新たな50年の歴史へ、会員と団結し前進続ける(ANTA)

二階俊博会長
二階俊博会長

 全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長、5500会員)は6月26日、東京都内で2016年度通常総会を開いた。2月に創立50周年を迎え、総会後の記念式典では、功労表彰や記念宣言が行われた。二階会長は同総会で、会員や関係者らにこれまでの努力や団結、協力に対し感謝を述べ、そのうえで「観光産業は前途洋々と言われているが、我われの前途は必ずしも平坦であるとは言い切れない。本日を1つの基点とし、5500の会員みなで力を合わせて、ANTAの新たな50年の歴史の幕を開き、共に頑張ると誓い合って、前進を続けようではありませんか」と語った。

 16年度の事業計画では、来年の3月に石川県金沢市で開催される「第12回国内観光活性化フォーラム」において、着地型国内観光の振興に努める。国際旅行については、昨年度に引き続き近隣諸国とアセアン諸国を中心に、双方向の人的交流促進に取り組む。さらに20年の東京オリンピック、パラリンピックにおける国内外の旅行需要増大に対応し、会員の事業環境づくりを計画的に進めていく。

 総会後は創立50周年記念式典に移り、旅行新聞新社の石井貞徳社長は、「ANTA事業功労表彰」を受賞し、感謝状と記念品を授与された。同協会の事業運営に多大な功労があった国内外の関係機関、個人に対し感謝を表するもので、(株)全旅の前会長の池田孝昭氏らも表彰された。

感謝状を受けとる本紙の石井社長
感謝状を受けとる本紙の石井社長

 その後、「全旅協創立50周年記念宣言」(全国旅行業協会企業行動理念)(1)安全・安心の旅の提供(2)お客さまの信頼と信用の向上(3)心に残る最高な旅の提供(4)観光資源を磨き守る旅の提供(5)お客さまと一緒になった感動の旅の創造――が発表された。また、同協会の50周年事業として「全旅協50年史」を編纂し、発刊したことを報告。同会員や観光庁、観光関係団体らに7月下旬を目途に配布していく。

 式典終了後の祝賀会では、観光庁の田村明比古長官や日本旅行業協会の田川博己会長らが来賓として出席。そのほか、数多くの関係者たちが祝賀会を盛り上げ、盛会裡に終了した。

91%がガイドブック参照、海外旅行の旅行先選定に(地球の歩き方 海外意識調査)

 91%がガイドブック参照――。スカイスキャナージャパンとダイヤモンド・ビッグ社はこのほど、男女合わせて2457人を対象に海外旅行の情報収集などに関する意識調査を行った。旅行先の選定時、ガイドブックを参照する人の割合が91%と高いことや、インターネットに起因する情報過多が、選択肢の増加をもたらすため、「真に購入したい旅行商品を見つけづらい」という回答が目立った。

 ダイヤモンド・ビッグ社が運営する地球の歩き方公式サイトを訪れたユーザーを対象に、2016年6月7―20日の間に実施された同調査。自由旅行の人気が顕著な一方、添乗員付きパッケージツアーの減少傾向は緩やかで、復活の兆候が明らかとなった。

 情報収集面では、日本から持ってきたガイドブックを参照する人の割合が83%と高く、46%のオンライン検索や11%のSNS利用を大きく引き離した。なお、旅行を決める際に影響力がある媒体の割合は、旅行ガイドブックの91%が最も高く、オンラインメディアの86%とテレビの70%が示すように、書籍に対する信頼は高い。

 自分にもっとも相応しい商品を予約した自信はあるのかという質問に、毎回自信があると答えた人の割合は全体の25%。年齢別に見ると、60歳以上で約40%、35―59歳と34歳以下では約20%と、年齢が若いほど、予約結果に自信が持てないことがわかった。

 「地球の歩き方」デジタルコンテンツ部の大石彰彦氏は、「情報収集の裾野が広がるなかで、安心材料として旅行ガイドブックを購入するユーザーが多いことが判明した。旅行マインドも『誰にも共感してもらえるところに行った楽しみ』に変わっている」と、旅行者意識の変化に言及した。

