山形県・天童温泉 松伯亭あづま荘、ねこ女将「まいちゃん」が人気、自慢看板猫ランキング2位

ねこ女将「まいちゃん」の
決めポーズ

 山形県・天童温泉「松伯亭あづま荘」は天童温泉で唯一の屋根のない開放感あふれる露天風呂と絶品山形牛料理が自慢の宿だ。同館のマスコットキャラクター的な看板猫、ねこ女将「まいちゃん」が大人気で、楽天トラベルが主催した2017年版「全国の宿 自慢看板猫ランキング」で第2位に入賞している。今話題の猫の女将さん「まいちゃん」について、同館の髙橋和也常務に話を聞いた。
【古沢 克昌】

 ――ねこ女将「まいちゃん」が誕生した経緯を教えて下さい。

 猫のまいちゃんは小さいころから好奇心が強く、よく家から脱走しては家族を困らせていました。それならば旅館の広いロビーで遊ばせてあげようと連れてくることが多くなり、次第に旅館に猫がいるという噂を聞いたお客様から会いたいという要望が増え、冗談半分で猫に会える宿泊プランを作成したことが始まりです。

 ――今年度の楽天トラベル主催「全国の宿 自慢看板猫ランキング」で第2位に入賞されていますが、人気の理由は何だと思いますか。

 あづま荘内では、まいちゃんは〝奇跡の猫〟と呼ばれています。ブランド猫を彷彿とさせるような可愛い容姿と大きな眼。自分は接客業だと分かっているのか、フロントにお客様がいる間はほとんど動かず、カメラ目線もビシッと決めます。鳴かないし、大人しい、そんな猫だから人気なのではないでしょうか。

 ――宿泊されたお客様からの猫の女将さんの評判はいかがですか。

 皆様から「かわいい!」と大変評判をいただいております。まいちゃんに会うために何回も宿泊されるお客様や、テレビや雑誌の記事をまとめられている方などもいて、アイドルのような存在になってきています。小さいお子様など、初めて猫と触れ合うお客様も多く、親御様からも喜ばれております。

 ――最後に「松伯亭あづま荘」の一言PRをお願いします。

 天童温泉にて開湯から歩み百数年。伝統に革新と奇抜さを取り入れながら、さらなるお客様満足を目指し、日本が誇る旅館文化を守るために動いていきます。

「松伯亭あづま荘」の外観

全国27空港を認定、〝支援型〟分け、地方誘客へ(国交省)

 国土交通省航空局航空戦略課は7月4日、全国27空港を訪日誘客支援空港に認定した。各空港の誘客実績などに合わせて「拡大支援型」「継続支援型」「育成支援型」に分類。訪日外国人旅客の地方誘客促進と、2020年4千万人達成に向け、国際線の新規就航・増便や着陸料の割引などの支援を開始する。 

 7月4日の会見で石井啓一国土交通大臣は「空港がある自治体などで国際便の就航や、訪日外国人旅行者のさらなる誘致に向けた意欲や機運が高まり、地方誘客の一層の促進を期待している」と語った。

 拡大支援型には、仙台空港や熊本空港など19空港を認定。「地方空港受入環境整備事業費補助金」や「CIQ(税関・出入国管理・検疫)施設の整備補助」による支援を行う。なお、北海道の稚内と釧路、函館、女満別、帯広、旭川空港は、一体運営の予定があり、1空港としてカウントする。

 継続支援型には、長崎空港や花巻空港など6空港を認定。インバウンド割引制度の継続や「地方空港受入環境整備事業費補助金」の一部による支援を実施していく。

 また、訪日誘客に高い意欲を持つ松本空港と下地島空港(沖縄県)を育成支援型に認定。継続支援型同様の支援を行うほか、観光庁や日本政府観光局(JNTO)なども訪日誘客実現に向けた戦略・計画策定などを合わせて支援する。

