訪日客の移動・滞在を移動情報データで分析 11月中旬「インバウンド人流分析」を提供(Agoop)

2023年10月25日(水) 配信

「インバウンド人流分析」活用イメージ

 Agoop(柴山和久社長兼CEO、東京都渋谷区)は11月中旬以降から、訪日外国人の動態を位置情報データで分析する「インバウンド人流分析」の提供を始める。流動人口データを分析・可視化し、定点観測レポートとして提供する「人流統計レポート」で、訪日外国人の国・地域別状況や、移動・滞在などの動態を位置情報データで見るもの。

 インバウンド需要の回復により、訪日外国人の観光誘致やマーケティング施策の強化などの理由で、エリアごとのインバウンド人流をきめ細かく把握したいという声に応え、このほどサービスの提供を行う。

 「インバウンド人流分析」は、Near Intelligence(以下Near社、アニル・マシューズCEO)が保有する全世界約16億ユーザーの匿名加工された位置情報データを利用する。

 位置情報データによって、観光スポットや施設、市区町村や都道府県全域など、指定したエリアごとに来訪者の国・地域別、曜日別、時間帯別の人数が把握できる。このほかにも、滞在時間や宿泊日数、前後の立ち寄り先、エリア間の周遊状況、人気エリアのランキングなど、訪日客の国内移動・滞在について多角的な分析が可能となる。

片岡愛之助さんとアン・ミカさんを任命 「大阪来てな大使」

2023年10月25日(水) 配信

片岡愛之助さん(右)とアン・ミカさん

 大阪府と大阪市、大阪観光局で構成する「大阪来てなキャンペーン実行委員会」は10月23日(月)、府出身で歌舞伎俳優の片岡愛之助さんと、大阪育ちでモデル・タレントとして活躍するアン・ミカさんを「大阪来てな大使」に任命した。

 同キャンペーンは9月9日(土)から始まり、2024年3月31日(日)まで実施する。食や歴史・文化芸術などをテーマにイベントを行い、府内の周遊観光を促す。

 片岡さんは「大阪のおすすめは大阪城、上方歌舞伎俳優の本丸・大阪松竹座、道頓堀、堺の仁徳天皇陵古墳、大阪歴史博物館、中之島美術館と選びきれません。多くの魅力の詰まった街で楽しんでいただけること間違いないです」とコメントを寄せた。

 アン・ミカさんは「大阪は見る、食べる、遊ぶのすべてがそろうスーパーエンターテインメントな街。大阪に遊びに来ていただきたいです」とアピールした。

スリランカ政府観光局が観光PR 国交樹立70周年で誘客に力

2023年10月25日(水) 配信

ロドニ・ペレーラ大使

 スリランカ政府観光局は10月23日(月)に東京、翌日24日(火)に大阪で観光プロモーションイベントを開いた。観光業界関係者らを集め、セミナーや商談会などを実施した。昨年、スリランカは我が国と外交関係樹立70周年を迎え、日本からの誘客に注力している。

 スリランカ観光開発庁によると、スリランカへの観光客数はコロナ禍の2021年の19万4495人から、2022年には71万9978人と3倍以上の回復を見せた。今年もさらなる増加を期待しているという。

 23日に東京都内のホテルで開催したセミナーでは、ロドニ・ペレーラ駐日スリランカ大使が登壇。ペレーラ大使は「スリランカにとって観光は血でありDNAであり、重要な産業だ。スリランカは雪以外のすべてを提供できる」と“オールインワンカプセル”と呼ぶ自国の観光魅力をアピールした。

 また、日本はスリランカにとって重要な国であり、「両国は1952年の早い時期に国交が樹立し、大使館が置かれ親交を深めてきた。これからも日本のパートナーとして発展したい」と述べ、現在は大使自ら地方に出掛け、各地域とのつながりを深めていることなどを紹介した。

那須南トラベル・石川翔平社長インタビュー ツアーで廃線防ぐ 「烏山線存続へ送客を」

2023年10月25日(水) 配信

石川翔平社長

 那須南トラベル(石川翔平社長、栃木県那須烏山市)はJR烏山線の廃線の危機を回避しようと、地元を走る同線を利用する旅行商品を企画している。石川社長は「旅行会社1社だけでは限界があるが、那須烏山市は大変魅力的な観光資源を有している」として、人口の多い東京都と埼玉県、千葉県、神奈川県の旅行会社からの送客に期待を寄せている。石川社長に烏山線の現状と今後の方針について、また那須烏山市と市内の各観光施設の担当者から魅力を聞いた。

