HIS、ハワイ初上陸のデジタル水族館の特別企画を発表

2018年2月13日(火) 配信 

特別企画を用意

 

エイチ・アイ・エス(HIS)はこのほど夏の特別企画として、ハワイ州ワイキキ水族館内で、「Lea Leaデジタル水族館 リトルプラネット(Little Planet Waikiki Aquarium)」を行うと発表した。リトルプラネットは「“アソビ” が “マナビ” に変わる」をコンセプトに、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)最先端テクノロジーを駆使した体験型デジタルテーマパーク。プレースホルダ(後藤貴史代表、東京都品川区)が運営し、ハワイには初上陸となる。

 HISの夏の旅行ランキングで一番人気のハワイ。近年は家族旅行でも“ただ観光するだけ”ではなく、子供たちの成長や体験につながることを目的とするご旅行が増えているという。今回はHISが旅を総合的にサポートしていく。旅マエでは、ハワイ州観光局公式アロハプログラムを参考に作成した絵本をプレゼント。絵本で子供らにハワイへ興味をもってもらう。旅ナカは、家族で楽しめる参加型の特別企画を用意。帰国後は特別企画などを通じて、親子で楽しみながら夏休みの自由研究を行う “旅アト”のきっかけづくりを提案していく考えだ。

 国際的に有名なハワイワイキキ水族館。カラフルな熱帯魚や珊瑚、ハワイ独自の太平洋海洋生物鑑賞など、さまざまな展示が行われている。館内ではスマートフォンを利用した日本語ガイドで、海洋生物を間近に見て学べる。

 「Lea Leaデジタル水族館 リトルプラネット」では、熱帯魚やカメなどの海洋生物たちを「ぬりえ(ふしぎなぬりえの世界)」と、「スプレーでの落書き(デジタル落書き)」で、実際に動き出すVR体験ができる。「AR砂遊び」は砂場と映像を組み合わせた火山の噴火や降雪、宝探しなど、最先端テクノロジーを活用した〝アソビ〟を体感することができる。同社は「親子で参加されることで、親子の新たな気づきや一緒に学び成長できる機会になればと考えております」とコメントしている。

特別企画 Lea Lea デジタル水族館 リトルプラネット in Hawaii

期間:2018年7月20日(金)~2018年9月30日(日)の毎日

開催時間:1、午前9:00~午前11:00/2、午前11:00~午後1:00/3、午後1:00~午後3:00/4、午後3:00~午後4:00

場所:ワイキキ水族館内 特設会場

※期間中、対象パッケージツアー参加者は、滞在中1回無料で利用可能

※2月9日から発売開始するHISCiaoハワイパンフレット対象のパッケージツアーか、 2月16日から全国一斉販売するHISハワイ ファミリーパンフレット対象のパッケージツアーに申し込み、7月20日~9月30日の間にハワイ オアフ島に滞在する人が対象

オリジナル絵本「ハワイだいすき」をプレゼント

オリジナル絵本をプレゼント

 

 オリジナル絵本“ハワイだいすき”は、2月16日から全国一斉販売するHISハワイ ファミリーパンフレットに掲載のパッケージツアーを成約した家族に1冊プレゼントする。ハワイの文化や歴史などの幅広い情報を掲載した。「深く正しい知識を楽しく学び、ハワイへのさらなる興味、関心を持ってもらうことを目的に制作しました」(同社)。

 絵本ではハワイの有名な観光地の歴史や文化をはじめ、ハワイ語の勉強など、旅行前に、ハワイを学ぼうというコンセプト。子供だけでなく、親子で一緒に学べる絵本となっている。

KNT関西京都支店がお茶のまち和束町にサテライトオフィス開設へ

2018年2月13日(火) 配信

和束町はお茶の産地(写真は和束町の茶畑)

近畿日本ツーリスト関西は今年3月、京都府・和束町が開設を予定している「和束町スマートワーク・イン・レジデンス」内に京都支店のサテライトオフィスを開設する。同町と共同で、地域活性化に取り組む。

 和束町は宇治茶の一大主生産地で、日本遺産「日本茶800年の歴史散歩」の構成地域でもある。同町が開設を予定している「和束町スマートワーク・イン・レジデンス」は、サテライトオフィスやコワーキングスペースとして活用できる施設。KNT関西は自然豊かな環境下のコワーキングスペースで働くことに関する実証実験を行うとともに、スペース活用のプロモーションなど、和束町と共に同町の地域活性化に取り組むほか、同様の施設開設している笠置町と南山城村をあわせた、「相楽東部」地域全体の活性化も進める。