パンダくろしお運行

 東京・上野動物園で6月にパンダの赤ちゃんが誕生したことが話題となったが、日本におけるパンダ王国といえば和歌山県。白浜町にあるアドベンチャーワールドでは現在、5頭のジャイアントパンダが暮らしている。とくに昨年9月に誕生したメスの結浜(ゆいひん)は、その愛くるしい姿が来園者に人気だ。

 そんなパンダ王国をPRする列車が8月5日にお目見えする。今年発足30周年のJR西日本が、来年で開園40周年を迎える同園とコラボし、京都―新宮駅間で運行する特急「パンダくろしお『Smileアドベンチャートレイン』」だ。車体前面にはパンダの顔、ボディーにはさまざまな動物をラッピングするほか、座席には、パンダの顔がデザインされたヘッドカバーも。定期列車として19年11月ごろまで運行予定。

【塩野 俊誉】

秋田県・ふけの湯温泉 ふけのゆ・阿部 剛右(あべ・ごうすけ)社長に聞く

阿部 剛右社長

 秋田、青森、岩手県を跨ぐ八幡平最古の秘湯として知られる、ふけの湯温泉ふけのゆ(阿部剛右社長、秋田県鹿角市)。宝永年間(1704―1710年)から現在に至るまで、多くの秘湯ファンに愛されている。今年6月、この秘湯の宿に、枡風呂・樽風呂に続き、岩風呂が完成。また一つ新たな魅力が加わった。剛右社長の母・恭子(きょうこ)女将(会長)が作る山菜料理も 〝すべて手作り〟という徹底ぶり。「お客様には心身ともに元気になって帰ってもらいたい」と話す。
【増田 剛】

山菜料理はすべて手作り、岩の野天風呂も新たな魅力に

 十和田八幡平国立公園の頂上近くに位置するふけの湯温泉。標高約1100メートルの地に、白い蒸気がもくもくと上がっている。

 1953(昭和28)年に建てられた本館は、昭和の学校の校舎のようだ。中に入ると、磨かれた廊下が光っている。とくに夜は淡いライトの反射光が綺麗だ。「『昔の面影が残る古い施設がいい』とおっしゃっていただけるお客様も多く、なんとか現状を維持させることを考えています」と剛右社長。古民家を移築して、似たような近代的デザインに改築する施設が増えているなかで、「素朴な『古さ』も個性の一つなのかなと思っています」と語る。

阿部 恭子女将

 その一方で、時代の流れに沿った施設の「使いやすさ」も追求している。食事処は高齢の宿泊客に配慮して、小上がりをすべてイス・テーブル席に変えた。1階のトイレをバリアフリー化し、車イス、スロープも整備した。客室も少しずつリニューアルしている。 

 現在は新館の3室に加え、本館1階部分の5室がトイレ付客室。2階の18室と合わせて計26室。今後、昔ながらの2階客室についても、和洋室に改築していくことも視野に入れている。「ベッドを入れても、畳の間は残したいですね。自分もほかの旅館で温泉に入ったあとは、大の字になって冷たい飲み物を飲みたい。この感覚に共感してもらえるお客様はきっといるはず」と笑う。 

 岩風呂を自分たちで造る

 「多くの人に来ていただく動機付けになれば」と、枡風呂・樽風呂に続き、今年6月、新たに岩で組み上げた野天風呂を自分たちの手で造った。

 「敷地の中はどこでも泉質の異なる温泉が沸いてきます。お風呂をたくさん造って、『お客様が好きなお風呂に入れるようにしたい』という夢をずっと持っていました」と恭子女将は話す。「源泉の温度が高いので、蒸気を使ったスチームサウナもできるのではないかと思っています」と剛右社長も乗り気だ。

枡風呂、樽風呂に続き、岩風呂も完成(手前)
白い蒸気が上がるふけのゆ。秘湯ファンにはたまらない

 先進的な湯治場

 福岡県で生まれ、東京で育った恭子女将は、1963(昭和38)年に先代と結婚すると同時にふけのゆに入った。

 それから10年後の73年のことだ。山崩れが発生し、敷地内の山側の湯治場がすべて押しつぶされた。幸い宿泊客は全員無事だった。当時は常時600人から多い時は1千人の湯治客がいたという。その湯治客が行くところがなくなり、近くの後生掛温泉や玉川温泉に流れて行った。

