新旅客機はウミガメモチーフ!初ファーストクラスも(ANA HAWAii)

2018年5月1日(火) 配信

A380型機「FLYING HONU」3機のデザイン Photos by ALL NIPPON AIRWAYS CO.,LTD.

ANAはこのほど、2019年春に東京―ホノルル線に導入する旅客機エアバスA380型機の3機の機体デザイン、機内仕様を決定した。デザインと愛称は、ハワイで神聖な生き物として愛されているウミガメに由来。「空飛ぶウミガメ」を意味する「FLYING HONU」とする。

 「FLYING HONU」はファーストクラス8席、ビジネスクラス56席、プレミアムエコノミー73席、エコノミークラス383席の520席。ANAのホノルル路線初のファーストクラスを導入するほか、ビジネスクラスにはフルフラットシートになるペアシートを、エコノミークラスにはカウチシートを導入する。3席、または4席分をベッドのように利用できる。

シートマップ Photos by ALL NIPPON AIRWAYS CO.,LTD.

 機内の照明は「朝日」「星空」「虹」などハワイらしい景観をイメージ。おむつ交換台などを備えた多目的室や、軽食が取れるバーカウンターも設置した。

多目的ルーム
Photos by ALL NIPPON AIRWAYS CO.,LTD.
虹をイメージした照明 Photos by ALL NIPPON AIRWAYS CO.,LTD.

 なお、同機の就航に合わせてホノルルにANA空港ラウンジを設置を予定している。

 詳細は下記サイト「#hawaii24」を参照。キュートなウミガメのAIを活用し、会話を楽しみながらハワイの情報を入手できるサイトとなっている。

「観光革命」地球規模の構造的変化(198)ホテルプロフェッショナルの育成

2018年5月1日(火) 配信

優秀なホテルプロフェッショナルの育成を

 スポーツや将棋での若手の活躍に刺激を受けた少年少女があとに続けとばかりに関心を高めている。翻って観光分野に目を向けると若者が強い関心を抱く分野にはなっていないが、評価すべき動きもみられる。

 日本ではインバウンドの激増に伴って、観光立国が本格化している。昨年のインバウンドは2869万人を記録し、今年のインバウンドは3千万人を超えることが確実になっている。その一方で、日本の宿泊業では人手不足が深刻化している。また宿泊業では従業員の離職率が高く、優秀なホテルプロフェッショナルの育成が最重要課題になっている。

 北海道観光の牽引役を担う道内最大手のリゾートホテルチェーン野口観光は今年4月に「野口観光ホテルプロフェッショナル学院」を開校した。学院は2年制職業訓練校で、今年4月1日にリニューアルオープンした新苫小牧プリンスホテル「和~なごみ~」に併設されている。

 野口観光ホテルプロフェッショナル学院には、第1期生として今春高校を卒業した32人が総合ホテル学科に入学した。ホテルの基礎知識とおもてなしだけでなく、ホテル経営についても教育を行い、おもてなしのトータルクリエイターを養成する。職訓校生は野口観光グループの正社員として雇用され、毎月給料をもらい、全寮制で学んでいる。

 職訓校生は学院で学びながら、サービス業に関わる各種資格取得が奨励されている。1年生必修では日本の宿おもてなし検定初級、全商簿記検定3級、北海道観光マスター検定、危険物取扱者、普通救命講習、観光英語検定3級、サービス接遇検定3級。2年生必修では日本の宿おもてなし検定中級、食品衛生責任者、防火管理者、上級救命講習。さらに任意で、実用英語技能検定、日本中国語検定、ホテルビジネス実務検定、レストランサービス技能検定など。

 学院長の野口秀夫社長はホテル業の国際化への対応がはかれるホテリエ(ホテル経営者・責任者)の養成を目指している。宿泊業の人手不足が深刻化するなかで、野口社長は若者たちが誇りを持ってホテルプロフェッショナルとして活躍できる基盤づくりに挑戦しており、その試みは高く評価できる。観光分野における「後生畏る可し」の具現化に期待したい。

(北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授 石森 秀三)

コラムニスト紹介

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

〈旬刊旅行新聞5月1日号コラム〉「旅に飽きる」怖さ 面倒くさくても、小さな賭けを 

2018年5月1日(火)配信 

ラクな旅はつまらない?

