広域連携進め誘客を 豪雨を受け報告会開く 由布院温泉観光協会

2017年10月21日(土) 配信

由布院温泉の今後について考えを共有した
桑野和泉会長

 大分県由布市の由布院温泉観光協会(桑野和泉会長)は9月28日、大阪市内のホテルで旅行会社や報道関係者を招き、7月の九州北部豪雨で観光客数が落ち込むなか、現状と今後の展開などを説明する「おんせん県おおいた由布院温泉の今、そしてこれから」と題した報告会を実施した。

 冒頭、由布市まちづくり観光局の生野敬嗣氏が、九州北部豪雨の影響で県全体の宿泊客数が8月以降、1―2割減で推移していると説明。豪雨で橋が流失したJR久大本線の日田―光岡間では不通が続き(来年夏開通予定)、博多―由布院を結ぶ「特急ゆふいんの森号」は現状、小倉経由のルートで運行し所要時間は約5時間かかる。しかし、これは各駅でダイヤ調整のため待ち合わせ時間が多く発生していることが原因で、ほかの特急や在来線を乗り継げば、小倉―由布院は約2時間で移動できる。生野氏は「博多から5時間というイメージが広まっているが、他の特急などを乗り継けばそれほど時間はかからない」と強調した。

 桑野会長は由布院温泉のコンセプトや今後の方針を説明した。

 滞在型保養温泉地づくりに取り組む同温泉では、組合加盟の宿泊施設が約100軒あり、宿泊料金も8千円から6万円とさまざま。桑野会長は「多様な旅のスタイルに対応できるのが由布院の特徴。近年は温泉街の飲食店も充実し、1泊朝食プランも出始めている。スイーツのお店も豊富で、女性客に喜ばれている」と話し、由布院の新しい観光スタイルを紹介。

 また、「由布院の魅力は由布院だけで成り立っているのではない」として、周辺の観光地との連携を強化する考えを示した。既に由布院と熊本県阿蘇を結ぶ観光道路「やまなみハイウェイ」のエリア7市町村で、「やまなみハイウェイ観光連絡協議会」を今年2月に設立。今後、黒川温泉などと連携し情報発信や企画を展開するという。

 来年2―3月ごろには、JR由布院駅に「由布市ツーリストインフォメーションセンター」がオープン。由布院だけでなくオール大分の観光情報を発信するほか、旅の図書館なども設け、交流拠点として活用する。

スノーリゾート活性化へ 具体的な施策検討 観光庁

2017年10月21日(土) 配信

推進会議のようす

 観光庁は10月6日に「第1回スノーリゾート地域の活性化推進会議」を行った。同会議では、2015年から今年4月まで行われていた検討会の最終報告に基づき、スノーリゾート地域全体の活性化に向けた具体的な施策を検討していく。

 日本人のスノースポーツ人口は、ピーク時だった1998年の1800万人から、2015年には740万人とおよそ4割にまで減少。同推進会議の構成員の北海道大学観光学高等研究センターの遠藤正氏によると、「今後日本人のスノースポーツ人口がピーク時の水準にまで戻ることはない」という。

 一方で2018年の平昌五輪、22年の北京五輪の影響からか、北海道を中心に訪日外国人観光客のスキー人口が増加。とくにニセコ地域では、アジア圏からの宿泊者が急増しており、14年から現在まで豪州からの宿泊者数を上回る勢いを見せている。

 遠藤氏は「スノーリゾート活性化のカギとなるターゲットはアジアである」と言及。そのうえで、中・上級者(豪州・欧米)と未経験・初級者(主にアジア圏を想定)ではマーケットが異なるため、未経験者・初心者にはスキーの面白さ、楽しさを伝えることが今後のリピーター増加につながっていくと伝えた。

外国語ができる日本人インストラクターが不足

 訪日外国人観光客によるスキー人口が増加するなかで喫緊の課題となるのが、外国語ができる日本人インストラクターが不足していることだ。現在、外国人スキー観光客対応のためのインストラクター確保については、スキーのできる外国人インストラクターを採用するなどさまざまな対策が練られている。