修旅を鹿児島に、関西で教育旅行セミナー

正確な情報と県の魅力PR
正確な情報と県の魅力PR

 鹿児島県内の自治体や宿泊・観光施設などで組織する「鹿児島県教育旅行受入対策協議会」は6月27日、大阪市内のホテルで関西圏の各旅行会社の教育旅行担当者らを招き、教育旅行セミナーを開いた。4月の熊本地震以降、修学旅行のキャンセルが相次いでいることから、正確な情報と県内の魅力をあらためて発信した。

 鹿児島県観光交流局観光課の米盛幸一課長は「熊本地震の影響により県内で延べ10万泊のキャンセルが出た。修学旅行は6月22日現在で84校、約1万3500人のキャンセル・方面変更が発生。なかでも関西の学校が45校と最も多い」と現状を報告。そのうえで「地元の交通と宿泊、観光は通常通りであり、受け入れに問題はない。1、2月には従来通り貸切バスの支援制度を行うほか、県内の一部観光施設では県外からの修旅生を対象に、入館料などを全額免除するキャンペーンも年度末まで実施する。ほかにも、できることは何でもやるので、ぜひお力添えを」と送客を呼びかけた。

 また、奈良迫英光観光プロデューサーは「鹿児島県での教育旅行は、(1)多彩な自然体験(2)ほかにはない平和学習(3)県内各地で農家民泊が可能(4)班別行動が便利――と4つの魅力がある。2018年には明治維新150周年を迎えるほか、奄美・琉球の世界自然遺産登録も控えている」と県内の話題を紹介した。

 県では今後、実施予定校に向けた情報発信を行っていくほか、鹿児島中央駅で歓迎セレモニーを行うなど、県を挙げておもてなしを実施。

 さらに7月からは、かごしま水族館や維新ふるさと館など、県内5つの観光施設において、鹿児島市内に宿泊する修学旅行生を対象に、入館料や各種体験料を全額免除するキャンペーンを展開する。期間は今年度末まで。

立体的な光の演出へ、西の河原公園灯路計画など(草津温泉観光協会)

西の河原 全体照明計画(イメージ図)
西の河原 全体照明計画(イメージ図)

 群馬県の草津温泉観光協会(中澤敬会長)は7月5日、トラストシティカンファレンス(東京都千代田区)で「2016草津温泉観光プロモーション」を行った。草津町の2016年のイベントや、「Town-Scape project KUSATSU」の現在の状況、草津町商工会の「商工会流『うま!とく!』湯路広場活用術」の紹介などが行われた。中澤会長は「昨年1年間を振り返ると、バブル時期が戻ってきたという状況でよかった」とあいさつした。

 「Town-Scape project KUSATSU」では、今年は2カ所の灯路計画を進めている。「湯畑灯路計画」では統一感の無い現在の湯畑の照明を、照明デザイナーの面出薫氏によるライティングで、湯気をさらに立体的に演出していく。「西の河原公園灯路計画」では趣のある照明デザインに変える。ここでも立体的な演出を意識し、湯の川の湯気を主体としたライティングを行い、感動的な照明にしていく。

 黒岩信忠草津町長は「元気な温泉地と元気があまりない温泉地の差は町づくりをしてきたかどうかにかなりのウェイトがあると思う。草津町はあらゆる業界が一丸となって街づくりをとことんしてきた。さらにお客様が外に出て楽しめる町づくりを提供していきたい」と語った。

 草津町では、今年8月17―30日まで「草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル」が開かれ、9月4日には「草津温泉熱湯マラソン」が行われる。詳しくは草津温泉観光協会ホームページ=(http://www.kusatsu-onsen.ne.jp/)まで。

「元気です! 人吉温泉」、女将とくまモン銀座でアピール

「熊本・人吉にお出かけ下さい」と女将たち
「熊本・人吉にお出かけ下さい」と女将たち

 熊本県・人吉温泉女将の会・さくら会(有村政代会長)のメンバー6人が7月7日、銀座熊本館でパンフレットなどを配布し、笑顔で来県を呼びかけた。くまモンも応援に駆け付け、「人吉・熊本の元気」を来館者に届けた。

