」をテーマに、国連世界観光機関(UNWTO)事務局長のタレブ・リファイ氏らによるパネルディスカッションが行われ、観光の持続可能な成長の実現について、参加者が改めて考える場となった。

 同日夜に行われた、「ジャパンナイト」には、パーティーに菅義偉内閣官房長官も駆けつけ、イベントの成功を願い、祝辞を述べた。また、日本橋中央通りには、「鹿沼秋まつり 彫刻屋台」が登場し、その迫力に魅了された。

 なお、来年は9月21―24日に「ツーリズムEXPOジャパン2017」を予定している。

ジャパンナイトパーティーでの鏡開き
ジャパンナイトパーティーでの鏡開き

次期部長に西村総一郎氏、「観光の未来を創る」(全旅連青年部)

次期部長に西村総一郎氏、「観光の未来を創る」(全旅連青年部)
桑田雅之部長(左)と西村総一郎次期部長

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(桑田雅之部長)は9月15日、東京都内で臨時総会を開き、政策担当副部長の西村総一郎氏(西村屋社長)の2017―18年度青年部長選任を全会一致で承認した。今回の部長選挙は7月1日に公示され、同月22―29日正午までの期間に立候補したのは、西村氏のみだった。

 西村氏は所信表明で「観光業を牽引していくのは私たち青年部。厳しい前途が見えるなかで、さまざまな課題を自分の事と捉え、しっかりとこの国のため、社会のために活動を続けていこう」と語った。青年部長として取り組む6項目に(1)人材に関する取り組み(2)国の観光政策立案への積極的な関与(3)組織および国内ネットワークの強化(4)インバウンドおよび海外ネットワークとの関係強化(5)ITを活用したソリューション開発(6)経営者としての能力向上――を挙げ、課題解決に向け行動していくと宣言した。

 人材に関する取り組みでは、旅館・ホテルの人材不足が深刻であるとし、「外国人技能実習制度」を宿泊産業に導入することを業界全体で考えていきたいとした。

 ITを活用したソリューション開発では、「宿泊業界の生産性が低い」と言われている現状を踏まえ、ハードウェアの導入に加え、「ソフトウェアの開発が、戦略構築や生産性向上につながる可能性がある」と強調した。

 最後に西村氏は、「変わらないために変わること」の必要性を語り、「観光業は、この国の未来を支える大きなシェアを占めている。観光の未来を創るのは私たち。力を合わせてこの国の未来のために力を注いでいきたい」と締めくくった。

 桑田部長は、業界を取り巻くさまざまな課題に全青年部員がスクラムを組んで取り組んできたことを振り返り、次期青年部長に選任された西村氏と握手を交わした。また、民泊問題に触れ「我われの統一見解をしっかり示さなければならない。民泊問題は、責任を持って自分の任期中に収めたい」と語った。 

 西村 総一郎氏(にしむら・そういちろう)1974年8月7日生まれ。42歳。97年に早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、アサヒビールに入社。2000年西村屋(屋号西村屋本館・西村屋ホテル招月庭)に入社、11年11月に代表取締役社長に就任。青年部では、01―02年度に組織活性化委員会副委員長、15―16年度に政策担当副部長を歴任。

新潟県の石「ヒスイ」が国石に

 日本鉱物科学会は9月24日、金沢市で行われた総会で「日本の石(国石)」に“ヒスイ”を選定した。自然金や水晶など5種類の候補から、会員による投票で決定した。

 日本では、古代縄文時代の遺跡からヒスイを加工した勾玉などの装飾品が発見され、日本の宝石の原点と言われている。ヒスイは新潟県糸魚川地域が最大の産地で、宝石になるような綺麗なものを多く産出している。それゆえ、糸魚川市が2008(平成20)年に市の石に選び、今年5月には日本地質学会が新潟県の石に選んでいる。

 糸魚川市観光協会は11月18―20日、東京の表参道・新潟館ネスパスで観光物産フェアを開く。ヒスイの産地ならではの宝飾品なども並ぶので、好みの「日本の石」を探しに立ち寄ってみてはいかがだろうか。

【長谷川 貴人】

日本は売上8倍に、掲載数1万軒目指す(ブッキング・ドットコム)

ジェームス・ホワイトモア氏
ジェームス・ホワイトモア氏

 ブッキング・ドットコム・ジャパンはこのほど東京都内で、日本におけるビジネスの事業戦略説明会を開いた。同社のデータによると、2012年から15年の北アジア地区の市場で、日本の売上は8倍以上と最も高い伸長率だった。国別の人気渡航先順位も32位から8位に上昇。また日本における掲載施設数は、昨年の夏時点で6800軒だったが、今年の夏で約30%増え8800軒となった。勢いを増す日本で事業強化を推進し、年内に掲載件数1万軒を目指す。
【平綿 裕一】

