海外イベントなども、活用事例を紹介 、経産省の補助金

今年の鳥取ブース
今年の鳥取ブース

 経済産業省が14年度補正予算で約60億円を投じた補助金事業「J‐LOP+」(事務局=映像産業振興機構・VIPO)――。これまで補助金の仕組みについて2回にわたり説明してきた。最終回の3回目は、補助金を活用して海外展開した事業者を紹介する。

 自治体・団体活用事例

 フランスのパリで開かれるジャパンエキスポ(今年は7月2―5日開催)は来場者20万人規模を誇る日本文化の祭典。同イベントに出展した鳥取県観光交流局まんが王国官房(まんが王国とっとり)は、鳥取県に関連するマンガ・アニメコンテンツを活用した観光PRで補助金を獲得。フランスでも人気のクールジャパンをフックに観光情報発信や物産品販売を行った。14年出展時(前事業の「J‐LOP」助成金を活用)の経費は約800万円で、約半分が助成金の対象となった。(補助対象項目については第2回を参照)

今年の京都ブース
今年の京都ブース

 同じく補助金を活用し、ジャパンエキスポに出展した京都文化交流コンベンションビューローは、京都が舞台となった映画やマンガ・アニメを紹介。そのほか、背景が京都の風景になる写真合成システムを会場に導入し、着物を着用して京都を疑似的に楽しめる体験型ブースを出展した。14年出展時(「J‐LOP」)は、助成対象コンテンツとなった映画「舞妓はレディ」から主演女優と舞妓を派遣し、ブースで舞を披露した。

 旅行会社活用事例

 JTBチャイナグループの上海佳途国際旅行社有限公司は、同社を含む日系会社主催のオールジャパンイベント「ジャパンブランド」を開いている。今年3月に大連で開催した同イベントには「J‐LOP」を活用し、日本のアイドルやアニメキャラクターを招致。アイドルステージでは1千人を動員し、アニメキャラクターは子供を中心に大きな反響を得た。

 海外TVCM出稿事例

 「日本の情報を流す海外テレビ番組」にCM出稿する際にも補助金を活用できる。西武ホールディングスは、アジア16カ国・地域に日本の情報を発信する「Channel JAPAN」に英語・現地語化対応した自社CMを出稿。四季の魅力と同グループの宿泊・観光施設や交通機関を組み合わせたCMを放送し、日本への関心や好感度アップをはかっている。日本を紹介する番組へのCM出稿は日本のコンテンツ発信の一助となることから、補助対象となる。 

西武ホールディングスCM一部
西武ホールディングスCM一部

 補助金申請期限(推奨)は16年1月31日だが、補助金総額約60億円がなくなり次第終了。8月15日時点での申請状況は、申請595件に対し採択462件。交付決定金額は37億5487万3千円。

51%増の191万8千人、1―7月は1105万人に(7月の訪日外客数)

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 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)がこのほど発表した7月の訪日外客推計値によると、7月の訪日外客総数は前年同月比51・0%増の191万8400人となり、年間を通じた単月としての過去最高を記録した。1―7月までの累計では、早くも1千万人を突破し、1105万8300人となった。

 7月の市場別では、中国が全市場を通じ単月として過去最高を更新。台湾、香港、インドネシアが単月として過去最高、中国、台湾、香港、インドネシア、ロシアを除く15市場がいずれも2ケタ増で7月として過去最高を更新した。

 7月の重点市場の動向をみると、韓国は同37・1%増の34万3800人と7月の数値として過去最高を記録。一部減便などの措置が取られていた航空路線も、順次通常運航に戻り、MERSの影響はほぼ払しょくされたとみられる。

 中国は同105・1%増の57万6900人と全市場を通じて初となる単月50万人台を記録。さらに1―7月の累計は275万5500人で2014年の総計240万9158人をも上回った。

 台湾は、同29・5%増の36万1700人で、単月として過去最高を記録した。5月に高雄と台北で開かれた旅行博で販促活動を行い、7月中旬発までの訪日商品の売り上げが好調だったことが要因。香港は、同74・0%増の15万8700人と単月過去最高を更新。ピーク時にあわせた多数の航空路線の増便や、旅行博「ITE」に出展した際、四国の観光の魅力やウェディングツーリズムのPRに努めたことも需要増加に貢献した。