 人吉市内は熊本地震の被害はほとんどなかった。ただ被災地の心情を汲むなか、震災直後は「元気をアピールすることへの戸惑いもあった」(有村会長)という。転機は県内で復興に向けて頑張る女将たちからの後押しだ。「熊本の代表として全国に元気を伝えて」という言葉を聞き、福岡や鹿児島で誘客活動を始めた。若女将たちもSNS(交流サイト)を使い、積極的に情報を発信。

 震災後、都内でPRするのは初めて。1千人分のパンフレットを用意し、「日本でもっとも豊かな隠れ里」として、文化庁から日本遺産に認定された「人吉球磨」の魅力も伝えた。

 7月からは旅行会社各社の「九州ふっこう割」商品や、九州の高速道路が乗り放題になる「九州観光周遊ドライブパス」の発売も始まった。「元気にあたたかくおもてなしします」と女将ならではの言葉で来県を呼びかけた。

運動療法施設に認定、水明館のトレーニング施設

施設には健康運動指導士が在籍
施設には健康運動指導士が在籍

 岐阜県・下呂温泉の老舗旅館「水明館」にあるトレーニング施設「すいめいヘルスクラブ」が、厚生労働省から指定運動療法施設に認定され、6月から業務を開始した。 運動療法処方箋に基づき運動療法を受けると、その費用は医療費控除の対象になる。旅館施設の認定は、県内初。

 指定運動療法施設では、運動指導を行える環境・人材・設備を整え、日本医師会認定の健康運動スポーツ医と連携した指導と助言を随時受けることができる。はじめに提携医師の診察を受け、高血圧や糖尿病などの生活習慣病患者を対象に運動療法処方箋を作成。健康運動指導士が処方箋に基づいて作成したプログラムに沿って運動を実施する。費用は、通常の医療費を含み年間10万円を超えると、医療費控除の対象となる。

 すいめいヘルスクラブは、全長25㍍5コースの室内温泉プール、有酸素運動や筋力トレーニングが可能な機器を完備。専任のインストラクターが、利用目的に応じたプログラムを作成・管理し、適切な運動指導を提供する。

 問い合わせ=水明館 電話:0576(25)2800。

腕におぼえあり

 世界が注目するトランペッター、近藤等則のCD『夢宙』が6月20日に発売された。

 1993年に活動拠点を海外に移し、東京とアムステルダムを行き来しながら「地球を吹く」プロジェクトに取り組み、12年から日本での音楽活動を再開した。本作は11年に亡くなられた両親に捧げられたもので「宇宙と地球を思わせる近藤等則のサウンドの世界感」を表現した力作だ。

 先行予約で購入したのだが、届いたCDを眺めて驚いた。なんとジャケットに私の名前入りで直筆サインが入っているではないか。予約特典は近藤等則自身が選曲した『時々のメロディー』で、この中にNHK時代劇「腕におぼえあり」で使用されたテーマ曲も含まれていた。これまで過去を振り返ることがなかった近藤等則の新しい一面を垣間見た。

【古沢 克昌】

道後温泉再訪で ― 地方都市の旅は「食」と「酒」が楽しみ

 6月下旬に日本温泉協会の総会で、愛媛県松山市の道後温泉に向かった。道後温泉は4回目の訪問だ。あいにくの雨模様だったが、取材の合間に道後温泉の街歩きも、少しだけできた。

 松山市は活気を感じた。2年前の夏にも訪れたが、さらに活気を帯びている印象を受けた。四国最大の都市であり、日本最古の温泉の一つである道後温泉も市内にあり、街がコンパクトにまとまっている。松山空港から市内へのアクセスも至便だし、市内に入れば路面電車やバスが並走しており、2次交通も整備されている。

 総会が終わり、宿泊した大和屋本店は、いわゆる“正統派”の旅館である。前夜は遅くまで酒を飲んでいたので、朝の早い時間に温泉に入った。道後温泉は市街地のため、多くの温泉地のように大自然に囲まれた露天風呂などは望めないが、敷地内の良く手入れをされた庭園に降る雨の滴の音と、土や石が濡れる匂いを嗅ぎながら、「ああ、やはり温泉旅館はいいなあ」と思った。最近はビジネスホテルや民宿、リゾートホテルなどに宿泊する機会が増え、一方、オーソドックスな大型温泉旅館に正直なところ、大きく心を揺るがす期待はしていなかったが、静かな温泉に浸かりながら、「こんなゆったりとした、時間と空間は、日本旅館でしか味わえないな」と思い直したのだった。

