“ワケあり”部屋が人気、日旅、ネットで大バーゲン

 日本旅行のインターネット専用商品「ワケあり大バーゲン」が人気を集めているという。

 旅館やホテルが急なキャンセルで大量の空室が発生したり、低層階の部屋で眺めが悪いなど、 “ワケあり”のため売りにくかった部屋を、理由を明示したうえでバーゲン価格で販売している。

 「お得」になる主な「ワケ」は、(1)眺望が良くない(2)自動販売機と同一フロア(販売機の音がうるさい)(3)部屋のトイレが和式(4)部屋(4階)までエレベーターがなく階段利用――などさまざま。商品例では、静岡県・伊東温泉のホテルラヴィエ川良では、低層階の部屋が1泊2食、2人1室で1人7200円に設定している。

 同社は「『理由がわからないで安いのは不安』『安い理由がわかれば、1円でも安いほうがいい』という消費者心理や動向にマッチして販売が拡大しており、今後も設定を拡大していきたい」としている。

 現在、設定施設数は首都圏10、北陸7、関西3、山陰山陽13、四国10、九州9の計52施設。同社ホームページ( http://www.nta.co.jp/kokunai/yado/wakeari/sanyoshikoku.htm )のみの商品。

JNTO 10月推計値、訪日外客11%減少、中国は25%増で2位に

 日本政府観光局(JNTO)がまとめた2009年10月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比11・3%減の65万5400人と08年8月以来15カ月連続のマイナスとなった。主要12カ国のうち、中国、タイ、豪州、カナダがプラスで推移した。

 方面別にみると、韓国は同30・6%減の13万1100人と低迷。韓国での新型インフルエンザの流行や、円の高止まりなどが影響した。台湾は同22・5%減の9万7900人と14カ月連続の減少。訪日客の市場別順位でも2位の座が中国と入れ替わった。

 中国は同25・1%増の10万8300人と2ケタの増加となった。中国の一大旅行シーズンである国慶節休暇が例年7連休のところ、今年は中秋節と合わせて8連休(10月1―8日)となり、訪日旅行を含む外国旅行の需要が過去最高となったことなどが好影響を与えた。香港は同12・6%減の3万9800人、タイは同8・8%増の2万4600人と好調に推移した。

 豪州は同9・3%増の1万9900人。豪ドルの復調に加え、日本航空(JAL)やジェットスター航空が日本路線で特別料金を設定したことなどが奏功。米国は同2・1%減の6万6600人、カナダは同2・1%増の1万4500人と昨年冬期に運休していたエア・カナダの成田―トロント直行便が、今年は週7便で運航していることがプラスに作用した。

 一方、出国日本人数は、同0・4%増の135万9千人と3カ月連続の増加となった。

「とかち農村交流」など、グリーン・ツーリズム 優秀賞5件決まる

 オーライ!ニッポン会議と都市農山漁村交流活性化機構は11月13日、「グリーン・ツーリズム商品コンテスト」(GT商品コンテスト)の優秀賞に「とかち農村交流と野菜パワーの食育を学ぶ旅」(北海道)や「古事記の里で夜神楽を楽しむ! あはれ あなおもろし あなたのし あなさやけ おけ!~神楽と一緒に 地元住民と楽しむ神楽」(広島県)など5件を選定した。

 同コンテストは農山漁村の地域資源を活用した魅力ある旅行商品を企画提案するもので、「ようこそ!農村へ」キャンペーンの一環として実施した。応募点数は全国から計66件。選ばれた5件は、いずれも農山漁村への訪問を促進するもので、地域への貢献度や将来の市場創出の期待度が高い旅行商品という。優秀賞にはモニターツアー実施に伴う諸経費の一部を助成(上限50万円)する。モニターツアーは来年3月中旬までに実施。3月10日に開くオーライ!ニッポン全国大会で実施結果などの発表を行う予定にしている。

