「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(212)」洋上風力発電と学生ワークショップ(秋田県秋田市ほか)

2022年10月2日(日) 配信

現在の海岸線の風力発電所風景(フリー写真素材より)

 秋田県と言えば、かつては石油産出県のイメージが強かった。雄物川流域の八橋油田はとくに有名で、最盛期は年間25万キロリットル超の原油を生産する国内最大の油田地域であった。秋田杉を用いた石油掘削櫓が何本も林立する風景は、まさに圧巻であったことであろう。

 そんな秋田県は風の強い地域でも有名である。とくに最上川流域の立川町(現庄内町)周辺は、日本海と背後の山岳地域から4月から10月に掛けて吹く「清川だし」が「日本三大悪風」といわれ、農作物被害や大火の原因になると嫌われた。立川町はこの悪風を逆手に取り、まちおこしに活用しようと1980年代以降、小型風車による農業(温室)などに利用してきた。まさに風力発電の草分けとなった地域である。

 その秋田県で今、国家プロジェクトとしての洋上風力発電所建設計画が進展している。

 再エネ海域利用法に基づき「促進地域」として、全国5地域が指定された。うち秋田県能代市・三種町・男鹿市沖と、由利本荘市は既に三菱商事を中心とする企業グループが落札している。因みに三菱商事グループは千葉県沖も落札しており、残る秋田県・八峰町及び能代沖は現在公募中である。秋田県はこれまでも内陸の風力発電の一大拠点になっているが、これからは洋上風力発電の日本一の拠点として、まさに「風のまち」になっていくと予想されている。

 秋田県内の2つの洋上風力発電所は、2028年以降の運転開始を予定している。建設投資段階はもとより、運転開始とともに多くの経済波及効果が見込まれる反面で、地域との共生(便益とリスク)についても、現在多方面からの検証が行われている。とくに騒音や低周波、漁業や景観などへの影響などについて慎重に検討が進められている。

学生ワークショップと発表会(秋田市文化会館)

 そんななか、地元秋田大学・秋田県立大学らが全国に呼び掛けて、学生による地域共生のアイデアを議論する学生ワークショップが開かれ、筆者もその一部にオブザーバー参加させていただいた。学生たちは、「エネルギーの地産地消」「産業」「漁業協調」「まちづくり」「観光」の5テーマ7グループに別れ、5日間にわたる視察と合宿による濃密な討議を重ねてきた。

 最終日の9月9日、秋田市文化会館で事業者及び県や関係市の職員らが見守るなかで、それぞれのプランを発表した。若者らしい自由な発想の構想・提案が多かったが、先生方のご指導もあり、提案の根拠や定量的データを多用した素晴らしい内容となった。

 提案事業は誰が担うのか、その初期投資や運営をどうするかなど課題は多いが、彼らの提案が地域に新たな動きを呼び起こしてくれると願っている。異なる地域の大学・学部の学生による合宿形式のワークショップは、何よりも彼ら自身が大きな刺激を受けたことであろう。観光まちづくり分野でも大いに参考にさせてもらいたい。

(日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野 朗)

「観光人文学への遡航(27)」 空海と最澄①

2022年10月1日(土) 配信


 中学1年生になる次女が今ちょうど歴史を習っていて、平安時代の仏教は最澄の開いた天台宗と、空海の開いた真言宗の2つの宗派があり、最澄と空海は意見の食い違いから不仲になったと習っていた。

 
 まだ中学生だから、歴史の大まかな流れを押さえることにとどまっているからこれでもいいのだろうが、空海と最澄の関係性もまたドラマがある。

 
 最澄は767年に生まれた。両親とも京の有力者であった最澄は幼いころから陰陽、医方、工巧に才能があり、7歳で仏道を志した。18歳から比叡山に籠り、修行を始める。24歳で修行入位という僧位を受け、順調に僧としてのキャリアを積む。

 
 ときの天皇である桓武天皇は、乱れた政治を正すため、平安京に遷都し、勢力争いの絶えない奈良仏教とも一線を画した。その桓武天皇に最澄は重用され、既得権益化した奈良仏教ではない、すべての国民が救われる新たな仏教を構築するよう指示した。

 
 そもそも奈良仏教の南都六宗は中国では比較的新しい宗派であり、それよりも先に成立した天台宗に伝わる法華経を学んでくることが求められた。最澄は当初弟子を唐に派遣しようとしたが、桓武天皇は最澄自身が唐に入り、直接学んでくることを求めた。その当時の遣唐大使よりも倍以上の旅費をもらったことからも、桓武天皇の最澄に対する期待の高さが見て取れる。最澄は1年間天台山に滞在して、教義を学んでくることとなった。