 「北アジア地区は面白いトレンドがある」。北アジア地区統括リージョナル・ディレクターのジェームス・ホワイトモア氏は、香港や台湾、韓国などで事業が伸びるにつれ、この国々から同社を介して日本の予約をする人が増えたと説明。この結果、日本への送客が増加している。今年上半期国籍別の訪日客割合は、中国が15%、台湾が12%、韓国が7%、タイが5%でアジア地区が全体の約4割を占める。

 同氏は「今後はアジアからのリピーターが増える」と予想。日本の文化や社会、言語に精通し、ゴールデンルート以外の観光地を訪れる機会が増すとした。これらを踏まえ、「さまざまな地域、施設、そしてニーズに応えられるように営業を強化する」と述べた。

 一方、日本からの渡航先はパリ、ロンドンが人気だったが、現在は国内旅行がそれらを上回る。また、国籍別の訪日客割合で、日本は全体の約30%と1番高い割合。同氏は「日本人が国内旅行にブッキング・ドットコムを利用していることがよく分かる」と解説した。

 日本人利用者が増える一因が、初の試みとなるテレビCMキャンペーンだ。昨年の夏に始め、ブランド認知度向上は開始前から2倍以上となり、継続して上昇傾向をみせる。同氏は「昨年は我われにとって飛躍の年だった」と振り返った。

 さらに、新たなTVCMキャンペーンを製作。テーマは「情熱」。第1弾はフードLover篇で、スポーツLover篇と温泉Lover篇が続く。同氏は「それぞれ個人が情熱を持って旅行している。この情熱を大切にしたいという願いを込めた」と製作の想いを述べた。

 また、同社は事業促進だけでなく客のサポートも充実させている。

 今年1月、カスタマーサービスセンターを東京・大崎に開設した。同オフィスを増床し、コールセンターの職員数も大きく増やした。日本語と英語、中国語、韓国語、タイ語など、多言語でサポート。同氏は「これにより日本語は365日、24時間、サポートできる。国内だけでなく、海外からも日本語で対応が可能だ」と盤石な体制を示した。

アダム・ブラウンステイン氏
アダム・ブラウンステイン氏

 続いて、今年7月に日本地区統括リージョナル・マネージャーに就任した、アダム・ブラウンステイン氏が登壇。

 8月に国内の掲載施設が8800軒を達成。年内に1万軒の掲載数という目標に対し、同氏は「あくまでも通過点。その先にまだまだ伸びる沃野がある」と意気込みを語った。加えてこれからは、「人材がカギとなる」とした。

 同社は海外展開で成長を遂げてきたが、一方で地元地域に軸を据え、掲載施設と連携を密にしている。営業所は東京と大阪、札幌、福岡にある。日本各地に拠点を置き、昨年の11月には沖縄支店を開設した。

 沖縄支店は掲載施設に対して初めに、多大なデータやトレンド、分析結果を理解してもらう活動を実施。掲載施設からは「観光のトレンドやインバウンド、国内旅行者に対する理解が深まった」など多くのフィードバックが集まった。同社は沖縄支店の成功を踏まえ、今後は全国に支店を設置していく。さらに日本事業の成長要因に(1)顧客のニーズに応える(2)掲載施設のニーズに応える(3)日本市場の成長――の3つを挙げ、すべてでバランスが重要だとした。

 日本市場が成長すると、全国の施設の数や品質、種類も充実する。これにより、日本の事業がますます促進され、同社の掲載している施設の数や品質、種類も相対的に増やすことができる。同氏は「ただ掲載施設を増やすだけでなく、施設の種類は顧客志向でありたい。さまざまなデータを収集、分析し、ニーズに応えていく」と語った。

 また、民泊の関心が国内外で非常に高いことも報告した。「民泊もバランス良く考えたい。政府と良好な関係で、法令を遵守してビジネスをしていく」と堅実な姿勢をみせた。最後に、日本の市場がまだ伸びる可能性があることや国内の利用者からの信頼も得ているとこを踏まえて、「日本にはこれからも投資をしていく」と強調した。

“学生交流を地域交流へ”、観光プランコンテスト実施(松江市観光振興公社)

独自のプランを発表
独自のプランを発表

 松江城(島根県松江市)のお堀で遊覧船事業などを行う松江市観光振興公社は9月6日、若者の視点で新しい松江観光を探ろうと、愛知県名古屋市の椙山(すぎやま)女学園大学で「松江観光プランコンテスト」を開いた。

 公社では昨年12月、島根大学と県立短期大学部の学生計15人で学外サークル「みんなの堀川委員会」を設立。ワークショップや乗船体験などを通して、松江の歴史・文化を深く学ぶ取り組みを実践している。この活動が、松江市の外部委員も務める椙山女学園大学の齊藤由里恵准教授の目に留まり、今回地域を超えた学生交流が実現した。

 コンテストでは椙山女学園大学現代マネジメント学部で公共経済学を学ぶ3年生9人がそれぞれ、松江の観光素材を盛り込んだ独自のプランをプレゼンテーション。コンテストに賛同した中部経済連合会や日本政策投資銀行の幹部のほか、堀川委員会のメンバー3人も審査委員に加わり、最優秀賞には堀川遊覧船などを活用したお見合いツアーの「恋よ来い!一期一会ツアー」が選ばれた。

