WILLER EXPRESS、七尾便を運行再開 運休経て1カ月半ぶり

2024年2月22日(木)配信

WILLER EXPRESS

 丸一観光(木下徳泰社長、石川県七尾市)とWILLER EXPRESS(平山幸司社長、東京都江東区)は、2月21日(水)から高速バス「WILLER EXPRESS」の東京~富山・石川(七尾)線の運行を再開した。東京発の運行再開は2月22日(木)から。

 今年1月1日に発生した令和6年能登半島地震に伴い一時運行を休止していたが、約1カ月半ぶりに再開。東京~能登エリアを乗り換えなしで移動できるようになった。ただし、和倉温泉駅への発着は道路状況を踏まえて、当面は取りやめる。

丸一観光

 丸一観光は震災以降、能登半島内での集団避難者やボランティアの貸切バス輸送を行ってきた。これまでに石川県は能登方面への不要不急の移動は控えるよう発信していることから、今回の運行再開は主に能登半島の住民向けとしている。また、同便が金沢駅も経由することから「県外から加賀地方への送客を担い、石川県全体の復興の一助となれば」と今回の運行再開を決めた。

 運賃は大人片道で高岡砺波・金沢発着が5200円から、羽咋・七尾発着が5900円から。

関あじ・関さばの郷を巡る旅 大分市佐賀関でONSEN・ガストロノミーウォーキング 参加者募集中

2024年2月22日(木) 配信

ヒシャゴ岩

 関あじ・関さばの郷を巡る旅――。大分県大分市佐賀関で3月23日、ONSEN・ガストロノミーウォーキングが行われる。佐賀関は大分市の東端に位置し、三方を海で囲まれた自然豊かな地域。美しい景観の日豊海岸は国定公園にも指定されている。

関あじ関さば最中

 コースは、「関あじ・関さば寿司」は、ここでしか味わえない逸品です。また、地元特産の海藻クロメを使った「クロメ汁」や関ぶりの「りゅうきゅう」などの魚料理をはじめ、老舗和菓子店の「関あじ・関さば最中」、古くから地元で愛さされるおやつ「うす焼き」など、佐賀関づくしでおもてなしをします。
大分市内唯一の酒蔵の日本酒も用意していますので、ぜひご賞味ください。

 豊後水道を間近に眺めながら日本の渚100選に選ばれた黒い石の海岸「黒ヶ浜」や、国の登録記念物に登録された姉妹岩「ビシャゴ岩」などの景勝地を巡る約9㌔のコース。コース上のスポットの多くが今年3月公開の映画「52ヘルツのクジラたち」のロケ地になっていることから、ロケ地巡りガイドも配布する。

 各ガストロノミーポイントでは、「関あじ・関さば寿司」や関ぶりの「りゅうきゅう」などの魚料理をはじめ、老舗和菓子店の「関あじ・関さば最中」、古くから地元で愛さされるおやつ「うす焼き」など、佐賀関づくしでおもてなし。大分市内唯一の酒蔵の日本酒も用意する。

 担当者は「蛸の絵を奉納し一定期間蛸を食べずに願い事をすると成就するといわれる全国でも珍しい『蛸断ち祈願』を行う『早吸日女神社』や、全国的に話題となった不思議スポット『海に続く線路』など、ここならではの風景を楽しんでください」とPRする。

―イベント前後に楽しんで―

天海の湯

 ウォーキング後は、大分市自慢の温泉へ。大分市の温泉は、「大深度地熱温泉」と呼ばれ、地下600~800メートルほどの深層に貯留し、琥珀色なのが大きな特徴。今回は、別府湾を一望できる温泉から老舗温泉まで4か所の入浴券付きです。

産後ケアサービス「AMATERASU」開始 クレドインターナショナル×ホテル椿山荘東京

2024年2月21日(水) 配信

内覧会に先駆けテープカットが行われた

 ホテル椿山荘東京(千尋智彦支配人、東京都文京区)は2月21日(水)から、ホテルスパ事業などを手掛けるクレドインターナショナル(白井浩一氏、東京都新宿区)と提携し、同社が運営する産後ケアサービス「AMATERASU(アマテラス)」を開始した。ホテル内にアマテラス専用エリアを新設し、客室は8室を用意。24時間体制で乳児を見守る看護師や助産師、保育士が待機するベビールームなどを備え、産後の母親をサポートする。

