ピローアドバイザー講習会、四万温泉「つるや」で開く(日本橋西川)

ピローアドバイザーの資格取得に向けた講習会を実施
ピローアドバイザーの資格取得に向けた講習会を実施

 群馬県・中之条町の四万温泉「鹿覗キセキノ湯つるや」(関良則社長)はこのほど、寝具販売の日本橋西川(東京都中央区、西川八一行社長)と連携して、宿泊客に快適な睡眠を提供するため、一人ひとりに合った最適な枕を提供する宿泊プランづくりを始めた。

 同館の関社長がかねてから計画していたもので、日本橋西川のグループ会社である西川産業が認定するピローアドバイザーの資格取得に向け、5月下旬に睡眠と枕の講習会を1日かけて実施した。全従業員が枕に関するピローアドバイザーの資格取得を目指し、サービスを向上させることでリピーターの確保につなげたい考えだ。

 講習会では、高さや硬さが適切な枕で眠るといびき防止や肩凝りの解消につながることや、快眠には香りや部屋の色、衣類などが関係することなどを学んだ。

 講習修了後に全従業員がレポートを提出し、11人のピローアドバイザーが認定された。今秋には、宿泊客がアドバイザーの意見を参考に、素材や高さ、硬さが異なる9種類の枕の中から最適なものが選べる宿泊プランを開始する予定だ。

 関社長は「旅館にとって、宿泊客の快適な睡眠は欠かせないものです。ピローアドバイザーで取得した知識を生かして、お客様により良い睡眠を提案していきたい」と意気込みを語った。

バス旅行の安全確保へ、企業間の適正取引促す(委員会設置)

 日本旅行業協会(JATA)と、全国旅行業協会(ANTA)、日本バス協会は、8月30日に「貸切バスツアー適正取引推進委員会」を設置するとともに、第一回委員会を開いた。バスツアーの需要拡大と、貸切バスを利用した旅行の安全確保を目的とする。

 同委員会では通報窓口を設け、運賃違反などの情報が寄せられた場合には当事者に対し改善を求め、指導を行う。また、同委員会の審議で行政指導が必要とされた事案については、管轄行政官庁に通知する。

 委員は、加藤博和名古屋大学大学院環境学研究科准教授と佐藤博康松本大学名誉教授、三浦雅生弁護士、廻洋子淑徳大学教授、國谷一男全国旅行業協会副会長、船戸裕司日本バス協会常務理事、興津泰則日本旅行業協会国内・訪日旅行推進部長の7人。そのほか、国土交通省自動車局と観光庁観光産業課がオブザーバーとして参加している。

宿泊販売190万人へ、10月から「日本の旬 九州」CP

330人が参加しキックオフ
330人が参加しキックオフ

JTBグループ、観光復興を支援

 JTBグループが全社挙げて10月から実施する国内観光キャンペーン「日本の旬 九州」のキックオフミーティングが8月31日、熊本市内のホテルで開催された。JTBグループや旅ホ連関係者、九州各県行政・団体関係者、交通関係者など330人が参加した。

 日本の旬は1998年から、「日本の魅力再発見」をテーマに全国各地で展開されており、九州は九州新幹線全線開業の2011年から5年ぶりの開催。熊本地震からの観光復興をキャンペーンで後押しする。

 開会宣言でJTB国内旅行企画執行役員の戒田智彦九州事業部長は「JTBの優位性で九州方面の感動需要拡大をはかり、震災からの観光復興の動きを加速させたい」と決意を述べた。

 このあと、JTB常務の今井敏行国内事業本部長と常務でJTB国内旅行企画の大谷恭久社長が主催者としてあいさつした。

 今井本部長は「震災後に2千人の社員が現地視察して支店で安全性を共有し、お客様に正確な情報を伝えた」と報告。そのうえで「エースの第2四半期が九州全域販売で前年比70%まで回復、インターネットのるるぶトラベルが7月120%、8月140%、9月160%と伸びている」と説明し、「すべての販売網を使い、日本の旬九州で宿泊販売190万人を達成する」と約束した。大谷国内旅行企画社長は、日本の旬九州後の持続的な需要喚起のため、「2017年度上期に九州をエース重点販売方面として展開する」ことを明らかにした。

