観光都市として東京の国際競争力強化を 東商が国や都へ要望書提出

2023年6月12日(月) 配信

国土交通大臣と東京都副知事へ要望書を手交する予定だ(写真はイメージ)

 東京商工会議所(小林健会頭)は6月8日(木)に開いた議員総会・常議員会で、ツーリズム産業の基幹産業化に向けた国や東京都への要望書を決議し、同日付けで関係各所に文書を送付した。トラベル&ツーリズム委員会(田川博己委員長)がとりまとめたもので、観光都市として東京のさらなる国際競争力強化などを求める。

 東商は、2025年の「大阪・関西万博」を起爆剤に、国内外でアフターコロナの本格的な観光交流の回復が見込まれるなか、今後の2年間はツーリズムの基幹産業化、東京のさらなる国際競争力強化に向けて極めて重要な局面と捉えている。これを踏まえて、官民が一体となって取り組むべき施策をまとめた。

 国への要望内容は、「観光都市としての東京のさらなる国際競争力強化」が①東京を核とした国内外における相互交流の促進~大阪・関西万博による人流を東京、そして全国へ~②国内外から東京へのビジネス誘客促進(MICEの受入環境整備・誘致促進など)③多様な文化・習慣などへの理解・配慮や消費額拡大を目指した受入環境整備――の3項目。

 また、「ツーリズム産業の持続的発展を促す支援の拡充」は①質の高い商品・サービス提供を維持するための人材確保・育成、生産性向上支援②ツーリズム産業全体の取引適正化に向けた取組支援③事業継続に必要な当面の資金繰り支援――を盛り込んだ。

 「魅力的な地域資源を活かした『国際文化都市東京』の実現」は、①地場産業や歴史・文化・芸術・スポーツ資源との連携による交流促進と情報発信の強化②高品質な製品・伝統工芸品などのブランド化・銘品化③シビックプライド(郷土愛)醸成に向けた文化教育拡充――を要望した。

 なお、東商によると6月下旬を目途に国へ、また6月28日には東京都へ要望書を手交する予定という。

大津市でシェアサイクルサービス開始 利便性向上と周遊促進を

2023年6月12日(月) 配信

ポートイメージ

 京阪電気鉄道(平川良浩社長、大阪府大阪市)と、きゅうべえ(谷口創太社長、京都府京都市)はこのほど、滋賀県大津市、京都信用金庫(榊田隆之理事長、京都府京都市)と協力し、シェアサイクルサービスを開始した。大津市民の利便性向上やビワイチをはじめとするサイクルツーリズムの推進が目的。きゅうべえがシェアサイクルサービスkotobikeを提供し、京阪電気鉄道と、大津市、京都信用金庫はポート(シェアサイクル設置拠点)を提供する。

 大津市は自転車でびわ湖を一周する「ビワイチ」や、歴史的・文化的な観光資源に恵まれた地域。一方で魅力が十分に認知されていないことや、観光地の周遊がされずに日帰り観光が多いことなどが課題だという。

 今回の取り組みで、自転車による観光の回遊性向上や、2次交通の強化による市民の利便性向上で地域活性化をはかりたい考え。さらに、来年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の放送で石山寺エリアが注目され、同地域への観光客が増えることも睨む。

 すでに4月1日から、京阪電車の石山寺駅前をはじめ、5カ所のポートを設置して運用を開始しており、6月には京都信用金庫の4支店に設置する。利用方法はkotobikeアプリをダウンロードし、会員登録してから車体の2次元バーコードを読み取ると利用できる。なお、貸出と返却は異なるポートでも可能だ。

【精神性の高い旅~巡礼・あなただけの心の旅〈道〉100選】-その26-三内丸山遺跡と大湯環状列石(青森県・秋田県) 「○○したい」から離れて 小さな幸せに喜びを感じる

2023年6月11日(日) 配信

 精神性の高い旅はなにも神社や寺院を参拝するだけではない。ならば、精神性とは何か。前回、鉄道から海を見る景色に精神性を見出したときに感じたことは、自分の心の中に大きく占める「〇〇したい」という気持ちから離れることではないだろうか。

 

 最近はとくに多様性が叫ばれ、人生とは自分のやりたいことを実現することこそが最上と言われている。学生のキャリア教育でも、いつもやりたいことを探せ、そのために自己分析しろ、とそればかりが言われている。

 

 でも、学生がそれに対して、「やりたいことが見つかりません。どうしたらいいでしょうか」と問い返されることが増えている。それに対して私は返答する。やりたいことなんてなくてもいいじゃないか。やりたいことばかりを追求するから、周りでもっとキラキラした人を発見してしまったら、羨ましく見える。自分には今よりもっとほかにもやりたいことがあるのではないかと延々と自分探しをしていくことになる。やりたいことが見つかっても、これが一番やりたいことなんだろうかと、常に気になってしょうがない。人の欲望にきりがないように、「〇〇したい」という気持ちも決して満たされることはない。他人の芝が延々青く見え続ける人生だ。だからこそ、ここで、「〇〇したい」を追求し続ける人生と訣別し、やるべきことを淡々とやっていき、その中ではっと気が付く小さな幸せに喜びを感じる人生を提案したい。それが精神性なのではないだろうか。