 出産後の母親はダメージの大きい産後の体を回復させるため、なるべく乳児の世話以外は休むことを推奨される。海外は産後ケア施設が一般的に普及しており、東アジアでは台湾が先進的で、今は韓国や中国が続いている。他方、日本には「里帰り出産」という文化があり、祖父母が産後の母子の世話をすることも多い。しかし、現代社会は晩婚化などに伴い祖父母が高齢化していることや、核家族化の進行で周囲に頼れる人がいないケースが増加。孤立した子育てで不安を抱えてしまう母親の支援が課題となっている。

 こうした背景から今回、2者は日本で産後ケアを普及させたいと新サービスを始めた。同日、報道関係者らを招いた内覧会で、ホテル椿山荘東京を運営する藤田観光の山下信典常務は「女性が出産後も活躍できる社会実現の一助になりたい」と意気込んだ。同ホテルは“人生の大切な節目に寄り添う”という理念があり、年間の婚礼数は約1500組という。今後は結婚から出産、その後のさまざまな記念日での施設利用に向けサービスを充実させたい考え。

 また、クレドインターナショナルの白井社長は約5年前から産後ケア先進国の台湾の事業者らと日本での産後ケアサービスを構想していたと紹介。「当社の社員は90%が女性。常に女性が働きやすい仕組みを考えてきた。これが産後ケア発想のもとになっている。産後ケア事業で少子化対策と女性の社会活躍の支援を行っていきたい」と力を込めた。

産後ケアサービス「AMATERASU」

AMATERASUの客室のイメージ

 AMATERASUは台湾の産後ケアと日本のサービスを融合させた産後ケアサービス。台湾の産後ケア施設「U-Best」が監修するほか、各分野のプロフェッショナルが参画する。杉山産婦人科の杉山力一医師と医療提携するほか、薬膳食・食事療養監修は日本薬科大学が行う。トリートメント協力として、ユーファイ協会、アメニティ協力はベビーグッズブランドのMARL MARL。

 施設内には専門スタッフが常駐し、乳児はベビールームで預かり世話全般を担当する。ベビーベッドには1台ごとにカメラを設置し、ライブビューイングなどで配信する。希望により母子同室も可能。乳児の世話に必要な紙オムツや肌着、ベビー服などは備えている。

 客室は45平方㍍以上の広さを確保し、サービスのほとんどが客室内で行えるよう配慮する。母親は育児アドバイスや体のメンテナンスなどさまざまなケアが受けられる。食事はプラン内に含まれているのは朝食の薬膳スープ「温復優美」。産後の母体を考えた特別なもので、中国料理長の川嶋正行氏が手掛けた。このほか、希望により約60品のルームサービスメニューが午前7時~午後11時まで注文できる。

 同プラン利用はプレゼントなどを想定し、“ご褒美”の要素を打ち出す。出産や育児のつらい部分だけではなく光り輝く明るい部分にもスポットを当て、出産時の産後ケア利用が「憧れ」として注目を集めることで、日本での認知拡大を目指していく。

 プランは3泊4日のリフレッシュプランが62万7000円から、14泊15日のリトリートプランが292万6000円から。

記念フォトなども撮影できる

JGA、クオリティ格付け 2年連続で最高三つ星に

2024年2月21日(水)配信

2023年「クオリティ格付け」最高評価の三つ星に

 JTBグループでコンタクトセンターを運営するJTBグローバルアシスタンス(JGA)はこのほど、HDI-Japanが主催する「クオリティ格付け」のマルチチャネル(電話・メール応対)部門に、2年連続で最高評価の三つ星を獲得した。

 HDI-Japanは、ITサポートサービスで世界最大のメンバーシップ団体HDIの日本支部。2023年HDI格付けベンチマーククオリティ評価項目の①サービス体制②コミュニケーション③対応スキル④プロセス/対応処理手順⑤困難な対応――の5項目を調査。JGAが「要望を先回りし、機転の利いたプロとしての対応をしている」ことが高く評価され、今回の受賞につながった。

韓国片道航空券が最大81%オフ4800円に 2月27日(火)まで「今安セール」(チェジュ航空)

2024年2月21日(水)配信 

今安セールは2月27日(火)午後5時まで

 韓国のチェジュ航空(キム・イベ社長)は2月21(水)~27日(火)午後5時まで、チェジュ航空会員を対象に、片道運賃が最大81%引きの最低4800円になる「今安セール」を行う。