 またKNT―CTホールディングスグループでテーマ別・予約型トラベルサイト「旅の発見」を運営するティー・ゲートは日本最大級の遊びの実体験メディア「PLAYLIFE」を運営するプレイライフと連携し、「旅の発見×PLAYLIFE」の和束町PR ページを2 月1 日(木) 「PLAYLIFE」サイト内にオープン。 「PLAYLIFE」の中心ユーザーである若年層・女性層に対し和束町での「遊び方」をリアルに伝え、訪れる新規顧客層の拡大をはかる。

サテライトオフィスとコワーキングスペース

サテライトオフィス

企業の本拠から離れた場所に設置されたオフィスのこと。 時間の効率化(地方在住スタッフの通勤・出張時間短縮)やオフィス賃借料などの経費の削減、地方の優秀な人材採用などが期待できる。

コワーキングスペース

コワーキングスペースとは、共有できるオフィス環境の中にさまざまな業種・年齢の人が集まり、個人の仕事をしながら自由にコミュニケーシ ョンをはかることでアイデアや情報を交換できる場所のこと。 コミュニティ内で協働パートナーを見つけ新しい仕事を生み出すなど、人との出会いやつながりを生かした働き方ができるのが特徴。 

〈観光最前線〉プレ金の結果はいかに

2018年2月12日(月) 配信

1月は湯島天神の鷽(うそ)替へ神事に

 年間成績は12分の5。今年の1月末で1年を迎えたプレミアムフライデー(プレ金)をおう歌した結果だ。

 拘束力がないキャンペーンだが、ちまたでは辛辣な声もあふれている。経済効果や導入企業数を見ると、確かにその通り。ただ「月末金曜」や「15時」が独り歩きした感も強いのでは。

 実はその前段に「個人の実情に応じた」というひと言がある。冒頭5回のうち、ホントの月末金曜は2回だけ。残りは木曜や月初に楽しんだ。

 最初は話のネタとして足を踏み入れたプレ金の先には、新鮮な時間が流れていた。「次はいつ」と考えるようになり、気づいたら「5回も」になっていた。

 引き続き「マイ」プレ金にはげみます。キャンペーンがなくても、主体的に楽しめるように。

【鈴木 克範】

ターミナル大規模改修 4月に一部先行開業へ(大阪国際空港)

2018年2月11日(日) 配信

2階中央に到着口を集約

 関西エアポートは、運営する大阪国際(伊丹)空港で現在実施しているターミナル改修工事のうち、中央および屋上エリアを4月18日に先行オープンすると発表した。到着口の中央集約や商業施設の全面改装など、利便性の向上に加え、子供向け遊具エリアを新設するなど、飛行機利用者以外も楽しめる地域のランドマークを目指す。

 現在、航空会社によりターミナル1階の南北2カ所に分かれている到着口は2階中央口に集約。そのままデッキを通ってモノレール駅に直結するほか、バス・タクシー乗り場も中央に集約し、各交通機関へのアクセスをスムーズにする。

 全面改装する商業エリアには、飲食・物販など計30店舗が出店予定。ワイン醸造所を併設したワインバル「大阪エアポートワイナリー」や、日本一の朝食に輝いた「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」直営のスイーツ&ベーカリー「ル・パン神戸北野」など、国内空港初登場を含む26店舗が新規出店となる。親子で楽しめる室内遊び場と玩具店が合体した施設などもお目見えする。

 また、展望デッキは滑走路側に約20メートル増床し、約1・5倍に拡大。イベントなどに利用できるステージも新設する。

 同空港ターミナルの改修工事は2016年2月から実施。これほど大規模なリニューアルは約50年ぶりという。今後は、19年春に700台収容の立体駐車場を新築。さらに、南北両ターミナルにウォークスルー型商業エリアを開業。ムービングウォークも大幅に増設するなど、さらなる利便性と魅力の向上をはかる。グランドオープンは20年夏を予定する。

 1月30日に同空港内で実施した概要説明会において、同社の北山博常務執行役員・伊丹空港本部長は「お客様をさまざまな点で待たせないこと。利便性の向上が最大の目的」と今回の改修工事の意図を説明。そのうえで「空港は非日常が味わえる空間。飛行機利用者以外の方にも、目的地としてお越しいただけるよう、もっとワクワク感を提供していきたい」と抱負を述べた。

