じゃらん、まるで別世界!首都圏イルミネーションランキング発表 1位は「あしかがフラワーパーク『光の花の庭』」

2022年11月25日(金)配信

じゃらん まるで別世界!首都圏イルミネーションランキング

 リクルート(北村吉弘社長、東京都千代田区)が発行する旅行情報誌「じゃらん」は11月24日(木)、今冬の首都圏近郊で開催が決定している「イルミネーション」に関するアンケート結果を発表した。「じゃらん まるで別世界!首都圏イルミネーションランキング」では、1位に「あしかがフラワーパーク『光の花の庭』」(栃木県)が輝き、2位は「さがみ湖イルミリオン」(神奈川県)、3位に「HIBIYA Magic Time Illumination 2022」(東京都)が選ばれた。

あしかがフラワーパーク「光の花の庭」(写真はイメージ)

 同社によると、1位の「あしかがフラワーパーク『光の花の庭』」は、春には藤棚が咲き誇る人気のテーマパークであり、「日本三大イルミネーション」にも認定されるなど、最新技術が生んだ花と光の芸術はまさに別世界のような美しさを放っている。続く2位「さがみ湖イルミリオン」は、空から眺める体験型イルミネーションが充実し、スケール感あふれる光の演出が楽しめる遊園地。3位には、日比谷の街を幻想的に包み込む街中イルミネーション「HIBIYA Magic Time Illumination 2022」がランクインする結果となったと述べている。

 このほか、4位は「よみうりランド ジュエルミネーション(R)」(東京都)、5位が「東京ドイツ村ウインターイルミネーション2022-2023 Fun!-光る笑顔に福来たる-」(千葉県)、6位に「ヨルノヨ-YOKOHAMA CROSS NIGHT ILLUMINATION-」(神奈川県)、7位は「時之栖イルミネーション2022-2023『ひかりのすみか』」(静岡県)、8位が「東京メガイルミ 2022-2023」(東京都)、9位に「湘南の宝石2022-2023」(神奈川県)、10位は「東武ワールドスクウェア ナイトミュージアム『世界の夜あそび』」(栃木県)。

 調査は2022年10月21日(金)~24日(月)まで、関東1都6県在住の20~50代を対象にインターネットで実施した。有効回答数は1082人。

プラザクリエイト 「アルプスBASE」オープン 飯島町にグランピング施設

2022年11月25日(金)配信

アルプスBASEの4つのドーム型テント

 写真サービスのパレットプラザなどを展開するプラザクリエイト(新谷隼人社長、東京都中央区)は、10月4日に長野県・飯島町で初となるドーム型グランピング施設「アルプスBASE」を開業した。9月30日―10月1日には、地元関係者やメディア向けのオープニングイベントとして体験会とレセプションが行われた。

【古沢 克昌】

 オープニングイベント【1日目】施設内見学では、2つのアルプスが一望できる千人塚公園の中に建てられた4つのドーム型テントを公開した。冷暖房完備のテント内には、ベッド2台とエキストラベッド(布団)が2台あり、4人まで宿泊可能。グランピング初心者や家族連れにも安心の室内で、参加者からは「広々とした快適な空間で子供も連れていけそう」「インテリアもおしゃれで素敵。公園の中にいるのを忘れてしまうくらい、ホテルのような綺麗さ」などの声が上がった。

冷暖房完備のドーム型テント内

 アルプスBASEでは、千人塚公園の豊かな自然を満喫するアクティビティを用意。今回はSUP、ニジマス釣りを体験した。参加者からは「初めてのSUP体験だったが、インストラクターの丁寧でユーモアたっぷりな指導のおかげで楽しく体験できた」「綺麗な風景の中で、水の音を聞きながら行うSUPは日々の疲れを癒す最高の時間になった」という感想が聞かれた。釣り堀ではニジマス釣りを体験し、釣った魚は夕食時に提供された。

 夕食を囲んで行われたレセプションでは、アルプスBASEを手掛けたプラザクリエイトの新谷社長が「地域の方々など多くの人に助けていただきながら開業を迎えることができた。この町の良さをたくさんの人に知ってほしいという強い気持ちを持った飯島町の皆様となら、より良い施設ができると確信し、この事業をスタートさせた。アルプスBASEが思い出の広場となり、明日への活力となることを願っています」とあいさつした。