 同社が運航する成田・関西・福岡・中部・広島・静岡・大分・松山・那覇・新千歳─仁川、関西─金浦、成田・関西・福岡─釜山など、日韓全路線が対象となる。

 キャンペーン期間中に往復航空券を買うと、エコノミー席が最大3000円、ビジネス席が最大5000円割引される割引コードをプレゼントする。

 「今安セール」で航空券を購入した人に、15㌔の受託手荷物サービスを提供。超過手荷物がある場合は、「追加手荷物事前購入」が利用できる。

 搭乗期間は4月1日(月)~6月30日(日)まで。同社HP、モバイルアプリ、モバイルWebから予約が可能。

「鉄印帳デジタル」3月19日から開始、鉄印NFTが購入可能に

2024年2月21日(水)配信

NFT化された「鉄印」をスマートフォンで購入できる

 読売新聞大阪本社(柴田岳社長)と旅行読売出版社(坂元隆社長)は、第三セクター鉄道等協議会に加盟する鉄道各社と協力し、Webアプリ「鉄印帳デジタル」の提供を3月19日(火)から始める。NFT(非代替性トークン)化された「鉄印」をスマートフォンで購入できるようになる。

 鉄印帳は、第三セクター鉄道等協議会に加盟する鉄道会社が2020年7月から開始した「御朱印帳の鉄道版」。鉄印帳デジタルでは、ユーザー登録(無料)後、駅などに設置されたQRコードをスマホで読み取り、鉄印NFTを購入できる。これまでに同協議会に加盟する41社のうち30社が参加を表明している。

 なお、従来の鉄印帳と鉄印の販売も続ける。

 鉄印NFTの販売価格は1個税込550円から。決済方法はクレジットカード払い、もしくはApplePay。

 アプリのURLなど詳細は、鉄印帳のX(旧ツイッター)公式アカウントで公開していく。

3月10日 四国最東端 徳島県阿南市の魅力体感 ONSEN・ガストロノミーウォーキング参加者募集中

2024年2月21日(水) 配信

海風を感じながらウォーキング

 四国遍路のお接待文化が息づく徳島県阿南市で3月10日、ONSEN・ガストロノミーウォーキングが行われる。

 同市は四国の最東端に位置し、美しい海や緑豊かな山、四季折々の山海の幸に恵まれるまち。2回目となる今回は、室戸阿南海岸国定公園の1つでもある淡島海岸、中林海岸、北の脇海岸を巡る約9㌔のコースをウォーキング。なかでも、中林海岸から望むパノラマの絶景はとても美しく、四国最東端の蒲生田岬を望むことができるおすすめスポットだ。

伊勢エビの味噌汁

 各ガストロノミーポイントでは、地元精肉店のべさんの阿波牛焼き肉や阿南市産鱧のフライを挟むハモカツバーガー、伊勢えびの味噌汁など、阿南の食材をふんだんに使用したグルメで参加者をもてなす。

 担当者は、「来ていただいた方に満足して、笑顔で帰っていただけるよう、おもてなしの心でスタッフ一同お待ちしております。ぜひ、阿南市の魅力を体感しにお越しください。今回は、昨年好評だった津乃峰酒造さんのお酒を販売します」とイベントをPRする。

~前後に楽しもう~

 西の高野とも称される太龍寺山の山頂付近、遍路泣かせの難所にある四国八十八ヶ所霊場21番札所「太龍寺」。

太龍寺の舎心嶽

 「舎心嶽」という岩の上では、弘法大師が真言を100万回唱える「虚空蔵求聞持法」という修法をおさめたと伝えられています。現在はロープウェイが運行していますので、参拝に出掛けてみてはいかがですか。

イベント申し込みはこちらから

一歩先行くアンテナショップ 「THE NIIGATA」5月下旬に開業予定

2024年2月21日(水) 配信

アンテナショップ外観(イメージ)

 新潟県は1月22日、旬の話題や特別な情報を紹介する「新潟プレミアムサロン」を東京新潟県人会館 ふれあいふるさと館(東京都台東区)で開いた。

 銀座に5月下旬開館予定の「銀座・新潟情報館 THE NIIGATA」の概要を説明。物販の販売に加え、地域商社機能を持たせるなど、「一歩先を行くアンテナショップ」を目指す。