 旅を仕事にしていて、一番怖いことは、旅に慣れてしまうことである。「旅慣れた人」というのとは、意味合いが違う。「旅に飽きる」といった方が近いかもしれない。

 何度も訪れたことのある街に仕事で出張し、ホテルで宿泊する。夜7時を過ぎ、お腹が減っているが、体はくたくたという状態はよくある。ホテルの隣にはコンビニエンスストアがある。缶ビールとつまみを買って簡単に済ませる方がラクだ。だが、仕事とはいえ、せっかく遠くまで出張しているのだから、「街を歩いて、苦労して、安くて美味しい店を探して食事をしたい」という想いも捨て切れない。この場合、ベッドに座ってしばらく考える。思い描く店に出会う保証はない。一種の賭けである。未知との出会いが続く旅は、賭けの連続である。

 勤務時間ではないので、あえて厳しい道を選択する必要はない。しかし、旅においてラクな方を選んでしまう自分を許せない気持ちがある。

 温泉宿の宴席で強かに酒を飲み、着替えもままならないほど疲れ果て、すぐに布団で眠りたいのに、浴衣に着替え、1階の露天風呂に向かう。

 傍から見れば、まったくの「ムダな努力」である。

 先日、同僚たちと「何度でも行きたい場所と、何度も行くと飽きてしまう場所があるね」というようなことを、酒を飲みながら話した。

 何度行っても懐かしさを感じたり、新鮮な気持ちにさせたりする場所は、「その土地が風光明媚だから」というだけではない。その街の人たちが旅人とは比較にならないほど、街に愛着と、誇りを持っているからではないか。そして、仮に飽きを感じたなら、訪れる側が「新しい魅力を探しだそう」とする努力を怠っている可能性も考えなければならない。

 旅行作家といわれる先輩方と旅する機会も多々あった。そして、大先輩たちの旅への貪欲さに驚かされた。一度旅に出ると、手ぶらでは戻って来ない。自分の五感を駆使して、目に見えない旅のボストンバッグに入りきれないほどの貴重な経験や、知識を大切に詰め込んで旅を終える。それがたとえ、何度も訪れたことのある街や、観光地であったとしてもだ。

 世にあまり知られていない秘湯が山の奥にあると聞けば、夜明け前に起きて何とか探し出し、我が身を湯に浸からせる。

 美味しいスイーツの店が30㌔先にあると知れば、帰りの時間を大幅に変更してでも、自らの舌で吟味する。「もう一歩先へ」と、足を運ばせるエネルギーに満ちている。

 旅に慣れ、旅に飽きてしまうと、そのような泥くさい努力は煩わしくなってくる。旅行会社がコーディネートしてくれたツアーの方が心地よく感じてくる。一般の方なら、何の問題もない。旅のプロである旅行会社はそのために存在しているからだ。

 けれど、私のような旅を生業とする者は、旅があまりにも心地よく感じてしまったら、それは大きな問題なのである。一から十まで快適な旅は、「誰かに話しても、書いても、つまらない」。旅を生業にする者にとっては、快適なだけの旅は、実りの少ない旅でしかない。

 旅への姿勢は、日々の生活にも通じている。面倒くさくても、小さな賭けを続けていたいと思う。

(編集長・増田 剛)

旅キャラ「ツアーモンスター」と「フィール」誕生、東武トップツアーズ

2018年5月1日(火) 配信

ツアーモンスター(左)とフィール©2018 TOBU TOP TOURS/GLOBE.

東武トップツアーズはこのほど、オリジナルキャラクター「ツアーモンスター(ツアモン)」と「フィール」を発表した。旅する仲間としてキャラクターを設定することで、より親しみやすく愛される企業を目指す。

 ツアモンは「大きなポケットの中に、皆を入れて行きたいところへ運んであげる」ことができる、性別・年齢不詳、神出鬼没なモンスター。ポケットの中には色々な世界が広がっており、どこかへ行きたいと思ったときに皆のそばに現れる。

 一方、フィールは世界中の花を探して、ツルで編んだカゴの中に集めるのが趣味のウサギの女の子。ツアモンのポケットの中や傍にいることが多い。花を見た感動を皆に届けるために旅をしている。

 なお、ツアモンは4月28~29日に開催された「ニコニコ超会議2018」でボカニコへ特別協賛している同社ブースで初披露された。これを皮切りに、今後はさまざまな場所で露出をはかっていく。