 そのほか、東南アジア諸国の好調な伸びが継続し、タイは同21・0%増、シンガポールは同31・8%増、ベトナムは同40・3%増、インドは同14・7%増など。ベトナムは7月として過去最高を記録。SNSによる情報発信や旅行会社との共同広告など、訪日プロモーションの相乗効果が需要を大きく押し上げた。

 なお、出国日本人数は同6・7%減の132万人となった。

シルバーウイーク動向、海外は東南アジアが人気(楽天トラベル調べ)

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 楽天トラベルはこのほど、シルバーウイーク期間中における「人気急上昇エリアランキング」を発表した。2015年のシルバーウイーク旅行動向は、国内旅行が前年同期比200・8%増、海外旅行が同99・3%増となり国内外ともに高い伸び率を示した。国内は半年以上前の予約が同373・2%増と飛躍的に伸び、早期予約が好調。海外は燃油サーチャージの値下がりや円安に加え、比較的物価が安いことから東南アジアリゾートへの旅行が増えた。

 国内の旅行先ランキング1位は前年同期比615・8%増で和歌山県が1位となった。同県は高野山が今年で開創1200年。また来年の大河ドラマ「真田丸」の舞台になるなど、今後もさらなる旅行需要の高まりが予想されている。2位は「井伊直弼公生誕200年祭」などで盛り上がる滋賀県、3位には来年伊勢志摩サミット開催により観光需要が高まった三重県がランクインした。

 海外は前年同期比738・7%増でマレーシアが1位。9月に全日本空輸(ANA)の成田―クアラルンプール線が就航することで直行便が増加し、日本人観光客が訪れやすくなることから人気が上昇した。2位は反政府デモが終息し、日本人観光客の復調が顕著になったタイがランクイン。さらに、同272・0%増と高い伸びを示したインドネシアは3位となった。

出願者数が過去最高、15年度の通訳案内士試験

 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)はこのほど、2015年度通訳案内士試験の出願状況をまとめ、出願者数は前年度比51・4%増の1万2168人になったことを発表。1949年から実施している同試験で過去最高の出願者数となった。

 今回の出願者数増加の要因は、急増する訪日外国人客への対応を念頭に資格取得を目指す人が増えたことや、20年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、通訳案内士としての活躍を見込む人が増えたことなどがあげられる。また、14年度から導入された、TOEICの高得点取得者への筆記試験の英語科目免除制度が、広く定着したことも今回の増加につながった。

 今後の予定は、11月19日に筆記試験合格発表、12月13日に口述(第2次)試験を行い、翌年2月10日に合格発表を行う。

強い宿づくりを学ぶ、ゆのくに天祥事例に(リョケン旅館大学セミナー)

全国の旅館経営者ら約110人が出席
全国の旅館経営者ら約110人が出席

 リョケン(佐野洋一社長)は7月13、14日の2日間、石川県山代温泉のゆのくに天祥(新滝英樹社長)で旅館大学セミナーを開いた。今回が通算155回目。全国の旅館経営者ら約110人が参加した。

 リョケンの佐野社長は「今回のテーマは強い旅館づくりの方法。ゆのくに天祥さんは全156室だが、毎年のように改装に取り組み、お客を楽しませる要素を随所にちりばめている。客室タイプが26種類あるのも大きなポイントだ。強い宿は、どうありたいかという強い思いを持ち、それを実現していくための地道な努力を怠らない。今回は、アイデアやネタを持ち帰るのはもちろんだが、経営とはどうあるべきかをもう一度考える機会にしてほしい」とあいさつした。

 セミナーでは、新滝社長が「強い旅館づくり―その戦略と経営の舵取りとは」と題して、同じく新滝顕人常務が「個人客から団体客まで取り組む営業戦略」について、それぞれ講演を行った。