 しかし、外国人インストラクターを採用する場合は日本での実務経験が最低36カ月必要になるため、ビザの関係上困難を極めている状態だ。中長期的な対策として、外国語能力を有する日本人インストラクターの採用・発掘が重要となる。

 これら課題に対し構成員からは「首都圏にスキーインストラクターは1万人以上いる。そのなかには外資系企業に勤めている人もいるため語学ができる人はいると思う。まずは、首都圏のインストラクターのなかで語学ができる人を把握することが重要である」との意見が挙げられた。

 同推進会議では今年4月に取りまとめが行われた「スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会 最終報告書」に基づき、第2回推進会議が行われる11月末までの間にアクションプログラムを策定する。

 アクションプログラムの柱となるのは「国内外からのスノーリゾートへの誘客に関する課題」と「スキー場の経営に関する課題」の2点。

 国内外からのスノーリゾートへの誘客について、構成員らから「幼少期からスキーなどのスノースポーツに触れることが重要である」などの意見が寄せられていることから、小中学生を対象にスノースポーツの普及活動を積極的に行っていく。

1日1組の貴賓室 「武家屋敷 桜御殿」が誕生 旅館花屋

2017年10月21日(土) 配信

貴賓室「武家屋敷 桜御殿」座敷10帖

 創業1917(大正6)年の長野県上田市の別所温泉「旅館花屋」は、6500坪の敷地に点在する建物ほぼ全館が登録有形文化財に指定されている純日本建築の伝統の宿。今年101年目を迎えた同館に8月、貴賓室「武家屋敷 桜御殿」が誕生した。2016年まで上田城近くに現存していた上田藩の上級武家屋敷が解体されるにあたり、建具や建材を譲り受け、随所に移築し、当時の雰囲気をそのままに武家屋敷の様式を忠実に再現した。

貴賓室「武家屋敷 桜御殿」玄関

 移築した武家屋敷は、昨年取り壊した上田城跡公園前にあった「河合邸」。花屋の飯島新一郎取締役は河合邸の取り壊しの話を聞き、このまま無くなってしまうのはしのびないと花屋への移築を決めたという。

 移築場所は同館内の北側奥。昨年、改築計画があった2部屋に今年2月着工。計画より2カ月遅れで完成した。

 飯島取締役は「武家屋敷を残したいという想いが結実した客室。細部に至るまで武家屋敷の様式を再現することにこだわりました」と話す。

 武家屋敷は花屋最上級の貴賓室で、玄関、取次の間、壱の間、書院座敷へと続く。西側の廊下からは坪庭が風情を添え、風呂は源泉かけ流し100%の檜造りの露天風呂を新設した。総床面積90平方メートル。

源泉掛け流し100%の露天風呂

 1日1組限定。料金は1泊2食付きで1人5万円(税別)。夕食、朝食ともに部屋食となる。

 問い合わせ=旅館花屋 電話:0268(38)3131。

消費意欲好転の兆し 「若者の〇〇離れ」歯止めか 三菱総研mif

2017年10月21日(土) 配信

小川歌織氏

 三菱総合研究所はこのほど、2017年の「生活者市場予測システム:mif(ミフ)」調査の速報を発表。雇用環境の改善などで生活者の気分は上向き、消費マインドに好転の兆しがあるとした。今回は、20代の消費意欲の向上が顕著に現れた。昨今叫ばれていた「若者の○○離れ」に歯止めがかかる勢いもある。旅行消費にも意欲をみせており、とくに海外旅行は年1回以上旅行する人の割合が全体で11・5%なのに対し、20代は14・2%と上回った。

【飯塚 小牧】

 調査の説明を行ったエム・アール・アイリサーチアソシエイツのアナリスト、小川歌織氏は、16年までは「財布の紐は固い」「若者のモノ離れが進む」「変化から安定へ」などキーワードが暗い傾向にあったと紹介。それが17年は一転し、「雇用環境の改善などで消費者の気分が上向き始めた」と述べた。

 消費支出の項目をみると、教養娯楽費や交際費、衣類履物費が16年より上昇。これらは消費抑制時には節約対象となるもので、この項目の支出が伸びているということは節約志向が緩んだと考えられる。