 このために同店では、スマートフォンやAIカメラを用いて来店者らの属性や購買履歴などを収集、分析する。蓄積したデータは県内事業者に提供するなど、BtoB、BtoC向けの商売に向けた活用を行っていく。加えて、越後の菓子処 瑞花や鎚起銅器の玉川堂など、銀座にある新潟に所以のある知名度の高い店舗と連携することで、銀座エリアの回遊効果も狙う。

 特色のあるものや高品質のものなど、厳選した約1500品目を販売する同施設。1階では県の強みである食を中心に物販を展開する。2階では、新潟のモノづくりをテーマにしたコーナーと、地酒の試飲・販売コーナーを設ける。

 このほか同施設には、専門員を配置するI・Uターンの情報発信拠点や、レストラン「Tsubamesanjo Bit」なども展開。アートを取り入れた内装が特徴の3階イベントスペースは県内の各自治体や県内事業者らに貸し出し、体験イベントなどを展開していくという。

若者を温泉旅行に 交流の場つくり需要探る コンテンツ×地域資源でシナジーを(旅館水郷)

2024年2月21日(水) 配信

イベントのようす

 鳥取県・湯梨浜町のはわい温泉・東郷温泉は、「温泉むすめ」のキャラクターの活用を通じファンとの交流を深めるなか、若者が「1人旅への対応」を求めていることを掴み、温泉街での企画やもてなしに生かしている。

 取り組みを通じ見えてきた「若者需要の取り込み」について、旅館水郷の岸田篤周社長に話を聞いた。

◇  ◇

 若者を温泉地に呼び込む有効策を考えるのは、とても難しいことです。

 その理由の一つが、世代間の感覚などの違いもあり、若者が何を求めているかが掴みづらいからではないでしょうか。

 鳥取県・湯梨浜町のはわい温泉・東郷温泉では、温泉むすめのキャラクター「はわい東郷浮乃」を活用しています。そこで、訪れるファンとの会話や、彼らが発信するSNS(交流サイト)を手掛かりに若者のニーズを探った結果、「1人旅への対応」というキーワードを見つけました。

 単身世帯の増加や、嗜好の多様化によって1人旅需要が増加していることは周知の事実ですが、実際に話を聞くことで、より深く求められているモノを知ることができます。なかには実現することが難しいこともありますが、色々な意見から実現可能なモノを選んだり、出てきたキーワードと地域にある素材を組み合わせてみることが、近道だと強く実感しています。

 加えて、温泉地を訪れる若者と地域住民、もしくはファン同士が交流できる場所、機会を提供することも大切です。

 今の若い世代はコミュニケーションが苦手、もしくは避けがちといわれることもありますが、共通点がある人同士だと時間も忘れて活発に会話を楽しまれているケースが多いと感じています。

 昨年の10月に温泉むすめファンの声を受け実施した痛車(外装をアニメキャラクターなどで装飾した車)のイベントでは、国内最大級の中国庭園「燕趙園」に隣接した道の駅で実施したこともあり、痛車やキャラクターが目当ての人と偶然立ち寄られた観光客が、会場のそこかしこで会話の花が咲き、大変な盛り上がりとなりました。

 このイベントを通じ実感したのは、温泉むすめや痛車などさまざまなコンテンツが触媒となり、地域資源とのシナジーを起こしていくことが重要だということです。

 もしかすると、訪れた人同士や、現地住民との「井戸端会議」的なものが最もかけがえがなく、求められているものなのかもしれませんね。

旅館水郷
岸田篤周社長

【対談】観光庁の地域観光新発見事業 地域の魅力を掘り起こし育てる

2024年2月21日(水) 配信

 2023年の訪日外国人旅行消費額は5兆3千億円、1人当たりの消費額は21万円と過去最高水準となり、新たな観光立国推進基本計画で定められた25年度までの目標を達成し、日本の観光は堅調な回復を見せている。観光庁は、この高い需要を地方誘客へつなげていくことが重要だとして、「地域観光新発見事業」を開始する。事業の具体的な内容と地方への期待について、観光庁観光資源課新コンテンツ開発推進室の豊重巨之室長と、内閣府地域活性化伝道師、跡見学園女子大学観光コミュニティ学部の篠原靖准教授が対談した。

【聞き手=編集長・増田 剛、構成=馬場 遥】

 篠原 新型コロナ感染拡大の影響から堅調に回復しつつあるなか、昨年12月に閣議決定された24年度観光庁事業予算では、第4次観光立国推進基本計画に基づいた事業を計画されています。