【木下 裕斗】

 1923年に開業した烏山線は、今年100周年を迎えた。栃木県の宇都宮駅から2駅先にある宝積寺駅(高根沢町)と烏山駅(那須烏山市)を結ぶ、全長20・4㌔の路線。10月10日現在、夕方を除き、すべての列車が新幹線の停車する宇都宮駅まで運転している。

 69年には、旧国鉄が烏山線を含む日本各地の赤字路線83線の廃止検討を発表した。

 当時メディアなどで大きくクローズアップされ、翌年には地域住民が廃止反対期成同盟会を結成。運動の結果、乗車人数は前年から約80%増となり、烏山線は廃止を免れた。

 しかし、2022年11月には、コロナ禍で収益が減少するなか、地元自治体と今後の赤字路線のあり方を協議しようと、東日本旅客鉄道(JR東日本)は利用者数の少ない線区の収支データを開示した。

 これによると、21年度の烏山線は6億300万円の赤字だった。100円稼ぐために掛かる費用を示す営業係数は1121円。1日当たりの平均通過人員は1140人だった。なお、コロナ禍前の19年度は、1148人。多くの旅客が通学で利用するため、大きく変わっていない。

 国土交通省は今年10月、1千人未満の区間の経営が厳しい鉄道路線について、今後のあり方を議論する協議会を国が設置できるよう法を改正していることから、石川社長は「烏山線は廃線の危機に直面している」と危機感を強めている。

 これを踏まえ、那須南トラベルは、利用者を増加させるため、市と市議会のJR烏山線利用促進特別委員会の協賛を得て、旅行商品「那須烏山市民号」を毎年1回催行している。

 同商品は、旧国鉄が廃止検討を発表した1969年の翌年から実施され、今年で48回目となる。これまで、日本旅行やJR東日本などが実施してきたが、利益を確保しづらいことから、撤退した。

 石川社長は67年に旧国鉄に入社し烏山線や東北線の車掌を務め、88年の民営化後から99年まで、烏山駅で烏山線を利用する旅行商品を企画、販売してきた。退職後、旅行会社「那須南トラベル」を設立した。

 「烏山線を活用した商品の企画経験があり、地元の旅行会社である当社が市の依頼を受けて、那須烏山市民号を実施している」と石川社長は経緯を説明する。

烏山市民号を催行 毎年80人が参加

 より多くの沿線住民に参加してもらうため、出発駅は烏山駅をはじめ、烏山線の小塙駅と大金駅、宝積寺駅のほか、宇都宮駅を設定。毎年80人ほどが参加しているという。今年は立ち寄り施設で団体旅行の受入可能人数が減少しているため、10月と11月の計2回実施する。人数は40人ずつに設定している。

 このうち、10月27日(金)出発分は募集人数を40人としていたが、「参加人数は43人となり、好評を得ています」と話す。2回目の参加者は9月27日現在、20人から申し込みがあったという。

市内業者利用で活性 着地でJR商品販売

 着地型商品については、烏山線を利用して、市内の山あげ会館や島崎酒造のどうくつ酒蔵、龍門の滝、矢沢のヤナなどを巡る商品を販売している。市内のバス会社を利用することで、地域活性化にもつなげている。

 このほか、JR東日本が企画する烏山線と真岡鉄道の蒸気機関車に乗る商品も推奨している。

 しかし、「那須烏山市号は利益率が低く、着地型商品は開催地までの移動手段のあっ旋を望むお客が少ないため、利益の確保が難しい」(石川社長)状況だ。
観光協会と商品造成「新規参入見込める」

 今後は「観光協会と協力して、ツアーを造成していきたい」と語る。民間企業の旅行商品による乗客の増加が厳しいなか、資金に余裕のある観光協会が主催し、旅行会社が商品を委託販売できるようにすることで、「新規参入も見込める」と話す。市や観光協会などの公的機関が企画することで、消費者の安心感も増し、申し込みも増えるとの考えも示す。

 また、近隣市町村では限界があるとして、「那須烏山市へ2時間程度で行くことができ、人口の多い東京都と埼玉県、千葉県、神奈川県の旅行会社から送客してほしい」と強調する。「須烏山市の観光資源は大変魅力的ですが、認知度は低く、発信が課題」(石川社長)。