 また、飯島町の下平洋一町長も登壇し「待ちに待ったグランピング施設がいよいよオープンします。2つのアルプスに囲まれた飯島町には自然の豊かさに加えて、この地に住む人の温かさという魅力があります。四季を通じてさまざまなプログラムを体験していただき、飯島町の魅力を存分に感じてもらいたい。ここアルプスBASEから『まじいい、いいじま』を日本全国に発信して参ります」と意気込みを語った。

 夕食では、日本アルプスから流れる清流で育った川魚や地元野菜、信州プレミアム牛など地元産の食材を使用したBBQメニューを提供。地元農家からの旬な野菜、地元の方が作ったジビエ肉のソーセージなど、地産地消にこだわった。また地元のおばあちゃん直伝の五平餅はクルミ・餅・味噌、すべてが自家製。シェフは「ゲストには、アルプスBASEに宿泊するだけではなく、食を通して飯島町や地元の店舗のファンになってもらいたい。地域みんなでつくるアルプスBASEを目指している」と話した。

 【2日目】朝食では、こだわりの地元の食材を贅沢に使った朝食を提供。四季折々の旬の食材を味わってほしいという思いから、季節や気温に応じてメニューを少し変えている。朝食で使用するカンパーニュは千人塚公園近くにあるベーカリー「自然酵母パン チョコタン」から提供。店主は「生地作りから焼き上がりまですべてにこだわっている。天然酵母と米麴を使用することで、もっちりとして甘みがある。たくさんの人に地元のおいしい食材とパンを味わってほしい」と語った。

 アルプスBASEは千人塚公園キャンプ場(長野県上伊那郡飯島町七久保3017―107)に位置する。キャンプ場までは山道はなく舗装された道路で移動ができる。  宿泊価格は4人1室で大人1人当たり1万2980円から(季節によって変動あり)。

NAA、国際線が20年2月以来100万人超え 個人旅行解禁など措置緩和で

2022年11月24日(木) 配信

田村明比古社長

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)が11月24日(木)に発表した2022年10月の航空発着回数は、前年同月比26%増の1万5030回、旅客数は同209%増の165万7978人だった。国際線旅客数は同517%増の103万9116人と、20年2月以来、100万人を超えた。

 1日当たりの入国者数の上限撤廃や、訪日外国人観光客の個人旅行解禁、3回以上のワクチン接種証明書で出発前72時間以内の陰性証明の提示不要など日本入国時の水際対策が緩和されたことが主な要因。

 国際線旅客のうち、日本人旅客数は同591%増の29万8828人。外国人は同632%増の43万3768人。19年同月比では日本人旅客数が75%減と同年9月比の79%減から復した。さらに、外国人も19年10月比71%減と同年9月比83%減から増えた。

 国内線は全国旅行支援の開始など旅行マインドの変化で、発着回数が前年同月比64%増の4559回、旅客数は同68%増の61万8862人と過去最高となった。

 田村社長は航空会社へのヒアリングの結果として、「訪日需要は年末年始を中心に増加しているが、日本人は円安のため観光需要は想定以上に回復していない」と話した。

国内コロナ前超え 国際前年比612%増

 11月1日(火)~19日(土)までの国内線発着回数は前年同期比42%増の2650回。19年同期比では、同1%増とコロナ禍前を超えた。国際線は、旅客数が前年同期比612%増の27万8000人。19年同期比68%だった。   

 田村社長は「国内線をはじめ、国際線も回復基調は続くだろう」と語った。

Z世代から見たロケ地ホテルのさらなる活性化策の提案、目白大学牛山ゼミがホテルスプリングス幕張で

2022年11月24日(木) 配信

さまざまなプランをまとめた

 目白大学メディア学部メディア学科の牛山ゼミは11月22日(火)、ホテルスプリングス幕張(金田幸二総支配人、千葉県千葉市)でZ世代から見たロケ地ホテルのさらなる活性化策の提案を行った。