 日本の旬九州は「五感に触れる新体感の旅」をテーマに3月31日まで展開。世界遺産、世界遺産候補を巡るプランでは、セスナ機から見る軍艦島周遊フライトや長崎夜景クルーズ、官営八幡製鉄所関連の施設見学ツアー、宗像大社正式参拝と非公開襖絵の特別見学などを盛り込む。

 JTBファームでの「あまおうイチゴ狩り」や九州温泉満喫チケット、感動魅力人が各地で案内するプランなどを企画。長崎ランタンフェスティバルでのエース専用ラウンジや雲仙仁田峠の夜間バス運行、九州各地の本格的な美食を味わうプランも設けた。

第2期「九州ふっこう割」、9月9日から販売開始、最大4―5割引

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 九州観光推進機構は8月26日、熊本地震の観光復興対策で実施する割引付旅行プラン助成制度の第2期「九州ふっこう割」事業について、9月9日から旅行商品販売を始めると発表した。

 同事業は地震でキャンセルが相次いだ九州7県の宿泊施設や観光施設に観光客を呼び戻すため、国の支援助成金180億円を活用し7月から開始したもので、12月までの期間、150万人泊の集客を目指す。

 第1期は7―9月の夏休み需要期に焦点を当て、早期回復と即効性を重視して全体予算の約7割を配分した。 第2期は10月1日から12月28日までの宿泊分を対象とする。

 対象となる旅行形態は、国内外向けのオンライン宿泊旅行商品などの宿泊・日帰り旅行商品、割引宿泊券、訪日外国人向け周遊型宿泊旅行商品などのなかから、各県の選択制となる。

 とくに、第2期では九州域外からの誘客強化を目指しており、旅行会社には宿泊単品より足付きの周遊型旅行に取り組んでもらう。福岡、長崎、熊本、大分、宮崎5県で販売の割引宿泊券は抽選方式とする。

 上限割引率は熊本・大分県が50%、他の5県が同40%。上限金額も宿泊のみが最大1万円、交通付き宿泊旅行が2万円、周遊型宿泊旅行が2万5千円、着地型は5千円を設定する。

白山開山1300年の節目へ、白山市の観光戦略語る

「白山開山1300年」記念ロゴ
「白山開山1300年」記念ロゴ

人と人の触れ合いが大切

 石川県内最大の面積を誇る、白山市。2005年2月1日、1市2町5村(松任市、美川町、鶴来町、河内村、吉野谷村、鳥越村、尾口村、白峰村)が合併して誕生した同市は、来年白山開山1300年の節目の年を迎えるにあたり、市のPRに力を入れている。白山市の魅力を全国に広めるために奮闘する、同市観光課の米林歩課長と、同市東京事務所の酒井誠一所長に、白山市の観光の現状と、今後の展望や課題を聞いた。【後藤 文昭】

 ――白山が来年開山1300年を迎えます。

■酒井:今年3月に市内の各種団体から構成する「白山開山1300年記念事業実行委員会」を組織しました。「次代へつなぐ1300年」をテーマに、18年までの3カ年で「広報」、「市民参加型」、「イベント事業」を3本柱とする活動を始めています。今年度は、とくに広報活動に力点を置くこととし、「記念ロゴマーク」を活用したマグネットシートなどPRグッズの作成・配布などを行うとともに、「『灯りでつなぐ1300年』プレイベント」や、8月10―11日の記念事業成功祈願登山の開催など、来年に向けて機運を盛り上げたいと考えています。

 ――開山1300年イベント以降はどのような取り組みを考えていますか。

■酒井:この1300年を節目にそれ以降も「白山」を全国に広めていきたいと考えています。そのためにもまずは白山市民一人ひとりが「白山の恵みに感謝するなど、改めて白山の素晴らしさを再確認される」ことが重要です。市民の声を取り入れ市民参加型のイベントを実施し、市民の皆さんとともに白山を県外に発信して行きたいと思います。