表彰後の記念撮影
表彰後の記念撮影

 一連の事業の仕掛け人で、公社の乙部明宏専務理事は「半分近くのプランに松江城が出てこないのが驚きだった。従来の考え方では若い女性のニーズと少なからずミスマッチがあるのだろう」と話す。

 今後の展開についてはコンテスト上位入賞者を松江に招待し、堀川委員会の学生と交流を加速させる。さらに松江観光協会ではプランの旅行商品化に向け検討を進める。

 乙部専務理事は、フジドリームエアラインズの出雲―名古屋間の増便や松江市と愛知県大口町との姉妹都市提携なども念頭に、「学生交流を地域交流へ広げていきたい。中部圏は1700万人の市場。その意味で今回中部圏の経済界の賛同が得られたのは大きい」とコンテストの意義を強調する。

ぴーすくる女子求む、観光レンタサイクルをPR(ツアーズ広島)

山田智浩社長
山田智浩社長

 広島県広島市の観光総合案内所ツアーズ広島は8 月24日、本紙を訪れ、同市中心部に設置したサイクルポートで、自由に貸出返却ができる、観光レンタサイクル「ぴーすくる」をPRした。来社したのはツアーズ広島の山田智浩社長。

 ぴーすくるは(1)観光客へのおもてなし度向上(2)観光利用と市民利用との融合(3)地元との連携と地域活性化――を目的とし広島市の委託事業として、2015年2月から開始した。事業開始から1年半経った現在、外国人による利用も多いという。広島市には、原爆ドームなど自転車で訪れることのできる場所が多いため、自転車の周遊コースなどを案内することで、観光客の行動範囲拡大を目指している。

 訪日観光客やビジネスで同市を訪れている人たちにとって、最寄の場所までのバスでの移動は、バスのルートや、降車停留所などが分かりづらい部分が多いため、今後はビジネスパック利用者などへのサービス拡大を目指す。山田社長は、「カープ女子ならぬ、〝ぴーすくる女子〟を早く結成して、しっかりPRしていきたい」と語った。

 料金プランは、1日パスで、税込1080円。貸出時間は午前7時―午後11時までで、返却は利用当日の午前零時まで可能。また、交通系ICカードや、おサイフ携帯を持っていれば、それらをカギとして利用することができる。そのほか1日パスのほかに、月額会員プランなど、各種会員料金プランを設けている。詳細は「ぴーすくる」(http://docomo-cycle.jp/hiroshima/)まで。

竹を使ったアクティビティ、群馬県・みなかみ町体験旅行

ライフジャケット着用で、はしゃいでも安心(撮影:内田晃)
ライフジャケット着用で、はしゃいでも安心(撮影:内田晃)

 みなかみ町体験旅行(入内島芳崇代表理事、群馬県利根郡)は9月11日、「バンブーキャンプ」をみなかみ町にある洞元湖の湖畔で行った。旅行会社やメディア関係者を対象としたモニターツアーで、今後の商品造成に向けフィードバックを得るのが目的。参加者は大人8人、子供2人。

 「バンブーキャンプ」とは、天然の竹を使って「つくる」と「食べる」「遊ぶ」を、参加者が協力して楽しむもの。当日は、竹を使った筏や器、箸づくりなどが行われた。参加者は、つくった筏で湖に漕ぎ出したほか、竹の箸を利用して流しそうめんを食するなど、竹を利用したアクティビティを満喫した。

 筏づくりでは、パラグライダーインストラクターでもある小林晋リーダーのもと、長い竹をノコギリで裁断して結わうなど、参加者は一致団結して作業に取り組んだ。大人の指導や手助けがあれば、子供でも無理なくつくることができ、林間学校で訪れた小中高生らにも好評を博している。

手作りでも、“本格的”な流しそうめんが楽しめる
手作りでも、“本格的”な流しそうめんが楽しめる

 完成した筏を湖に浮かべ、大人4人で試乗。不安定ながらも、一丸となって漕ぐと、筏はぐんぐん沖へ進んだ。ライフジャケットの着用やインストラクターによる丁寧な指導など、安全面での配慮が厚く、転覆などのハプニングも楽しい。林間学校など大人数での参加時には、プールを目一杯利用しての宝探しゲームなども体験できる。

 流しそうめん用の汁を入れる器や箸づくりでは、竹が割れないよう工夫するなど、作業を通じて竹という素材の性質を学ぶことが可能。そうめんを流すために用いる台も、参加者による手作りで、金槌となたを利用して竹の節を取るなど、普段味わえない体験ができる。

 受け入れの多くを、都心の中学生や小学生、高校生が占め、林間学校や修学旅行など参加者は年間で1万人(15年度実績)を超える。海外からの参加はおよそ10%。みなかみ町体験旅行では一般向けツアーの企画も行っており、現在、冬に向け造成している最中。雪に焦点を据えたものになる予定だという。
【謝 谷楓】