【元湯 陣屋に学ぶ―(前編)】週休2.5日とシステム化で利益生む 幸せに働く旅館の在り方

2018年2月10日(土) 配信

1万坪の日本庭園を有する陣屋のエントランス。右手は、「となりのトトロ」に登場した大木のモデル▽神奈川県秦野市鶴巻北2-8-24▽20室▽1918年創業▽1泊2食付き3万5000円~▽スタッフ40人(正社員25人)▽月曜はランチまでの半日営業で、火・水曜日は定休日。

 神奈川県・鶴巻温泉で1918(大正7)年から旅館を営む「陣屋」。1万坪の庭園に囲まれた館内では、300以上の将棋・囲碁のタイトル戦が行われてきた。2009年に10億円の負債を抱えて売却問題が浮上するが、現在は高収益の人気旅館に激変。なんと週休2・5日で利益を出す。高卒初任給は25万円で、社員の平均年収は業界平均250万円をはるかに上回る398万円。有休取得率100%、離職率3%の優良企業に生まれ変わった。立役者である宮崎富夫氏と妻で女将の知子氏に、2回にわたって物心両面を幸せにする旅館の在り方を聞く。
【取材・文=ジャーナリスト・瀬戸川 礼子】

社長の宮崎富夫氏。システム導入時は「入れる理由」の説明が肝心と語る

 2009年10月、宮崎富夫氏と知子氏は陣屋の経営を引き継いだ。当時、富夫氏は本田技術研究所のエンジニアで、知子氏は夏に第2子を出産したばかりだった。

 陣屋を営む宮崎家は、熱交換器の製造業も経営しており、富夫氏は陣屋ではなく製造業の後継者としてものづくりの道に進んでいたのだ。

 ところが、陣屋の売却話によって2人の人生は一変。負債額10億円の陣屋に価値はないとされ、売却提示額はたったの1万円。しかも、保証人や抵当は抜けられないという悪条件だ。

 富夫氏の出した結論は、ホンダを退職して陣屋を継ぐことだった。陣屋を愛した創業者や亡父の思いもくみたかった。

 まさしく背水の陣だったろうが、「内心ワクワク感があったかもしれません(笑)」と実にポジティブ。「いろいろ言われて、逆に闘争心に火が付きました」とも。

火・水曜日を定休日に

 陣屋で最初に気づいた問題点は、コミュニケーションの悪さと人の多さだった。言った言わないの水掛け論が横行しているうえ、電池1つ取るのも許可が必要で、人が人を信用していなかった。また、出迎えの太鼓を叩くだけの人、靴を出すだけの人、と専任が多く、20室の宿に120人が働いていた。富夫氏はリストラはしなかったが、改革についていけない人は辞めていった。

 定休日を設けたのは3年が過ぎてからだ。

 「高収益のブライダルが軌道に乗り始めたこの時期、息子を連帯保証人から外すために借入を名義変更したんです。メインバンクが協力してくれなかったので、他行で借り変えてやりまして(笑)、金利も下がりました。ここまでが一つの区切りです」。

 そして、富夫氏は考えた。「これから先は、がむしゃらに働くのはやめよう。みんなが気持ちよく休める体制をつくろう」と。おもてなしをするなら、心のゆとりが必要だ。何よりも幸せに働いていきたい。その答えの1つが、客数の少ない火・水曜日を定休日にすることだった。売上高が下がっても、利益が下がらなければいい。顧客からの苦情はさほど受けなかった。

 実は、週休2日は、借り換え成功の功績でもある。銀行の目を気にしていたら、この大胆な改革は難しかったと富夫氏は言う。

「陣屋コネクト」で 情報の共有化と透明化

 陣屋の成功には、「陣屋コネクト」の存在が欠かせない。専門の人材を採用し、紙に書き写していた台帳の電子化を筆頭に、予約、売上、原価、在庫などをすべて電子化。自館の独自開発だから、作ったそばから現場で試用でき、使い勝手など何度でも改善を繰り返せるのが強みだ。

 間もなくシステム運用が始まり、1人1台、iPadを支給。数値管理のほか、会議内容や顧客情報など、自分が直接かかわらない情報も含めて、すべてを全員と共有している。「生産性と主体性」を同時に高めるツールでもあるのだ。ちなみにプラットフォームは、セールスフォース・ドットコム社のものを利用している。

 情報化は共有化しなければ意味がなく、また、共有化とは透明化のことなのである。

 2人は、財務を含めて「すべてを(社内外に)公開する」と決めており、「公開できることしかしない」という。この清く正しい考えは、間違いなく躍進の土台だろう。

 当時は、ITに慣れない社員たちだったが、入力しなければ給与申請できないなど、操作が必然となる工夫も凝らした。今では年配社員もiPodを自在に使い、「これがなくては働けない」と言う。