 前年と比較した「暮らし向き向上感」は「向上している」が前年比2・2ポイント増の10・6%となり、「低下している」は3・5ポイント減の21・1%となった。

 今後の暮らし向きについては「良くなっていく」が2・2ポイント増の12・8%、「同じようなもの」は2ポイント増で52・1%。「悪くなっていく」は3・3ポイント減の25・9%。とくに20代は「良くなっていく」が21・3%、「悪くなっていく」が15・0%と、年代のなかで唯一「良くなっていく」の方が上回った。

 経済的ゆとりの実感に対しては、「かなりゆとりがある」「ゆとりがある」の合計が2・1ポイント増の23・8%となり、ゆとりを感じる人が増加した。

 こうした背景について小川氏は、日本経済新聞のデータから17年4―6月期は金融業を除いた上場企業の約7割で純利益が増加していることを提示。これにより、人手不足は正社員にまでおよび、パートを含む有効求人倍率がバブル期より高い数字となったことが好要因だと分析した。

 また、さまざまな分野で危惧されていた「若者の○○離れ」についても、結婚やモノ、旅行などの項目で上昇傾向にあることを紹介した。結婚は5年以内の結婚予想が20代で5・8ポイント増の36・2%、交際相手の有無は4・8ポイント増の30・5%と大幅に増加。「東日本大震災後に『絆』がキーワードになったが、その11年の数値を超えているのが特徴」という。

海外、国内旅行とも上昇

 旅行については、20代で年1回以上行く人の合計が海外旅行は3・3ポイント増の14・2%、国内旅行(宿泊)が5・5ポイント増の56・0%、国内旅行(日帰り)が4・7ポイント増の56・5%といずれも上昇。全体も同様に伸びてはいるが、増加率は20代が大きかった。

 コト消費についても、「友人・知人とわくわくする体験をしたい」「おもてなしなど特別なサービスを体験したい」などが全世代別で最も高く、20代が余暇活動の牽引役になると予測した。

 若者を中心に消費マインドが上向く一方で、長期的な不安感は根強く残っている。日本の向かっている方向を「良い」とする割合は10%程度で14年から横ばい状態だ。将来の生活への不安は「とても不安」が19・2%、「不安」が40・4%。小川氏は「『とても不安』の割合は11年の東日本大震災後と同程度になっており、看過できない重い結果」とし、中長期的な手立てが不可欠だと指摘した。

 

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(10月号)巻頭言」

2017年10月21日(土) 配信

http://zoomjapon.info

 今月号は、日本のパン食の特集です。戦後から日本に根づいたパン文化は、今も多様に変化しています。フランスの老舗パン屋の進出や、日本のパン消費の7割を占めるという日本特有の食パンの高級志向の高まりなど、近年のパン事情について多角的に取材しました。グルメページでも、京都とパンの深いつながりにスポットを当てました。文化欄では、昨今の日本のテレビや雑誌に見られる「日本スゴイ」現象を分析。旅行ページのレポートは、外国人に人気の安芸の宮島。地元の人たちが太鼓判を押すご当地グルメを紹介しています。

【特集】「パンづくし」

食パン専門店「Centre The Bakery」はパリのマレ地区に出店予定だという

 日本といえば、お米の国というイメージが強いが、現在、パン食は米食に迫る勢いだ。織田信長もパンを食したという記録があるが、パンの業界紙「パンニュース」代表の矢口和雄氏によると、全国的にパン食が拡がったきっかけは、1950年代の食糧難とそれに伴うアメリカからの大量の小麦の輸入だという。以降、小さいころからパン食に慣れ親しんだ第1次ベビーブーム世代が、今でもその人気を支えている。また統計によると、女子高生の7割以上は米より低カロリーという理由で、朝食にパンを選んでいるという。一般的にも、伝統的な日本の朝ご飯を準備するよりも、トーストのほうが時間を短縮できるという忙しい現代社会ならではの事情もあり、パンの消費量は伸び続けている。コンビニやスーパーの他にその需要を支えるのは、全国にある数千のパン専門店。しかし、 実際に国内で消費されているパンの7割は食パンだという。矢口氏曰く、「この日本独自の食パンの柔らかさは、お米や餅菓子に通じ、その食感が日本人にとって親しみやすい」そうだ。こうした傾向を反映したパンの製造について、自動機会社「レオン」の製パン工場と、銀座の食パン専門店「Centre The Bakery」で話を聞いた。また、パリで修業を積み、東京でフランス伝統の味を売るパン職人や、日本に進出したフランスのパン屋の存在にも着目。多様に進化する日本のパンの伸び代は大きい。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉人気の日本酒イベント