 なお、11月18日には和歌山市で開かれたオーライ!ニッポン和歌山シンポジウムで優秀賞の発表、表彰式および事例発表などが行われた。

 優秀賞は次の通り(社名、団体名などは提案者、共同提案者の順)。

 とかち農村交流と野菜パワーの食育を学ぶ旅(1泊2日)=わくわくホリデー(北海道)、北海道女性農業者倶楽部・通称マンマのネットワーク▽田舎で親せきを作ろう!まめで達者な鮫川村!田舎の美味しい食べものづくりや手造りハウスにて薪ストーブ懇談 紙すき体験やシイタケ駒打ち体験で地元の方と交流(1泊2日)=農協観光首都圏支店(東京都)、福島県鮫川村▽都会の台所、通勤電車で漁師町へ 横須賀漁師とワカメ狩り(日帰り)=風の旅行社・風カルチャークラブ(東京都)、栗山義幸(漁業従事者・横須賀市)▽体験から交流へ~交流から定住へ 今そこにある和歌山「恵みの故郷・山海巡りシリーズ」第1回 二地域居住の里・日高川へ(日帰り)=ゆめ倶楽部21(和歌山県日高川町の体験交流受入れ団体)、日興トラベル▽古事記の里で夜神楽を楽しむ!「あはれ あなおもろし あなたのし あなさやけ おけ!」~神様と一緒に 地元住民と楽しむ神楽(1泊2日)=庄原市観光協会連合会(広島県)、道後タクシー・道後観光

千曲市の魅力紹介、姨捨夜景ツアーやお座敷遊び

 長野県千曲市(近藤清一郎市長)は11月13日、都内のホテルで「千曲市の産業・観光懇談会」を開いた。出席した首都圏のメディア関係者や旅行会社などに、観光資源や地元物産品、来年秋の信州デスティネーションキャンペーン(DC)の取り組み状況などを説明した。

 戸倉上山田温泉は、姨捨夜景ツアーや味噌づくり体験、おいしいお茶の淹れ方体験のほかに、千曲湖畔deノルディックウォーキングや芸妓観光ガイド、お座敷遊び(女性客専用プラン)など、着地型のワン・デイ・ツアー体験プログラムを紹介した。森・倉科地区は、日本一のあんずの栽培と歴史に触れた後、毎年3月末から4月上旬に開く「あんずまつり」や花見スポットと周辺施設、あんず商品を中心に説明。

 姨捨地区は「日本三大車窓」「訪れてみたい駅第2位」のJR姨捨駅や、「棚田貸します制度」および棚田米を強調した。

 信州DC関連では、姨捨地区を中心としたイベントとして、特別列車を運行するJR長野支社やしなの鉄道とのタイアップ企画のほかに、2次交通の整備、ハイキングコースの充実、滞在型観光の確立、観光ガイドの育成などをあげた  近藤市長は「千曲市には名月の里、棚田、日本三大車窓の一つの姨捨、日本一の生産量を誇るあんず、善光寺参りの精進落としの湯・美人の湯として名高い戸倉上山田温泉など、全国に誇れるブランドが数多くある。この優れた資源は当市の宝。これらを戦略的に発信していくことが大事だ」と語った。懇談会では、戸倉上山田温泉の芸妓演舞が披露されたほか、千曲市名物の「おしぼりうどん」が振舞われた。

“環境と経済が共鳴”、コウノトリ復活のまち紹介、豊岡市

 兵庫県豊岡市(中貝宗治市長)は11月10日、東京・六本木のベルサール六本木で「豊岡エキシビジョン」を開いた。「なくした大切なものを取り戻す。そして守り、育て、伝える」をテーマに、コウノトリ復活のまち・豊岡市の歴史や食、伝統、文化などを首都圏のマスコミや旅行会社などにPRした。

 第1部の「コウノトリ悠然と舞うふるさと」では、中貝市長が「一度日本の空から絶滅したコウノトリを自然界に再び帰す」という豊岡市の壮大な取り組みを紹介した。

 日本のコウノトリは、1971年に豊岡市を最後に日本の空から姿を消した。同市は65年から粘り強く人口飼育に取り組み、05年に放鳥に成功した。現在、137羽のコウノトリが生息し、38羽が自由に飛んでいるという。コウノトリは現在、世界でわずか2500―4千羽程度まで減少している。