 「こんな山奥ですが、浄化槽をつけてウォシュレットのトイレを整備したのも近隣では最初でした。ベッドを導入したのも早かったですね。山の上の半年経営ですが、湯治客は年間10万人を超えていました。館内の売店も昭和40年代で100万円の売上がありました」と振り返る。恭子女将が結婚した当時、色々な惣菜を作り、湯治客には好評を得ていた。

 料理はすべて手作り

 女将は今も厨房に立つ。忙しい時は朝4時に起きて山に登って山菜を取り、夜10時まで座ることもなく働いている。

 料理はすべて手作り。味付けも出し汁をベースにして無添加というこだわりようだ。「温泉と自然環境と、料理が特徴です。素朴さもお客様には喜ばれます。リピーターは多いですね」と語る。

 宿の基本となるモットーは「お越しいただいたお客様に内側からも、外側からも元気に帰っていただく」こと。「内側は料理で、外側は自然環境と温泉で、すっきりリフレッシュして帰ってもらいたい」という強い思いが伝わる。

 「海の幸に比べるとお膳の華やかさには負けますが、標高約1100㍍の山の宿では、マグロの刺身を出すよりも、川魚を出したいと思っています」と剛右社長は力を込める。「その日に採れた山菜でメニューも変わります。夕食に合わせてぎりぎりに作っており、でき上がる直前に変更したり、どんなメニューになるのかわからないので、お品書きもありません」。このため、スタッフがお客とコミュニケーションを取りながら説明している。

すべて手作りの山菜料理

 フキノトウやコゴミ、ワラビ、アザミ、フキ、アイコ、ミズなど季節の山菜を、剛右社長と、もう1人のスタッフが採り歩いている。「お客様には新鮮で、美味しい食材で料理したい。買うことは簡単ですが、それだと自分の目で食材を選ぶことができません。同じ場所に生えている山菜でも、食べて美味しいものと、そうでないものがあります。せっかくお越しいただいたお客様にお出しする山菜は、自分の足で採り歩き、自分の目で選びたい」と強調する。極力、生のものを使っている。「採りに歩く方が人件費もかさみます。そして、採ってきた後の処理がすごく手間が掛かるのです」と話す。「買って来た山菜はすでにアク抜きが終わっているものもあります。採って来て、すぐに茹でて食べられると思われるかもしれませんが、実際は茹でた後に水に浸して、アク抜きをして、その後皮を剥いだり、色々と手を入れなければなりません」。

 イワナやニジマスなどの川魚は、岩手県側の岩手山と八幡平の湧水で養殖しているところから持って来て、自館の水槽に入れる。事前に連絡し、エサをやらないようにして臭みを抜く作業を行う。さらにふけのゆの沢水で数日間置くことで臭みをとり、ようやく刺身や焼き魚にして提供する。「川魚が苦手なお客様もいらっしゃいますが、『食べてみたら美味しい』とおっしゃっていただけるお客様が多いですね」という。「自分たちが手間を掛けることによって自信を持てる料理をお出ししています」と剛右社長は話す。

 以前、春にフキノトウを出すと、宿泊客から「その辺で採ってきたものを手っ取り早く出しやがって」と文句を言われた。「でも、そのフキノトウでさえ、本当に美味しいものを選んで採り歩いてきたものなのです。苦味のあるものや、柔らかいものなど、その色と葉で見分けがつくものなのです」。

 一方、「『手が掛かる山菜の料理をこんな風に出すなんてすごいね』と言っていただけるお客様も多いです。山菜がすごく手間が掛かることを分かってくださっているのですね」と剛右社長は笑みを見せる。 

