避難所で民謡慰問、あさひ国際旅行が協力

楢葉町長と松本さん家元を囲んで
楢葉町長と松本さん家元を囲んで

 65年の歴史を持つ民謡団体「ミカド天風総連合会」は7月3―4日に、旅行会社「あさひ国際旅行」の協力のもと、東京電力福島第一原子力発電所から半径20㌔圏内警戒区域に設定され避難した、福島県双葉郡楢葉町の避難所を民謡演奏の慰問に訪れた。多くの歌手や有名人が避難所を訪れるなか、「避難所で一番不自由な思いをしている高齢の方が聞きたい歌や音楽は届いていない」と発案。ミカド天風総連合会が福島へ向かうのに同行した。
【伊集院 悟】

◇   ◇

 今回の企画の発案者である松本正好さんは、福島県双葉郡楢葉町の出身。町のほとんどの地域が福島第一原発から半径20キロ圏内警戒区域に設定され、多くの人が避難している故郷のために何かできないかと思い、小学校の同級生である楢葉長議会の山内佐内副議長に連絡した。多くの歌手や有名人が避難所を訪れる姿がTVで流れるが、「避難所で一番不自由な思いをしている高齢の方が聞きたいのはやはり民謡」(松本さん)と、懇意にしている民謡団体ミカド天風総連合会に依頼した。また、ミカド天風総連合会の定期演奏旅行を請け持っているあさひ国際旅行が慰問企画に賛同し、バスの無料手配を買って出た。

花笠音頭を皆で
花笠音頭を皆で

 家元のミカド天風さんは音合わせをする行きのバス車内で、「普段の演奏とは違うので難しい部分はあるけれど、私達が暗い気持ちでいてはダメ。今回の機会に感謝し、皆様に少しでも楽しんでいただかなくては」と意気込みを語った。

 1日目は福島県いわき市にある「かんぽの宿いわき」、2日目は福島県会津美里町にある「農村環境改善センター」を慰問。2日合わせて総勢300人ほどの被災者が集まった。

 あいさつに立ったミカド天風さんは「1人の力では何もできないけど、今回縁がつながり、こうして皆様の前で演奏ができることとなった。このひとときだけでもお祭り気分を味わってください」と語りかけた。松本さんは「皆さんストレスが溜まっていると思うので、今日は大きい声で唄って踊って楽しんでください」と話した。

 「ちゃっきり節」や福島民謡の「相馬節」「会津磐梯山」など15曲ほどを披露。篠笛による「夏は来ぬ」「茶摘み」「アメージンググレイス」「ふるさと」の独演では、皆が口ずさみ、会場全体で大合唱となった。花笠音頭では「体操がてら」と皆で簡単な振り付けをし、相馬盆歌では皆で輪になり唄い踊った。最後には飛び入りも受け付け、楢葉町、美里町からそれぞれ一人ずつ唄を披露した。

演奏後の熱い握手
演奏後の熱い握手

 演奏後、会場にいた80代の女性は、「私たちはTVで流れる音楽などはもう全然わからない。子供のころから慣れ親しんだ民謡を聞けて、本当にうれしかった」と話し、同世代の友人は「私も昔民謡をやっていたので、足が悪くなければ一緒に踊った。避難所では、厳しい現実をいろいろと考えてしまうが、今日は何も考えずに民謡で楽しめたので本当にありがたい」と涙した。

 今回の慰問に際し、ミカド天風総連合会から、義援金20万円、雑巾300枚、巾着70枚、シーツ300枚、どら焼き200個など、バスを提供したあさひ国際旅行からは手動式の懐中電灯200個が支援物資として楢葉町の草野考町長に手渡された。

 ミカド天風総連合会は、65年の歴史を持ち、初代が画期的な「民謡五線譜」を考案。民謡の普及と向上に尽くす。現在は二代目。民謡以外にも端唄・小唄・俗曲の芸域を持ち、映画、ドラマ、CM、審査員や講義など多方面で活躍している。

2011年海外旅行者数は1625万人、2.3%減と予想

 財団法人日本交通公社が7月21日に開いた第16回海外旅行動向シンポジウムで、主任研究員の黒須宏志氏は「どうなる震災後の海外旅行マーケット」のなかで、2011年の海外旅行者数を前年比2.3%減の1625万人と予想。7-8月は前年並みから微増(同1-2%増)で推移するとみられ、9月は20代女性の間際での動きが活発化することに期待を寄せた。また、3月11日に発生した東日本大震災が、過去の9・11や新型インフルエンザなどと比べ海外旅行動向にそれほど大きな影響を与えていない要因として、「海外、航空機搭乗に危険がない」「脱出需要」などに加え、経験値の高い旅行者の「クライシス馴れ」も指摘した。