 中貝市長は「コウノトリの野生復帰の取り組みの過程で環境と経済が共鳴し発展することに気づいた」とし、「環境という資源を生かし経済的に自立する地域づくりを目指す」と語った。

 パネルディスカッションでは、俳優で、日本野鳥の会会長、コウノトリファンクラブ会長の柳生博氏がコーディネーターを務め、環境創造型農業(コウノトリ育む農法)の開発者や生産農家の代表者による取り組みの発表や、城崎温泉の紹介を行った。城崎温泉旅館協同組合理事の高宮浩之氏は、城崎温泉では旅館内に売店を設置せず、旅行者にまち歩きをさせる取り組みを語った。また、浴衣を着れば、現金を持たなくても買い物や飲食、外湯での入浴ができる「ゆかたクレジット」の導入に向けた取り組みなどを紹介した。

 第2部「豊岡のチャレンジ」では、ブランド米「コウノトリ育むお米」や但馬牛、出石皿そば、津居山かになどの試食に加え、地域ブランド「豊岡鞄」などがブース出展し、積極的にPRした。

ぴあライブ・エンタテインメント白書2009

 ぴあ総合研究所が2008年のライブ・エンタテインメントの動向をまとめた「ぴあライブ・エンタテインメント白書2009」によると、08年の市場規模は前年比1・2%増の1兆1600億円となり過去最高を記録したという。音楽、ステージ、映画、スポーツ、遊園地・テーマパークの5ジャンルの市場について、公演回数や動員数、市場規模(チケット販売市場)の3つを基本指標に市場実態を把握した。

「市場規模は1兆6000億円、遊園地・テーマパークは苦戦目立つ」

 市場は01年以降、1兆1千億円台をほぼ横ばいで推移。08年も微増だが、日本経済が低迷するなかでは「健闘している」と評価。音楽やステージ、スポーツが前年を上回った。一方、動員数は1・0%減の3億4118万人で、1人当たり単価の上昇が市場規模を押し上げる結果となった。

 各ジャンルの概要は次の通り。

 音楽(市場規模3・9%増の1503億円 動員数2・8%増の2440万人)市場規模、動員数のいずれも前年を上回り、再び増加に転じた。ポップスが市場規模で6・5%増、動員数で5・0%増と好調だったことが全体を牽引。韓国アーティストのコンサートが活況で、来日公演は29・6%増。国内公演もアリーナクラス以上の大規模公演が盛況だったほか、07年に失速したロック・フェスティバル市場も復調した。その一方で市場規模の約2割を占めるクラシックは、来日公演の不振で市場規模0・9%減、動員数1・1%減とやや不調だった。

 ステージ(3・9%増の1671億円 3・4%増の2325万人)市場規模、動員数とも伸長。市場規模は、パフォーマンスほかを除く5分野すべてで前年を上回った。とくに市場規模全体の5割を占めるミュージカル(市場規模7・4%増、動員数17・2%増)と1割弱のお笑い/寄席・演芸(15・2%増、17・2%増)の好調が寄与した。ミュージカルは劇団四季や宝塚歌劇団、東宝ミュージカルの安定した動員に支えられながら、芸能プロダクション制作の新しいミュージカルなどでここ数年は増加基調。

 映画(1・8%減の1948億円 1・7%減の1億6049人)2年連続の前年割れ。大規模ヒット作に恵まれなかった洋画の市場規模が、23・9%減の790億円と大幅に縮小したのが原因。邦画は「崖の上のポニョ」(興行収入155億円)を筆頭に興行収入10億円以上が28作品と恵まれ、22・4%増の1158億円と健闘。1スクリーン当たり動員数および市場規模は、1998年をピークに減少に転じ08年も歯止めがかからず、それぞれ4万7779人、5800万円と減少した。