 定休日や陣屋コネクトの成果は、次の数値にも明らかだ。スタッフ数は120人(正社員20人)から40人(同25人)に、人件費は50%から23%に、離職率は33%から驚きの3%に、料理原価は40%から32%に。

 質を高めて宿泊単価を9800円から3万5千円に上げることに成功し、売上高は継いだ当初の2億9千万円から5億6300万円と2倍に。利益率の1つの指標であるEBITDAは、マイナス6千万円からプラス1億7千万円になった。

助け合いネットワーク料理人、仲居もシェア

 2013年からは、「陣屋コネクト」という別会社を設立し、自社開発のソフトを他旅館にも販売。仲間の輪を広げており、現在240社が導入中だ。

 さらに15年からは、陣屋コネクト利用者間の助け合いネットワーク「陣屋EXPO」も始まった。なんと、料理人のシェア、仲居のシェアをする画期的な取り組みだ。

 きっかけは、陣屋コネクトを利用する旅館で、全3人の料理人が一斉に辞めてしまったことだった。助けを求められた富夫氏は、次が決まるまでの間、陣屋の3番手を1人、送ることにした。ある程度の料理を陣屋の厨房で仕込み、真空や冷凍にして週1―2回配送する。これで、1人でも十分、対応できた。

 もちろん現地調達の地元食材も扱うし、この機会に目玉商品の開発も行った。顧客の評価も良く、原価と人件費は下がり、3番手の料理人は1番手として活躍したことで成長して帰ってきた。誰もが喜ぶ料理支援の枠組みができたのだ。現在は6旅館の料理支援をしている。

 「個々の人材や資源で他旅館と戦うのではなく、互いに協力・支援していくことが旅館業界には必要だと思います。お客さんのシェア、衛生管理の専門家や税理士、コンサルタントなどもシェアして、みんなで発展していけたらいいですよね」。

 2人が目指すのは陣屋の一人勝ちではない。例えば料理人のシェアならば、将来は地域ごとにセントラルキッチンの役目を担う旅館が出てきてほしいと願う。

 「そうすれば、地元のネットワークで地域ビジネスを豊かにでき、サポートする側もされる側もメリットがあります」。

 仲居のシェアもすでに始まっている。

 「うちのように週休2・5日で副業OKの場合、休日を他旅館で働けば、給料が増え、勉強ができ、人の役にも立てる。陣屋コネクトの仲間内で、『手伝って』、『手伝います』の情報交換をはじめています」。

 これは災害時にも生きる考えだ。以前、箱根山が噴火した際、地理的に遠い陣屋にもキャンセルが発生し、予約が顕著に落ち込んだ。「営業努力だけではカバーできないこともあります。人手不足の旅館で、一時期うちの仲居を預かってもらうなど、相互に助け合えたらといいと思います。誰かが我慢をするスキームだと長続きしないので、みんなが喜べる方法で」と、知子さんは語る。

□  ■

 日本人の人手不足は、もう解消されないだろう。近年、定休日を設ける旅館は徐々に増えているが、そのうち一般化するかもしれないし、従来はあり得なかった料理人や仲居のシェアも、遠くない将来、珍しくなくなる可能性が高い。

 すると、競争ではなく「共創」が始まる。個々が儲ける部分は最適ではなく、業界を潤わせる全体最適を重視する本当の仲間になるのだ。未来はそれほど不安視するものでもない。今のうちから、こうした仕組みがあることを知っておくことが大切だろう。後編では、システムを使いこなす陣屋の教育について紹介しよう。

(2月21日号に続く)

スターフライヤーの世界観を体験 アンテナショップ開設

2018年2月9(金) 配信

オープンに先立ちテープカットを実施

スターフライヤーは2月9日(金)、東京都・有楽町にある東京交通会館にアンテナショップをオープンした。 スターフライヤーの世界観を体験できるよう店内を設計し、課題となっていた関東での認知度向上をはかる。

飛行機の座席の座り心地を体験できる空間を用意

 店内には実際に飛行機で使用しているのと同じ座席シートを設置。来店者は、シートに座りながら、大型モニターで流されるプロモーション動画を観ることができる。また店内では、機内販売グッズを販売。ここでしか手に入らない商品などもあわせ、16種類を取りそろえた。また3月31日(土)まで、スタンプラリーキャンペーンを実施。同社就航地関係のアンテナショップなどを巡り既定の点数を集めて応募すると、合計50人に往復航空券や就航地の特産品が当たる。