 ――白山は国立公園ですが、整備などは。

酒井:環境省と、国土交通省と石川県により、宿泊施設や登山道などはほぼ整備され、今後も避難小屋や要望のあるトイレの整備、「白山比咩神社」の奥宮も1300年にあわせて改築が進められています。

 ――白山市のこれまでの観光PRの問題点は。

■酒井:白山市は05年に1市2町5村が合併してできた市で、観光分野でも現在醸成中です。今までは8つの旧自治体単位の観光協会などで推進していましたが、市として1つになり、まとまるのが大変でした。当初はPRも市内各地域に点在するそれぞれの観光地を平等に行おうとしたため、わかりにくくなってしまい、目玉も作れませんでした。今はいい具合にまとまってきて課題は整理されてきたように感じます。ただ次の段階として、「白山」と、「白山比咩神社」を核に進めていくための効果的なPRの課題も出てきており、そのために東京事務所が1つの発信基地になりたいと思っています。  

 また、もともと観光業に携わる人が多い「山ろく地域」への新幹線開業効果の波及が薄いことが課題でもあります。これはPR不足に加え、2次交通の確保が難しいことなどが考えられます。 

■米林:合併後10年が経過し、とくに若い世代を中心に白山市全体を考えていこうという人も増えてきており、観光客に万遍なく白山市の魅力を伝えられるようになっていくと思います。それと、白山市からの発信だけでは弱いので、強力な情報発信と情報収集を東京事務所に期待しています。

 ――北陸新幹線の開業効果は。

■酒井:新幹線の開業によって、昨年のウルトラマラソンでは首都圏からの参加者が増加するなどの効果があり、観光客は増えました。それでも、金沢市が開業で湧いたような状況にまではなっていません。市としては、白山にあるものを個性としてPRしていきたいですね。その個性の1つに、宿泊施設(温泉)などが「コンパクト」であることがあります。コンパクトであるからこそ、少人数に濃い、深いおもてなしができると思っています。「金沢旅行の半日でいいから、白山市に立ち寄っていただきたい」と常々口にするのは、まずは半日、白山の温泉や旬の食材などを堪能してもらいたいからです。

 ――今後北陸新幹線をどう活用されますか。

■酒井:白山市には全国に5カ所しかない北陸新幹線の「総合車両所」があります。春からJRが市内団体限定に無料公開を始め、夏以降には市外団体も対象に無料車両所見学ツアーを開催しています。将来的には車両所を核としたツアー造成をJRと協議し、実現できれば県外からの誘客もはかれると期待しています。また、北陸新幹線が福井県まで延伸したとき、白山市や周辺自治体の産業や観光などに大きな影響を与えると思うので、新幹線白山駅実現に向けても、努力していきたいと思っています。

 ――では、白山市の観光の今後の展望については。

■酒井:白山だけで首都圏から誘客を進めることは、正直難しいと考えます。例えば昨年、白山市の宿泊者数が近年にはないほど増加しましたが、これは金沢市に宿泊できなかった観光客が流れていたことも1つの要因です。そこで白山市の観光は、金沢市と連携した取り組みが重要になっていきます。

■米林:金沢市との連携は、両市の思いが合致して成り立っています。金沢市は、リピーターにつなげるために金沢を拠点に加賀や能登へという思い、一方、白山市は1日目に金沢市、2日目は白山で遊ぶという流れを作りたいという思いです。

 具体的な例として、金沢に泊まった人が早朝見に行くところはないかという話のなかで提案をして、両市で作り上げた企画の1つが、「白山比咩神社おついたちまいり」です。

 また、「加賀地域連携推進会議(オール加賀会議)」(石川県小松市と加賀市、白山市、能美市、野々市市、川北町の6市町で構成)を通じ、3年前から周辺自治体と共同で情報発信などをしています。来年の白山開山1300年でも連携して取り組もうとする機運はできてきています。