エッフェル塔の目の前の会場には一般のフランス人も多く訪れた

10月7日から9日まで、今年で4回目を迎えたサロン・デュ・サケが開催されました。このイベントは、フランスやヨーロッパにおける日本酒マーケットの拡大を目的とした展示会。対象は主に現地のレストランやショップですが、一般客も有料で入場可能。期間中は、約450種に及ぶ日本酒や日本のビールの試飲と並行して、すでに日本酒を取り入れているフランス料理のシェフやソムリエ、パティシエの講演会やワークショップなども開催されました。日本からは鳥取県や広島県のほか、酒造メーカーや酒蔵も参加。毎年勢いを増すこのイベント、来年もさらに期待できそうです。

クロード・ルブラン編集長

 

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

 

 

 

 

 

オリジナルの特典付き 18年版「ピンクリボンのお宿」冊子

2017年10月21日(土) 配信

「ピンクリボンのお宿ネットワーク」冊子

 「ピンクリボンのお宿ネットワーク」(畠ひで子会長、事務局=旅行新聞新社)は10月1日、加盟する宿泊施設のお風呂情報などをまとめたフリーペーパー「2018年版ピンクリボンのお宿」を発行した。目的は、さまざまな方にお風呂を楽しんでもらうこと。宿紹介のほか、オリジナル特典クーポンも付く。全国の医療施設といった法人ほか、個人への発送も無料で行う。

 「入浴着をレンタルできる」や、「大浴場の洗い場に間仕切りがある」など、乳がん患者・体験者が求めるお風呂情報を網羅。禁煙ルームや食事への配慮を求める声にも、細かく対応する。

 A5判フルカラー84ページ。ハンドバックにも入りやすいコンパクトな仕様となっている。発行部数は10万部。

 冊子申込は、公式Webサイトでも受付中。宿検索や、特典クーポンの発行も可能だ。

 問い合わせ=ピンクリボンのお宿ネットワーク事務局(旅行新聞新社内) 電話:03(3834)2718。

魅力ある島しょへ 「二人三脚で進める」 しまぽ通貨

2017年10月21日(土) 配信

スタンプをスマホの画面に押すだけで、簡単に決済

 東京都はこのほど、東京の島しょ11島で使える「しまぽ通貨」サービスを始めた。7千円分購入すると、3千円分のプレミアムが付き、計1万円分となる。利用者側も事業者側も簡単に決済を行うことができる。伊豆諸島・小笠原諸島は1978年のピーク時から、観光客は3割程度まで落ち込んでいる。東京の魅力ある島しょ地域へ訪れてもらう「きっかけ作り」の取り組みを、東京都産業労働局観光部観光施策担当課長の齋藤順氏に聞いた。

【平綿 裕一】

齋藤順課長

 ――しまぽ通貨について教えてください。

 これまで東京の島しょ地域で行っていた「東京島めぐりPASSPORT(しまぽ)」を電子化し、電子通貨機能を追加したかたちです。7千円分購入すると、3千円分プレミアムが付与され、1万円分として使えます。30%分のプレミアムが付いた旅行商品券と考えてもらえればいいと思います。利用できる地域は①大島②利島③新島④式根島⑤神津島⑥三宅島⑦御蔵島⑧八丈島⑨青ヶ島⑩父島⑪母島――の計11島です。