 
 対して空海は774年生まれ。年は7歳の差であったが、仏道を志したのが遅かった。15歳で母方の叔父から学問を教えてもらい、19歳で修行の道に入るが、その後の足取りが分かっていない。

 
 最澄が各方面からの大いなる期待を背負い、準備万端で遣唐使船団に乗り込むのが803年、このとき最澄は36歳。桓武天皇からの信頼も厚く、まさに今後の日本仏教を背負って立つ若き星であった。

 
 このときに29歳であったまだ無名の学問僧空海は、長期留学生として最澄と同じ遣唐使船団に乗り込むことになる。

 
 2人が乗った遣唐使船団は激しい嵐に見舞われ、4艘のうち2艘が行方不明となるも、最澄の搭乗した船は無事目的港にたどり着いた。最澄は目的地である天台山を目指した。

 
 天台山において、最澄は順調に高僧と会うことができ、大量の書物も賜った。そして、日本人で初めて灌頂を受け、天台宗の正当な継承者として認定され、1年後晴れて日本に帰国することとなった。

 
 桓武天皇も最澄の帰国を喜び、最澄のことを「まことに国師たり」と称えた。

 
 しかし、その1年後にまだ無名の学僧空海がさらにその上をゆく教義をひっさげて帰国するということは、このときの最澄は夢にも思っていなかった。

 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

あなたが好きな露天風呂のある宿 ホテル森の風鶯宿(岩手県・鶯宿温泉)

2022年10月1日(土) 配信

 旅行新聞新社ではホームページ上で「あなたが好きな露天風呂のある宿」のアンケート調査を実施しました。人気を集めた宿のなかからおすすめの施設を紹介します。

ホテル森の風鶯宿(岩手県・鶯宿温泉)

露天風呂付客室の露天風呂

 傷ついたウグイスが患部を湯に浸して治したと伝えられている、鶯宿温泉。450年以上もの歴史を誇るこの温泉を代表するのが、「ホテル森の風鶯宿」だ。

 館内は、近代的な設備を整えながらも随所に自然を感じさせる造り。露天風呂付客室や貸切風呂など、プライベートな空間で湯浴みが満喫できる。加えて和風、洋風の温泉大浴場と露天風呂、お祭り広場、イルミネーションガーデンなどもあるので、好みのホテルライフを楽しみたい。

 さらに、宿泊すると無料で入園できる日本最大級のガーデニング公園「フラワー&ガーデン森の風」では、日本の四季を感じることができる。

宿データ

露天風呂付客室
イルミネーションガーデン

住所:〒020-0574 岩手県岩手郡雫石町鶯宿10-64-1

TEL:0120(489)166 FAX:019(695)3330

チェックイン:午後3:00 チェックアウト:午前10:00

風呂:和・洋大浴場各1(男女日替り)、サウナ、露天風呂

泉質:アルカリ性単純泉

客室:全221室

料金:1万6500~6万4350円(税別)

ゲストハウス・ホテル運営「EI Puente」(京都府)が破産 負債は約1億8500万円(帝国データバンク調べ)

2022年9月30日(金) 配信

 ゲストハウス・ホテルを運営する「EI Puente」(松村雄哉社長、京都府京都市)は8月31日(水)、京都地裁から破産手続き開始決定を受けた。帝国データバンクによると、負債は約1億8500万円。

 同社は2017年7月創業、19年2月に法人改組。当初は喫茶店運営を手掛けていたが、京都を訪れる観光客の増加に伴い、ゲストハウス・ホテル運営にも事業を拡大していった。

 不動産所有者から賃貸し、1泊2500~8000円とリーズナブルな価格帯で、京都市内6カ所の宿泊施設を運営。インバウンド需要の拡大によって業績は伸びていった。

 20年に入り新型コロナの影響を受けたが、施設数を増やしたことで21年1月期には年間収入高約1億9400万円を計上していた。

 しかし、取引先への貸付金の回収見通しが立たなくなり、資金繰りが逼迫。長引くコロナ禍によりホテル稼働率は低迷し、家賃負担などで大幅な赤字が続いていた。

 今年に入ってからは「ゲストハウス・ホテルの拠点数を3カ所に縮小するなどして収益改善に努めたが奏功せず、先行きの見通しが立たなくなった」(帝国データバンク)としている。