 新滝社長は、品質重視への経営転換を行った背景について「マーケットが供給過剰になり、お客様に選択される個性や特徴が重要となるなか、今のハードを生かしながら、どうサービスをマッチさせるかを考えた結果、グループやファミリーに特化していくことにした。何より『消耗戦的経営』から脱却することが最大のテーマだった」と振り返った。

 また、「企業経営における唯一絶対はなく、継続的な見直しが必要」として「生産性や効率性は大切だが、エラーの除去ばかりに目を向けていては駄目。そこに、まったく新しいものをつくる創造性(エラーの注入)も取り入れていかないと、どんどんと陳腐化していってしまう」と述べた。

 新滝常務は、北陸新幹線が開業した今年の状況について、「関東圏のお客様の割合が昨年の7%から19%にまで増えている」と報告。そのうえで「今後は関東のお客のニーズを見据えながら、甘エビやブリ、カニなど、北陸のさまざまな海の幸を使った料理チョイスプランなども検証し、単価アップをはかっていきたい」とした。

 さらに、誘客で心掛けている基本方針として、(1)お客様満足度を高め総合力で誘客(2)品質重視への転換(3)総合満足度をベースとした団体セールス(4)集客と売上のバランス――の4つを挙げた。

 2日目は、コストダウンをはかりながら収益性を維持し、10年連続黒字経営を続ける金太郎温泉(富山県魚津市)など、パターンの異なる3つの宿についての事例も紹介された。

2施設の支援を開始、経営の安定化などはかる(アゴーラ・ホスピタリティーズ)

浪漫の宿 井筒楼
浪漫の宿 井筒楼

 アゴーラ・ホスピタリティーズ(浅生亜也社長)はこのほど、新たに2つの宿泊施設の運営支援を開始。これによりアゴーラ・ホテルアライアンスは、国内12施設882室となった。支援を受けるのは、愛知県渥美半島の「和味の宿 角上楼」と「浪漫の宿 井筒楼」。同社は2施設に業務支援サービスを導入し、キャッシュフローの改善による経営の安定化などをはかっていく。

 同社は、加盟施設が必要とする業務サービスを個別に選び、利用することができる「カフェテリア方式」でサービスを提供。各分野のプロフェッショナルたちが、施設現場のさまざまな課題の解決を支援する。今回2施設が導入する同社のサービスは、商品企画や造成業務の「オペレーション企画」、広報代行業務の「広報サービス」、販促ツール、広告宣伝ツールのデザイン、製作業務の「クリエイティブ」、自社サイト構築、インターネット販売管理業務の「E―コマース」、セールスイベントの計画、エージェントセールス代行業務の「エージェントセールス」の5つ。

和味の宿 角上楼
和味の宿 角上楼

スヌーピーミュージアム、16年3月、六本木に誕生

スヌーピーミュージアム(イメージパース)
スヌーピーミュージアム(イメージパース)

 シュルツ美術館(米カリフォルニア州サンタローザ)と「PEANUTS」(以下ピーナッツ)の日本国内エージェントのソニー・クリエイティブプロダクツ(東京都千代田区)は、2016年3月に「スヌーピーミュージアム」を東京・六本木に開館する。

 スヌーピーファンの聖地と言われるシュルツ美術館の世界初のサテライト(分館)となる本ミュージアムでは、スヌーピーたちが活躍するコミック「ピーナッツ」の原画をはじめ、作者チャールズ・M・シュルツ氏の初期の作品、貴重なヴィンテージグッズや資料などを6カ月ごとに入れ替えて紹介する。

 敷地内にはモニュメントや楽しい仕掛けを配し、ハロウィンやクリスマスなど季節に応じた多彩なイベントを開催。ミュージアムショップでは限定品やオリジナルグッズを販売するほか、カフェでは「ピーナッツ」にちなんだスペシャルメニューを提供する。