「境界」のないデジタルアート空間へ 森ビルとチームラボが共同運営

2018年5月1日(火) 配信

チームラボ猪子社長(左)、森ビル杉山氏

森ビル(辻慎吾社長、東京都港区)とチームラボ(猪子寿之社長、東京都文京区)が共同で運営する体験型デジタルアートミュージアム「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM:EPSON teamLab Borderless」が2018年6月21日(木)、お台場パレットタウンに開業する。4月26日(木)、オープンに先駆けて記者発表説明会が開かれた。

 冒頭のあいさつで、森ビル同企画担当者の杉山央氏は「東京オリンピックに向けて多くの人を惹きつける施設にしたい」と意気込み、チームラボの猪子社長は「境界のないアート空間で自らを探索し、他者と新しい体験を共に作っていく場所になって欲しい」と制作にかける思いを述べた。

 今回、完成を間近に控えた制作中の現場を見学するツアーに参加。以下、見どころを一部紹介する。

ボーダーレスワールド

作品名「花の森、埋もれ失いそして生まれる」(制作中)

 エントランスフロアは四季折々の花が時間とともに移り変わる、色鮮やかな空間に。随所に設置された鏡と映像の効果で、「その世界に迷い込む体験」(チームラボ)ができる。

 フロア内のいくつかの小部屋には自由に出入りができる。次々と変わる景色に、どこにいるのか分からない、まさに迷い込んだような錯覚を覚える。花に手を触れると花びらが散るなど、細やかな演出も。

teamLab Borderlessのための新作(完成イメージ)

運動の森

「運動の森」完成イメージ図

 デジタルアートとアスレチックが融合したフロアで、立体ボルダリングや吊り棒渡りなど、より体験的にアートが楽しめる。

同フロアの「吊り棒渡り」の制作現場

 高低差のある斜面で創られた立体的な大空間「重力にあらがう生命の森」では、自分が描いた生きものが投影され、躍動する。ほかの生きものに食べられたり、踏みすぎると死んでしまう生きものもいるなど、生きものの動きを躍動的に表現。

 スタッフは、「生きものの生態系や食物連鎖をイメージした。とくに子供が生き物に興味や疑問を持つきっかけとなれば嬉しい」と思いを述べた。

立体的な大空間で、来場者が描いた生きものたちが躍動する(制作中)

ランプの森

人の動きに呼応して、色や光の動きが変化

 無数に浮かび上がる灯りが幻想的なフロア。外から見ても圧巻の作品だが、ここでも作品を体験できる仕掛けがあるという。

 ランプには実際に触ることができ、人に反応したランプの光は、音色と共に最も近い2つのランプに伝播。また次のランプへと同じように連続し、一筆書きですべてのランプを光らせたあと最初のランプに戻って来る。「自分から放たれた魂が浮遊し、返ってくるようす」をイメージしたという。

 しかし、アートというものは「解説」がなければコンセプトや意図を汲み取るのは難しい。

 「ウェブサイトには詳しい説明やコンセプトを記載するが、まずは作品を感じてもらい、良い思い出ができたと楽しんでもらえれば我われとしては充分」。

 制作側の思いや作品の意味を来場者にいかに伝えるかという点に対し、同ツアーで解説をしたチームラボ加藤謙氏がコメントした。

 フロアを移動中、廊下に見覚えのある蝶が目にとまった。「重力にあらがう生命の森」で来場者が描いた蝶が、フロアをまたいでほかの作品の中にも飛んでいくという演出だという。コンセプトである“境界をはみ出して”の総合演出は、見どころの1つだ。

 今回、プロジェクションパートナーとしてEPSONが参画。館内には470ものプロジェクターを設置し、圧倒的なスケール感の演出に挑戦する。完成イメージ動画や詳細は、下記ウェブサイト参照。

【「空」の松村代表に聞く 】 AI活用し、 頑張りすぎない宿経営を (マジックプライス・ホテル番付)

2017年4月30日(月) 配信

サービスについて説明する「空」の松村代表。丁寧で紳士的な語り口が印象的だった

AI(人工知能)に対する関心が高まっている。話題のスマートスピーカーは高度な学習機能を備え、旅行や航空会社もシステムを連携している。一般ユーザー向けだけでなく、宿泊施設といった企業向けのサービスにも注目したい。宿にとっては、在庫管理に掛かる時間・手間を削減できる可能性を持つ。【謝 谷楓】

