エクスペディアと提携、両社サービスを相互提供(JTB)

 JTBとエアアジアエクスペディア(AAE、本社・シンガポール)はこのほど、包括的な業務提携を行い、エクスペディアが取り扱う約3万都市、約15万軒の海外ホテルとJTBが取り扱う約7千軒の国内旅館の相互提供を開始する。

 今回の提携により、AAEでは秋以降にJTBホームページと、るるぶトラベルが提供する旅館予約ができるようになり、JTBでは夏以降、エクスペディアジャパンが提供するホテル予約システムとデータ連携し、海外ホテルを24時間予約できることになる。

 AAEは、アジア圏のエクスペディアサイトを運営する、世界最大のオンライン旅行会社Expedia.Inc.(本社・米国)とアジア最大級の格安航空会社エアアジア(本社・マレーシア)の合弁会社で、国内旅館の大幅な増加により、海外旅行だけではなく、国内旅行において新規顧客の拡大という利点がある。一方、JTBは海外ホテルの取り扱いの増加によるさらなる売上の拡大を目指すという。 

宿泊旅行34・5%に、10―12月、前年から減少(短期観光動向調査)

 日本観光振興協会はこのほど、短期観光動向調査(2012年12月調査)の結果を発表した。これによると、12年10―12月期の宿泊旅行実績は前年同期比6・1ポイント減の34・5%となった。宿泊旅行実施回数は同0・09回減少の平均0・52回。前年は震災の落ち込みから回復が進んだが、今期はその反動から減少したとみる。

 同調査は、一般消費者の旅行意向や実績を四半期ごとに調べ、地域や観光関連業界、企業などに基礎資料としてフィードバックすることを目的に2011年9月から調査を開始。今回の調査で過去1年分の調査が蓄積されたことから、今後は定期的に公表するという。なお、調査は一般消費者4千人を対象にインターネットで四半期ごとに実施している。

 10―12月の実績のうち、年代別の宿泊旅行実績はとくに50代が10・6ポイント減と大幅に減少した。

 地域別は中部、関西、九州、海外への旅行が他地域に比べ低下。国内では震災後は西日本へのシフトがみられたため、今期はその反動減で西日本方面が減少したと考える。その他は概ね前年並み。目的地と地域間流動をみると、東北への旅行は、前年は同じブロックからの割合が最も高かったが、今期は関東からの割合が最も高く、域外からの観光流入に明るい兆しがみられた。

 旅行の同伴者は家族が29・3%と昨年から1・3ポイント減。カップル・夫婦も微減だが、そのなかの「子育て後夫婦」カテゴリーは1・9ポイント増加した。また、1人旅は女性が減少したが、男性は1・6ポイント増加した。

 旅行意向に対する実施率をみると、10―12月期の事前意向は44・3%だったのに対し、実績は34・5%で、実施率は77・9%となった。属性別は、学生の実施率が124・0%と高かったが、50代の実施率は69・3%と低かった。地域別は四国が最も高く、100%を超えたのは四国のみだった。

 一方、1―3月の宿泊旅行意向は前年同期比4・5ポイント減の41・9%と前期実績の減少傾向は今期の意向にも継続している。宿泊旅行予定回数も前年同期が平均0・64回だったのに対し、今期は0・56回と12・5%減少した。

 地域別は中部、関西、海外などへの旅行意欲が低下し、震災以降の西日本や海外にシフトした旅行動向の反動と考える。東北についても復興支援を意識した旅行意欲がやや一段落した模様。

 地域間流動は前期実績と同様に東北への旅行が同じブロックからの意向が減り、関東からの意向が強まっている。

 同伴者は、家族と知人・友人が減り、カップル・夫婦と1人旅が増加した。1人旅は前期実績から引き続き男性が増加し、女性は減少した。 

加賀屋・小田女将が語る、クレーム対応や社員教育(国際観光施設協会インテリア部会)

加賀屋・小田真弓女将
加賀屋・小田真弓女将

 国際観光施設協会のインテリア部会(寺本昌志部会長)は2月13日、東京都内で新情報発信グループ第9回研究会「和倉温泉・加賀屋女将 小田真弓さんに聞く」を開いた。小田真弓女将に会員の中川誠一氏が聞き手となり質問を投げかけた。旅行新聞新社が主催する「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で33年連続1位に輝いたおもてなしの極意や、クレーム、社員教育、建築設計やインテリアデザイン、今後の旅館像などについて約2時間語った。
【増田 剛】