 森林セラピー基地に

 今は2―3週間以上の長期間滞在する湯治客はほとんどいないというが、「滞在客には毎日料理を変えます。食材が同じでも調理法や、味付けを変えます」。

 山の宿ならではの工夫はそれだけではない。「救急車が来るにも1時間かかるので、救命講習の指導が可能な普及員の資格を持つスタッフが5、6人います。AED(自動体外式除細動器)も備えています。さらに自然豊かな環境を生かし、森林セラピー基地の認定を受け、女将が森林セラピストガイドの1級の資格を取得している。

 スタッフは現在11人。支配人と経理担当は通年雇用だが、ほかのスタッフは季節雇用だ。「なかなか思うようにいかないのが現状ですが、皆が楽に働けるような環境づくりをしたいと考えています」と剛右社長。人手不足に悩むのは、多くの宿と共通する。

 それでも、「お客さん同士が意気投合して『来年もここで会いましょう』と約束をされることもあります。そういう雰囲気を残していきたい」と笑顔で語る。

昭和の面影を残すふけのゆの外観
磨かれた廊下が光って綺麗

参加人口4年連続増、オートキャンプ白書2017

明瀬一裕会長

 日本オートキャンプ協会(JAC、明瀬一裕会長)は7月11日、オートキャンプ白書2017発表会を東京都内で開いた。16年のオートキャンプ参加人口は4年連続で前年を上回り好調。15年に引き続き、800万人の大台を突破した。明瀬会長は、「第2次オートキャンプブームが到来した。女子キャンやグランピングなど、キャンプスタイルとともに、年齢層も多様化している。オートキャンプ文化が深く根づきつつある」と強調した。本紙では今後、詳細な分析を行う予定だ。

 増加するインバウンドの受入体制確立について明瀬会長は、政府が策定した「観光立国推進基本計画」を踏まえ、「キャンプ場は、インバウンドの受入先の1つとなる。キャンプ用品のレンタルやWi―Fi設備の充実などが必要だ」との認識を示した。インバウンドの取り込みなど、協会を挙げた施策については、明言を避けた。

大浴場リニューアル、「天上のSPA」誕生(グランディア芳泉)

「月の湯」露天棚湯

 福井県あわら温泉のグランディア芳泉は5階温泉大浴場を全面改装し、新たに「天上のSPA(スパ)」月の湯・星の湯として7月14日にリニューアルオープンした。

 今年5月に先行オープンしていた「月の湯」(旧気ばらしの湯)は、大風呂、ひのき風呂、寝湯、かけ湯、水風呂、サウナ風呂のほか、露天棚湯を備える。

 一方、7月19日に誕生した「星の湯」(旧おしゃべりの湯)は、大風呂、ひのき風呂、寝湯、かけ湯、水風呂、サウナ風呂のほか、美泡の湯(マイクロバブルバス)や露天空湯を備える。

 それぞれの露天棚湯、露天空湯は、従来の露天風呂よりも広くなり、より開放感もアップ。四季折々に表情を変える福井ののどかな田園風景が一望できるほか、晴れた夜には、美しい夜空も満喫できる。

 また、湯上りサロンには新たに個室のエステルームを設置。誰にも気兼ねすることなく、プライベート空間でゆったりくつろぐことができる。

 男女入れ替え制で、夜は男性が「月の湯」、女性が「星の湯」。朝は男性が「星の湯」、女性が「月の湯」となる。

「加賀屋別邸 松乃碧(まつのみどり)」で過ごす大人の夏休み、静寂の空間でくつろぐ

何もしない時間を手に入れる贅沢

 「大人のためのプライベートな空間」として2015年10月、石川県・和倉温泉に誕生した「加賀屋別邸 松乃碧(まつのみどり)」。〝美術館に泊まる〟をコンセプトにした館内には、輪島塗作家の「角偉三郎美術館」を併設。館内にいながらにして日本の伝統美に触れることができると評判だ。また、宿泊代金に館内での食事や飲料、施設利用料などを含むインクルーシブシステムを導入することで、滞在中は何の気兼ねもなく、我が家のように過ごすことができるのも、他館にはない魅力。今年の夏は、大切な人と、松乃碧でくつろぎと癒しに満ちた贅沢な大人の夏休みを過ごしてみては。