 2年生が10月11日にホテルを見学、その後1カ月掛けてまとめたプラン案を発表した。

  1つ目のグループはホテル発着はとバスツアーを提案した。ホテルとの関わりが深いアイドルや芸能人のロケ地を3カ所巡る内容で、前泊、後泊した参加者にはツアーの割引券をプレゼント。ホテル発着のバスツアーが珍しいため、メディアを通じての露出が増え、ホテルの知名度も上がるのではないかと予想する。

 2つ目のグループはAR(拡張現実)スタンプラリーの実施を企画した。ARを取り入れることで、推しとの記念撮影を楽しめる仕掛け。また、スタンプラリーとして実施することで回遊性を高め滞在時間の延長をはかり、満足度の向上も目指すほか、館内消費につながる特典づくりについても言及した。

 3つ目のグループはホテルの売り上げ向上と新しい顧客の獲得を目指す「ホタ活」を考案した。ホタ活は若者の間で流行している「ホカンス」とオタク活動を組み合わせた造語で、10~20代のオタクに現在営業を休止しているメインバー「ヴィオレ」をノンアルコールバーとして営業。撮影作品とコラボレーションしたノンアルコールカクテルなどを提供し、ロケ地としても使われるレトロなバーでのホカンス体験を提供する。

 3グループの発表を受け、金田総支配人は「メディアを活用した集客やホテルの売り上げを伸ばす企画を考えてもらえた」と感想を述べた。また、両者の出会いのきっかけとなったロケーションジャパンの田島潤氏は「データの裏付けがあり、参考になることも多かった」と語った。

 発表を終え、2年ゼミ長の沼倉直美氏は「ホテルの思いを大切にすることと、プランを実行するうえで負担になることが少なくなるよう意識した」と語り、「今回の経験が今後の学びに生きる」と力を込めた。

 一方、牛山教授は「学生の力でロケ地を活用した地域活性化に貢献できればと考え、ホテルの皆様にご協力いただき今回の授業を行いました。学生たちが1カ月色々なことを調べ討論してきた今回の発表は、この学部で学んできたことを生かせていたと思いますので、是非提案のどれかをホテルで採用していただければ嬉しいです」とコメントした。

日タイ観光セミナー開催 岸田首相による観光再始動の号令

2022年11月24日(木) 配信

観光庁HPから

 観光庁と日本政府観光局(JNTO)、日本旅行業協会(JATA)は11月19日(土)、タイ国政府観光庁の協力のもと、バンコクで日タイ間の観光旅行の回復促進のためのプロモーションイベントを開いた。

 セミナーには日本とタイの政府関係者や観光関係者、旅行会社、航空会社、メディア、インフルエンサーなど約220人が参加した。

 冒頭、岸田文雄首相が「観光再始動プロジェクト~Open the Treasure of Japan!」が開始したことを発表。「各地で特別な体験、非日常の魅力を準備して来訪をお待ちしている。日本でお会いしましょう」と会場に呼び掛けた。

 会場では、観光再始動事業に関わるパネルが設置され、岸田首相とタイのピパット・ラチャキットプラカーン観光・スポーツ大臣に対し、兵庫県の清元秀康姫路市長が姫路城の特別公開などについて説明した。

 ピパット大臣は、「観光とは橋のようなものであり、観光のため互いに訪問し合うことは両国間の発展のためには欠かせないもの」と認識を示した。

23年の旅行トレンドは「ノーノーマル」な旅(エクスペディアグループ調べ)

2022年11月24日(木)配信

(左から)韓国観光公社東京支社の大木沙耶氏、エクスペディアグループリテール日本統括ディレクターの木村奈津子氏、台湾観光協会東京事務所副所長の陳淑華氏

 エクスペディアグループは11月22日(火)、東京・赤坂で「エクスペディアグループ2023年の旅行トレンドに関するメディアラウンドテーブル」を開いた。同グループリテール日本統括ディレクターの木村奈津子氏が23年の旅行トレンドに関する調査結果を発表。アジア圏の旅行推進に関する取り組みを発表したほか、韓国観光公社東京支社の大木沙耶氏、台湾観光協会東京事務所副所長の陳淑華氏が出席し、各国の現況やおすすめスポットを紹介した。