 スポーツ(1・6%増の1057億円 2・3%増の2816万人)市場規模、動員数ともいずれもプラス成長。野球、サッカー、相撲の3ジャンルが双方とも前年を上回ったのが要因。とくにサッカーは、Jリーグ発足以来最高の813万人の動員数を記録し、6・0%増の伸び。08年はJ1昇格クラブをはじめ好成績を収めたクラブの動員数が増加したほか、J2に新規チームが加入したことで試合数も増え、市場拡大につながった。野球も個人向け一般チケットの売上が好調で、05年以降市場規模の拡大が続いている。また、相撲は4年連続で前年を上回った。

 遊園地・テーマパーク(0・9%増の5420億円 2・5%減の1億488万人)景気低迷によるレジャー需要の落込みと円高に伴う外国人客減少も加わり、苦戦した施設が目立った。動員数上位施設をみても、トップ20施設のうち過半数の11施設で前年割れとなった。一方、市場規模全体の5割のシェアを占める東京ディズニーリゾートは、ディズニーランド開園25周年を迎え、08年4月から実施した周年イベントが寄与し、動員数は過去最高の2684万人(前年比4・7%増)、市場規模は2942億円(同7・6%増)と好調に推移した。

東京“三つ星”は11軒、「世界一の美食の都市」に、ミシュランガイド東京2010

 ミシュランは11月17日、東京都庁第一庁舎の45階南展望台で「ミシュランガイド東京2010」の記者会見と出版記念パーティーを開いた。

 3年目となる東京の2010年度版は、最高の三つ星レストランが11軒と09年度版の9軒から2軒増え、パリの10軒(09年度版)を抜いて世界最多となった。新たに三つ星レストランとなったのは、えさき(新日本料理)、鮨さいとう(寿司)、幸村(和食)の3軒。二つ星は42軒、一つ星が144軒、計197軒(09年度版は173軒)と、2位以下を大きく引き離し総軒数は3年連続で世界一の都市となった。今回は居酒屋、串揚げ、焼き鳥、精進料理などのジャンルの店が新たに加わった。

 ミシュランガイド総責任者のジャン=リュック・ナレ氏は「東京は世界一の美食の都市」と賞賛。出版記念パーティーで本保芳明観光庁長官は「東京のミシュランガイドが出版されるのを待って、どこが世界一の美食の街かと議論される。外国人旅行者と日本人の良きガイドになってほしい」とあいさつした。

 三つ星を獲得したレストラン11軒は次の通り。

 石かわ▽えさき▽かんだ▽カンテサンス▽小十▽ジョエル・ロブション▽すきやばし次郎本店▽鮨さいとう▽鮨水谷▽幸村▽ロオジエ

20代独身男女旅行意識調査、気軽に誘える友人がカギ、JTBアンケート

 JTBはこのほど、20代独身男女を対象にアンケート調査を実施、過去3年間に自発的に旅行した人としなかった人を比較しながら、旅行に関する意識を調査した。

 旅行経験の有無は、一緒に出かけられる親しい友人の存在がカギとなっており、とくに女性は、「旅行した」人の48・4%が「自分から気軽に誘って会える友人」が「4―5人」いるのに対し、「旅行しなかった」人では25・7%と半減した。「2人で泊まりがけで出かけることができる友人」に関しても、「旅行した」女性の67・3%、男性は41・7%が「2―3人」以上いると回答した。調査は10月にオンラインで実施。サンプル数はインターネットによるアンケート会員1200人。内訳は「旅行した人」600人(男女各300人)、「旅行しなかった人」600人(男女各300人)。

 理想の同行者は、すべての層で「パートナー(恋人)と2人」が最も多くなった。「旅行した」女性は47・0%、男性は48・7%と半数を占めた。一方で、現実的な同行者は、「パートナー」は「旅行した」層で30%に減少。「旅行しなかった」層をみると女性は「親や兄弟姉妹」が38・3%、男性は「1人旅」が32・0%とそれぞれ1位となった。