バランスの良い経営をAIがサポート

 OTA(オンライン旅行会社)の台頭をはじめ、ICT(情報通信技術)の進化に伴い販路を拡大してきた宿泊施設も多い。1日の供給量(客室)が定まっている宿泊施設にとって販路増は、在庫の繰り越し減につながる。手数料が高くても、数社のOTAに登録しているという施設も珍しくない。在庫管理や料金設定、プランの更新など、昼夜サイトコントローラーと睨めっこしている担当者も多いはずだ。

 近年、OTAでマーケティングの知見を培い、自社サイトでの直販に注力する施設が出てきた。自社サイトを経由した予約率は増加傾向にあり、5年間で5・8ポイントアップ(11・3%)している(2011―16年度発表、日本旅館協会)。適切な販売管理が死活問題であることは間違いないものの、ホスピタリティと生産性向上も忘れてはいけない。バランスの良い経営を実現するためには何をすれば良いのか? レベニューマネジメントにAI(人工知能)の活用を提案し、独自のウェブシステムを販売する空(ソラ、東京都渋谷区)の松村大貴代表は次のように語る。

 「一度体験すれば、人力で料金設定を行う大変さを身にしみて理解できるはずです。私も某旅館でインターンを経験し、フロントや夜勤業務とともにその苦労を体感しました。顧客体験を高めるホスピタリティにまい進する一方、収入の最大化にも注力することは想像以上に骨の折れることです。その結果、高度な分析を行うのではなく担当者の労働量を軽減するためにAIを活用するべきだというアイデアの具現化に至りました。季節や過去事例など、AIがデータに基づく分析を負担することで、人はおもてなしや施策立案に注力できるという考え方です」。

 就業者数に注目すると、常勤パートタイマーの比率が4割を占め、正社員と役員数は減少傾向にある【図表参照】。経営戦略策定に携わる者の減少により、個々の負担は増してくる。正社員や役員らは需要予測を立てつつ、ホスピタリティや人員配置といった生産性にも気を配らなくてはならない。

 「レベニューマネジメントを怠れば、機会損失が生じる可能性が高まります。一方、簡単で使いやすいシステムでなければ、継続して利用してもらうことはできません。人材不足が深刻ななか、分析を技術に任せることで生まれる余裕を、顧客体験と生産性向上に回してほしいと考えているのです」。

 施設にとって、収入の最大化とホスピタリティ、生産性向上はどれも疎かにできない課題ばかり。同社の提案は、すべてを熟そうと頑張りすぎるのではなく、役割分担を最適化することで良い均衡状態を保てるという点で特色を持つ。

各施設と信頼関係を築く

 同社が提供するサービスは主に2つ。客室料金を自動で算出する“MagicPrice(マジックプライス)”を主軸に、17年には自社料金を近隣エリア・競合施設と比較検討できる“ホテル番付”もリリースした。用途は異なるが、さまざまなデータを学習することで、より気の利く経営パートナーになることを目指す点で相違はない。両サービスの位置づけについて松村代表はこう説明する。

 「サービスはそれぞれ独立したものとなっています。ホテル番付は約1カ月間の無料体験期間を設けています。近隣施設の客室料金を自動で収集・分析するだけでなく、結果をメールで通知する機能も備わっています。4月のリニューアルで新たに追加しました。目的は担当者が、データ収集に明け暮れないようサポートすること。統計グラフについても、注目ポイントを指摘することで、解析の時間・手間を省けるよう工夫しました」。

 無料体験期間があることから、同社が提供するAI活用サービスに興味関心を持つ施設はまず、ホテル番付を利用すると良いだろう。利用数はすでに1500を突破し、実績を重ねている。自社を含む各社の稼働率と客室料金を指標化し簡単に比較できるため、値上げ時期の決定や価格調整時に参考となる。指標値は、約2万軒の施設が公開する残室数(販売室数)や日々の価格から算出される仕組みとなっている。利用料については、基本料金(8千円)とともに、客室数に応じた負担を求めるカタチだ。

 「価格改定を検討していることもあり、主力商品であるマジックプライスの価格は公開していません。ホテル番付と類似した料金体系で、問い合わせや打ち合わせ時に伝えています。販売価格の決定まで行えるため、各種サイトコントローラーや宿泊施設管理システム(PMS)との連携にも力を入れています。現在、“ねっぱん”と“手間いらず”、“ダイナテック”とのシステム連携を実現しています」。