 なお、本ミュージアムは期間限定で16年3月―18年9月までの開館を予定している。入場券の販売方法や展示内容の詳細については、 15年12月に発表する予定という。

No.409 ピンクリボンのお宿ネットワーク、第4回総会開く 127会員へ拡大

ピンクリボンのお宿ネットワーク
第4回総会開く 127会員へ拡大

 ピンクリボンのお宿ネットワーク(会長=畠ひで子・匠のこころ吉川屋女将、事務局=旅行新聞新社)は7月29日、東京都港区の浜松町東京會舘で2015年度の通常総会を開いた。設立から4年目を迎えネットワークの輪は全国各地に広がり、会員数は127会員となった。今年度も10月のピンクリボン月間に合わせて「ピンクリボンのお宿」の新冊子を発行するほか、ホームページをリニューアルし、積極的な情報発信を行っていく。
【松本 彩】
 

 
 
 
 畠会長は「この3年間、全国各地の女将さんから活動報告をいただくなかで、ピンクリボンの日を設けている旅館もある」と総会の冒頭、あいさつした。昨年10月に10万部発行したピンクリボンの冊子は、会員の宿や全国約800カ所の病院に配布され、多くの人の手にとってもらっていることを報告し、「2016年度版は80ページに増え、現在発行に向けて製作している」と伝えた。さらに「これからもウェブやマスコミなどを通じ、情報発信をするとともに、全国の病院や医療関係者、乳がん患者団体とも連携して、旅館・ホテルで快適な宿泊や温泉入浴ができる環境づくりに向け努力していきたい」と語った。…

 

※ 詳細は本紙1596号または8月20日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

避暑地が恋しい ― 自然を体感できる快適空間への欲望

 今年の夏は暑い。全国的に猛暑に襲われているみたいだが、とりわけ東京は気温の高さに加え、異様に蒸し暑い。もはや長時間の外出は難しく、年々夏が観光に適さなくなってきているのを感じる。

 そうなってくると、「避暑地」が恋しい。日本の避暑地としてすぐに頭に浮かぶのは、軽井沢や上高地、那須塩原、富士五湖、洞爺湖などがある。地理的に九州など南の方であっても、高原などでは気温がぐんと下がり爽やかに過ごせるので、とくに夏は人気が高い。

 個人的にも、夏は好んで東北に旅行した。北へ、北へとクルマを走らせ、十和田湖畔や小岩井農場近くの温泉地で涼しく過ごした日々を、汗まみれの東京で思い出すと、貴婦人のような避暑地の面影を追ってしまう。

 今、グラマラスとキャンピングを掛け合わせた造語である「グランピング」というスタイルが世界的に流行っている。

 多くの人は、大自然の魅力を満喫したいが、虫が嫌いだったり、道具を準備するのが面倒だったりする。「自然を全身で体感したい」「野生動物を間近に見たい」と思っている一方で、どうしても人間は、危険や不快な思いは極力避けたいという相反する欲望を持つ。グランピングは2つの欲望を同時に解決する試みでもある。極言すれば、アフリカのサバンナの大地に突如豪華な部屋を設置する。真っ白いシーツのベッドに寝そべり、心地よい冷房の利いた部屋で高級シャンパンを飲みながら、窓の外でたむろしているライオンを眺めているようなものである。一挙両得の最高のエンターテイメントである。

 私自身、時折早朝バーベキューを行っていることを以前この欄で記した。大型テントを持たないので昼になれば太陽の直射日光を遮るものがなく、楽しみより苦痛の方が大きくなるため、夜明け前に家を出て、日の出前に火を起こし、朝食として焼肉を貪るように食べ、皆が河原にやって来る午前9時ごろには火を消して帰るという奇行を続けている。でも、ラグジュアリーホテルまではいかなくても、庇の広いログハウスでバーベキューをしながら、冷房の効いた部屋で休んだりできるといいなと思うことは多々ある。

 年々、夏は長時間出歩けないほど暑くなってきているが、だからといって、冷房の効いた室内に一夏閉じこもっていたいとは思わない。夏の日差しの明るさや自然の匂い、蝉の鳴き声などを感じながら、苦痛を感じる暑さから逃避できる空間も同時に確保したい。この身勝手な欲望を解決できる身近な場所は、どこにあるだろうか?