 加賀屋が「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で初めて総合1位になったのは1981年。以後33年間連続トップに輝いている。初めて日本一の宿となった当時、能登渚亭を建てるに当たり、現会長の小田禎彦氏は「宝石のような宿をつくりたい」という強い思いで全国60以上のホテル・旅館を見て回ったという。「『日本一の宿』となったことで社員のやる気が盛り上がった」と小田女将は当時を振り返った。

 その後、宿は大型化し、現在では加賀屋本店だけでも客室係は150人を抱える。「今は12―20室の小規模の宿が人気を集めている。新婚旅行でも大型旅館は敬遠される時代になった」と語る一方で、「ご到着からお帰りまで“上げ膳据え膳”のスタイルを一貫して変えず、従業員を減らさなかったことが、高齢化社会で部屋食の要望が強くなってきている時代にも対応できることがよかった」と語った。最近若い男性の客室係を採用したことで女性客にも好評を得ていることも紹介した。「大型旅館は大型旅館なりのやり方を考えていかなければならない。加賀屋では『いかに小さく見せるか』を常に考えている」と話した。

 最近の傾向としては、「イタリアやフランスなどヨーロッパの方々が旅館やおもてなし、日本文化に対して興味・関心が高まっているのか、視察などが増えている」という。また、加賀屋を改装する際には、「本店はシンプルな純和風数寄屋造りのなかに、ベッドや、とくに水回りはホテルなど洋風の良いところを取り入れていきたい」と語った。

 クレームについては、怒られて学ぶことも多く、素直に謝ることでリピーターとなる宿泊客も多いという。さらに、「最も来てほしい客・最も来てほしくない客は?」という答えづらい質問に、小田女将は「クレームによって客室係を良い方向に指導していただけるお客様はウェルカムですが、(あまりに執拗なクレームなど)社員が怯え、委縮してしまうような、悪影響を与えるお客様は『来てほしくないお客様』になるのかもしれない」と語った。

 最近の宿泊客の傾向としては、「母と息子」のお客も増えていると紹介した。

 社員教育については、「お客様の満足度と、従業員が『加賀屋に入って良かった』と感じられることが同じくらいの度合いで大切」と語り、「一人ずつ根気強く、声をかけながらマンツーマンで育てている。『笑顔で気働き』をモットーに、自然に笑顔が出る会社を心掛けている」と語った。

第1回旅館甲子園開く、グランプリは観山聴月(宮城県・青根温泉)

初代グランプリに輝いた観山聴月
初代グランプリに輝いた観山聴月

 第1回旅館甲子園が2月20日、東京ビッグサイトで開かれ、グランプリには宮城県青根温泉の「流辿別邸 観山聴月」が選ばれた。全国から選び抜かれた5軒の旅館経営者とスタッフが集結し、若手経営者の志や経営に対するビジョン、現場スタッフの輝き、地域活性への取り組みをプレゼンテーション方式で発表。個性豊かなパフォーマンスと「おもてなしの心」に共感した来場者約700人は、最も心に響いた宿に1枚のコインを投じた。
【内川 久季】

 旅館甲子園は「それぞれの旅館には日本一が何かひとつは必ずある」をコンセプトに掲げ、旅館が守り続けてきた日本の「おもてなしの心」や日本文化を若い世代や海外に広く伝え、業界や地域の活性化を目的として生まれた大会だ。

ファイナリストの5軒
ファイナリストの5軒

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(横山公大部長、約1600会員)に所属している施設のなかから、出場希望施設を募り、審査を通過した22施設のうちファイナリストの5軒を決定。決勝審査は、プレゼンテーション方式で、各旅館15分間与えられ、(1)越後湯澤HATAGO井仙(新潟県)(2)鬼怒川温泉ホテル(栃木県)(3)竹と茶香の宿 旅館樋口(島根県)(4)和歌の浦温泉 萬波MANPA RESORT(和歌山県)(5)流辿別邸 観山聴月(宮城県)――の順で発表された。

 舞台上では、経営者とスタッフが一丸となって旅館の問題点に立ち向かう姿や、スタッフの仕事に対するこだわりとプライドなどをアピールし、各旅館の「おもてなしの心」を披露。登壇した経営者やスタッフ、地域の人々は、時に緊張した姿を見せながらも、イキイキと目を輝かせながら旅館の魅力を語った。

 行政や旅館関係者、コンサルタント業など専門家による審査と、来場者によるコイン投入の投票の結果、グランプリには宮城県の青根温泉「流辿別邸 観山聴月」が選ばれた。同館オリジナルの造語である「思手成し(おもてなし)」をモットーに、「思いを込めた手で事を成す」というサービスを舞台上で再現。同館で行われている誕生日演出を寸劇で表現し、会場を沸かせた。