 ――最後に、白山市の観光施策を、今後どのように進めていきますか。

■酒井:未確定なものが多いですが、観光専門の「白山市観光連盟」が動き始め、金沢市とも連携をしてイベントを行い始めていますし、環白山ということで、白山を取り巻く自治体が手を取り合って行う事業もいくつかあります。

 首都圏で白山市東京事務所として、出逢った方一人ひとりに、「石川県白山市の魅力」を発信していきたいです。

■米林:来た人を迎えるという意味では、白山市に住んでいる人が市に誇りを持つことが、最も大切だと思います。観光では、風景や、食べ物も大事ですが、人と人の触れ合いが一番大事です。最終的な目標は住みたいと思えるまちになることで、白山市もそうなれればいいと思います。

 そして、多くの人に「白山市」を知ってもらい、訪れていただけるよう努めていきたいです。

 ――ありがとうございました。

「西洋旅館」を続々展開、今後10年で15―20店へ(ひらまつ)

「ザ・ひらまつホテルズアンドリゾーツ熱海」のイメージ
「ザ・ひらまつホテルズアンドリゾーツ熱海」のイメージ

 高級フレンチレストランなどを展開する「ひらまつ」(陣内孝也社長、東京都渋谷区恵比寿)は8月25日、東京都内で同社の新たな事業の柱として、日本のおもてなしによるヨーロッパの旅館(西洋旅館)を順次展開していく方針を説明した。今後10年で15―20店出店し、ホテル事業全体で年間売上300億円を目指す。

 同社は「ひらまつ」や「ポール・ボキューズ」などのブランドで、日本全国とパリを合わせて33のレストラン・カフェを展開している。創業35周年を迎えるにあたり、ホテル事業に着手した。今年7月15日には三重県志摩市に、全8室の直営ホテル「ザ・ひらまつホテルズアンドリゾーツ賢島」をオープン。同ホテルは伊勢エビやフグ、アワビをはじめ、豊富な海の幸・山の幸を使ったフレンチを提供している。宿泊料金は1泊2食(2人1室)13万円からに設定しており、予約は好調という。

 10月27日には静岡県・熱海に全13室のホテルを開業する。建物は、日本の美を表現する現代の名工・木下孝一棟梁による数寄屋造り。レストランは地産地消を基本とし、自由な発想で贅を尽くしたディナーを用意する。宿泊料金は1泊2食(2人1室)で、1人8万7千円からに設定。

 12月末には、神奈川県・箱根での開業を予定している。そのほかにも、沖縄県・宜野座村への出店も計画している。

 陣内社長は「ホテル事業は20年前からの構想。『西洋旅館』と『滞在するレストラン』がコンセプトで、日本旅館の “おもてなしのこころ”を取り入れ、スモールラグジュアリーホテルのノウハウを蓄積しながら、軽井沢や広島、仙台、北海道、九州にも展開していきたい」と語った。

 滞在客に向けては、「和の勉強をしたシェフも多く、長期滞在客には和食を提供することも可能」と説明した。

【参加受付中】10/25、国立能楽堂で「高千穂の夜神楽」公演

「神様を近くに感じられるのが魅力です」(宮崎県のみなさん)
「神様を近くに感じられるのが魅力です」(宮崎県のみなさん)

 宮崎県は10月、国立能楽堂と國學院大學で「神楽公演」を開きます。入場は無料で、現在参加者を募集しています。

 神楽は農作物の収穫感謝や生活の安寧を祈る祭りで、神様への祈りを「舞」に込めて受け継がれてきました。宮崎県では200を超える地域で継承されています。

今回は、そんな里山に息づく神楽の魅力を広く知ってもらいたいと企画しました。
神楽に親しむための講演もあります。「ちょっと難しそう」と思っている皆さんもぜひこの機会に、神楽の魅力を凝縮した催しをお楽しみください。