 旅館である。多くの旅館は山間地や高原、湖畔、渓谷、海辺など自然豊かな、涼しげな場所にある。そして冷房の効いた空間も提供している。だが、それだけでは足りない。必要なのは、「宿泊者が快適に自然を体感できる空間」なのだ。人工的に、一分のすきもないほど手入れをしている庭園もあるが、これは芸術であり、鑑賞用である。一方、まったく手を入れず天然の山や藪になっている場所には危険を感じる。旅館、あるいは温泉地が適度に手を入れることで、旅人が安心してデッキチェアに揺られながら、涼しげな木陰でうたた寝ができるような空間を提供できれば、身近な避暑地として、新たな旅行スタイルのニーズを掴んでいけると思う。

(編集長・増田 剛)

一定の意見反映へ、外務省の渡航情報が改定(JATA)

 外務省は9月1日から、13年ぶりに「渡航情報」の表現を改定する。年始のシリアでの邦人殺害テロ事件の発生で設置された「在外邦人の安全対策強化に係る検討チーム」が5月に発表した提言を受けたもの。一方、日本旅行業協会(JATA)は提言発表時から海外旅行需要への影響を懸念し、全国旅行業協会(ANTA)と両会長名での要望書提出や、外務省担当者との話し合いなどを行ってきた。その結果、改定に一定の意見が反映されたことを8月6日の会見で明らかにした。

 外務省は提言で渡航情報の分かりやすい発信のあり方を指摘されたことから、名称を「海外安全情報」と改称するほか、現在、4つの段階で示している「危険情報」をレベル1―4とし、2段階目の「渡航の是非を検討してください」を「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」と改める予定だ。
 これに対し、JATAの越智良典事務局長はこれまでの経緯を説明。検討チームが提言書をまとめるなかで、JATAはヒアリングに参加したほか、独自の活動でリスクセミナーや安心安全部会の開催などを実施してきた。しかし、5月に提言が発表された際、ヒアリング段階では知らされていなかった渡航情報の見直しが含まれており、海外旅行の需要が減退することを懸念。ANTAと連携して両会長名で外務省の領事局長宛てに要望書を提出していた。

 越智事務局長は3月のチュニジアのテロ事件なども挙げ、日本人を取り巻く海外旅行の治安情勢が大きく変わったという基礎認識を示し、「それを踏まえて旅行の安全に取り組まなければならないということは重々承知している」としたうえで、危険情報の改正案については「全体のトーンが海外旅行は危険だから行くなというイメージ」と不安視。旅行会社の催行に関する義務付けに変更はなく、今まで通りレベル2でも各社の自己判断でツアーは催行できるが、大手はレベル2に引き上がるとツアーを中止する会社が多い。他方、専門的な会社ではレベル2にあたる地域に特化する会社もあり、会員の数社で年間2千人以上の影響が出ると試算。会員からも予想以上に不安の声が挙がり、「レベル2の表現を余地のあるものに変えてほしい」と、外務省の担当者らと折衝を重ねてきた。結果、レベル2の不要不急時の渡航中止の表現は変更できなかったが、同様の文字の大きさで「渡航する場合には特別な注意を払うとともに、十分な安全対策をとってください」という追記を加えることができたという。

 また、旅行会社の安全への取り組みに対する考慮として「危険情報の発出対象と安全対策」の項で、発出者の対象を一般的な個人旅行者を対象としたものと想定し、安全対策を講じている旅行会社による企画旅行とは異なるものであるという内容が盛り込まれた。さらに、旅行業界が観光庁の指導の下に旅行安全マネジメントを推進していることと、JATAは海外旅行の安心安全な実施のために独自のガイドラインを策定していることを紹介する記述も掲載。ガイドラインへのリンクも貼られている。

 これらに対し、越智事務局長は「100点満点は取れなかったが、お客様の安全を守りながら、旅行会社のツアー催行についてある程度担保できた」と評価した。一方、「安全対策が旅行会社の価値だと国がいってくれているので、より意識を高めなければならない」とし、これを機に海外企画旅行の実施ガイドラインの見直しも行った。レベル2時にツアーを催行する場合の安全対策について注記で具体例を示し、適切な対応を呼びかけている。