 事業開始時の加盟事業者数は156事業者。現在も増えており、当初想定していた200事業者を超える勢いです。

 加盟店にスタンプを配布して、それをスマートフォン画面の上に押すだけで、簡単に決済ができます。

 ――利用者と島の事業者のメリットは。

 3千円のプレミアが付くことと、多額の現金を持ち歩く必要がなくなることがポイントです。また、しまぽのスタンプラリー機能も電子化しているので、併せて利用できます。スタンプを集めれば、記念品贈呈や、プレゼント抽選に応募することができます。

 事業者はプレミアムが付くことで、島に来たことが無い人を誘客できる点です。電子決済はこれまでにない仕組みなので、使いづらいと感じられるかもしれませんが、新たな顧客層を掘り起こせます。同様のサービスは、長崎県で導入済みですが、日本では2番目の導入です。利用者への訴求の点で新鮮味が増すと思っています。

 一方で、宿泊して長く滞在してもらい、島での消費促進も狙っています。7千円分は宿泊施設で、3千円分は宿泊に加えて土産や飲食などにも利用できます。

 加えて決済額は1千円単位からとなります。この部分はデメリットのようですが、500円のお土産に、プラス500円分をセットして1千円にするなど、工夫をしてもらい、消費単価を上げることも可能です。

 このほか旅行会社と、「しまぽ通貨ツアー」をタイアップツアーとして設定しています。1泊1万円以上の旅行商品を申し込んだ旅行者に対し、3千円分の割り引きをします。お得感を出し集客力を上げることで、観光客と消費額の増加を見込めます。

 ――電子決済で顧客・動態などのデータを入手できると思いますが、活用方法は。

 登録時に、性別や年齢、在住地などの利用データを取得できます。顧客属性にある傾向が出れば重点的に攻め、逆に弱い部分があれば、新たな取り組みを考える際の参考資料になります。ここで得られるデータは、さまざまな事業で活用していく予定です。

 ――インバウンド対応は。

 今回は対応していません。日本人が対象です。

 外国人旅行者に対しては「まずは東京の島を知ってもらいたい」という思いがあります。現状では、東京に島の認知度が十分でないと感じています。

 今回のようなインフラを作ったとしても、実際に訪れるまで辿りつかない可能性があります。まず認知を高めることが、今は大事だと思っています。

 ――東京の島しょ地域の観光課題はありますか。

 伊豆諸島・小笠原諸島の観光客の推移は、1973(昭和48)年のピーク時に比べ、2015年は3割程度の45万人まで落ち込んでいます。とにかく、観光客数の減少を食い止め、上向きに持ち直したいと考えています。

 ――観光における東京の島しょ地域活性化の方向性などは。

 今回のサービスも含めて、旅行者に訪れてもらう「きっかけ作り」は我われでもできます。ここから先の部分、「実際に来た人が満足してもらえるか」は、島の人達に考えていただく必要があります。

 しまぽ通貨で東京の11の島を巡ることが可能です。旅行者から「あの島が良かったよね」といった声が聞こえてくれば、「じゃあ私たちもやってみよう」と、各島で競い合うこともあると思います。競争が生まれれば、観光地としての質の向上にもつながるはずです。

 そこで我われは、地域のインフラをはじめ環境整備を支援する補助金や、観光協会などの地域が主体的に取り組む観光まちづくりを支援するアドバイザーを派遣などして、ハード・ソフト両面で支援していく体制を整えています。

 今後は東京の島の「強み」を創出して、いかに認知させるかも大事なことです。さらにより気軽に訪れてもらえるような取り組みと、受入環境の整備も必要です。この「認知」「きっかけ作り」「受入環境整備」の3つがセットにならないと、満足度向上にはつながってはいきません。

 「東京都だけ」「島の人たちだけ」ではなく、「一緒になって、二人三脚で進めていく」ことが重要です。東京の島を旅行先として選んでもらうために、今回のしまぽ通貨のような新たな事業を、さらに展開していきたいと考えています。

 ――ありがとうございました。

「島川崇の観光・日本再生の道 第79回」亡国の英語重視

2017年10月21日(土) 配信

熱意や専門知識よりも、英語偏重が進む大学教育

 先月、英語重視で人材採用した結果、自己中心的な人材が多くなり、結果的に短期で退職する割合が増加したのではないかとの問題提起をして、大きな反響を呼んだ。発行前はもっと反発が多いかなと覚悟していたのだが、予想に反してその視点に対しての共感を多くいただき、逆の意味で驚いている。

