〈旬刊旅行新聞9月1・11日合併号コラム〉東京五輪の「祭りのあと」――コロナ禍を抜け出す新たな日々へ

2021年9月10日(金) 配信

 
 2013年9月7日に、東京オリンピックの開催が決定してから8年の月日が過ぎ去った。

 
 当時は、7年後(新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で1年延期となったが)は遠い、遠い未来に感じていた。観光業界でも、訪日外国人旅行者数4000万人を掲げ、数値は目標に向かって順調に上昇していった。

 
 都市部を中心に、ビジネスホテルが雨後の筍のように姿を現し、民泊専用の宿泊施設も、生まれた瞬間からビッグバンのように拡がっていった。

 
 観光業界の専門紙である本紙にも、新たな宿泊施設の開業に関するリリースが雨あられのように送られてきた。

 
 オーバーツーリズムが観光業界の大きな課題となり、バブル経済が崩壊後、久方ぶりの右肩上がりの“熱”を体感した。

 
 東京や大阪など大都市では、ビジネス出張の宿を取ろうとしても、ほぼ稼働率100%のホテルばかりで、埼玉県や千葉県、神奈川県、そして関西では滋賀県などの中規模の都市まで行かないと宿泊予約が取れない状態にまでなっていた。

 
 東京五輪が開催されると、お祭りのような熱い東京、日本全国になると想像していた。そして、東京五輪が終わった「祭りのあと」は、どのような静けさになるのだろうと観光業界も心配していた。

 

 
 東京五輪に続き、9月5日にはパラリンピックも閉幕した。

 
 印象としては静かな大会だった。東京五輪はほぼ無観客での開催となったため、文字通り「静寂の五輪」だった。

 
 実際に五輪を自分の目で見た目撃者(証人)は、当事者である選手を除き、ごく限られていたため、「本当に東京五輪は開かれているのだろうか」という東京五輪「不存在説」が流れるほど、開催都市に通勤していた身としても、実感がなかった。

 
 「会場周辺の道路規制が厳しい」との情報も耳にしていたせいか、開催期間中は通勤の地下鉄で通過する以外は、国立競技場の近くにも行かなかった。

 

 
 東京五輪も観光業界も、昨年から本格的に感染が拡大した新型コロナによって、180度方向が変わってしまった。

 
 昨年9月に安倍晋三政権を引き継いだ菅義偉首相は、コロナとの激闘の末、1年後の9月3日、退陣を表明した。

 
 これにより、自民党は今月29日投開票の党総裁選挙に向けて、新たなリーダー選びに入った。その後、10月21日に任期満了を迎える衆議院総選挙が待っている。

 

 
 このように考えると、もう2021年という年も、そんなに多く残されていないのだと感じてしまう。コロナ禍だと余計に時間の経つのが早い。

 
 東京五輪後の「祭りのあと」はどうなるのだろうと想像していたが、にぎやかであるはずの五輪が抑制されたため、寂寥感は強くない。淡々と過ぎて行った感じだ。コロナ禍を抜け出す新たな日々があるのみだ。

 
 2年近くに及ぶコロナ禍での生活に慣れ、活力も失われた。地方の観光地も早めに飲食店を閉めるので、シャッターが閉まった印象が、平板的に目に刻まれる。

 
 政府は11月にはワクチンを接種済みであれば、県をまたぐ移動も認める方針だ。少しずつ行動制限が緩和され、元の生活に戻ることを願っている。長いトンネルの先にあるであろう、出口から差し込む「小さな光」を見たい。

(編集長・増田 剛)

六日町八海山スキー場、早朝「雲海ロープウェー」9月17日~

2021年9月9日(木)配信

魚沼平野と雲海

 新潟県南魚沼市の六日町八海山スキー場(酒井晃支配人)は9月17日(金)から、期間限定で「雲海ロープウェー」の早朝特別運行を始める。運行期間は9月17日(金)、24日(金)、30日(木)、10月5日(火)、7日(木)の計5日。とくに出現率が高いとされる昼夜の寒暖差が大きい秋に運行し、南魚沼市の雲海の出現を楽しむことができる。

 ロープウェーは、六日町八海山スキー場内の全長2217メートル、81人乗り。標高1147メートルのロープウェー山頂駅へわずか7分で到着する。ロープウェー山頂駅や展望台から見る周囲360度の大パノラマ、眼下に広がる黄金色の田んぼや周辺の山々の紅葉とのコラボレーションも期待できる。

 運行時間は午前7:30(通常営業は同8:30)~。乗車時間は片道約7分。料金は月ごとで変わり、9月は大人2000円、子供1000円、10月は大人2200円、子供1100円。料金には雲海ロープウェー乗車券(往復)、南魚沼産コシヒカリ1合、南魚沼のおいしい湧き水500ミリ1本を含む。