おすすめは博多あまおう・八女玉露チョコサンドと制服を着用した客室乗務員デザインのふせん

営業時間・アクセス

営業時間:午前10:00~午後6:00(不定休)

住所:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館2F

アクセス:

JR「有楽町駅」中央口・京橋口より徒歩1分。
地下鉄 「有楽町駅」 D8番出口、「銀座一丁目駅」2番出口より徒歩1分

オロチ伝説を巡る、神話を伝統芸能で体験

2018年2月9日(金) 配信 

スサノオノミコトがオロチを退治。石見神楽【西村社中】

 

 昨年12月21~22日に、島根県のモニターツアーが行われた。同県は東部(出雲地域)と西部(石見地域)で言葉の訛りや伝統も大きく異なる。企画した石王観光の永井敏雄社長は、「共通するのは『神話』だ」と話す。神話を今に体現するのは伝統芸能・神楽。今回はヤマタノオロチ伝説の地を中心に巡り、神楽の演目「大蛇」を堪能した。

 ヤマタノオロチ伝説は古事記に残されている。伝説では老夫婦の7人の娘がオロチに攫われ、ついに末娘の奇稲田比売命(クシナダヒメ)の番と悲嘆に暮れていた。ここに須佐之男命(スサノオノミコト)が現れ、策を弄しオロチを退治する。

 そもそもスサノオノミコトは天上から追放され、出雲の国の斐伊川の河上に降り立つ。川を眺めていると「箸」が流れてきた。上流に人がいると気付き、老夫婦と娘のクシナダヒメに出会う。

 このオロチ伝説の始まりの地に「八俣大蛇公園」がある。公園にはオロチと対峙するスサノオノミコトの石造と、箸拾いの碑が置かれている。さらに斐伊川上流にはオロチの棲み家「天が淵」と呼ばれるスポットもある。

 スサノオノミコトはオロチに八塩折の酒を飲ませ、酔いつぶれたところを退治する。この酒を入れた酒樽の1つが、「印瀬の八口神社」境内に祀られている。現在は壺神祭が毎年旧暦6月の晦日に続けられ、古くから「印瀬の壺神さん」として広く知られている。

日本初之宮「須我神社」

 

 退治後に2人は結婚し、宮殿を造る地を探す。そして現在の須賀という土地に至り、日本初之宮である「須我神社」を造った。スサノオノミコトが宮殿を造る際に、御歌を詠んだことから、和歌発祥の地ともされている。

 須我神社から2㌔ほど進めば、八雲山があり、山懐に磐座がある。2人とその子供が寄り添う3つの巨石で「夫婦岩」と呼ばれる。奥宮として祭祀しており、両縁結び、子授けの霊験・ご利益があると、「二宮詣り」の信仰が今に残る。地元の人にも人気なパワースポットだ。

 これら伝承地を自らの足で巡り、知識を得た後の神楽鑑賞はひと味違う。当日は、西部の浜田市・西村神楽社中が演目「大蛇」などを披露。オロチ伝説を、神楽を通じて体験できる。

 とくに西部石見地域に伝わる神楽を「石見神楽」と呼ぶ。神事でありながらも、演芸的な要素が強い。豪華絢爛な衣装をまとい、舞も囃しもテンポが良い。「時代時代で進化を繰り返してきた。石見地域に必要不可欠なもの」と西村社中の代表は語る。講演後は演目で使われた神楽衣装を試着することができる。 

神楽以外の魅力を堪能

太古の巨木に触れることも

 

 小豆原埋没公園(太田市)では、約4千年前(縄文時代)の太古の樹木を展示。直接触れることもできる。現存するものは最長12・5㍍だが、当時は約50㍍を超えていたスギの巨木だ。

約4千年前に三瓶山(標高1126㍍)が噴火。噴火時の火山灰などと埋没し、保存状態が良かった。この埋没林は、長い幹を残す世界的にも珍しいものだという。

施設の構造も面白い。保存展示棟は、地上から直径30㍍の円を深さ13・5㍍までくり抜き、その空間に展示。施設に入るというより、地下に潜る感覚が新鮮だ。

 一方、この埋没林を生み出した三瓶山は、大山隠岐国立公園の一部でもある。山の南麓の高台に建つ三瓶温泉に、国民宿舎さんべ荘がある。地域酒造から譲り受けた大きな酒桶を使った湯船が目を引く。露天風呂はすべて源泉掛け流し。山麓の裾野の洞窟から、毎分2千㍑も湧き出ており、西日本でも有数の湧出量を誇る。源泉は37度ほどだが、塩分と鉄分、炭酸が多いため身体の芯から温まる。