持続可能な観光地が評価 長官表彰に6団体受賞(観光庁)

2022年9月30日(金) 配信

観光庁は9月21日(水)、第14回観光庁長官表彰の受賞者を発表した

 観光庁は9月21日(水)、第14回観光庁長官表彰の受賞者を発表した。持続可能な観光地づくりを地域が連携して推進したとして、「Green Destinations持続可能な観光地TOP100選」とUNWTOベスト・ツーリズム・ビレッジ認定と、日本唯一のダブル受賞を果たした北海道・ニセコ町など、計6団体を選んだ。

 このなかで選出された裏磐梯観光活性化協議会(福島県・北塩原村)は、コロナ禍においても「SDGs教育旅行」を推進し、同地域のホテルの教育旅行宿泊利用者数を、2年間で約5倍増にした実績が評価された。

 下呂温泉観光協会(岐阜県下呂市)は、CRMアプリなど積極的にDX導入し、観光客の消費動向データなどから適切なマーケティング・プロモーションを行って、宿泊者数をコロナ前の水準まで早期回復させたことが受賞につながった。

 このほか、キタ・マネジメント(愛媛県大須氏)、美しい村・鶴居村観光協会(北海道・鶴居村)、積水ハウスとマリオット・インターナショナルが受賞。

 また、アパグループと西武・プリンスホテルズワールドワイドへは、水際対応などのため待機宿泊施設として政府にホテル施設を提供したとして、特別感謝状を贈呈することを決めた。

東京都旅行業協会、ツーリズムEXPOでアンケート「リアルエージェントの強み」明確にする

2022年9月30日(金) 配信

RTAを利用する理由などを訊ねた

 東京都旅行業協会(村山吉三郎会長)は9月22(木)~25日(日)に開催された「ツーリズムEXPOジャパン2022」で、全国旅行業協会(ANTA)のブース内に出展し、来場者へアンケートを行った。

ANTAブース。駒井輝男副会長(左2番目)などが来場を促した

 リアルエージェント(RTA)とオンライン旅行会社(OTA)、直販を利用する理由などを聞き、RTAの強みと改善点を明確にすることで、会員各社の営業に役立ててもらう考えだ。

 アンケートではRTAを利用する理由として、「信頼・安心できる」や「近くに旅行会社がある」などの選択肢を設けた。「どんな場合に予約するか」も聞き、「添乗員・ガイドに同行してほしい」や「手配がめんどうなとき」などの項目を用意した。

 一方、OTAの利用については、「店舗に行く時間がない」や「安い」などの候補から訊ねた。

 回答者には、アルミライトとホイッスルをプレゼントした。

 また、ブース内では協定会員連盟の総合施設カタログを配布し、東京都旅行業協会会員各社での申し込みを促した。

震災伝承施設とワイナリーで体験を 福島県いわき市で日帰りバスツアー 10月の毎週日曜日出発

2022年9月30日(金)配信

津波被害にあったパトカーの展示(とみおかアーカイブ・ミュージアム)

 福島県いわき市で2022年10月の毎週日曜日、JR常磐線・いわき駅発着の日帰りバスツアー「とみおかでの体験ワークショップと味覚の秋・ワイナリーでの試飲体験」が運行される。

 常磐交通観光がいわき観光まちづくりビューローの協力を得て企画した。「とみおかアーカイブ・ミュージアム」の人気学芸員による体験ワークショップと施設見学、「いわきワイナリー」での試飲という、2つの体験を盛り込んだコースだ。バス車内では「いわきツーリズムガイド」がいわきと浜通りを案内してくれる。

 富岡町に昨年開館した「とみおかアーカイブ・ミュージアム」では、海水からの塩づくり体験など普段はできない特別メニューを楽しめる。体験後は町の歴史や文化、そして震災について館内を見学する。海を眺めながら食事ができる「道の駅よつくら港」では、近くの漁港から仕入れた「常磐もの」を使った特選にぎり寿司やちらし寿司、ご当地メニューの「ソースかつ丼」などを自由昼食で。いわき市の中央部・好間地区にある「いわきワイナリー」では、四季折々のブドウ畑やあぶくま山系を眺め、ゆったりとした時間の中でくつろぎながらワインの試飲(1杯とチーズ2種)を楽しめる(未成年はブドウジュースの提供)。