 マジックプライスの導入に当たっては、過去1年以上の販売データの提供を推奨しているとのこと。AIによる提案の質を高めるため、相応の学習量を確保する必要があるからだ。季節ごとの販売実績など、宿ごとの事情にもしっかり対応する。AIが学習に利用するデータは原則、導入する施設に限定されるため自社データの流出防止対策も万全。開発する際にのみ、情報を匿名化し、参考にする。

 「価格決定分野で、業界の標準化に貢献したいと考えています。インバウンドの増加が示すように、宿泊市場はグローバルでの競争にさらされています。施設の規模に合わせた個別カスタマイズはしていませんが、ヒアリングには注力しています。今後も、利用施設すべてが、役立つ知見を入手できるよう開発を進め、国内の競争力底上げを目指します」。

 業界では現在、正社員数が減少傾向にある一方、1室当たりの人件費は増加している【図表参照】。経営負担が増すなか経営者は、いかに省力化できるかが差別化につながる。ホスピタリティや生産性向上につながるチームワークづくりなど、リピーター創出に直結する施策考案に時間を掛けることができるようになるからだ。

 「OTAから声を掛けられることもありますが、現時点では個々の施設に寄り添ったビジネス展開を続けたいと考えています。人にとって代わる汎用AIの登場にはまだ時間が必要です。まずは、日々生まれるビッグデータを解析する仕組みを提供することで、経営者からスタッフまで、働く方の信頼を得たいと考えているのです」。

 AIを上手に活用する提案が出ているなか、負担増と引き換えに経費を上げるという考え方だけでは、差別化と競争力向上は難しい。最先端技術の取り込みも、検討してほしい。

【第4回「旅館100選」台湾商談会】台湾側は最多60社参加 個別商談で新ツアー造成も(旅行新聞新社主催)

2018年4月30日(月) 配信

4回目を迎え、台湾から過去最高の60社104人が参加
石井貞徳・本紙社長が
主催者あいさつ

 旅行新聞新社(石井貞徳社長)は4月17日、台湾・台北市内のホテルで「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」入選旅館と、台湾の旅行社との商談会を開いた。同事業は2015年に「旅館100選」発表40周年を記念してスタート。4回目の今年、参加した台湾の旅行社は60社104人と過去最多となった。日本の旅館は19軒23人が参加。個別ブースでは、最新情報を交換しながら真剣な商談が繰り広げられ、会場は熱気に包まれた。

【編集部】

 同商談会は、本紙と提携する台湾の観光業界専門誌「旅奇」(TRAVEL RICH)が企画協力しており、過去最多となる台湾の旅行社が来場した。

 冒頭、旅行新聞新社の石井貞徳社長は、今年2月に台湾東部・花蓮で発生した地震の被災者にお見舞いの言葉を述べた。「観光客が『訪れて支援』することが大切」と語り、「日本と台湾の双方向の交流が深まるように、情報発信や交流事業を積極的に展開していきたい」と強調した。

 さらに、過去最多の参加となった台湾の旅行社に対し謝意を述べ、「(商談会を通じて)日本の旅館文化や、魅力を大いに広めていただきたい」と呼び掛けた。

徐銀樹氏

 来賓として出席した中華民国旅館商業同業公会全国連合会の徐銀樹名誉理事長は、今年1月に東京・新宿で開いた「100選」表彰式・パーティーに出席したことを報告。「日本旅館のおもてなし精神は、台湾の旅行者にも幸せを提供していただいている」とあいさつした。