No.286 2011年注目すべき温泉地 - 専門家17人が独自の視点で選ぶ

2011年注目すべき温泉地
専門家17人が独自の視点で選ぶ

 今年3月、本紙は旅行や観光の専門家を対象に、「2011年注目すべき温泉地」アンケート調査を実施した。しかし、調査直後に発生した東日本大震災によってこの企画を一時中断し、発表も見合わせていた。震災から約5カ月が経った今、被災地をはじめ日本全体が元気になるには、やはり観光の盛り上がりが不可欠だ。第1回の今回は17人の専門家に独自の視点から、注目すべき温泉地と、その理由を3つあげてもらった。今年ホットな温泉地は、これだ!! (2面に続く)

【編集部】

 

※ 詳細は本紙1428号または日経テレコン21でお読みいただけます。

2011年注目すべき温泉地 ― 胸打つ選者のプロ意識(8/1付)

 今号の特集では、温泉を愛して止まない専門家17人に「2011年注目すべき温泉地」を選んでいただいた。旅行作家や旅行ジャーナリスト、トラベルキャスター、観光を専門とする大学教授などにアンケートを送付しそれぞれ独自の視点から、今年最も注目すべき3つの温泉地を選出してもらう企画だ。 顔ぶれを見てもらうとおわかりだろうが、錚々たるメンバーにご協力をいただいた。“第一級”の17人の専門家から名前が挙がった温泉地は、その重みを実感されるかもしれない。
 この企画を進める最中に、東日本大震災が発生した。当初3月15日をアンケート締切日に設定していたため、回答を見合わせた専門家の方々もおられた。企画を一時中断せざるを得ず、発表も見合わせていた。
 震災後2、3日の有様を今思い出すと、企画発案者の本人すら「この状況ではアンケート回収は無理かな……」と半ば諦めかけていた。そのような状況のなかで、数人の専門家は震災直後であったにも関わらず、アンケートを返信してくれた。僕は、彼(彼女)らの観光に対する「プロ意識」の高さに感動してしまった。未曾有の天変地異の最中にあっても、自分の天職を全うする姿勢に胸を打たれた。そのような覚悟も、この企画には込められているのだ。 
 今号の5面で、JR東海相談役の須田寛氏は強い信念を持って語っている。「観光は人間の本能に根ざす文化活動。重要な経済行為であり、地域活性化の大部分は観光が担っている。観光がなくなれば経済活動が委縮し、文化の発展も止まってしまう。観光は災害があっても推進すべきだ」と。「観光は遊びではない。今回の震災で、日本では有識者といわれる方々の多くも、観光を遊びと捉えていることを知り、残念だった」と悔しそうに話す姿が印象的だった。観光業界は、自分たちが社会に貢献していることの大きさに気づくべきであるし、もっと、もっと胸を張っていくべきなのだ。誇りを忘れてはいけない。
 話を戻そう。今回名前の挙がった温泉地を見ると、北から南まで日本全国ほぼ隈なく網羅されているから不思議だ。さすが全国の温泉地を巡り歩いている方々だと改めて感心してしまう。そして、推薦理由に何と愛情がこもっていることか。好評を得れば、ぜひ12年もやってみたい。
(編集長・増田 剛)

赤城の物産をPR、ご当地アイドル「AKG48」も

赤城山の恵みを手にする「AKG48」
赤城山の恵みを手にする「AKG48」

 群馬県は7月9、10日に東京・銀座のぐんま総合情報センター(ぐんまちゃん家)で、赤城山周辺の物産をPRするイベント「AKG48―赤城山の恵み―」を行った。9日には、ご当地アイドル「AKG48」も登場し、メンバーが物産を手に赤城の魅力をPRした。

 同県では、ほぼ県の中央に位置し前橋市や桐生市、渋川市、昭和村、沼田市の市村にまたがる赤城山の観光振興に取り組んでいる。その一環として周辺の物産48個を厳選し、地域ブランド「AKG48―赤城の恵み―」として売り出し中だ。焼酎の「赤城の恵」やワイン「赤城」、地酒の「赤城山」などのアルコールから「赤城ポーク」「赤城牛」などのブランド肉、アイスやまんじゅうなど多種多様に取りそろえている。