 旅行以外の消費動向については、「旅行した」女性は、「ファッション関連の買物」(35・0%)、「エステ・美容院・ネイルサロン」(24・7%)などに関心が高く、ショッピングやエステなど外出を伴う消費に積極的であることがわかった。一方、「旅行しなかった」層では「家でDVD、CD、ゲーム」(女性41・7%、男性44・7%)、「家でネットやブログ」(女性29・0%、男性30・0%)が高く、それぞれ「旅行経験あり」の2倍以上となった。

 さらに、「旅行した人」の83・2%が、小学校時代に1年に1回以上家族旅行を経験。一方、「旅行しなかった人」は58・7%。子供の頃の旅行経験が、大人になってからの旅行に与える影響が大きいことがうかがえた。  「今、旅行したいか」という質問には、「旅行した」女性の94・0%、男性の87・7%、「旅行しなかった」人でも女性の71・0%、男性の48・3%が「したい」と回答した。年収による旅行意欲の違いもほとんどなかった。

 「今、旅行したくない」と回答した人に旅行するための条件を質問したところ、男女ともに「混雑していないなら」がトップ。男性は「一緒に旅行したい同行者ができれば」(34・8%)、女性は「おもしろいところに連れて行ってくれるなら」(35・6%)などが高く、受動的ではあるが、お膳立てしてもらえれば、旅行に行きたいという姿が見られた。

 20代の若年層が敬遠しがちとみられる「周遊型旅行」や「団体旅行」のイメージを聞いたところ、「旅行しなかった」人は「乗り物や宿の心配をしなくてよいので楽」(61・7%)、「旅行費用が安くて済むならよい」(39・0%)と回答。「楽に」「安く」旅行できることを長所と見ていた。

 「旅行した」人は「ガイドから詳しい説明を聞ける」(31・5%)、「多くの見どころを楽に回れる」(31・3%)などの回答が多く、「説明つきで」「効率よく」旅行できることを長所と捉えていた。また、「旅行先で参加する旅行」であれば参加したいという回答も32・3%あった。

デザイン都市づくり、神戸で全国観光振興大会、日本商工会議所

 日本商工会議所(岡村正会頭)は11月20日から22日まで、地域観光の促進を目指す「全国商工会議所観光振興大会2009in神戸」を開き、関係者約1700人が参加した。

 6回目となる今回は、兵庫県神戸市を主会場に「デザイン都市づくりと生活文化体験型観光の推進」をテーマにした基調講演やパネルディスカッションを実施。2日目は神戸市や姫路市で分科会が行われた。

 初日の本大会で、岡村会頭は「今大会の成果を各地に持ち帰り、個が光る地域の魅力を確立する契機としてほしい」とあいさつ。続いて開催地である神戸商工会議所の水越浩士会頭があいさつし「神戸市は昨年、名古屋と共にアジア初のユネスコのデザイン都市に認定され、新しい魅力を発信している。また、5月に新型インフルエンザ感染者の発生により深刻な風評被害に見舞われた。今大会を通じ、元気な神戸をアピールしたい」と意気込みを述べた。

 「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」表彰では、「昭和30年代」の町づくりで商店街活性化に成功した大分県の豊後高田商工会議所が大賞を受賞。振興賞は鳥取県の境港と佐賀県武雄の2商工会議所が選ばれた。境港は、地元出身の漫画家・水木しげるさんの「妖怪」をテーマにしたユニークなまちおこしを評価。武雄市は空港からの利便性や30分圏内に10のゴルフ場を持つ条件のよさを生かし、旅館ホテルの従業員への韓国語講座を開くなど韓国人ゴルファーへの誘客促進の取り組みが評価された。

 続いてマーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏が「デザイン力による《地域“イキイキ化”》戦略」と題して基調講演。

 「五感を満足させる観光」をテーマにしたパネルディスカッションでは、日本観光協会常務理事の丁野朗氏をコーディネーターに、作家の玉岡かおるさんと山口浩神戸北野ホテル総支配人・総料理長、サラダや洋惣菜ブランドなど全国約340店を展開する岩田弘三ロック・フィールド社長がパネリストを務めた。