 「台湾と日本は、歴史的にも地理的にも深いつながりがある。ぜひ台湾にお越しいただき、台湾のグルメや独自の文化も体験して、日本の皆さんにもPRしてほしい」と語った。

 旅館側を紹介したあと、商談は約2時間、ティータイムを取りながら行われた。

日本から19軒の旅館が参加した

 会場は、参加した19旅館ごとにブースを設置。旅行社の担当者が自由に訪ねて、じっくりと個別商談ができるような配置にした。

 台湾の旅行社からは「『100選旅館』を含めたツアーは人気が高い。今回は、これまでコンタクトが取れなかった旅館関係者と詳しく話がしたくて参加した」。

 「毎年、新たにブース出展する旅館があるので、楽しみに来た。ぜひニーズに合ったツアーをつくりたい」といった声もあった。

熱心に個別商談会が行われた

 インセンティブツアーや、富裕層向けの企画を交渉する旅行社も多く、「この場で直接、料理の中身を細かにオーダーメイドした」と話す担当者もいた。

 一方、旅館側は「前回の商談で実際に送客していただき、お礼を兼ねて話すうちに新たな企画が生まれた」。

 「宿へのアクセスなど具体的にアピールすることができた」など大きな成果を得られたという声が多かった。

 会場は各ブースとも熱気に包まれ、「今年はこれまで以上に真剣な商談会だった」といった評価もあった。

 商談会のあとは、各旅館が日本から持参した日本酒や地元産品、宿泊券などが当たる抽選会も開催。ステージで当選者の名前が読み上げられると歓声が上がり、旅館側とのコミュニケーションを一層深めた。

商談会のあとはお楽しみ抽選会が行われた
旅館からのプレゼントで交流は深まった

 

台湾交通部を表敬訪問

台湾交通部観光局前で記念撮影

 「旅館100選」台湾商談会の翌17日、本紙の石井貞徳社長と増田剛編集長、鈴木克範営業部課長は、台湾交通部観光局国際組の黄怡平科長と、徐雅珊さんを表敬訪問した。

 石井社長は今回の「旅館100選」台湾商談会の成果を報告し、「日台両国の観光交流拡大に向け貢献していきたい」と語った。黄科長は「観光促進事業をお互いに協力することでPR効果は高まると思う」と応じた。

国際組の黄怡平科長(左)と徐雅珊さん

 

五稜郭まで徒歩訳10分 「ホテルマイステイズ函館五稜郭」オープン

 2018年4月30日(月) 配信

函館・五稜郭公園まで徒歩で約10分の場所に立地

マイステイズ・ホテル・マネジメントは5月1日(火)、ホテルネッツ函館(北海道函館市)の運営を引き継ぎ「ホテルマイステイズ函館五稜郭」としてリブランドオープンする。

 今回の改装で客室数が202室から208室に増室し、室内を明るい内装に刷新。ファミリー向けにも利用できるトリプルルームも新設する。全客室に携帯充電器を設置しており、高層階北向きの客室からは五稜郭公園と五稜郭タワーを望むことができる。また、2階レストラン「アザレア」では、函館名物の「イカ刺し」など地産地消にこだわった約30種類の和洋バイキングを提供するほか、1階ロビーには、直結したコンビニエンスストアもある。

ホテルマイステイズ函館五稜郭 施設概要

アクセス:函館市電「五稜郭公園前」駅より徒歩約1分

所在地:〒040-0011 北海道函館市本町26-17

階数:地上14階、地下1階

客室数:

総客室・208室

スタンダードダブル・56室

コンフォートダブル・4室

スタンダードクイーン・76室

スーペリアクイーン・12室

スタンダードツイン・18室

コンフォートツイン・4室

スーペリアツイン・36室

デラックスツイン・1室

デラックストリプル・1室

デラックスツイン

館内設備:

ロビー・フロント・レストラン・会議室・自販機・コインランドリー・コンビニエンスストア・駐車場・無料Wi-Fi完備

「kawaii」文化の先駆者 内藤ルネ氏を観光ポスターに起用

2018年4月29日(日) 配信 

岡崎市の公式観光ポスター

愛知県岡崎市は、2018年度の通年観光ポスターに岡崎市出身のイラストレーター、故・内藤ルネ氏のイラストをキービジュアルとして起用した。内藤氏は今年で生誕85年とデビュー65年、没後10年のトリプル周年を迎える。

 内藤氏は、日本独自の文化とも言える「Kawaii」のルーツとして、現在は雑貨などのさまざまなアイテム展開や、企業タイアップ、メディアなどで再度注目を集めている。広く3世代にわたる観光客取り込みに効果があると考え、市が起用を決めた。

制作枚数:B1版240枚、B2版1,200枚

掲示場所:岡崎市内公所ならびに観光施設など

岡崎市内各所で観光ポスターが掲示される

故・内藤ルネ氏について

1932(昭和7)年 愛知県岡崎市生まれ。

1952(同27)年

 19歳で抒情(じょじょう)画家・中原淳一に呼ばれ上京、中原が主宰する出版社のひまわり社に入社。雑誌「ひまわり」、「それいゆ」の編集を手伝いながら挿絵などを描くようになる。