ANAのフライングホヌ、初の下地島空港へ チャーター便の宮古島ツアーを販売

2021年9月9日(木) 配信

フライングホヌ1号機または2号機を使用する

 ANAグループは9月8日(水)、A380型機の「FLYING HONU(フライングホヌ)」を活用した、沖縄・下地島空港利用のチャーターフライトを10月に実施すると発表した。ANA旅客便が下地島空港にフライトするのは初となる。

 これに伴い、ANA X(井上慎一社長)は、10月30日(土)出発のツアー「ANA FLYING HONU 下地島空港利用 チャーターフライトで行く宮古島3日間(成田発着)」を売り出した。宮古島に2連泊するほか、機内での軽食サービスや、搭乗証明書、オリジナルグッズの記念品が付く。

ANA旅客便が下地島空港に飛ぶのは初

 宿泊ホテルは、申込みの座席クラスにより異なり、ファーストクラス席はイラフSUIラグジュアリーコレクションホテル沖縄宮古、ホテルシギラミラージュを、エコノミークラス席はホテルブリーズベイマリーナ、ホテルアトールエメラルド宮古島などを利用する。

 1人当たりの料金は、ファーストクラス席が24万8000円、ビジネスクラス席(窓側)が19万8000円、プレミアムエコノミークラス席(同)が11万800円、エコノミークラス席(同)が9万6800円(いずれも2人1室利用時)など。

 申込みは9月21日(火)午前10時までで、申込多数の場合は抽選となる。

 また、9月下旬には、機内見学ツアーなど2つの専用オプショナルツアーも販売予定となっている。

寺を僧侶らが案内 京都ブライトンホテル、プライベートツアー実施中

2021年9月9日(木) 配信

上賀茂神社で行う特別拝観のイメージ。東福寺などで解説を受けられるプランも用意した

 京都ブライトンホテル(林惠子総支配人、京都府京都市)はこのほど、宿泊とお寺や神社の僧侶や神主などのガイドによる、歴史解説がセットになったプライベートツアー「大人の自由研究」を売り出した。

 同社は「参加者はプライベートで催行できる今こそ、ガイドとの会話で知見を深めることができる。学びなおしたい大人の要望に応えたい」と意気込む。

 東福寺の至宝巡りプランでは、一般非公開の重要文化財「光明宝殿」で、博物館に展示されているような仏像や書などを、手の届きそうな距離で見ることができる。「法堂(本堂)」にある巨大な蒼龍図にも訪れる。このほか、ガイドが通常非公開の場所を案内する。開催期間は2021年10月31日(日)まで。料金は2人1室利用の場合、1人当たり2万5800円(税込)から。

 上賀茂神社特別拝観プランは、約1300年の長い歴史を持ち、敷地のすべてが世界文化遺産に登録されている賀茂別雷神社で、1千年前から変わらない境内のようすを説明する。料金は2人1室利用で、1人2万4000円(税込)から。

 知恩院特別拝観プランでは、僧侶が国宝の御影堂をはじめ、重要文化財の大鐘楼や経蔵などを解説。非公開の建造物にも巡る。ツアー代金は、2人1室利用の場合、1人当たり2万円から(税込)。

 隨心院特別拝観プランは、僧侶が襖絵「極彩色梅匂小町絵図」や小町文張地蔵など小野小町をゆかりの作品や遺跡について話す。普段は遠くからしか見ることのできない本堂の仏像やだまし絵の「四愛図」を間近で見ることができる。料金は2人1室利用で1人2万2800円(税込)から。

配慮が必要な人への旅行事業継続目指す 櫻スタートラベルがクラファン開始

2021年9月9日(木) 配信

車イスでのオーストラリア旅行風景

 櫻スタートラベル(櫻井純社長、大阪府大阪市)はこのほど、障害や難病などで配慮が必要な人々への旅行の提供を継続させるため、クラウドファンディングで支援の募集を開始した。

 同社は櫻井社長が「難病治療で一般就労の難しい私が、旅行会社を設立したい」という思いから2016年に設立。設立以来、基礎疾患や難病、障害がある顧客へ、国内・海外旅行ともに提供してきた。一方、新型コロナウイルスによる影響が著しく、2020年度の売上は19年度比74%減、21年度は19年度比97%減まで落ち込み、事業継続が困難な状況だという。