 経済界からの強い要請で、いま大学は専門科目も英語で教えろという文部科学省からの圧力が日増しに強くなってきた。それがいまおかしな方向に進み始めている。私の勤めている東洋大学では、教員採用の際、模擬講義を課すのだが、それを英語でやれとの指令が来た。

 実際やってみると、学生に対して一生懸命対応してくれる先生よりも、こなれた英語を使いこなす先生のほうがどうしても点数が高くなってしまう。また、文科省に報告するポイントになっているようなのだが、外国人教員の比率を高めよとの圧力も強くなっており、外国人が有利な状況ができつつある。こんなことでは真に学生に対して親身になって対応する教員が採用できないので、私は学科長という立場にありながらその大きな流れにできる限りの抵抗を試みている。

 他の大学の話だが、同じように英語での専門科目の講義を求められたことに対して、経済学の分野なのに、経済学部を卒業しただけで、経済学の学術業績が何もない教員で英語だけがペラペラな人が採用されたそうである。これが名の通ったまともな大学で起こっていることである。

 もうこうなったら大学は語学学校扱いである。

 大学がこんな状態で、しかも英語さえできたら簡単に入学できてしまう入試があるもんだから、高校側も、数学や理科はそっちのけで、英語ばかりをやってくる学校が増えてきた。かつてはそれでも英語の点数が努力の尺度になっていたが、高校3年間、場合によっては中高一貫6年間を英語ばかりに費やして、英語はペラペラになったが、中身もペラペラでスカスカという学生がここ最近増えてきた。英語のスコアが努力を測る尺度にならなくなってきた。

 また、留学も昔は相当な覚悟を持って渡航していたものだが、いまは楽して英語のスコアを上げたいから留学を希望する学生ばかりになってきた。渡航しても日本人が現地でコーディネートをしてくれる。なにも不自由なく留学することができる。 

 こんな中身がなくて英語だけが話せる人材を採用していたのでは、すぐ辞めて当然。この業界が発展するわけがない。

 苦手なことからも逃げず、分からないことにも自分の持つ知識を総動員して食らいついていくといった気概は、こんな現代の英語教育からは身につくはずもない。

(東洋大学国際観光学科長・教授 島川崇)

コラムニスト紹介 

島川 崇 氏

東洋大学国際観光学科長・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部を経て、現在、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。観光で被災地の復興に貢献する枠組みの構築を現在のテーマとしている。

日本人にも受益を 新財源に「反対ではない」(JATA)

志村格理事長

2017年10月21日(土) 配信

 日本旅行業協会(JATA)は、観光庁が検討している「次世代の観光立国実現のための財源」の新たな税制度導入に対し「必ずしも反対ではない」との見解を発表した。一方で、導入にあたっては日本人の海外旅行の安全確保に使用するなど、日本人にも受益があることや、代理徴収をすることが想定される旅行会社への配慮などを求めた。

 10月10日に開いた会見で志村格理事長は、5日に観光庁が開いた有識者会議で発表した旅行業としての意見を報告。「観光庁は『どのくらいの額が望ましいのか、どういう取り方が望ましいのか』という聞き方だった。そもそも、新たな財源が必要なのか議論をする必要もあるのではないか」と前置きしたうえで、「政府が必要だというのは分からなくはない」と真っ向から否定する意向はないとした。

 一方、需要に一定の影響があることも明示。現在、1人1千円の負担額案があるが、これは例えば日本から韓国・ソウルへの格安旅行代金(費用計1万8170円)の5・5%を占める。世界貿易機構(WTO)が示している英国のデータによると、5・5%費用が増加した場合、需要は8%減退すると紹介。「安いツアーでは影響は大きい」とした。訪日旅行でも、現状の航空使用料に1千円が加算されると、アジアでは最高額となることなどを挙げ、影響を懸念した。