 発起人である横山青年部長は、「ピーク時には8万6千件を超えていた旅館だが、今は4万5千軒に減少し低迷している。しかし、今日の大会で、改めて旅館の魅力に気づいてもらえたのではないか。〝宿は人なり〟の精神を今一度、呼び戻せたと思う」と語り、本大会を締めくくった。

 優勝した「流辿別邸 観山聴月」には、副賞として、じゃらん本誌での特集記事や楽天トラベルのトップページ広告枠の進呈などが贈られた。

井手長官「格付けではない」、サービス内容の情報発信

 観光庁の井手憲文長官は2月19日の会見で、議論の続く宿泊施設の「評価制度」導入について改めて方針を説明した。外国人観光客に対して、施設で受けられるサービス内容の情報発信に重きを置く方針で、あくまで「格付け」ではないことを強調した。

 観光産業政策検討会の取りまとめについて、重点項目として、日本旅行業協会(JATA)が進めているランドオペレーターの認証制度と、宿泊施設の評価制度をあげた。評価制度については、Wi―Fiの対応や外国語の対応、外国語放送、おもてなしなど、宿泊施設で受けられるサービス内容の評価を外国人観光客に向けて発信する方針で、いわゆる「格付け」制度との違いを説明した。同検討会は3月中に最後の議論を行い、取りまとめを行う予定だ。

 また、1月29日に閣議決定され、現在参議院で審議されている2013年度の観光関係の予算が前年度比1%減の102億円となったことに触れ、「予算削減傾向のなか、何とか前年同等を確保できた」と評価。12年度が調査のピークであった「観光統計の整備」に触れ、「『観光統計の整備』は山を越え、13年度は予算が減ることが分かっていた。その分を別事業に充てることができたので、『観光統計の整備』の減少分を抜いて考えれば、むしろプラス予算」と語った。

 国内観光については、補正予算で16億円弱をつけた目利きなどの選定による魅力ある観光地づくりを推進する「官民協働した魅力ある観光地の再建・強化」を、13年度予算で3億5千万円を計上した「観光地域ブランド確立支援事業」につなげる方針を説明。「国内観光はインバウンドと違い、捉えどころがない部分があり政策を立てるのが難しい。観光圏プラットフォーム事業も決定打にかけていた」と分析し、「今回の補正と本予算の2事業で、国内観光もようやく新しい展開に入る」と語った。

No.333 「もてなしの達人」「優秀バスガイド」 - 観光の現場の“輝き”を表彰

「もてなしの達人」「優秀バスガイド」
観光の現場の“輝き”を表彰

 観光の現場で輝く人を表彰――。旅行新聞新社が主催する「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」「プロが選ぶ優良観光バス30選」の特別部門として、お客様に直接接する旅館、ホテルの従業員やバスガイドにスポットを当てた「第10回もてなしの達人」「第11回優秀バスガイド」の表彰式が2月15日、東京都港区の浜松町東京會舘で開かれた。当日は表彰式のほか、恒例となった優秀バスガイドによる1分間ガイドや日本旅行広報室長の矢嶋敏朗氏による講演を行った。

【6面に受賞者一覧】

≪表彰 もてなしの達人40人、優秀バスガイド12人≫

 今回の「もてなしの達人」は40人を選出し、27人が出席。「優秀バスガイド」は受賞者12人全員が出席し、表彰状と記念品が贈られた。

≪優秀バスガイドの「1分間ミニガイド」≫

 毎年、恒例となった優秀バスガイドの1分間ミニガイド。12人のバスガイドが会場を沸かせた。トップバッターは、山交バスの土坂真実さん。「松尾芭蕉が訪ねた奥の細道、最大の目的地松島から山形へ」をテーマにガイドをした。HMC東京の上野智美さんは所属している会社近くの「葛西臨海公園」を時間ちょうどに収めて案内。

※ 詳細は本紙1494号または3月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

未来への大切な投資 ― 子供に愛される地域に

 2月の雪催いの日曜日に、「水族館に行きたい」という7歳の息子と小田急線に乗って新江ノ島水族館に行った。末の息子なので、「あまりどこにも連れて行ってあげてなかったな」と思いながら、「たまには父さんも奮発だ!」と、息子の大好きなロマンスカーに乗って、冬の江ノ島に向かった。

 息子が水族館を好きになったのは、数年前の東北旅行で青森県の浅虫温泉に泊まった翌朝、浅虫水族館に行って初めてエイを見て感動して以来のこと。浅虫水族館の施設は素晴らしく、そのわりに青森県営のためか、ものすごく料金が安かった。これは家族旅行にとってすごくありがたいことであった。