【イベント概要】
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■国立能楽堂での「高千穂夜神楽」講演

日 時 : 10月25日(火)13:30~17:30(開場12:30)
会 場 : 国立能楽堂 (東京都渋谷区千駄ヶ谷4-18-1)
定 員 : 627名(参加無料、事前申込み要)
      ※先着順です。定員に達した時点で締切になります。
内 容 
  1)講演(1時間程度)
      三隅治雄氏(芸能学会会長)
      小島美子氏(国立歴史民俗博物館名誉教授)
  2)神楽公演(2時間30分程度)
      高千穂の夜神楽(三田井地区神楽)公演
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■國學院大學での「日之影神楽」講演

日 時 : 10月16日(日)13:00~17:30(開場12:30)
会 場 : 國學院大學百周年記念講堂(東京都渋谷区東4丁目10番28号)
定 員 : 566名(参加無料、事前申込み要)
      ※先着順です。定員に達した時点で締切になります。
内 容 
  1)講演(1時間程度)
      大館真晴氏(宮崎県立看護大学教授)
      小川直之氏(國學院大學教授)
  2)神楽公演(3時間程度)
      日之影神楽(大人(おおひと)神楽)公演

 問い合わせ=みやざき神楽東京公演2016事務局 電話:050(3636)6397

No.439 ピンクリボンのお宿ネットワーク、第5回総会 情報発信を加速

ピンクリボンのお宿ネットワーク
第5回総会 情報発信を加速

 ピンクリボンのお宿ネットワーク(会長=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将、事務局=旅行新聞新社)は7月26日、東京都港区の東京會舘で2016年度通常総会を開いた。同ネットワークは、今後も会員宿泊施設や企業団体、医療機関と一丸となって、情報発信に尽力していく。10月には、2017年版の「ピンクリボンのお宿」冊子を発行する予定で、新規掲載旅館から特典クーポンまで、内容が一層拡充される。総会後には、加賀屋の指江香里客室部リーダーが講演を行った。

【謝 谷楓】

 
 
 
 
 畠ひで子会長は「今年の3月にホームページをリニューアルし、情報発信に尽力してきた。今後も、全国の宿泊施設や医療機関、乳がん患者団体と連携して勉強会などを行っていきたい」と語り、活動の理念を広める決意を表明した。乳がん患者・経験者にとって、より快適な宿泊と入浴環境を求め、実現するために理解を広げる活動にも力を入れる構え。

 来賓の橋本尚英厚生労働省健康局がん・疾病対策課主査は、「乳がんは日本人女性にとってもっとも罹患頻度の高い病気で、重要な課題の1つ。同ネットワークの活動は、がん患者・経験者に対し、生活の質の向上を促すもの。厚生労働省は、皆様の活動を心強く思っている」と激励した。

 同じく来賓の針谷了日本旅館協会会長は「企業の社会的責任(CSR)が叫ばれて久しいが、ピンクリボンのお宿ネットワークの活動はそのお手本となるもの。また、インバウンドの増加が顕著ななか、日本の魅力を探しにいらっしゃる海外の方は後をたたない。これからも、皆様には、インバウンドの増加やおもてなしに貢献していただきたい」と、同ネットワークへの期待を熱く語った。 

 役員改選では、全会一致で、畠会長をはじめ全役員の再任を決定した。

 来賓は、橋本尚英厚生労働省健康局がん・疾病対策課主査と針谷了日本旅館協会会長、大山正雄日本温泉協会会長、大堀千比呂日本政府観光局インバウンド戦略部受入対策グループマネージャー、菊池辰弥全国旅行業協会経営調査部部長。

 また、首都圏を対象に個人旅行の造成に取り組むJTBガイアレックの大根田朱里氏から、「次期の商品造成に向け、会員施設の皆様と相談しながら、同ネットワークに関する商品情報のPRを行っていきたい」との説明があった。

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指江香里リーダー
指江香里リーダー

 総会後に、加賀屋客室部の指江香里リーダーは、「女性アカデミー・気づきと行動」と題し講演を行った。主体となって勉強会を開催してきた指江リーダーと社員らが、自身らの取り組みから獲得したものとは何か。