 一方、ご当地アイドル「AKG48」は4月に結成したばかり。総勢106人という大所帯で、6―27歳までのメンバーで構成する。9日はチームGのメンバー10人が物産の「AKG48」とのコラボレーションとして、それぞれが一押しの物産を紹介。また、オリジナル曲「ニーハイ☆ラバー」を東京で初披露した。普段は県内で活動するメンバーは「憧れの東京進出にワクワクドキドキです」と笑顔でパフォーマンスした。

震災から回復の兆し、JATA旅行市場動向

 日本旅行業協会(JATA)がこのほど発表した「2011年6月期(第1回)旅行市場動向調査」によると、現況(4―6月)は国内、海外ともに東日本大震災の影響で大きく悪化したが、3カ月後(7―9月)は上昇する見通し。全般的に震災の影響は底を打ち、回復の兆しにあるとみる。 国内DIの現況は、前回(1―3月)から41ポイント下落のマイナス73。震災の影響で東北や関東、東京(横浜・浦安含む)が大きく下落した。とくに東京は65ポイント下落し、マイナス71。一方、西日本は下落幅が小さかった。
 3カ月後のDIは26ポイント上昇のマイナス47。西日本は10ポイント以上の伸びが見込まれるが、東北や静岡(含む伊豆)は1ケタ台の伸びにとどまっている。
 海外DIの現況は前回から49ポイント減のマイナス64。3カ月後は、25ポイント上昇のマイナス39。自粛ムードが緩和され全顧客層と全方面で上昇する見通し。
 今回の調査は5月18日―6月1日にWEBアンケートを行い、338社から回答を得た。

14年に組織改定を、藤本武夫氏が新会長に 農旅ホ連

農旅連・藤本新会長
農旅連・藤本新会長

 農協観光協定旅館ホテル連盟(日垣信三会長、1685会員)は6月30日、東京都文京区の東京ドームホテルで2011年度通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選で長野県・ホテル圓山荘社長の藤本武夫氏を新会長に選出した。藤本新会長は「微力ながら、日垣会長に負けないよう旅連発展のためにがんばりたい」と抱負を述べた。

 日垣会長は冒頭のあいさつで「会員の減少や活動費の縮小などで誘客事業にも多少影響がでている。2014年4月1日の組織改定を目指して、今年度から組織検討委員会を立ち上げ改革の一歩を踏み出した」と新たな動きを紹介した。また、「震災による自粛ムードが続いているが、こんなときこそ“絆”を胸に会員相互や農協観光との関係を深めていきたい」と一層の連携を強調した。

 農協観光の田辺豊社長は「数年来、販売高は前年を割る状況が続いた。10年度は減少を食い止められると見込んでいたが、震災の影響をカバーできなかった」と昨年度の事業を報告。「今年度は、スタート時点から大きな影響を受けた。しかし、今こそ事業パートナーの皆さんの力とJAグループの力を結集し、農をベースとした絆づくりのために旅行を利用してもらうことが、被災地の復興支援や農村の理解につながる」と語った。

 

農協観光・田辺社長
農協観光・田辺社長

 前年度は宿泊券増売対策で宿泊商品「こだわりの宿」の告知支援をし、旅連施設の利用拡大をはかった。JAグループの販売拡大に協力するためのフレンドリーキャンペーンは、1会員30万円を目標に展開し、1億6千万円の実績を上げた。

 

 今年度は宿泊券増売対策として、地方空港を利用した国内線チャーター便、JR列車の貸切商品などの地域商品と連携したグリーンツーリズム商品の販売支援や「こだわりの宿」の商品造成と取扱拡大に積極的に参画する。また、フレンドリーキャンペーンは3年目として、1会員30万円を目標に掲げる。

 同日は農協観光協力みのり会(岩原繁弘会長、1283会員)も11年度通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選で岩原会長を再任した。今年度は創立30周年を迎えるため、9月14日に宮崎県・宮崎観光ホテルで記念式典を開く。