 西部には美人・美肌の湯と名高い「美又温泉」もある。約150年前の江戸時代末期に開湯。古くから肌が良いと評判だった。特徴はそのぬめり。無色透明だが、pH値は9・7と高アルカリ性。湯に浸かれば、〝化粧水いらず〟といわれる由縁に納得できるはず。

 モニターツアー終了後は石見空港を利用し、帰路に着いた。これまで羽田―石見便は1日1便しかなかった。ただ、国土交通省の「羽田発着枠制作コンテスト」で取り組みが認められ、1日2便に増便。20年まで増便の延長が決まっている。

 この増便に一役買ったのが石王観光の永井社長だ。6年ほど前から、西部石見地区の観光振興に尽力。県から「着地型旅行商品造成委託」を受け、石見地域観光の総合的なサポートを行っている。

問い合わせ=石王観光0855(22)2222。

〈旬刊旅行新聞2月11日号コラム〉冬の小さな旅 大雪、豪雪 春の訪れが待ち遠しい

2018年2月9日(金) 配信

厳しい今年の冬。春が待ち遠しい

 今年の冬は全国各地で大雪や豪雪を降らしている。東京都心でも20㌢を超える積雪を記録するなど、寒い冬となっている。まだまだ冬本番の最中にあるのだが、早くも春の訪れが待ち遠しい気持ちになっている。

 これだけ寒いと、「温泉に入りたい」という気持ちが体の内側からフツフツと湧いてくる。昨年12月の上旬に箱根の温泉に入ってから、数えると2カ月も温泉に入っていない。

 私の体は一定期間温泉に入らないと、そわそわと落ち着きを失ってくる。具体的にどのような症状かというと、これまでに入ってきた素晴らしい温泉を片端から思い出し始める。そして心地よかった記憶を何度も自然反芻しながら、カレンダーを眺め「どこかで温泉旅行に行けないか」と思案する。これは私だけでなく、家族も同様の症状が現れるようだ。「最近温泉行ってないから、そろそろ温泉行きたいね」という会話が自然と交わされることになる。私の症状が家族に伝染したのかもしれない。

 東京に大雪が降ったあと、少し寒さが緩んだ日があった。私は性懲りもなくオートバイのエンジンをかけて、襟巻を首に巻いて、家からも遠くない自然あふれる公園に出掛けた。

 このむやみやたらに広い公園は休日になると、多くの人で溢れるのだが、まだまだ肌寒い季節のためか、園内を歩く人影はまばらだった。木々の下や遊歩道の隅々には、管理人がシャベルでかき集めた雪の塊が散在しており、東京における大雪の名残を感じさせた。

 この公園は子供たちがまだ小さいころ、よく連れてきた。アスレチックや、園内を走る子供用の電車、長い滑り台などの遊具が当時のままの姿を現した。春には広い芝生に座り、お弁当を広げて薄紅色の桜を眺めた記憶が蘇ってきた。間もなく桜の季節がやってくるな、と冬の透明な青い空を眺めた。

 冬の間は、どうしても体を動かす機会が減ってしまう。まして、雪で路面が凍結などすると、外にあまり出ない。暖房の効いた室内にこもることが生活の中心となり、身体が鈍って仕方がない。ずっと、ぬくぬくとした快適な環境にいると、その快適さに嫌気がさしてくるのだから、面倒くさい性格である。思いきって玄関を出て、オートバイに跨りアクセルを開くと、指先がちぎれそうなくらい冷たかったが、襟巻を靡かせながら公園に向かったのだった。

 自然の中を歩きながら、枯れた細い枝を見上げると、すでに梅の芽が出ていた。こんなところにも小さな春の訪れを感じさせた。公園の奥にある牧場には、年初に生まれたばかりの子牛や、子羊たちが濁りのない目でこちらを眺めていた。新しい生命がこの寒さの中でも誕生していたのだ。

 池はまだ鮮やかな色彩のない冬景色だった。久しぶりにローボートにも乗った。枯れ木の並木をかいくぐるように、ボートは静寂な水辺を流れた。行き止まりの地点まで来るとUターンした。帰路はまるで大学のボート部員のように、一生懸命にオールを漕いだ。ボートから降りると体がポカポカしてきたので、牧場のソフトクリームを食べた。すると今度は体が冷えたので、ホットココアを飲んだ。