 豊重 24年度は、基本計画における3本柱の戦略である「持続可能な観光地域づくり」「インバウンド回復」「国内交流拡大」に資する予算を確保し、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する対策にも取り組んでいきます。
 インバウンドをはじめとした観光需要が回復するなかでも、需要は偏在傾向にあるため、この需要を地方部へ波及させる必要があります。

 篠原 新たな基本計画では、観光消費額の拡大と地方誘客の促進戦略が示されています。
 従来までの数を求める観光政策から、「稼げる観光」に大きく変容し、大きな転機が訪れているように感じます。今回の地域観光新発見事業の役割と具体的な内容について教えてください。

 豊重 本事業の観点は、「いかに稼ぐ観光とするか」「地方誘客を促進するか」の2点から考えられ、事業設計を行いました。
 地域の観光資源を活用した地方誘客に資する観光コンテンツについて、十分なマーケティングデータを生かした磨き上げから、適時適切な誘客につながる販路開拓、情報発信の一貫した支援を実施します。
 22年度の「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」のいわゆる後継事業となり、より活用しやすい支援メニューを用意しました。
 コンセプトは大きく分けて3つあります。
 1点目は、インバウンド・国内観光客双方の地方誘客に資する観光コンテンツの造成ができることです。とくにインバウンドの宿泊先は都市部に偏在傾向にあります。観光による経済効果を地方にも波及するためには、訪日客だけでなく、国内観光客も併せて地方誘客を強力に進める必要があります。
 2点目は、マーケティングデータを生かした観光コンテンツの磨き上げに取り組むこと。市場別・ターゲット別の売れ行きや満足度などの、マーケティングデータを生かしていただき、ターゲットとなる旅行者を想定した地域にとって経済効果の高い魅力的な観光コンテンツを造成していただきます。
 旅行者視点での造成となるように、顧客の体験価値の向上を重視したマーケットインの発想で磨き上げが求められます。
 3点目は、時期や時間の分散化につながる販路開拓と情報発信に取り組んでいただくこと。早朝や夜間の時間を活用するなどの観光コンテンツの造成や、造成した観光コンテンツの販売や情報発信を工夫することを期待しております。
 そのために、OTAにどう掲載するか、お客様が見る観光地の位置情報や混雑状況など、こういった情報の発信方法も含めて、事業に取り組んでいただきます。
 全国津々浦々に埋もれる地域の観光資源を掘り起こし、地域の多様な観光コンテンツを造成し、観光客がその地域の魅力に気付いて「訪れてみたい」と思われる機運を醸成できればと考えます。

 篠原 今まで観光と無縁であった地域では、インバウンドに特化した事業に応募するには敷居が高すぎるという声もありました。
 豊重室長から説明があったように、本事業はインバウンドのみにこだわらず、国内観光客と併せて地方誘客を強力に進めるというところがポイントです。
 全国の地域観光の立ち位置を再構築し、「観光消費を創出するための仕掛けづくり」がキーワードになります。

 豊重 本事業には、「新創出型」と「販売型」の2つの類型があるというのが大きな特徴です。
 新創出型は、観光の取り組みが十分に行えていなかった地域において、観光で新事業をスタートアップしたい観光事業者や、新たに観光コンテンツを造成して地域を活性化し、観光のまちとして積極的にアピールしたい地方公共団体などの皆様に応募していただけるよう、間口を広くしています。
 販売型は、既に観光コンテンツを造成した実績があり、実際に観光コンテンツを販売している観光事業者や、観光における一定の成熟した受入体制がある地域やDMOを対象に想定しています。あるいは、観光において稼げる観光になっていなかったり、十分な収益・誘客ができていなかったりなどの事業に対し、販売価格や販路の見直しをはかり、情報発信の内容のブラッシュアップなどを行って、より魅力的な観光コンテンツ造成に向けてステップアップしたい観光事業者や地方公共団体などに利用していただきたいです。
 なお、委員会の審査結果によっては、公募時と異なる類型での採択となる可能性があります。
 本事業を利用するにあたり、最低事業費は600万円となっております。補助額は400万円までは定額で、これ以上は2分の1で補助します。
 例えば事業費600万円の場合、補助額は500万円ですので、自己負担100万円で事業を行うことができます。補助上限は1250万円となります。
 申請時には「収益性」を示していただく必要があります。観光マーケティング分析を行い、この事業を通して得られる収益と、必要な費用、想定される国内観光客やインバウンドの誘客数などを、算出の根拠と併せて3年間分提出していただきます。
 この採択事業内で収益を得た場合は、納付の必要がありません。
 全体で50億円の予算を確保しておりますので、多くの地域・事業者に、魅力ある観光コンテンツの造成にチャレンジしていただきたいと思っております。