 同調査は、旅行経験があり今後3年以内に旅行の予定がある日本を含む世界17地域、18歳以上の男女2万4000人を対象にインターネットで9月22日(木)~10月14日(金)まで実施。合わせて、同グループが保有するデータに基づき、調査結果を取りまとめた。木村氏は23年の旅行について、コロナ禍で定着した「ニューノーマル」から、各自が型に捉われず自由な旅行を楽しむ「ノーノ―マル(No-Normal)」に定義される1年になると示した。加えて、同調査から見えてきた23年の「ノーノ―マル」な旅行トレンドの詳細について説明した。

新たな旅行トレンド、「ノーノーマル」な旅

エクスペディアグループが調査した23年の旅行トレンドを紹介する木村氏

 同グループの検索実績に基づくランキングによると、世界の人が23年に訪れたい都市の1位はエディンバラ(スコットランド)、2位がリスボン(ポルトガル)に続き、3位に東京(日本)がランクイン。コロナ禍で移動が制限された直近2年間は、国立公園や自然豊かな地域への旅行が注目されたが、再び文化の中心地である世界の大都市の人気が高まっている。

 旅行先を選ぶ際は、ストリーミングサービスの影響で選ぶ人が増えたことも分かった。世界では66%、日本は44%が「ストリーミングサービスの影響で旅行先を選んだり検討したりした経験がある」と回答。コロナ禍により家で過ごす時間が長くなり、ストリーミングサービスの番組や映画を見る機会が多かったことが要因と考える。

 心や体の健康を意識したウェルネストラベルについて、世界では46%、日本は33%の人がコロナ禍で「興味が増した」と回答。コロナ禍がもたらした日常生活の変化が、ウェルネス(健康)への考え方に影響していると見ている。

 23年に選びたいホテルについては、世界では27%、日本は38%の人が「3つ星ホテルを選ぶ」と回答し、日本では半数を超える54%が「1つ星~3つ星」を選んだ。一方で、旅行するとしたら「コストパフォーマンスで選ぶ」が55%と、世界17地域の中で最も多い割合と明かした。費用は抑えつつも、自分の好みに合ったホテルや良い宿泊体験のできるホテルを探していると伺える。

海外旅行のトレンド、予約・検索から見る

 22年1~9月でエクスペディアの海外旅行の予約推移を見てみると、1月と比べて9月時点で予約件数が約9倍に増加。水際対策の緩和などに伴い、海外旅行の需要が戻っていると分かった。海外に焦点を当てた検索・予約ランキングによると、アメリカの都市(ホノルル・ニューヨーク)は検索数に対して予約件数が少なく、アジア(バンコク、ソウル)は検索から予約にそのままつながっている傾向にある。

 また、22年10月末時点の検索ランキングには、9月まで入っていなかった台北(台湾)が5位にランクイン。検索数の推移を見てみると、1~10月で約6.5倍、9~10月で約2倍に倍増。ビザなしでの渡航が解禁されるニュース後、すぐに多くの旅行者の感心を集めた結果と説明した。

韓国・台湾旅行PR、ビザなし渡航可能に

 会の後半、韓国観光公社東京支社の大木氏は、11月から韓国へ無期限で日本人のビザなし渡航が可能となったとPR。渡航の際、新たに導入された電子旅行許可制度「K-ETA」や、検疫情報事前入力システム「Q-CODE」の登録・申請をお願いした。そして、ソウル市内やプサンでの最新の人気観光地、観光の人気音楽グループ・BTSの聖地巡礼、グルメトレンドなど韓国旅行の最新情報を紹介した。

 台湾観光協会東京事務所副所長の陳氏は、9月29日(木)から日本人のビザなし渡航が可能となり、10月13日(木)からは隔離検疫義務も撤廃し、日本での観光再開の記念セレモニーや街頭プロモーションなどを展開しているとPRした。その後、23年2月5日(日)~19日(日)に開催する「台湾ランタンフェスティバル」や台湾グルメのほか、新景観スポットを巡るグリーンツーリズムやサイクリングロードを提案。新たな旅行形式として、「台北2階建てレストランバス」や観光列車「鳴日号」、台北と高雄を周遊する「台湾高鉄」をアピールした。

「平日にもう一泊」特設サイトオープン 各特典が検索可能に(観光庁)

2022年11月24日(木) 配信

平日にもう一泊CPイメージ(特設サイトから)