 道後温泉のシンボルである道後温泉本館は、間もなく改修工事に入る。しかし、完全に閉館するわけではなく、一部営業を続けながらの工事となる。道後温泉には、もう一つ、椿の湯という共同浴場がある。道後温泉本館が主に観光客が利用するのに対し、椿の湯は地元の人たちが日常的に利用する。私もチェックアウト後、椿の湯に入ったのだが、近くの温泉旅館で働く人たちの姿も見られた。

 道後温泉本館が改修工事に入ると、観光的なダメージは避けられない。そこで、松山市は工事中の道後温泉本館を一つの観光資源として、見学ができるようなことも考えている。また、椿の湯の隣接地に、596年の聖徳太子来湯にちなみ、飛鳥時代をテーマとした共同浴場を新たに造る計画だ。この辺りの考え方は、さすがと思わせる。

 松山市は夏目漱石や正岡子規などに縁が深く、「文学のまち」としての顔もある。市内にはさまざまな資料館などもあるが、今回は時間的な余裕もないし、雨も強かったので何処にも寄らずに松山空港に向かった。

 帰りの路面電車の中で濡れた街並みを眺めながら、この松山市を再訪する機会があったら、自分はその旅に何を求め、何を楽しもうとするだろうかと想像した。

 これは、何も松山市に限ったことではない。地方中核都市を旅する場合、よほど親しい知り合いがいたり、何か明確な目的があれば別だが、何度も訪れる理由を見つけるのは難しい。幸い、松山市には世界にも誇れる歴史と物語性がある温泉地が近いという大きな特徴があるが、他の都市はどうだろうか。

 40代の男である私にとっては、地方都市の旅先の楽しみは、食と酒である。私は松山滞在中に同じ店で2回、じゃこ天うどんを食べた。松山の名物は鍋焼きうどんや五色そうめん、鯛めしなどが有名だが、行く前からじゃこ天うどんを食べようと思っていた。何か、地元にそのような食べ物があることも大切である。

(編集長・増田 剛)

全国女将サミット2016鳥羽 初の旅館開催

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 全国旅館おかみの集い運営委員会と旅行新聞新社は7月5日、三重県鳥羽市の鳥羽シーサイドホテルで「全国旅館おかみの集い―第27回全国女将サミット2016鳥羽」を開いた。初の旅館開催となった今回は、全国から約150人の女将が集まった。

 中かほる運営委員長(旅荘 海の蝶)は、旅館の女将の仕事が、外国人をはじめ、まだ多くの日本人にも理解されていないことを踏まえたうえで、「女将という仕事をひと言、ふた言で皆様に理解していただけるような言葉が必要」とし、「今後の女将サミットのあり方も含め、分科会などで“女将とはどのような仕事なのか〟について話し合うなど、時代の流れと共に変化させていくことも必要」とあいさつした。

 夕方から開いた懇親パーティーは、鈴木英敬三重県知事をはじめ、多くの来賓を含む約300人が参加した。

(次号詳細)

第12回 あなたが好きな露天風呂のある宿

第12回 あなたが好きな露天風呂のある宿

風情、四季の風景、泉質などで推薦、808軒を一挙掲載

 旅行新聞新社は本紙が主催する「第41回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」発表冊子内、さらに本紙と業務提携する地球の歩き方T&Eのウェブ「日本の歩き方」(2016年2―3月)内でネットユーザーを対象に、「あなたが好きな露天風呂のある宿」アンケートを実施した。その結果、3383票の回答(有効回答は2246票)があり808軒の宿泊施設が推薦された。第1位はホテル浦島(和歌山県南紀勝浦温泉)。トップ10に初めて入選したのは6位の銀波荘(兵庫県赤穂温泉)。湯船から見える山や川、海など風景や湯船の数、泉質、そして紅葉や雪景色、夕日、雰囲気などさまざまな推薦理由があった。

 発表にあたり、上位10施設については順位と代表的な推薦理由を、以下は地域別に順不同で代表的な推薦理由を掲載した。…

 

※ 詳細は本紙1635号または7月15日以降日経テレコン21でお読みいただけます。