 そこで今回、大手プラットフォームのキャンプファイヤーを利用し、クラウドファンディングプロジェクトを開始した。事業継続に必要な資金調達だけでなく、配慮が必要な人へのサポート制度の拡充や協力者の理解を進め、ユニバーサルツーリズムや観光産業全体の発展に貢献していきたい考え。

 期間は11月12日(金)まで、目標金額は200万円。環境調整費や維持費に利用される。リターンのなかでは、企業向けに「スタディーツアー企画実施体験」(30万円・50万円)も用意。実際に国内外の旅行を企画し、配慮が必要な人と一緒に旅行することで、必要なサポートや合理的配慮を学ぶ。

プライベートテントサウナ付き客室が2021年10月1日(金)開業 長野県木曽町の「つたや季の宿 風里」

2021年9月9日(木) 配信

スパテラス完成イメージパース

 開田高原の四季折々の風景と木曽御嶽山を一望できる宿「つたや季の宿 風里(つたやときのやど かざり)」(長野県木曽町)に2021年10月1日(金)、プライベートテントサウナ付きの客室がオープンする。昼は雄大な御嶽山、夜には満点の星空を眺めながら、テントサウナや露天風呂などを、完全プライベートな空間で楽しむことができる。

 ここ数年で急速なブームとなっているサウナ。なかでもテントサウナは、大自然の中で楽しむアウトドアサウナとして、多くのサウナ好きが注目している。湖畔や川沿い、海辺などにテントを張り、薪ストーブで温度を上げたサウナで身体を温める。温まったら水に入り全身を引き締め、その後ゆったりと外気浴で全身をリラックスさせるところまでが1セット。これを数セット繰り返すことで、深いリラックス=「ととのい」を感じることができる。

 「5感が研ぎ澄まされ、自然の恵みを余すところなく体感できるテントサウナは、自然に囲まれた開田高原こそ最適な場所なのではないか」「『風里』がこだわる自然と調和したこの空間で、多くの人に究極の“ととのい”を体感してほしい」――。そんな願いを込めて、完全プライベートのテントサウナ付きの客室を開業する。サウナ、温泉露天風呂、源泉の水風呂(11度)。これらすべてを部屋のテラスというプライベート空間で楽しむことができる。

観光業の8割がGo To再開希望 うち7割が「年内」再開を求める(訪日ラボ)

2021年9月8日(水) 配信

movはこのほど「国内旅行およびその先のインバウンド事業」について意識調査を行った

 訪日ラボや口コミコムを運営するmov(渡邊誠社長、東京都渋谷区)はこのほど、「国内旅行およびその先のインバウンド事業」について意識調査を行った。調査の結果によると、観光業でGo ToトラベルやGo Toイートの再開を希望するのは80・5%におよぶことが分かった。

 調査は8月10(火)~18日(水)、訪日ラボWebサイト読者と、訪日ラボメールマガジンユーザー123人を対象に行われた。

 Go Toトラベル・イートなどの各種施策について、再開を希望したのは60・2%。「どちらかというと希望する」(20・3%)と合わせれば8割を超えた。

 再開を希望した回答者に再開時期について問うと、37・4%が今年9~10月の「秋の行楽シーズン」と最多に。次いで、12月~来年1月の「冬シーズン・年末年始」が26・3%、「2022年以降」が29・3%だった。

 回答者からは、「国内のワクチン接種が完全終了してからの実施が好ましい」、「地方の観光産業のために早急な対応が必要。しかし、再開の時期はコロナが収束してから」など、再開を望む声が上がった。一方で、第6波の感染拡大を懸念する意見も見られた。

 Go Toが再開した場合に備えての準備については、「準備している」が33・9%、「準備していない・できていない」が66・1%となった。同社はこの結果に対し、「再開を希望するものの、万全な準備ができている事業者は少ない」と分析した。

 また、前回のGo Toで直面した課題は、「施策の期間延長や中止に伴う、利用客向け情報の変更・更新作業が遅れた」が29・6%と最多。「口コミ対策が十分にできなかった」が23・2%、「料金の割引対応などによるキャッシュフローの悪化」が14・4%、「施策への参加や参加後の対応の遅れ」が7・2%となった。

 今後、政府に求める支援策については、「Go Toを含む消費者への消費意欲喚起策」が43・7%だった。次いで、「観光事業者への一時支援金」が40・3%、「移動・営業時間制限の解除」が38・7%となった(複数回答)。

 外国人観光客の客足については、「戻ってきてほしい」(81・0%)・「どちらかというと戻ってきてほしい」(16・5%)が合わせて10割に迫る割合となった。前年9月に調査したときと比べても、インバウンドの復活を求める声の割合はほぼ変わらず(97・0%)、非常に高い水準を維持している結果となった。