 観光庁はこのほど、「平日にもう一泊」キャンペーンの特設サイトをオープンした。同CPは、観光関連事業者と連携し、平日への旅行需要の平準化の促進に取り組む事業。特設サイトでは、平日のお得な旅行商品を旅行者が閲覧・検索することができる。

 同サイトでは、事業に参画している宿泊・旅行・交通事業者の取り組みを一元的に閲覧できる。また、食べる、遊ぶ・見る、もらえる、割引、その他──など特典ごとに検索が可能。特典の例として、サービスや割引券、アメニティプレゼント、アーリー・レイトチェックインなどを事業者ごとに用意している。

 観光庁では、全国旅行支援を旅行需要の平日への分散を推進する機会と捉え、同CPを通じて観光関連事業者と連携し、観光産業の活性化や地域活性化をはかる。

観光庁・文化・歴史資源活用推進室 遠藤翼室長に聞く 「活用」と「貢献」の2つの視点で観光庁が進める「文化財観光」

2022年11月24日(火)配信

遠藤翼室長

 観光庁は今夏、文化・歴史資源活用推進室を新設した。国内外で年々注目が高まっている「文化財」を活用した観光施策を立案する部署で、文化財の活用と保全、各地域で文化財を活用した観光の取り組みを進める人の支援を、関係省庁と連携して推進する。遠藤翼室長に、同部署が今後政策を進めるうえで指針とする「文化財観光」への考え方を聞いた。

 

 文化・歴史資源活用推進室は、観光地域振興部 観光資源課 地域資源活用推進室を「文化」と「自然」の2つの部署に分けるカタチで今夏新たに設置された部署です。今後外国人旅行者が再び増加すると予想されるなか、「自然」と「文化」、両コンテンツへの興味・関心もますます高まり、より注目される分野になるとの予測のもと、各分野の取り組みを深めていくために2つの部署に分けることになりました。

 

 私たち文化・歴史資源活用推進室の役目は、文化・歴史を我が国の非常に重要な観光資源と捉え、その保全と活用を進めることです。一口に「文化」といっても、国が指定する国宝や重要文化財のみならず、各地域の中で尊重されてきた文化や無形の風俗などその幅は広く、当然ながら、それらすべてを観光資源としての「文化・歴史」と認識しています。

 

 「私たちのまちには何もない」という人が多くいらっしゃいますが、「自分たちの地域が現代を生きる旅行者にとっての非日常の体験の場になっているか」を考えることが大切ではないでしょうか。観光客を呼び込める資源の「有無」という発想のみでは、見せるものや資金が無くなった時点で残念ながら観光資源に終わりが来ます。こうした発想のみならず、旅行者の日常を深く洞察することで、非日常である観光資源を浮かび上がらせることが、持続可能な観光の取り組みを進めるうえで大切だと私は感じています。

 

 また、サステイナブルやエコなど、今現在の社会的な課題から地域を見つめることで生まれる価値もあるはずです。これらを見定めれば、何もないと思っていたまちでも実は「非日常の体験の場」になりうるだけでなく、「社会的な課題解決を実践・実装する場」としての可能性があると気が付くことができるのではないでしょうか。

 

 もう一つ文化・歴史の活用をはかる際には、旅行者の文化・歴史に対する「貢献」を通じた満足度の向上を真剣に考えることが重要であると考えています。現状、我が国の文化・歴史を取り巻く現状は厳しく、人口減による担い手不足、厳しい予算制限、資材や技術不足などにより、全国で文化・歴史を守り維持すること自体、大変厳しい状況と認識しています。 

 

 私はこれらの課題を解決するキーワードの一つが、旅行者による「貢献」であると考えています。旅行者が観光を目的に訪れることで、地域の文化・歴史を「どう守るか」、「分かりやすく、かつ満足できるカタチでどう伝えるか」、「寄付・入館料などの金銭的な収入をどのように効果的に地域に還元できるか」、「伝統芸能などを披露する場として、地域に負担にならないカタチで整備する方法はないか」を真摯に議論する。その際、「活用したいカタチで活用する」という陥り易い課題に嵌まることなく、常に他者の目を良き刺激とすることが、より高品質な体験を提供につながると思います。

 