 「加賀屋別邸 松乃碧」を訪れると、最初に出迎えてくれるのが、館名にもある松の木。同館では、この巨石に力強く根を張って自生する「おむかえの松」をはじめ、玄関口にある「昭和天皇お手植えの松」、地元七尾出身の絵師、長谷川等伯の代表作「松林図屏風」をモチーフにしたロビーラウンジから望む「遠景の松・近景の松」など、さまざまな松が旅人をもてなしてくれる。

 松の出迎えを受け、エントランスに入ると、同館のコンセプト「美術館に泊まる」の通り、輪島塗や九谷焼など、石川県の伝統工芸品がずらり。館内には、輪島塗作家の「角偉三郎美術館」が併設されており、館内各所で、さまざまな作品に触れることができる。

 木目と白を基調とした、やわらかい印象のロビーラウンジに腰を掛けると、眼前には波穏やかな七尾湾と松の木々が織りなす「遠景の松・近景の松」が。海を借景にした1枚の絵画のような風景に、しばし時を忘れて見とれる人も少なくないとか。

 また、庭に設けた加賀藩主前田家ゆかりの茶室では、海を眺めながら、ゆっくりと抹茶を楽しむこともできる。

 くつろぎの中心となる客室は、和室、和洋室のほか、露天風呂を備えた特別室など全31室。全室オーシャンビューで、広く採られた窓からは風光明媚な七尾湾を一望できる。

七尾湾を一望できる茶室「得寮庵」

 時間とともに表情を変える水面を、日がな一日眺めて過ごすのも、この宿ならではの、贅沢な楽しみ方のひとつかもしれない。

 客室は、すべて和を基調にツインベッドやソファなどを配したモダンな仕上がり。マッサージチェアや上質なアメニティの数々など、細部にまでこだわった室内は、まさに「大人のためのプライベートな空間」。喧騒から離れた穏やかな大人の休日を、思う存分満喫することができる。

大人のためのくつろぎ空間(露天風呂付き特別室)

 館内は全室禁煙となっており、3―5階の客室フロアには、各階にスモーキングルームが備えられている。

 部屋でリラックスしたあとは、旅の醍醐味のひとつである温泉へ。男女ともに設けた露天風呂からは、遠く能登島を望む七尾湾の大パノラマが楽しめる。希望すれば、姉妹館の加賀屋、あえの風の湯巡りも可能だ(例外日あり)。

 開湯1200年を誇る和倉の湯を満喫したあとは、湯上りサロンで一息。サロンで提供するジェラートや能登ミルクといった地元ならではのスイーツや飲料類は、女性にも好評だ。

 温泉でリフレッシュしたあとは、待ちに待った夕食。食事処で味わう料理は、奇をてらわず四季折々の能登の恵みを盛り込んだ一品ばかり。料理を引きたてる器も、輪島塗や九谷焼による松乃碧オリジナルのものなど、厳選された器を使用し、視覚でも料理を楽しませてくれる。

 朝食は、さまざまな味を少しずつ味わえるヘルシーな和食を、海を眺めながら味わえる。

 夕食後も、静寂を楽しむ大人の空間には事欠かない。バーで静かに飲むもよし、ライブラリーに備えた書物を、ラウンジで読みふけるもよし。ライブラリーには、昭和に流行した歌のCDや映画ソフトなどもそろえており、部屋で自由に視聴することもできる。

 同館が導入するインクルーシブシステムの魅力は、これら数々のコンテンツが、滞在中、何の気兼ねもなく利用できること。煩わしさから解放された松乃碧で過ごす時間は、この上ない上質なくつろぎと癒しのひとときを与えてくれる。