 冬の小さな旅ではあったが、早く春が来ないか、と待ち遠しい想いが一層強まった旅であった。

(編集長・増田 剛)

【KAYAK・山下雅弘氏に聞く】日本人向けサイト構築を “一人ひとりの旅スマートに”

2018年2月9日(金) 配信

カントリーマネージャー
山下雅弘氏

 米国・プライスライングループのKAYAK(カヤック)は昨年7月に、山下雅弘氏を日本のカントリーマネージャーに登用し、日本市場に本格的に参入した。利用者は順調に増えている。まずは海外旅行での利用を軸に、国内旅行での利用も見据え、日本人向けのサイト構築をはかっている。山下氏に日本市場での現状や取り組みのほか、メタサーチとしての展望を聞いた。【聞き手=飯塚 小牧、構成=平綿 裕一】

 2017年の本格参入後、利用者は順調に増えている。サイトを開設した14―17年前半より、山下氏が就任した17年後半からのほうが伸び率は高く、「自然に上手く伸びてきた」と山下氏は振り返る。ただ日本に参入した外資系旅行サイトでは、後発の部類に入る。「一番の目標はカヤックを知ってもらうこと」。今年度はとくに認知度向上に注力する。

 メタサーチは利用者に合う旅行情報をあらゆるサイトを横断・比較して検索できる。利用者を増やすため、サイト作りには“スピード”と“正確性”を重視する。香港にアジアチームを置き、エンジニアが日本人向けに研究・開発を繰り返している。

 日本人はモバイル比率が高い。カヤックにおける全サーチの4割以上がモバイルで、その中でもアジアのモバイル比率は高く、日本と韓国は頭一つ抜きん出ている。

 他方、日本人はモバイルで検索するものの、予約はパソコンで行う割合が高いという。「モバイルの強みとPCの強みを生かしたサイトを心掛けている」とモバイル一辺倒とはせず、日本人のニーズに対応させる。20年までに日本人向けサイトとしてのカタチを完成させていく方向だ。

 海外版カヤックでは04年にサービスを開始し、より多くの機能を持っている。

 米国ではLCC(格安航空会社)に対抗するため、各航空会社はエコノミークラスの棲み分けを実施。荷物の預けや座席指定などの有無で、さらにクラスを分け、低廉化させた。海外版カヤックはこれらのクラスも選択できる。

 日本でこの動きはまだないが「すぐに導入できる準備は整えている」。ただ海外で成功した機能が、日本で受けるとは限らない。日本人と外国人ではサイトの好みが異なるため、ABテストなどを徹底し“日本人に合う機能”を日々追求している。

 目指す姿は単なる旅行サイトではなく旅行ツールだ。「一人ひとりの旅をスマートにする」。ユニークな機能のサービスも提供する。

 とくに力を入れたのが「Trips(トリップス)」だ。トリップスは網羅的な無料旅程管理ツール。ホテルやレンタカー、チケットなどの予約完了メールを転送すれば、自動で旅程を組んでくれる。異なるサイト上でそれぞれ予約したメールも対応可能。旅程は友人とシェアもできる。

 フライトの運航状況を伝えるアラートやドライバーに現地住所を伝える機能も搭載。「旅を総合的にサポートできる。非常に可能性があるツール」と自信をみせる。

 このほか、「Explore(エクスプロア)」は旅先を気温やスポーツ、アクティビティなどを条件に検索ができる。昨年にはSNS(交流サイト)のインフルエンサーを招いたイベントを実施。インフルエンサーも「現地の気温で行き先を調べられることは驚いた。とても便利で嬉しい」と太鼓判を押す。 

 民泊にも積極的だ。すでに日本で民泊サービスを開始し、開発を進める。ブッキング・ドットコムや米国エクスペディア系のホームアウェイなどの民泊施設を掲載。「民泊は日本の若年層に定着しつつある。日本市場の民泊を重要視している」と語る。

 カヤックは国内旅行も使えるが、まずは海外旅行での利用を軸に置く。先行する外資系OTA(オンライン旅行会社)らも、海外旅行サイトとして日本市場への普及をはかった。

 この流れを踏襲するが、国内旅行での利用者増加はすでに視野に入っている。OTAと異なり、サイト掲載に対する営業などの準備期間は不要。「国内情報も充実し、技術・データ量ともに不足はない。あとはマーケティングやPRをいつ本格的に始めるか検討し、実行するだけ」と視界は良好だ。