 政府は水際措置を緩和した10月11日、官邸で第16回観光立国推進閣僚会議が開催されました。その中で世界的な旅行需要の回復が見込まれる2025年に大阪で開かれる日本国際博覧会に向け、我が国の観光を持続可能な形で復活させるための新たな「観光立国推進基本計画」の策定を含め、観光立国の復活に向けた3点の取り組みを進めるよう関係官庁に指示が出されました。

 

 私たちも、このなかに示された政策のもと、これまで進めてきた多言語解説事業や歴史的まちづくり、サステイナブルツーリズム、受入環境整備などを進め、観光立国の復活、インバウンド需要の回復に努めていきます。

 

 また、インバウンド需要の回復にあたっては、新型コロナウイルス感染症の流行前、各地で問題となっていた「オーバーツーリズム」の解決も求められます。本来こうした現象が生じないことが最も適切ですが、ここでも地域に「どの程度貢献してもらうことが適当か」という議論に基づき、必要な取り組みを各地域で進めていただければと思います。観光業界は新型コロナウイルス感染症によって約3年間、苦しい状況に置かれました。だからこそ、アフターコロナの観光政策を考えるうえでは「訪れる人の数」を追うのではなく、「訪れる人がどれだけ満足し、地域に貢献いただけるか」をとことん突き詰め、それに向けた特別な取り組みを実行してほしいと思っています。

 

 この問題の解決策として「高付加価値な体験活動」を提供することが、有効な取り組みの一つであると考えますが、その有り様は多様であるべきとも考えています。「我が地域にとって、最も適切な高付加価値な体験とは何か」という問いに、真剣に答えていく必要があります。

 

 最後に、ここまで旅行者による「貢献」について指摘してきましたが、その趣旨は旅行者におもねることではありません。旅行者による「貢献」が行き過ぎると、旅行者のニーズに応えることが至上命題となり、本来保存すべき文化・歴史に悪影響が生じる懸念があります。

 

 両者のバランス・拮抗と質の高い議論、そして何より、結論を出して実行していく行動力にこそ、私たちはしっかりとした支援を行う。言うは易しではありますが、各地域で奮闘されている関係者の皆様とともに、より良い方向に向け、共に進んでまいりたいと考えています。

特別参拝・文化体験で 鎌倉各エリアを巡る

2022年11月24日(木) 配信

改修中の光明寺大殿

 鎌倉市観光協会と鎌倉旅館組合は今秋、市内3カ寺で特別参拝のモニターツアーを行った。

 「建長寺」と「光明寺」、「覚園寺」協力のもと、「非公開文化財の特別公開」や、「文化財である境内での鎌倉文化体験」を組み合わせたプログラムを用意。市を代表する老舗料理店の「鎌倉鉢の木」と、「鎌倉御代川」協力のもと、特別な参拝弁当も開発した。「〜いざ鎌倉!鎌倉版図(ハント)〜」事業をまとめる。

三門の特別拝観とけんちん汁も味わう

けんちん汁

 建長寺の特別拝観では、僧侶の案内のもと寺院を参拝し、けんちん汁を味わうプランを造成した。鎌倉五山第一位の格式を誇る「建長寺」は、1253年鎌倉幕府五代執権北条時頼によって創建された日本最初期の禅寺。特別参拝では、普段は非公開の「三門」を特別に公開、参加者は楼上に登り安置されている釈迦如来、十六羅漢、五百羅漢を拝観した。

 特別参拝では「三門」の特別拝観に加え、同寺本尊の地蔵菩薩を安置する仏殿や千手観音を安置する法堂なども解説を聞きながら参拝。

 その後、同寺開山(初代住職)の蘭渓道隆禅師が発案した、建長寺発祥の精進料理「けんちん汁」を楽しむ。けんちん汁は野菜を油で炒め、塩と醤油で味付けした豆腐の入った汁物。ある修行僧がうっかり落としてしまった豆腐を同禅師が丁寧に洗って汁の中に入れ大切に食したという逸話から、豆腐は崩していれるという。

修復のようすを間近で寺の歴史にも触れる

 光明寺は、浄土宗三祖然阿良忠上人が鎌倉幕府四代執権北条経時の帰依を受け1243年に創立されたとされる寺院。特別拝観では、19年から28年まで行われる保存修理工事中の大殿(本堂)の改修のようすを公開した。参加者は大殿を覆う素屋根の中で、建物の修復過程を見学した。