〝美術館に泊まる〟、館内に数々の伝統工芸品

 松乃碧には、他館にはない個性あふれる魅力が詰まっている。その代表が〝美術館に泊まる〟のコンセプトにもある通り、館内に散りばめられた輪島塗や九谷焼といった石川県の伝統工芸品の数々。館内に併設する「角偉三郎美術館」では輪島塗作家、角偉三郎氏の作品を展示するほか、工房なども再現する。一般客による鑑賞も可能(有料)。

 庭園にある茶室「得寮庵」も注目スポット。前田家14代藩主、慶寧公の四女、慰姫のお行儀見習いの場として江戸末期に建てられた茶室を移築したもので、剣梅鉢紋と鳳凰が描かれた格天井や、釣鐘型の火燈(かとう)窓などは、当時のものがそのまま使用されている。

 館内の美術品だけで物足りない場合は、姉妹館、加賀屋の館内美術館ツアーがおすすめ。加賀屋館内にある数々の美術品を、スタッフの案内で巡る人気ツアーだ。希望者を対象に毎日午後4時30分から実施する。

 よりアクティブな向きには、「七福神めぐり」をはじめとする温泉街散策もある。さらに能登島まで足を延ばせば「のとじま水族館」や「能登島ガラス美術館」などがあり、動物との触れ合いや各種体験も楽しめる。

館内各所に伝統工芸品を展示

本物の日本にめぐり逢う旅に

藤森 公二支配人

 当館は「美術館に泊まる」をテーマに、1階には輪島塗作家・角偉三郎美術館を配し、その他館内には、九谷焼、大樋焼など石川県の伝統工芸を散りばめました。ロビーから臨む庭園には、加賀藩前田家ゆかりの茶室があり、本格的なお茶を気軽に体験して頂けるようご準備しております。

 また、海を見ながらの一服の後は、地元七尾出身の絵師、長谷川等伯が描いた国宝「松林図屏風」をイメージした庭園を散策することもできます。

 大人がくつろぐ静かな宿で、本物の日本にめぐり逢う旅に出掛けてみてはいかがでしょうか。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
 
 
 
 
 

中央大細野教授が会長、酒蔵ツーリズム推進協発足

 日本酒と酒蔵を世界に発信し、訪日外国人旅行者の誘客につなげるため、昨年11月1日に官民連携の組織が設立した。このほど、実行性のある組織へ改革するため「日本酒蔵ツーリズム推進協議会」と改称。6月28日に東京都内で総会を開いた。会長に就任した中央大学総合政策学部の細野助博教授は「日本酒、酒蔵は地域の産業であり、酒蔵ツーリズムは地域活性化に役立つ。大いに努力したい」と述べた。

 酒蔵ツーリズム事業は、観光庁のテーマ別観光による地方誘客事業に2年連続で採択。昨年度は、国内と海外の富裕層向けの酒蔵巡りモニターツアーをそれぞれ実施した。今年度はクルーズ客船と連携したツアーや、通訳案内士への酒文化教育の推進などを計画する。

 協議会は(1)国内外への情報発信とインバウンドの地方誘客推進(2)日本産酒類の輸出増加と海外販路拡大(3)酒造業界・観光業界・自治体との連携ネットワーク構築(4)共同プロモーション・プラットフォーム開発(5)酒蔵ツーリズムを軸に地域資源を活用した魅力的な地域づくり(日本酒蔵街道)の推進――に取り組む。「とくに富裕層の来訪が地域にもたらす経済効果は大きい。幅広い方々と連携し、インバウンドも含めて、地域誘客に貢献できるよう努めていく」(細野会長)。

 なお、同協議会は10月1日に導入される、訪日外国人旅行者向け酒税の免税制度が追い風になると期待している。

 役員は次の各氏。

 【会長】細野助博(中央大学総合政策学部教授)
 【副会長】久保田穣(日本観光振興協会副理事長)▽佐浦弘一(佐浦社長)▽宮坂不二生(東北・夢の桜街道推進協議会事務局長)