 さて、今は、子供たちにとって受難の時代である。少子高齢化が進み、社会の中心は大人であり、それもかなりの高齢層である。幼い子供連れの家族は飛行機や新幹線など公共交通機関も利用しづらいし、ちょっと洒落たレストランや旅館・ホテルにも入れない。そうすると、休日に小さな子供連れの家族が遊べる場所といえば、家から歩いて行ける小さな公園か、少し頑張って動物園や水族館、遊園地だろう。でも入園料が安くなければ、何度も行くことはできない。地域の動物園や水族館、遊園地は子供たちにとって楽しさの象徴であり、楽園である。きっと大人になると、楽しかったたくさんの思い出を胸に、自分たちの子供を誇らしげに連れていくに違いない。

 私は図書館が好きである。そして図書館が充実している町が好きである。現在、どこの自治体も財政は苦しいが、図書館は「とても大切なもの」と認識されている。これは良心である。生活に困窮しても、図書館に行けば誰でも平等に本を読むことができる。すべての住民に最低限の文化的な生活が保障されている。動物園や水族館、美術館なども地域の子供たちに身近で、愛される施設であってほしいと思う。子供の入場料は自治体が補助してもいいのではないか。地域活性化を目指すなら、地域愛を育てるなら、もっと子供に、未来に目を向けよう。

 多くの温泉地ですでに行われているが、日にちを決めて地元の子供たちを無料で温泉に招待することも未来への大切な投資なのである。地域づくりには時間が必要だ。未来の地域を担う子供たちに愛されるまちを目指そう。

(編集長・増田 剛) 

【プレゼント】ペア宿泊券は58組に 応募は4月19日まで!

ペア宿泊券は58組、38の名産品を各3名様に!

全国の旅行会社が「プロの目」で選出した優秀ホテル・旅館、観光・食事、土産物施設、観光バス会社をランキング発表する、プロが選ぶ100選(旅行新聞新社主催)が決まりました。

発表を記念して、入選施設の「旅館宿泊券」(ペア1泊2食付)と「名産品」を ホームページをご覧の皆様にプレゼントします。皆様のご応募をお待ちしております。

ご応募はコチラ(弊社のプレゼントページへリンクしています)から!

観光地の取り組み募集、補正予算の支援事業始動(観光庁)

 観光庁はこのほど、1月11日に閣議決定した2012年度第1次補正予算に盛り込まれた「官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業」を進めるため、観光地の特色ある資源の商品化に向けた意欲的な取り組みの募集を開始した。

 同事業は、観光地の魅力となりうる資源を見直し、地方公共団体、事業実施団体、旅行会社、交通事業者、旅行メディアなどの総力を結集した確実な旅行商品化と情報発信を通して、魅力ある観光地づくりを推進。募集した観光資源の商品化に向けた意欲的な取り組みの中から、第三者で構成する委員会で対象を選定し、商品化に向けた支援をしていく。

 選定された取り組みは、旅行会社のバイヤーや旅行メディア、地域活性化プランナーなどの観光資源の「目利き」と「観光地の担い手」が協働して磨き上げた観光資源を題材にモニターツアーと効果検証を実施。旅行商品と観光地の魅力を全国に発信し、旅行商品のランク付けなどによる市場からの評価を行うことで確実な商品化をはかっていく。

 応募期間は3月1日までとしている。

 詳細は、観光庁HP=http://www.mlit.go.jp/kankocho/news05_000137.html

 なお、補正予算では同事業に15億7千万円が計上されている。 

鷹泉閣 岩松旅館(宮城県・作並温泉)、ピンクリボンデー、4月10日に設定

 ピンクリボンのお宿ネットワークの会員施設の鷹泉閣岩松旅館(宮城県作並温泉)はこのほど、4月10日をピンクリボンデーに設定した。

 乳がん手術を受けた方、乳がん治療中の女性を限定としたプランで当日は全館貸切で受け入れる。また特典として(1)食事は養生に配慮した料理を用意(2)ゆっくり寛いでもらうためチェックインは午後2時、チェックアウトは午前11時(3)バスタオル、フェイスタオル、浴衣をそれぞれ2枚用意(4)プラン専用のアメニティを用意(5)チェックイン時のウェルカムドリンク(6)翌日出発前のコーヒーサービスが受けられる。

 料金は客室や夕食の提供場所で異なる1人1万500円、同1万2600円、同1万5750円の3タイプ設定している(別途それぞれ入湯税150円がかかる)。

 なお、家族で手術後の配慮のできる人は女性限定で同伴可能。

 問い合わせ=電話:022(395)2211。