無形遺産山あげ祭 国内唯一のヤナも

 市は毎年7月の第4土曜日を含む金~日曜日の3日間に、山あげ祭を開催している。23年の観光客数は約6万5千人。

 市街地に市の特産の烏山和紙を貼ったはりか山や屋台などで構成する舞台を作り歌舞伎舞踊を披露している。

 那須烏山市の田中島啓人主事は「夜にはライトアップされた幻想的な公演を楽しめる」とした。

山あげ祭の夜公演

 昨年はJR東日本が利用客増加を見込み、1本列車を増発した。

 山あげ会館では3台の屋台を展示。同館の鈴木幸枝氏は「年間を通して山あげ祭の雰囲気を知れる」とアピールする。ミニチュアの山車と人間型ロボットによる講釈も行われる。特産品の和紙は烏山和紙会館で販売している。

 また、島崎酒造のどうくつ酒蔵は、日本酒やワインの熟成庫として利用している洞窟。

どうくつ酒蔵

 同社の島崎健一社長は「太陽の光をまったく受けないため、室温は5~15度に保たれており、熟成した清酒を楽しめる」と説明する。

 矢沢のヤナは、市内の那珂川に日本で唯一鮎を獲るためのすり鉢状の仕掛けを設置している。

矢沢のヤナ

 あゆの里矢沢のヤナ小林圭社長は「身がふっくらとしており、日本一の漁獲量を誇る」と話す。

 龍門の滝は高さ約20㍍、幅約65㍍に渡って流れ落ちる滝。

 同市の青木智寛主事は「秋には彩り豊かな紅葉を楽しめる」と語る。

クラフトビール醸造所開設へ アルピコグループ、ホテルブエナビスタを改装

2023年10月25日(水) 配信

ホテルブエナビスタの地下1階宴会場「ミュートス」を改装

 アルピコグループ(持株会社=アルピコホールディングス、佐藤裕一社長、長野県松本市)は10月2日から、アルピコホテルズ(深澤洋充社長、長野県松本市)が運営する「ホテルブエナビスタ」の地下1階宴会場「ミュートス」を改装し、「クラフトビール醸造所」開設に向けた工事を開始した。

 ホテルブエナビスタ地下1階「ミュートス」は、1991年ホテルブエナビスタ開業と同時にディスコとして営業を始め、その後宴会場としての営業をしてきたが、アルピコグループの新たな事業展開として「クラフトビールの醸造」を2024年春から目指し、改装工事を行うことになった。

 工事日程は、24年4月上旬まで。醸造開始は24年4月上旬(予定)。事業運営会社はアルピコホテルズ(予定)。

 現在、消費者の嗜好や思考、行動の多様化により、日本各地でクラフトビールへの関心が集まっているなか、アルピコホテルズが長年培ってきた料飲のノウハウなどアルピコグループ各社との相乗効果の高いクラフトビール醸造事業を展開することで、信州へ訪れることの「楽しさ・ときめき」を提供し、地域の活性化につなげていくことを目的としている。

 地域の特色や文化を反映したオリジナリティ溢れるクラフトビールは、アルピコホテルズ各施設のレストランや売店での提供・販売のほか、アルピコグループ各社でも取り扱いを想定している。

 24年春から提供予定のアルピコグループが作る「クラフトビール」のビールブランド名などは決定次第、発表される予定だ。

日ASEAN観光大臣特別対話、10月27(金)~29日(日)開催 50周年を機に持続可能性と相互交流を語る

2023年10月24日(火) 配信 

日ASEAN観光大臣特別対話が10月27(金)~29日(日)に開かれる

 政府は10月27(金)~29日(日)、日ASEAN観光大臣特別対話を東京プリンスホテル(東京都港区)で開く。今年10月に「日ASEAN友好協力50周年」を迎えたことにより、各国の共通課題である持続可能な観光のあり方や、両地域の相互交流の促進について議論をはかる。

 今回の会合では、日本とラオスが共同議長国を務める。参加者は、日ASEAN観光大臣(ラオス、インドネシア、タイ)、ASEAN事務総長、日アセアンセンター、PATA、OECD、UNWTO、ASEAN事務局など。このほか、日本政府観光局(JNTO)や日本旅行業協会(JATA)も参加する予定だ。

 ASEAN10カ国のほかに、加盟予定の東ティモールを加えた11カ国が参加する。

 テーマは、「持続可能な観光」「相互交流の拡大」の2本柱。目指す合意の方向性として、「観光振興により社会や経済、環境の好循環を生み出し、地域の持続可能性を高めること」「平和と繁栄のため、相互交流を通じた域内の人々の国際感覚の向上や、相互理解の増進をはかる」──とした。

 なお、日本は、10月18日(水)に取りまとめたオーバーツーリズム対策パッケージの紹介や、観光産業の人手不足の課題などを踏まえ、地方の観光産業をどう強めていくかを議論する予定だ。