 篠原 全国を訪問していると、お客様に来てもらっても、「消費したい」と思えるようなものが販売されていないケースが多々あります。そういった地域では、地元の相場感による商品づくりしかできていないように見受けられます。「うちの町で観光なんてとてもムリだ」と最初からあきらめている方々も少なくありません。
 しかし、政府は今後さらに観光振興をもとに、さまざまな地域振興を推進していくことになりますので、今回の事業をきっかけとして、再度自分たちが住んでいる地域の生活文化を見直しながら、新たな観光的価値を高めていただきたいと思います。
 本事業には、こうした頑張る地域を支援するためのプログラムがたくさん用意されています。
 例えば、申請に不慣れな地域に対する申請前の支援や、事業開始後の成果や商品化に向けた支援、販路となる道筋を付けながら、従来の専門家派遣に加え、インフルエンサーの派遣までを相談できる事業設計になっており、手厚い伴走支援が行われます。

 豊重 申請時に必要な「収益性」の分析については、「観光マーケティング分析支援」といった申請前支援を用意しています。日本観光振興デジタルプラットフォームを用いたデータを活用し、観光マーケティングを実施していくにあたっての考え方や手法をレクチャーします。
 このように、応募いただく事業計画づくりに役立つ支援や、セミナーなどの情報提供を行います。
 事業実施期間中では、採択事業者が事業を実施するにあたり、地域課題などの解決に向けて観光コンテンツの磨き上げや販路開拓・情報発信などに資する各種支援を行います。
 さらに、高い事業成果を目指す限りないポテンシャルがあると認められる事業に対して、伴走支援を重点的に活用できるように「重点支援事業」枠を用意しています。全体で50件ほどを想定しており、採択案件公表時に観光庁プレスリリースで紹介したり、専門家によるアドバイスや事務局・運輸局による支援を受けられたり、OTAとのタイアップによる販売促進、成果報告会にて優先的に発表の機会を創出するなどの伴走支援を受けられます。

 公募期間は、3月8日─4月17日まで。
 5月下旬に採択通知を行い、事業は交付決定後の6月下旬─7月上旬から、25年2月28日まで実施することができます。
 1月25日にオンライン説明会を行ったところ、約3100人の方に参加していただけたことから、関心の高さが伺えます。
 単に観光資源をそのまま観光コンテンツとして活用するのではなく、①ターゲットを想定し、地域にとって経済効果の高い観光コンテンツへ適切に磨き上げるもの②顧客の体験価値の向上を重視したマーケットインの発想で磨き上げるもの③新たな来訪目的の創出、観光消費の場の提供、より長期の滞在への誘因、異文化との交流拠点などに資する──など、地方への継続的な来訪を促進するきっかけとなるような観光コンテンツの造成を期待しています。

 篠原 観光は、消費に前向きな方が旅行に訪れるので、今までの地域消費の3倍の価格でも十分勝負ができます。地域観光新発見事業で、今までの観光コンテンツを磨き上げていただき、高単価で消費されるような仕組みを作っていただきたいですね。
 ここが、観光庁が考える「稼げる観光」への切り替えのポイントではないかと思います。
 また、インバウンドに人気の観光地は、当然日本人にとっても一度は行ってみたいと思われる場所です。混雑などが原因で足が遠のいていたのであれば、この事業をきっかけに早朝・夜間の時間に観光コンテンツを造成することで、新たな魅力を発見していただきたいと考えます。

 豊重 国内観光客も含め、行きたいところへ行って魅力ある観光ができる環境を作らなければなりません。本事業を通して新たに作られた観光コンテンツを通して、新しい発見をしてほしいという想いで、「地域観光新発見事業」という事業名にさせていただきました。
 日本の地方にはまだまだ魅力的な観光資源が眠っています。伴走支援を通じてバックアップをすることで、さらなる観光コンテンツに磨き上げられるようお力添えしたく思いますので、多くの魅力的な観光コンテンツをお待ちしています。

豊重巨之室長(左)と篠原靖准教授