総会のようす(右から2人目が細野会長)

宗像・沖ノ島、世界遺産に、すべての構成資産認定

沖津宮遙拝所

 日本で21件目の世界遺産が誕生した。ユネスコの第41回世界遺産委員会は7月9日、「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」を世界遺産一覧表へ記載することを決定。8資産すべてが登録されるかが焦点となったが、「8つの構成資産は文化的・歴史的に結びついた一体のものであり、本資産の価値を理解するためにはすべての構成資産が必要である」とされ、すべての構成資産が登録された。

 一方、ユネスコは追加勧告も出し、「保存活用協議会」の設立の検討を要請。資産の所有者代表を参画させることや沖ノ島への違法な上陸、船舶の接近の増加への考慮、締約国と関係国間で交易と航海、信仰に関する研究を継続・拡充させることなどを求めた。

 松野博一文部科学大臣は、「関係者の熱心な説明で、本資産が古代から連綿と受け継がれてきた信仰を現代まで伝える遺産であると世界遺産委員会の理解が得られた。最終的にすべての構成資産を登録できたことを心から喜んでいる」との談話を発表した。

          
 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は、宗像大社沖津宮、中津宮、辺津宮など8つの資産で構成される。沖津宮がある沖ノ島は、女人禁制や一木一草一石たりとも持ち出すことは禁ずるなどの掟が、今も厳重に守られている神聖な島。4―9世紀の間の古代祭祀の変遷を示す考古遺跡が、ほぼ手つかずの状態で現代まで残されている。8万点の出土品が国宝に指定され、「海の正倉院」とも称される。

二階氏続投、新体制へ、国内観光の活性化はかる(ANTA)

二階氏が続投

 全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長、5506会員)は6月29日に東京都内で第53回定時総会を開いた。任期満了に伴う役員改選で二階会長が再任。副会長は近藤幸二氏(全観トラベルネットワーク社長、岡山県)と、國谷一男氏(国谷観光社長、栃木県)が続投となり、永野末光氏(西日本トラベルサービス社長、大阪府)が新たに就任。新体制を整えて地域に寄り添い、国内観光の活性化をはかる。

 二階会長は「旅行業界は発展していくように持っていかなければならない。『ANTAここにあり』といわれるように皆さんも頑張ってほしい」と会員らを鼓舞した。

 来賓では観光庁の田村明比古長官があいさつ。政府が掲げる数値目標の達成に向け「キーワードは地方と消費だ」と述べ、「皆さんは地旅の推進など地域に根ざした活動に取り組まれてきた。まさに主役になるべきときだ」とANTAの活動に期待感を示した。

 2017年度事業計画では18年2月に「第13回国内観光活性化フォーラムin 高知」を開き、国内観光の振興に努める。旅行業法の改正内容などについては説明会を開き、今後の通達、省政令、ガイドラインの周知と情報共有をはかる。

 一方、今年は日中国交正常化45周年に当たる。近隣諸国をはじめ、アセアン諸国を中心に双方向の人的交流促進事業に取り組んでいく。このほか、地域の観光資源を活用した着地型旅行やニューツーリズム、ユニバーサルツーリズムを推進していく。

 総会では会長表彰も行われ、17年度は総計107人(社)が受賞した。総会後には懇親会が開かれ、多くの政治家や関係団体の代表らが駆けつけ盛会裡に終了した。

 なお、事務所を現在の港区虎ノ門から、同区赤坂4丁目の赤坂SHASTA・EASTビルに10月を目途に移転する。

(左から)専務理事の有野氏、副会長の近藤氏、國谷氏、永野氏

 新役員は次の各氏。

 【会長】二階俊博【副会長】近藤幸二▽國谷一男▽永野末光【専務理事】有野一馬【常任理事】浅子和世▽岩本公明▽北敏一▽駒井輝男▽髙橋幸司▽中川宜和▽花岡正雄▽藤田雅也▽山中盛世▽和田雅夫