日本酒造り体験ツアー催行 日本初となる灘五郷エリアで(ビートラベル)

2023年10月24日(火) 配信

日本酒造りのようす
 ビートラベル(渡邊華穂社長、兵庫県神戸市)は2023年12月5日(火)〜6日(水)と12日(火)〜13日(水)に、「美食の街を五感で楽しむ灘五郷初!日本酒造り体験&神戸ビーフ堪能ツアー」を催行する。
 
 兵庫県神戸市と西宮市に跨る「灘五郷」エリアは日本酒の清酒生産量日本一で、日本全国で生産される日本酒の約4分の1が造られている。同エリアでの日本酒造り体験ツアーは初めてという。当日は、太田酒造に訪れ、日本酒造りのセミナーと工場見学も実施。日本酒は完成後、参加者の自宅に送られる。
 
 太田酒造は1874年に創業。時代と共に変化する食生活をより一層豊かなものにしようと、多国籍料理の味わいや香りと共に日本酒を楽しみ、相乗効果をもたらすことのできる日本酒を造っている。
 
 2日目は、神戸牛の取り扱い量世界一というレストラン吉祥吉グループ(兵庫県神戸市)で、太田酒造の日本酒とのマリアージュで神戸ビーフを堪能。神戸ビーフになるまでの過程や美味しい理由などを紹介するセミナーも開催する。
 
 参加費は、大人1人当たり8万8000円(税込)。対象年齢は20歳以上とした。申し込みは、神戸ローカルツアーズ公式サイト内のオンライン体験ページで受け付けている。

埼玉・寄居町で「鉢形城」散策とみかん狩りを楽しむ バスツアー販売

2023年10月24日(火) 配信

左上から時計回りに、風布みかん狩り・雀宮公園・鉢形城公園(寄居町提供)、お福ひな膳(イメージ)

 埼玉県物産観光協会はこのほど、寄居町で名城「鉢形城」散策とみかん狩りを楽しむバスツアーを売り出した。同協会が運営する観光情報サイト「ちょこたび埼玉」に掲載している。ツアー実施は11月23日(木・祝)と12月2日(土)。

 鉢形城は、玉淀河原の対岸の断崖上に建っていた城で、ひと月あまりの籠城戦を繰り広げた歴史物語の舞台。小田原北条氏による北関東支配の拠点として堅牢な守りを誇る城は、上杉謙信や武田信玄の軍勢も攻め落とせず、豊臣秀吉による小田原征伐の際には前田利家、上杉景勝、真田昌幸、本多忠勝などの有名武将も攻め寄せたという。

 現在、鉢形城公園内には天守や御殿などの建物はないが、お堀や土塁が残っており、城を構成した空間が分かるほか、戦国時代の築城技術を伝える石積み土塁や四脚門、池などが復元されている。

 ツアーで鉢形城歴史館と鉢形城公園内のガイドを務めるのは、埼玉県熊谷市出身の歴史ナビゲーターで歴史作家の“れきしクン”こと長谷川ヨシテル氏。城の設備の役割や歴史的価値などを分かりやすく解説する。

 昼食は、1927(昭和2)年創業の日本料理店「喜楽」の旬の地元野菜を使った「お福ひな膳」。かつての鉢形城主・北条氏邦の妻の名にちなんだもので、通常は平日限定のミニ会席を特別に用意する。

 午後は食べ放題のみかん狩りを楽しむ。北条氏の本拠地・小田原から持ち込まれたことが起源ともいわれる、同地でのみかんの栽培。同町風布(ふうっぷ)地区は日本のみかん栽培の北限地域の1つとされている。昔ながらの甘酸っぱさが特徴のみかんで、園内での食べ放題のほか、お土産として1キロ持ち帰ることができる。

 旅行代金は大人、子供とも1万3000円(税込)。集合・解散は大宮。

斉藤国交相に緊急提言書 「赤字解消へ1、2段階踏み込んだ支援を」(公明党観光立国推進議員懇話会、全旅連、日本旅館協会)

2023年10月24日(火) 配信

(左5番目から)塚島英太部長、赤羽一嘉会長、斉藤鉄夫大臣、大西雅之会長、井上善博会長
 公明党観光立国推進議員懇話会(赤羽一嘉会長)と全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連、井上善博会長)、全旅連青年部(塚島英太部長)、日本旅館協会(大西雅之会長)は10月23日(月)、斉藤鉄夫国土交通大臣に観光産業の回復に向けた緊急提言書を提出した。
 