 このほか同寺での特別参拝では、観桜会や観蓮会などの際に公開される大聖閣や、釈迦三尊、四天王、十六羅漢を安置する山門などを僧侶の案内のもと同寺の歴史などを聞きながら巡った。

学びの寺院で 特別な文化体験

御守りづくり体験(覚園寺)

 覚園寺は1218年、北条義時によって建てられた大倉薬師堂を1296年、鎌倉幕府九代執権の北条貞時が、智海心慧律師を開山として真言・天台・禅・浄土の四宗を学べる道場とした寺院。

 この学ぶ寺である同寺では、「中世鎌倉の文化と現代の鎌倉文化」「鎌倉で生活する人と観光客」を結ぶ特別文化体験企画を実施した。参加者は「メーカーズシャツ鎌倉」が制作した御守り袋に鎌倉唯一の大佛師の奥西希生氏が、仏像を彫る際に彫落される「神聖な共木」作成した守り木札を入れる、自分だけの御守りづくりを体験した。

「市内回遊で」滞在時間延長へ

 10月14・21・26―27日、11月2日で行われた特別拝観特別参拝のモニターツアーは、観光庁の「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」の支援を受け実施された。

 企画造成にあたり鎌倉市観光協会は、新型コロナウイルス感染症の流行・拡大によって落ち込んだ観光需要の回復とコロナ以前から課題となっていたオーバーツーリズム対策を両立させるため、鶴岡八幡宮や小町通りに集中する観光客の「市内回遊」を狙い、光明寺がある「材木座エリア」や建長寺がある「北鎌倉エリア」、覚園寺がある「二階堂エリア」といった各エリアを代表する寺院の協力のもと、プランを組み立てた。

 「鎌倉は日帰り観光地」として楽しまれており、「1人当たりの観光消費額が低い」ことも課題になっている。観光協会ではこの問題に対し、「宿泊需要」を延ばすことで観光客の平準化を目指しながら、滞在時間の延長をはかり消費を促す考えを示す。今回の事業では、「鎌倉市民限定」、「特別参拝体験」のプランに加え、「市内宿泊」も用意、参加者が終了後に回答するアンケートで「何が魅力で鎌倉に泊まったか」、「何が魅力であれば鎌倉に泊まるか」意見を募り、今後のプラン造成などに活用する。

 鎌倉市観光協会次長の出口律子氏は、今回実施した特別参拝プランはアンケートで得られた意見などをもとに磨き上げ商品化するとしたうえで、「成功事例をつくり、市内の他の寺院にも特別参拝のプランを広げていきたい」と今後の展開を語る。

 また鎌倉市民限定プランへの反応が高かったことに触れ「『これからもこういったプランを期待しています』といった声をいただくことができました。引き続き市民の皆様が自慢できる鎌倉をつくっていきたい」と力を込めた。

 一方、建長寺特別拝観付きの宿泊プランを販売したホテルメトロポリタン鎌倉の営業企画マネージャー渡邊智彦氏は「鎌倉の魅力を新たに発見してもらいたいという思いを込めている『心魅かれる新たな古都へ』というホテルのテーマにマッチした企画。宿泊されたお客様からも、『新しい発見ができた』などうれしいお声をいただきました」と企画を振り返った。

〈観光最前線〉 呼ばれるように 奈良へ

2022年11月23日(水)配信

 10月、2度目の奈良に。出掛けると決め、どこに行くかを考えていると、延期となっていた興福寺の五重塔の特別公開や、薬師寺の天武忌・万燈会、春日大社の摂社・若宮神社の造替、信貴山朝護孫子寺の毘沙門天王(奥秘仏)の御開帳と重なっていることが判明。昨年も、偶然丑歳御縁年にあたることに気が付いて出羽三山を旅先にしたことを思い出した。まるで、呼ばれているかのように。

 なかでも薬師寺の天武忌は、日中の十二神将練り供養から始まり夜の法要まで、寺内一帯が一日中厳かな空気に包まれるなかでの拝観ということもあり、いつも以上に強く心に残った。

 奈良は中心地から少し外れると人も少なく、多くの寺院で仏様を間近で拝観できる。だからなのか、京都より奈良が好きだ。