女性アカデミーを創設

 加賀屋の「女性アカデミー」は、女性の視点を大切にした勉強会で、将来の管理職候補育成を目的にしたもの。

 「2012年にピンクリボンのお宿ネットワークの設立総会に参加した理由は、アレルギー体質だった子供を育てた経験と、社内に乳がん経験者がいたこと」だと語る指江リーダーは、これら経験と同ネットワークへの参加を通じて、ユニバーサルツーリズムへの関心を高めていくことになる。

 加賀屋では、個別の仕切りがある大浴場の洗い場や、露天風呂付客室など、目に見えて分かりやすいハード面での取り組みが多かった。そのため、翌年の第2回総会で、乳がん経験者対象の全館貸切プランなど、できることから始めている会員施設の存在を知り、「ソフト面での取り組みの大切さに思い至った」という。

 ソフト面での取り組みは社員らに対し、意識の変化や、知識の獲得を求めることになる。しかし、すぐには成果を得づらく、継続的な教育も必要不可欠。

 どうすれば良いのかと途方にくれているなか、役員から「女性のための勉強会を始めてみないか」と声をかけられた。同時期に、政府が女性の活躍推進を成長戦略の1つとして掲げたことも後押しとなり、勉強会を始めることとなった。これが「女性アカデミー」創設の第一歩になったのだという。…

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※ 詳細は本紙1639号または9月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

連結子会社化も検討、海外取扱高2倍の2700億円へ、HISとミキグループ

HISの平林朗社長(左)と、ミキグループの檀原徹典グループCEO
HISの平林朗社長(左)と、ミキグループの檀原徹典グループCEO

 エイチ・アイ・エス(HIS)とGroup MIKI Holdings Limited(ミキグループ)は7月22日に東京都内で、これまでの提携関係を一層強化し、「連結子会社化」も視野に、両社が本格的な検討段階に入ることで合意したと発表。5年後までに海外取扱高を現状から2倍の2700億円にするとの目標を掲げた。

 アジア諸国の経済成長による観光市場の増大が著しいなか、海外個人旅行(FIT)化が進み、海外のオンライン旅行会社(OTA)の脅威が顕著となっている。ミキグループの檀原徹典CEOは、「我われが成長性を求めるならば、アジアに軸足を置かなければならない」と話した。

 ただ、すでにアジア市場には海外OTAが大きなシェアを占め、旅行会社に依存しないFITらへの直販が加速している。そのため、旅行会社は必要とする航空座席数などが獲得できないといった課題も出ている。

 これらを背景に、日本の旅行会社が主導的に対面販売を行っている現状では、海外OTAの勢いに対抗できないと危惧し、両社は提携強化の検討を始めた。

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 両社は日本市場ではなく、世界市場に力点を置く。HISは強みを持つアジア方面と欧州以外の全方面、ミキグループは得意としている欧州方面を互いに補完する。また、販売チャンネルを、HISがBtoC 、ミキグループがBtoBと分けることで、それぞれの領域の強みを有効活用し、協業していく。

 HISの世界各国の拠点とミキグループの欧州を加え、両社が1つの手法、コンセプトによって世界で通用するアクティビティを創り出す。檀原CEOは「我われは現地でなにかを探し、経験、体験することを主軸に置き、旅の提供をする。日本で培ってきた旅の造成力が強みだ。この既存のOTAにないアクティビティなどを中心として、オンライン事業も展開する」とし、海外OTAに対抗していく構えだ。

 オンライン事業では、両社の持つ商材や販売チャンネル、システムなどの経営資源を統合し、相乗効果を見込む。旅ナカ需要の対応を含む次世代システムの構築も検討していく。

 さらに、これまで欧州専用のランドオペレーターだったミキグループは、HISの「SKY hub 事業」との提携強化により、両社で世界の地域を手配できるランドオペレーターを目指していく。