1954(同29)年

 「ジュニアそれいゆ」の創刊号から主要メンバーとなりイラスト・人形作品を掲載。この頃から1964(昭和39)年ごろまで「少女クラブ」(講談社)、「りぼん」(集英社)、「なかよし」(講談社)、「女学生の友」(小学館)など少女雑誌各誌の口絵・付録・イラスト作品を多数手掛ける。

1961(同36)年ごろ~1980年代

 マスコット人形、食器、インテリア雑貨、キャラクター文房具などを多数デザイン。

1964(同39)年

 「服装」(婦人生活社)に手芸・インテリアの提案などを行う自由なテーマ連載を開始。「私の部屋」(同)に引き継がれ、中断を経ながらも1992(平成4)年まで続く。

1971(同46)年

 世界初のパンダキャラクターと言われる「ルネパンダ」を発表。翌年の日本でのパンダブームの先駆けとなった。

2002(平成14)年7月

 東京の弥生美術館で初の回顧展「内藤ルネ展~ミラクル・ラヴリー・ランド~」が開かれたのを機に新たなファンを獲得。かつて出版した著書が復刻されるなど再び脚光を浴びた。

2005(同17)年7月

 「内藤ルネ初公開コレクション展-日本の可愛(かわい)いはルネから始まった」が開催された。

2007(同19)年10月 急性心不全のため静岡県伊豆市の自宅で死去、74歳没

 没後も全国巡回の展覧会が人気を博したり、航空会社とのタイアップによるラッピング機材の就航。今年はNHKで「内藤ルネの特別番組」が全国放送されるなど、さらに注目を集めている。

4割が1年以内に再訪 訪客のリピーター化顕著に 【観光庁長官会見】

2018年4月28日(土) 配信 

会見時の田村長官

 

観光庁は4月18日に会見を開き、1―3月期の訪日外国人消費動向や日本版DMOなどについて報告した。今年から消費動向に来訪時期について項目を1つ追加。これによると「前回いつ日本に来たか」に対し、全体の約4割(38・7%)が1年以内と答えた。今年に入り3月までで約762万人が訪れているなか、訪日客のリピーター化が顕著になっていることが分かった。
 
 過去1年以内の来訪回数が2回以上(今回を合わせて3回以上)では、21・4%とのデータも集まった。「まだ分析が足りていない部分もあるが、非常にヘビーリピーターが増えている。引き続き消費の拡大に取り組む」。田村明比古観光庁長官は同日の会見で、消費が多い傾向にあるリピーターに期待を示した。

 とくに台湾と香港はリピート率が高い。台湾は54・2%、香港は64・9%が1年以内に来訪している。17年消費動向の調査によると、台湾の1人当たりの旅行支出は10回以上の場合、初回と比べ約2万7千円高い。香港の場合でみると5万5千円も上昇する。

 20年の政府目標である消費額8兆円に向け、リピーター増加は大きく貢献することがうかがえる。

 リピーターは地方部への訪問率も高いが、地域がインバウド受け入れを成功させるには難しさがある。これらを踏まえ、同庁はDMOに力を入れていく。現在、日本版DMOの候補法人は128件で、日本版DMOは70件の登録がある。

 田村長官は「30年度の観光庁予算は、DMOを中心にこれまでの補助制度などを再編している。DMOを軸にした取り組みが地域で行われるようにしてほしい」と強調。

 DMOの優良事例の深掘りや横展開を進めていく。国としては財政、人材、情報などの支援を通じて取り組みの水準を引き上げていく方向だ。

 一方で、今年度中には、世界水準DMOといった、日本版DMOの1つ上のランクを設ける見通し。何らかの要件を公表し、評価する枠組みを作っていく。

 田村長官は「すでに候補法人から日本版DMOになるためには5つの要件があるが、これを『外国人旅行者の誘客拡大の観点で、高い水準で満たす』ことが必要になってくると思う」と説明した。

 なお、同日には国際MICE全体による経済波及効果について報告があった。16年の国際MICE全体による経済波及効果は約1兆590億円となった。雇用創出効果は日本全体で約9万6千人分、税収効果は約820億円と推計。主催者などの負担分も含めた外国人参加者1人当たりの総消費額は、平均33万7千円だった。