 現在、10月9日(日)【催行決定】、16日(日)、23日(日)、30日(日)の各日で参加者を募っている。受け付けは25人までで、10人に満たない場合は中止する。旅行代金は大人3000円、3歳~高校生1500円。いわき駅前のほか、いわき市石炭・化石館「ほるる」第2駐車場(駐車無料)、JR湯本駅前などからも乗車可能。

韓国・慶北文化観光公社など、旅行会社と意見交換 措置緩和で来訪増狙う

2022年9月29日(木) 配信

日本の旅行会社4社(右側)と意見交換を行った

 韓国の慶北文化観光公社と慶尚北道庁は9月21日(木)、東京都内で日本の旅行会社4社とランチ懇談会を開いた。韓国でビザなし渡航が再開され、日本でも帰国前のPCR検査が条件付きで免除されるなど、両国で水際措置が緩和されるなか、意見を交換し、来訪客の増加につなげたい考え。

 慶北文化観光公社は、慶州市や安東市など23市で構成される地域「慶尚北道」への誘客を行う組織。

 地域内では、仏国寺や良洞村など15カ所が世界遺産に登録されている。日本で放映された韓国ドラマの撮影地にもなっている。高速鉄道で釜山から約30分、ソウルからは2時間ほどの場所に位置する。コロナ禍前の2019年には成田空港から、慶尚北道と隣接する大邱空港を結ぶ直行便が運航されていた。

 慶北文化観光公社のパク・ヨンウ経営開発本部長は10月から日本でビザの取得が免除されることに触れ、「相互交流の本格的な再開を期待している。この場をきっかけに、今後日本の旅行会社との縁を深めたい」とあいさつした。

パク・ヨンウ経営開発本部長

 読売旅行の松江雅彦執行役員は韓国におけるビザの免除期間が10月末までとなっていることから、「取消料は出発日の30日前から掛かる。申込時から発生するため、ツアーを販売しづらい」と現状を説明した。一方、長期間の旅行を求める消費者が増えているとして、「今後王道のソウルと釜山に加えて、慶尚北道にも訪れる商品を検討したい」と話した。

 慶尚北道庁のシン・ブヒョン主務官は「日本語の看板を増やし、日本人が周遊しやすい環境を整える」と語った。

観光客は回復基調 団体個人楽しめる

 懇談会終了後には、パク本部長が本紙のインタビューに応じ、日本からの観光客の増加に対する期待について語った。

 ――訪韓する日本人客数の回復状況は。

 韓国では7月、日本を対象にワクチン接種証明書の提示などで隔離を免除しました。この結果、7月の訪韓日本人は前年同月比1238・1%増の1万1789人と増加しました。8月にはビザを免除しており、集計が発表されれば、より増えると見込んでいます。10月には日本から大邱へのチャーター便の運航も予定されています。

 ――慶尚北道の魅力を教えてください。

 慶尚北道は、さまざまな文化財などがあり、韓国の歴史や伝統を感じることができる場所です。また、ビーチリゾートとしてサーフィンなどを楽しめるほか、ビールを手作りする体験も用意しています。

 ――日本の旅行会社に向けてメッセージをお願いします。

 慶尚北道は団体と個人旅行のどちらでも楽しむことができます。ホテルなどの観光施設は、コロナ前とほぼ変わらない受入体制を整えました。旅行会社に対する情報提供などの支援も万全ですので、送客をご検討ください。

 ――ありがとうございました。

ホテル全体が舞台 京王プラザホテルが謎解き宿泊プラン実施中

2022年9月29日(木)配信

物語に入り込む没入感を味わえる

京王プラザホテル(東京都新宿区)は11月30日(水)まで、体験型コンテンツ「リアル宝探し」の企画・制作・運営を手がけるタカラッシュとコラボレーションした謎解き宿泊プランを展開している。参加者はチェックイン時に渡される謎解きキットをもとに展開されるストーリーに沿って館内を探索し、 物語の主人公として謎を解いていく。

 宿泊プラン「時をつなぐホテルと届くはずのない手紙」は、「謎解き」をきっかけに新たな客層を取り込み、ホテルに足を運んでもらうきっかけをつくる目的で企画された。また、宿泊時には利用することのない施設や、特別な理由がないと利用しない施設などを組み込むことで別のホテルの一面を見てもらいたいと考え、ホテル全体を舞台にしたオリジナルの物語を用意。謎解きの途中には、ホテルスタッフとのコミュニケーションが必要な場面も設定している。