【岐阜県・下呂温泉】5G活用し観光活性化 ドコモや中部電力と連携協定結ぶ

2021年9月8日(水) 配信

山内登市長(左)、瀧康洋会長(左から2番目)らが協定書に署名した。

 岐阜県の下呂温泉観光協会(瀧康洋会長)と 下呂市(山内登市長)、中部電力ミライズ(大谷真哉社長)、NTTドコモ(井伊基之社長)は2021年9月6日(月)に下呂市内で、温泉街への誘客や活力ある魅力的な地域社会の形成、住民サービスの向上に向け、「下呂未来創造プロジェクトに関する連携協定」を締結した。

 来年度には下呂温泉街の一部を5G(高速・大容量の通信規格)エリア化。仮想現実(VR)技術なども活用し、祭りや花火など臨場感あふれる観光体験やリモートでも楽しめる物産展など、新たな観光デジタルコンテンツを提供する。また、キャッシュレス決済促進による利便性向上にも取り組む。

 5Gのエリア拡大に合わせ、防災対策やオンデマンドバスの自動運転による2次交通の充実、子供や高齢者の見守りなどへの活用をはかるとともに、環境に配慮したEVバス(電気バス)の導入も視野に入れている。

 下呂未来創造プロジェクトは、IT技術の浸透で生活をより良いものへと変革させる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を活用した、地域活性化事業。下呂温泉観光協会が観光事業実施者となり、下呂市が支援・協力、中部電力ミライズが全体を統括し、NTTドコモが5GやIoT(モノのインターネット)などの最新技術を提供する。瀧会長は「市全体にデジタル化が浸透するよう、リーダーシップをとって取り組みたい」という。

JTB Book&Pay、予約・決済システム刷新へ 決済完了まで1分以内に

2021年9月8日(水) 配信

11月にシステムを大幅刷新する

 宿泊施設など、法人・企業に金融・決済サービスを提供するJTBビジネスイノベーターズ(JBI、永山哲男社長)は11月、宿泊施設の予約・事前決済支援サービス「JTB Book&Pay」の基幹システムを大幅に刷新する。決済完了までの操作時間を従来比5割削減の約55秒とするほか、最新のセキュリティ対応により離脱率を下げるなど、宿泊施設と宿泊者、双方の満足度向上を追求した。

 宿泊予約者の決済画面は、必要な情報以外を別画面に退避させることで、決済完了までの時間を約55秒に短縮した。表示画面の長さはこれまでの約3分の1となり、視覚的に分かりやすいシンプルなデザインを採用。操作時間の短縮により、成約率の向上をはかる。

 セキュリティは、カードの不正利用の可能性が高い決済に限定して本人認証を行う、最新の3-Dセキュア2.0を搭載する。従来のパスワード入力の手間や失念による離脱を削減する効果が期待できる。

 これらに加え、宿泊施設向けの管理画面もデザインを改良し、視認性、操作性が向上する。宿泊者向けには、スマートフォンから領収書の発行を可能にするなど、利便性を高めた。今後はクレジット以外の決済手段も追加していく。

 サービス開始から今年で10年となるJTB Book&Payは、宿泊施設の加盟店数3000件超、年間延べ88万人の旅行者が利用するプラットフォーム。宿泊施設の公式ホームページから予約と同時に事前決済が可能なほか、宿泊日基準での入金による精算業務の負担軽減、間際のキャンセルの取消料自動回収など、多彩なサービスを提供している。

KKdayやジーリーメディアグループら、台湾オンラインツアー開催 来訪意欲の維持はかる

2021年9月8日(水) 配信

オンラインツアーのイメージ。ナビゲーターが歴史建築物などを解説する
 オプションツアー予約サイトを運営するKKday(陳明明社長、台湾)とジーリーメディアグループ(吉田皓一社長、東京都渋谷区)、春水堂を展開するオアシスティーラウンジ(木川瑞季社長、東京都港区)は9月18日(土)、台湾・台中にあるタピオカミルクティー店「春水堂創始店」などを巡るオンラインツアーを行う。コロナ禍で海外旅行が制限されるなか、消費者に台湾への来訪意欲を維持してもらう。
 
 同ツアーは、現地ガイドとナビゲータが台中市内を散策しながら、歴史建築物と現地ガイド名物グルメなどを詳しく解説する。春水堂創始店では、タピオカミルクティーの誕生秘話や現地限定のおすすめメニューなどを伝える。同店は「初めて、オンラインツアーを受け入れる」という。
 
 時間は午後4:00~5:35。料金はオンラインツアーのみ参加する場合は500円。日本にある春水堂で使用できるドリンクチケットが3枚付くプランは2000円となる。