 具体的な課税方法については、米国がビザ免除プログラム渡航者に導入する「ESTA」方式が最も望ましいと主張。内外無差別の観点から日本人も対象の「出国税」となる場合には、旅行会社と外務省「たびレジ」のシステム連携の強化や、18歳時点のパスポート無償化を始めとする若者の海外旅行促進などに充ててほしいと要望した。「海外旅行拡大に税金を投じる必要がないのは分かるが、世界中でテロが多発するなか、セキュリティ対策は重要だ」。

 また、実務面での課題として、航空券に上乗せして徴収する場合は、世界的にみても旅行会社が消費者から代理徴収するケースが想定される。ただ、この場合はシステム回収に1社3千万円と多額の費用がかかり、旅行会社への負担は大きい。志村理事長は「国税だと手数料というのは難しいと思うが、日本人の安全策や需要を減らさないような施策を求める」と強調。旅行会社は金額ベースで海外旅行の5割、国内と訪日で2割ずつ扱っている現状を示し「我われの存在を重要視してほしい」と訴えた。

JR7社発足30周年 人気観光列車や新幹線で日本縦断の激レアツアー造成

2017年10月20日(金) 配信 

寝台列車「カシオペア号」は、JR貨物EH500形式電気機関車が牽引するレアな編成に

発足30周年を迎えるJR各社は現在、7社共同企画で各社を代表する列車に乗車し、全国の観光名所を満喫しながら日本列島を縦断するスペシャルツアーを売り出している。

 ツアーは「観光列車コース」と「新幹線コース」の2本を企画。「観光列車コース」では24の列車で日本列島を10日間かけて縦断。JR東日本の現美新幹線やJR西日本の「500 TYPE EVA(エヴァンゲリオン新幹線)」、JR九州の「A列車で行こう」など、人気の車両を思う存分堪能できるツアーを用意する。「新幹線コース」では北海道から九州までを新幹線を中心に利用し3日間かけ横断する。

観光列車コース「24の列車で繋ぐ じっくり日本列島縦断10日間」

500 TYPE EVA(エヴァンゲリオン新幹線)

  旅の始まりは、上野駅発の寝台列車「カシオペア号」。JR貨物EH500形式電気機関車が牽引する非常に珍しい編成で運行される。その後、「ノースレインボーエクスプレス」や「なごみ(和)」、「現美新幹線」、「ぬくもり飛騨路号」、「花嫁のれん」、「500 TYPE EVA(エヴァンゲリオン新幹線)」、「A列車で行こう」、「サンライズ出雲・瀬戸」などの観光に魅力的な列車をつなぎ、日本列島を9泊10日で周遊。※「花嫁のれん」はオプションでの販売。

出発日:12月5日(火曜日) 9泊10日

旅行代金:1人39万~48万円(大人のみ)
 ※注釈:車両設備により料金が異なる。

募集人員:60人

旅程:

旅程(1~5日目)
旅程(6~10日目)

新幹線コース「新幹線で行く 日本列島縦断3日間」

  「新函館北斗」から「鹿児島中央」まで10列車でつないだ2泊3日の日本列島縦断の旅。リニア・鉄道館(300X、オハ35形各車内および100系食堂車食堂特別公開)や金刀比羅宮(表書院見学・白書院にて「おたから」特別公開)など特別な観光も満喫できる。※「リニア・鉄道館の300X、オハ35形各車内および100系食堂車食堂」、「金刀比羅宮の白書院」は普段、一般公開を行っていない。 

出発日:12月15日(金曜日) 2泊3日

旅行代金:1人15万円(大人のみ)

募集人員:80人

旅程:

新幹線コース 旅程

 

各コース共通概要

 購入者には、各コースともオリジナルピンバッジがつく。※注釈:新幹線コース・観光列車コースで内容は異なる

発売日時:10月18日(水曜日)午後1:00から

予約方法:
 ・インターネット予約サイト:
 

電話:
 びゅうトラベルサービス大人の休日予約センター TEL03-3841-0121
 (営業時間 平日:午前9:30から午時6:00まで/土曜日・日曜日・祝日:午前9:30から午後5:30)