 ディスカッションの中で、デザイン都市・神戸市の歴史・文化、有馬温泉などの魅力を写真などで紹介。玉岡さんは「神戸の夜景に加え、夕景の美しさもセットでアピールすれば新たな魅力になる」と提案し、「旧居留地などの歴史ある建物の見学だけでなく、生活感を体感してもらう工夫が必要」と述べた。

 山口さんは神戸の魅力を「常に新しいものが入ってくるなかで、何でも取り入れるのではなく、本物を見極める力があること」とし、「料理をコミュニケーションツールに、時代にあった料理を提供すれば人は集まる」と述べた。岩田さんは「旧居留地など歴史的建造物とウォーターフロントを一体化するまちづくりが必要」と強調した。丁野さんは「水辺を身近に感じるまちづくりや、エコなど観光以外の視点も取り入れた新しい視点からのデザイン都市づくりが期待される」と述べた。

 最後に、「観光とデザインのコラボレーションを通じて、都市や地域の滞在性を引き出す運動に取り組む」など3つの「神戸アピール」を採択。  次回は青森県青森市を主会場に2011年2月3、4日の2日間、「旅と健康」などヘルスツーリズムをテーマに実施する。

2月から新ブランド展開、環境変化を前に商品戦略、ANA

 全日本空輸(ANA)は2010年2月の成田―ニューヨーク線の新造機・ボーイング777―300ER機の導入を機に、新プロダクト・サービスブランド「Inspiration of Japan」の展開を開始する。ハード面からサービスまで、新ブランドコンセプトに基づいて全面的にリニューアルし、空の旅の新しい発見や体験の提案を目指す。長距離の欧米線から導入し、順次拡大していく予定。

 11月10日に開いた会見で伊東信一郎社長は「2010年、首都圏空港の利用量拡大で航空業界を取り巻く環境は大きな変化を迎える。この激変する時代を前に、商品戦略を成長戦略の一つの柱に位置付けた」とし、「これまでの、人が織りなすANAブランド『あんしん、あったか、あかるく元気!』をベースに、新ブランドサービスで強みを発揮したい。アジアナンバーワンのステージから、よりグローバルなステップアップを目指す。その原動力になるのが新ブランドだ」と構築の経緯を説明した。会見にはCMキャラクターで俳優の本木雅弘さんも登場した。

 新ブランドのキーワードは「イノベーティブ」「際立つ個性」「モダンジャパン」の3つで、新しい発見やワクワクする体験、期待を超えた歓び、日本発の技術や細部への心遣い・こだわりの提供を目指す。

 具体的なサービスは、機内外のサービスがホームページ「ANA SKY WEB」で新ページの開設や、ファーストクラス・ANAダイヤモンドサービスメンバー対象で専用チェックインサービス「ANA SUITE CHECK―IN」(10年秋開始予定)の導入、個室感の高いパーソナルルームの新設など、空港ラウンジをリニューアルする。このほか、オリジナルのアロマやサウンドを開発するなど「五感に響く体験」も提案していく。

 機内のサービスは、各クラスで新シートや新機内食を導入する。全クラス共通の新エンターテイメントサービスは、映画やビデオ、音楽、ゲームなど約160のチャンネルや機内販売などをタッチパネルで操作できる画面を装備。ファーストクラスとビジネスは画面から機内食や飲み物などを、自分の好きな時間に注文できる(10年4月開始予定)。

 また、新サービスの目玉のビジネスクラスはシートに国内初のフルフラットシートの採用や、互い違いの配列で居住スペースの拡大、全席通路側設計などが特徴。機内食は料理家の栗原はるみさんが監修したものなど、和・洋の30種類のメニューからアラカルトで選ぶことが可能だ。

 なお、新ブランドの開発コストは約150―170億円。毎年、約50億円の増収を見込み、3―4年での回収を目指す。