 販売を開始した4月以降、利用者の半数以上が初めてホテルを訪れた人であったことや、参加者アンケートで満足度97%とプランが好評を博したことから販売期間を延長した。

 料金は1室1人利用時1万9000円~、 2人利用時1万2000円~(謎解きキット、 館内利用券、 サービス料・税金込)。プランには謎解きキットのほか、館内で利用可能な3000円相当の館内料金が付くほか、ゆっくりと謎解きが楽しめるようチェックイン時間を1時間早い午後2時から、チェックアウトを1時間遅い正午に設定している。

「舟遊び×スイーツ×サブカルチャー」がテーマ 10月3日から「ゆらり遊舟 ぶらり日本橋」スタート

2022年9月29日(木)配信

 ナビタイムジャパンと三井不動産東大ラボは10月3日(月)から、「ゆらり遊舟 ぶらり日本橋」を展開する。

 「舟遊び×スイーツ×サブカルチャー」をテーマに、「舟運と日本橋への移動喚起のきっかけづくり」と「舟遊びや日本橋周辺店舗の周遊、購買体験の促進」をはかる企画。

 新しい客を獲得したい商業者の目線と、スィーツやサブカルチャーのファン活動を楽しみたい人の目線で日本橋の特色である「舟運」と「街散策」を生かした施策を展開し、参加者に舟運と日本橋の新たな魅力を発見しリピーターになってもらうことを目指す。

 イベントは、日本橋の街歩きを楽しむデジタルスタンプラリーと舟遊び企画で構成する。

 デジタルスタンプラリーはナビタイムジャパンのアプリ「ALKOO by NAVITIME」から参加する企画。チェックポイントはスイーツ店やカフェを中心に、18カ所(うち1カ所は舟運でのみ行くことができる)を選定。

 90分程度の散策で巡ることができる範囲に絞るとともに、訪れる機会が少ない「路地裏」に着目。その魅力を訴求するべく、多くの人が興味関心をもつスイーツ店やカフェ新規開業店舗などもチェックポイントとした。

 また日本橋エリアの店舗を知ってもらう、気軽に訪れてもらうことを目的にしていることから、デジタルスタンプは店舗に入らなくても押せるようにした。

 参加者には、イラストレーター兼漫画家の鈴木次郎氏描き下ろしイラストを使用した同イベント限定のオリジナルグッズを、達成した賞に応じて先着でプレゼント。引き換え時には達成画面のほか、対象店舗での購入レシートの提示も必要となる。

 オープンな船桟敷から夕焼けや夜景を楽しむ「日本橋発『舟遊びみづは』ゆらり遊舟 黄昏&夜景コース」は、普段は見られない浜離宮庭園越しの東京タワーを楽しめる同イベントだけの舟遊び。日本橋のたもとから出発し、隅田川にかかるさまざまな橋、川岸の美しい風景を見ることができるほか、浜離宮恩賜庭園付近では、東京タワーをメインとした写真撮影も楽しめる。

浜離宮恩賜庭園越しに見る東京タワー

 運航スケジュールは10~14日が「夜景を楽しむコース」、15~16日が「黄昏を楽しむコース」となっており、おもに平日運航する夜景のコースは仕事帰りでも楽しめるよう19時出発とした。料金は3500円。また、デジタルスタンプ1個を集めて舟遊びをした人全員に「ゆらり遊舟賞」として、イベントロゴ入りトートバッグと「舟遊びみづは」のノベルティグッズをプレゼントする。

 これに加え、日本橋三井ホールで開催されている没入体験型ミュージアム「イマーシブミュージアム」の入場者向けの企画も行う。同施設の入場券とデジタルスタンプ1個を集めた人先着200人に「芸術体感賞」として、鈴木次郎氏描き下ろしのオリジナルキャラクターのポストカードをプレゼントする。

 今回の取り組みは、三井不動産東大ラボが2021年に主催した「第2回アイデアコンテスト『都市の新たな価値創造』~経年優化する都市の実現に向けた社会実装~」で優秀賞を受賞したナビタイムのアイデアを具現化した実証実験。

 ナビタイムジャパンはMaaSやスマートシティに関する実証実験に参画する中で、重視される「地域」、「モビリティ」、「デジタル」に加え、「移動喚起」が非常に大事になることを実感、物語を重視した企画を立案した。

 日本橋での取り組みでは、日本橋の雰囲気や文化を大切にするとともに、オリジナリティ高めるためオリジナル作品を採用。併せて新規コンテンツを用いた企画がどれだけの訴求力を持つか、若い人がどれだけ訪れるかにも挑戦する。