 赤羽会長は「全国の宿泊施設が累積赤字を解消するために、もう1、2段階踏み込んで支援してほしい。放置すると2030年のインバウンド6000万人受け入れ時に、重要なインフラとなる宿泊事業者が潰れてしまう」と強く訴えた。
 
 訪日外国人客の回復などで観光需要が高まっているといわれるなか、多くの宿泊施設はコロナ禍の後を引いており、事業と雇用を守るため過大な負債を抱えているという。
 
 高付加価値化補助金事業については「各地で大きな効果が出ている一方で、採択の競争が激化している。補正予算でも要望し、来年度以降も実施してほしい」と(赤羽会長)要望した。
 
 井上会長と塚島部長、大西会長は全国の宿泊事業者の厳しい現況を報告した。
 
 要望書では融資後4年以降、業績が黒字転換した場合、適用金利が0.5%から2.95%になる資本性劣後ローンについて、貸借対照表上の自己資本比率が15%を超えるなど経営体力が回復するまでの間は、日本政策金融公庫の基準金利を参考にしながら低金利を適用することを要求した。
 
 災害対応に資する設備の更新や改修に要する費用について、宿泊料金への価格転嫁がなされていないとして、宿泊施設バリアフリー化促進事業などの災害協定枠を維持し、引き続きの支援を講じることを要求した。約1カ月休業を余儀なくされている施設も多くあるため、地域や施設が希望をもって営業ができるように災害地での復興割の実施と、各種申請の簡素化なども求めた。
 
 人手不足については、求職者と宿泊事業者とのマッチングイベントの開催など採用活動の支援のほか、人材不足でも高付加価値なサービスの提供が可能となるよう清掃・配膳ロボットなど設備投資への支援拡大を要求した。
 
 斉藤国交相は「課題解決の柱となる地方送客に注力していく。観光再生のための金融対策を中小企業庁と政府に引き続き訴える」と応えた。
 
 

ATWS2023北海道 ガイドの英語力・ストーリーテリング育成が課題(JNTO)

2023年10月24日(火) 配信

中山理映子理事

 日本政府観光局(JNTO、蒲生篤実理事長)は10月23日(火)に開いた会見で、アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット(ATWS)2023の報告を行った。同大会は、9月11(火)~14日(木)に北海道で行われた。テーマは「調和─Harmony」。71カ国から776人が参加した。

 JNTOは「Japan Lounge」を設置して全国のDMOや旅行会社など26団体と連携し、日本国内のATコンテンツを紹介した。

 来訪者にアンケートを取ったところ、3日間を通じて225件の回答が得られた。

 このなかで、アクティビティや自然体験に加え、地域住民との交流や食、伝統文化体験なども、日本においてはとくに関心が高いATコンテンツだということが分かった。

 一方で、「ガイドの英語レベルが低い」「情報が不足している」などが課題として挙げられた。

 JNTOは、「ATにおいて重要なストーリーテリング能力やエンターテインメント性を伝える能力が不足している」ことや、「アクティビティに必要な危機管理を担えるガイド人材が少ない」とし、次年度の事業として、ATTAからコンサルタントを招き、ガイド育成を行うことも視野に入れている。

 ATWSにおけるサステナビリティへの取り組みとして、主催者のATTAは、「日本における大きな課題は、製品の過剰包装。私たちがサステナビリティを奨励することで、さらなるCO2削減ができれば」とコメントした。

 「MICE開催国として、アジアナンバーワンの地位になるためにはサステナビリティ推進は重要。海外有識者からは、日本とサステナビリティが紐づいている印象がないことなど、PRが不足している点を指摘された。取り組み事例をMICE専用サイトに掲載し、SNSなどで情報発信に注力する」(JNTO)とした。

 JNTOでは、地方誘客を促進させるための取り組みとして、航空会社やOTAを含む旅行会社と連携した地方訪問促進キャンペーンを展開している。アジアの中でも地方訪問意欲が高く、リピーターの多い国として、台湾や香港、タイを重点ターゲットとして指定した。

 台湾市場・タイ市場では、LION TRAVELと連携し、特設ページで地方路線利用ツアーの販売促進を行うほか、インフルエンサ―が来日してツアーの訪問地を取材し、地方路線の利用促進と各地方の最新情報を掲載している。

 このほかKlookとも連携して、割引クーポンやブログなどを活用して情報拡散を行っている。

 香港市場・タイ市場では、Peach Aviationと連携して、関空線の販売促進と国内線利用促進キャンペーンを実施している。割引クーポンや、地方の四季や観光情報を掲載して訪問意欲の醸成を目指す。