「セブン旅ネット」開設、宿泊7サイトの横断検索

 セブン&アイ・ホールディングス(鈴木敏文会長、東京都千代田区)傘下のセブンネットショッピング、セブンカルチャーネットワークは7月5日、旅行サイト「セブン旅net」(http://7netshopping.jp/7tabi/)を開設した。セブンネットショッピング内に「トラベル」のコーナーを新設し、そのなかに「セブン旅net」を設置。セブンカルチャーネットワークが旅行、宿泊プランを提供する。 旅行サイト20社と提携し、セブンカルチャーネットワークならではのテーマ性のある商品を用意する。オリジナル商品を申し込むと、同社が展開する電子マネーnanacoにポイントが付く。
 国内、海外の宿泊プランは宿泊7サイトから2万軒の宿、80万件を一括して横断検索できる仕組みを導入。航空会社や大手旅行会社の予約サイトに採用されるフォルシアの検索プラットフォーム、spook(スプーク)を導入した。
 そのほか、国内の航空券予約、高速バス、レンタカー、海外の現地ツアー、鉄道などもサービス提供する。
 同サービスの開始により、セブンネットショッピングのネット通販サービス、イトーヨカドーのネットスーパー、そごう・西武のネットサービス、セブンカルチャーネットワークのネットサービスが同一空間で利用可能となった。

三重県伊勢市、副市長を募集

伊勢市のまちづくりに、熱意ある人材求む

 三重県伊勢市ではこのほど、2人目の副市長の募集を開始した。応募資格は、日本国籍を有し、今年4月1日現在満25歳以上の人で、性別、学歴は問わない。給与は月額78万3千円、期末手当3・95月分。任期は4年間。 伊勢市では伊勢神宮の式年遷宮を2013年に迎えることから、約1千万人の観光客を迎えるためのインフラ整備と、人口減少対策を市の政策課題に掲げている。鈴木健一市長は「伊勢のまちづくりに熱意を持って挑戦する人材を求める」と話す。
 募集は8月19日(必着)までに、所定の申込書に必要事項を記入し、課題論文を添えて総務部職員課に郵送または持参。所定用紙は市のホームページからダウンロードできる。
 問い合わせ=同市総務部職員課 電話:0596(21)5505。

新部会長に多田氏、会員1千軒を目指す

野澤前部会長(左)と多田新部会長
野澤前部会長(左)と多田新部会長

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会シルバースター部会(野澤幸司部会長、903会員)は6月29日、東京都千代田区の都道府県会館で2011年度総代会を開き、任期満了に伴う役員改選で、ゆけむりの宿美湾荘(石川県・和倉温泉)の多田計介社長が新しく部会長に就任した。

 全旅連の佐藤信幸会長はあいさつに立ち、「今65歳以上の人口が増えており、これからは高齢者の時代。高齢者向けの新しい企画が必要」と呼びかけた。

 2期4年を務め上げた野澤部会長は「シルバースター部会はいろいろな仕掛けを試せる貴重な部会。全旅連のなかで唯一旅館と直接やり取りできるので、業者からさまざまなアプローチがあり、前向きに取り組んでいける」とシルバースター部会の意義について語った。

 11年度は旅館の記念日キャンペーン第4弾などの販促ツールの配布や、全旅連ホームページ「宿ネット」でのPR、「人に優しい地域の宿づくり賞」のエントリー推進、シルバースターキャンペーンに力を入れる。

 新しく部会長に就任した多田氏は「有意義な活動で再度、会員数1千軒を目指す。業者と連携し、会員皆の力を借りて新しい方向性を見出したい。旅館3団体に認められる組織になるよう努力していく」と力を込めた。

 また、総代会後には、研修会として講演を実施。退任する野澤部会長は4年間のシルバースター部会事業を振り返り、ダイキン工業は節電対策の提案を行った。

 新役員は以下の通り。

 【部会長】多田計介(石川県・ゆけむりの宿美湾荘)【副部会長】中村実彦(長野県・ホテル五龍舘)【常任委員】金道太朗(北海道・湯の浜ホテル)▽四竈健彦(宮城県・旅館かつらや)▽中村実彦(長野県・ホテル五龍舘)▽柳澤伸雄(東京都・ホテルたてしな)▽加藤昌利(静岡県・稲取銀水荘)▽山岸繁樹(石川県・加賀観光ホテル)▽前川為夫(滋賀県・白浜荘)▽古林伸美(岡山県・プチホテルゆばらリゾート)▽宮村耕資(高知県・ホテル南水)▽西田陽一(大分県・ホテル白菊)