 現在、欧州からアジア、アジアから欧州への旅行など、“海外to海外”の日本を除く海外事業は非常に伸張傾向にある分野。両社の海外取扱額を合算すると1100億円前後になり、世界トップクラスの規模となる。HISの平林朗社長は、「この分野の伸び率を考えれば、5年後は倍になる。これをただ倍にするだけでは面白くない。2社で協業するからには倍以上の数値を目指す」と強調。5年後までに海外取扱額の目標額を2700億円とした。

 HISは、持分適用関連会社として、ミキグループの株式を46・67%(譲受手続き中を含む)を所有している。子会社化が現実的な数値だ。平林社長は50%を超えた時点で子会社化するか否かの具体的な言及は避けたが、「半年や1年で結論を出さなければならない。それくらいのスピード感をもっている」と述べた。

滞在型に対応 ― 「2泊3日」を想定した食の研究を

 多くの旅館は現在も、1泊2食のスタイルが基本である。

 最近は、訪日外国人客の増加やビジネス出張利用など、さまざまなニーズに対応するために「素泊まりプラン」や、「1泊朝食プラン」なども比較的多く目にするようになった。都市部や、大規模な温泉地に立地する宿と、山の奥の1軒宿や、寂れた温泉街にある宿では、立地条件も異なり、一概には言えないが、滞在型を考えるうえで、旅行者の食事をどうするかを、まず考えなければならない。

 「1泊2食」が主流のため、朝10時を過ぎると、旅館や温泉街は閑散とする。昼間に温泉街で美味しいランチでも食べようと思っても、そう簡単には見つからない。多くの温泉街は、夕方4時から翌朝10時までの旅行者の滞在しか想定されていないため、温泉街から少し離れたとこにあるドライブインや、道の駅などに行かなければならない。滞在客にとっては、とてもさびしい状況である。

 “滞在型”への移行はさまざまなところで議論されているが、いきなり長期滞在プランは難しい。しかし、条件がそろえば、可能な宿から「2泊3日」プランを、「1泊2食」と並ぶ基本プランとして売り出すのはどうだろうか。少し時間に余裕があれば、「2泊くらいは、温泉に浸かって、ゆったりとしたいなぁ」と思うのが人情だ。

 2泊となれば、問題となるのが、1泊した後の昼間の過ごし方だ。オプショナルツアーに参加して近隣の観光地を巡るというのも一つの手であるが、旅館内、もっといえば、温泉地内にゆったりとできる空間や食事ができる一定レベルのレストランがあると、ベストである。

 旅館で夕食と朝食をとった後の昼食は、軽めの方がいい。例えば、山で採れたキノコのピザを庭の片隅で焼き、冷えた白葡萄酒や地ビール、紅茶などを提供するのもいいし、前夜の夕食で余った牛肉や、魚介類を混ぜた賄い風のカレーや、サンドイッチなどを用意するのもいい。

 宿泊客がくつろぐ空間も必要になる。自然豊かな環境であれば、テラスや東屋で、軽食やランチを食べてもらう。読書や、うたたねができる空間もほしい。そのように、少しずつでも滞在できる環境を整えていけば、やがて食材のロスの減少や、夕食の分量などの見直しにもつながっていくはずだ。

 日本の西洋料理界を牽引してきた「ひらまつ」が今年7月、三重県・賢島に直営ホテルをオープンし、予約も順調という。10月には静岡県・熱海に「西洋旅館」を開業する。フランスなどで呼ばれる“オーベルジュ”とも異なる、日本旅館のおもてなしを加える。“スモールラグジュアリー”をコンセプトとし、富裕層に「高級な食材を使った美味しい料理と、豊かな滞在時間と空間」を堪能してもらおうとしている。新しいカテゴリーの旅館として支持を得ると思う。

 外国人旅行者の増加により、受入側の意識やスタイルも急速に変化している。一方、日本人の旅のスタイルやニーズも、目立たないが時代とともに少しずつ変化している。

 従来型の画一的な旅館料理には、おそらくお客は飽きている。「2泊3日滞在してもらう」ことを想定した受入れのオペレーションや、料理のバリエーションの研究を急ぐべきである。新たな宿泊モデルが迫りつつある。

(編集長・増田 剛)