 カヤック利用者のターゲット層に関しては、20―40代の男女とする。とくに「若年層はまだOTAを使いこなしてはいない。ここに余地はある」とみる。昨今、インスタ映えをテーマにした女子旅などが活況を呈している。このパッケージ化された商品が好調だということは、ホテルや航空券を個別に購入できるOTA市場では未開拓エリアだといえる。

 若年層は海外の言葉や安全に不安を感じ、海外の旅に不慣れな部分もある。一方で今後旅慣れて自信を持てば、FIT(個人旅行)として旅程を作るニーズが生まれてくる。「若者が個々人で自由に旅程を組むようになればOTAは必須。メタサーチで検索する必要性は向上する。ここで我われの出番になる」。

 カヤックはただ単に価格比較や情報量を提供するだけではない。「勘違いされがちだが、最終判断は利用者にある。すべての情報・可能性を『見やすく、わかりやすく、素早く、簡単に』検索できるサイトを作り上げることが重要な役割だ」と強調した。

【特集 No.483】働き方改革の可能性 テレワークで地域活性化を

2018年2月9日(金) 配信

 昨今、叫ばれる働き方改革。現在の仕事内容を見直すことで有給休暇取得率の向上や残業の圧縮を実現し、余暇時間を創出することは観光業界にとって歓迎すべきだろう。また、テレワークなど働く場所を変える改革は、ロングステイや移住など新たな需要を生み出せる可能性があり、地域活性化策の1つとして期待できる。地域や施設にはどんな工夫が求められているのか、新しいビジネスモデルと併せて紹介する。
【飯塚 小牧】

働き方改革とテレワークの広がり

 日本テレワーク協会は2000年に設立した(前身は1991年設立の日本サテライトオフィス協会)。企業や地方自治体などの団体257会員が所属する。「テレワーク」とは、ICT(情報通信技術)を活用し、場所と時間を自由に使った柔軟な働き方のことで、在宅勤務などがこれに含まれる。まさに働き方改革の代表選手だ。

 広がりの背景について、事務局長の富樫美加氏は「日本では2000年代に高速インターネット回線やiPhoneの発売、アマゾンのクラウドサービスの開始などICT環境が整備され、利用コストが下がったことが考えられます」と振り返る。テレワークは災害時のBCP(事業継続計画)にも有用なため、11年の東日本大震災後も注目を集めた。

 その後、政府の働き方改革への取り組みが大きな転換となる。第2次安倍内閣発足後から、世界最先端IT国家創造宣言や1億総活躍国民会議、テレワーク事業などが開始。「15年ごろから働き方改革に関して予算がつき始めました」。

 働き方改革が必要な理由として、少子高齢化が進むことによる労働力不足や市場のグローバル化への対応などを挙げる。こうした課題を解決するには、育児や介護などで仕事を辞めた女性や、リタイア後の高齢者に社会復帰してもらい、労働力と既成概念に捉われないアイデアを市場に投入する必要がある。

 しかし既存の働き方は、働き盛りの男性を想定しているため、こうした人材が働く環境が整っていない。そこで、場所や時間を選ばずに仕事ができる「テレワーク」の導入が、多様な人材や働き方の実現に寄与すると考える。

働き方改革は地方にチャンス

 他方、テレワークを始めとした多様な働き方は地域にとってもチャンスとなる。和歌山県・白浜町や徳島県・神山町、北海道・別海町などはサテライトオフィスの取り組みに力を入れる地域。サテライトオフィスとは、本社や支社以外の小さな拠点のこと。市町村が不動産物件を用意し、企業に貸し出す形態が多いという。場所を選ばず仕事ができ、柔軟な思考ができるIT企業などと親和性が高い。「白浜は核となる企業と同業種の企業に声を掛け、IT企業のコミュニティを作っています。豊かな自然や子育て環境が良いことなどのほか、ビジネス上のメリットを創出することが大切だからです」。

 神山町はもともと企業誘致の観点ではなく、地域活性化のために地元のNPO法人がアーティストを呼び込む運動をしていたという。そこでできたクリエイティブなコミュニティに注目した企業が、社員に知的な刺激が得られるのではないかと考え集積した。「町も宿泊施設を整備したほか、移住した人の見学ツアーなどをNPOと共に取り組んできました。そのうち、若い人が定住してレストランを開くなど、〝住む町〟として魅力的になりました」。少子高齢化・人口減少が進むなか、移住者を呼び込むことは多くの自治体の課題。しかし、神山町のように成功するのは一握りだろう。…

※詳細は本紙1702号または2月15日以降日経テレコン21でお読みいただけます。