 

 名著「夜と霧」で、フランクルが、絶望の極みの強制収容所で、はっと見つけた夕焼けの美しさに希望を見出したように、日常の小さな出来事にこそ幸せがある。私も大学からの帰り、綱島街道の妙蓮寺近くの高台からの夕焼けに見とれるときがある。太陽が昇り、そして沈む、その繰り返しにも精神性は宿る。

 

 

 それをまざまざと感じたのが、縄文遺跡を訪れたときだ。「北海道・北東北の縄文遺跡群」が2021年に世界文化遺産に登録されたことをきっかけに、全17遺産を巡ってきた。

 

 縄文時代とは、今から約1万5000年前から約2400年前までの間を指し、1万年余りの長期にわたって我が国の独自文化が育まれた、世界的に見ても類まれな文化である。

三内丸山遺跡

 縄文遺跡群が点在する北海道・北東北の地域は、山地、丘陵、平地、低地など変化に富んだ地形で、ブナなどの落葉広葉樹の森林が広がり、海洋では暖流と寒流とが交差した豊かな漁場からサケ・マスが河川を遡上する。縄文人は、このような環境のもとで食料を安定して確保し、土器を使用して定住を開始した。私たちが中高生のころは、縄文時代とは狩猟と採取で生活し、食料を求めて移住していたと習った記憶があるが、縄文時代の竪穴住居も、どう見ても定住している。三内丸山遺跡は物見やぐらなんて言っているが、どう見てもランドマークタワーにしか見えない。完全に定住した集落だ。

 

 縄文文化は、定住開始のごく初期から精緻かつ複雑な精神文化を構築していたとされている。墓地を作り、祭祀・儀礼の場や環状列石を構築し、祖先崇拝や自然崇拝が行われていた。子供や障害者、イヌやウリ坊までも丁重に葬っている。小さいもの、弱いものにやさしい文化である。

大湯環状列石

 環状列石は夏至のときに太陽が沈む方向をかなり正確に測って造られていることからも、毎日の日の出、日の入りに精神性を見出していたことは間違いない。

 

 縄文文化は定住してはいたが、大規模農業は行わなかったのは、貧富の格差が出ないよう、皆で仲良く暮らせるよう、敢えてその道を選択していたのではなかろうか。これから、縄文に精神性を求めて旅を続けてみようと思う。

 

 

旅人・執筆 島川 崇
神奈川大学国際日本学部国際文化交流学科教授。2019年「精神性の高い観光研究部会」創設メンバーの1人。

「ONSEN・ガストロノミーツーリズムコラム」 巡って飲んで上山ワイン堪能(山形県・かみのやま温泉)

2023年6月10日(土) 配信

造り手から直接話を聞きながらワインを(山形ワインバル)

 山形県・かみのやま温泉は、会津の東山、庄内の湯野浜と並び「奥羽三楽郷」として栄えました。温泉街には上山城があり、天守閣からは四季折々の温泉城下町の風景と、蔵王連峰が一望できます。

 温泉のある上山市はサクランボやラ・フランスなど、フルーツの一大産地です。「蔵王おろし」と呼ばれる冷たい風が寒暖差を生み、果物をより美味しくすると言われています。良質なワインブドウもその1つで、創業100年を超えるワイナリーや新しく起業した造り手など、現在4軒のワイナリーがあります。

 上山産ブドウを使ったワインの魅力発信にも力を入れています。12年前には、かみのやま温泉旅館組合のメンバーが、造り手の話を聞きながらテイスティングを楽しむ「ワインミーティング」を企画。これを契機に、今度は造り手に会場へ出向いてもらい、話を聞きながらワインを楽しむ催し「山形ワインバル」が生まれました。10年の節目となる今年は、7月1日に開催します。

 また4月には「山形ワインバル」の常設セラーとして、上山ワインの販売や、おつまみとのペアリングが楽しめる「山形ワインカーヴ」もオープンしました。

 近年、観光案内所で電動アシスト付き自転車を借り、果樹畑を抜けワイナリーを訪れる人も増えています。市ではワインでの乾杯を進める「乾杯条例」も制定しています。市内での食事やお泊りの際はぜひ上山ワインで乾杯してください。

【上山市観光物産協会 事務局長 長橋 圭子】

津田令子の「味のある街」「豆大福」――群林堂(東京都文京区)

2023年6月10日(土) 配信

群林堂の「豆大福」1個210円▽東京都文京区音羽2-1-2▽☎03(3941)8281。

 先日、街歩きの仕事で「ラジオ体操発祥の地」といわれる文京区・大塚公園を訪ねた。ラジオ体操が始まった1928(昭和3)年に開園したこの公園は、春日通り沿いから、ちらっと見える緑の深い公園で分かりやすい。石張りの奥の藤棚とともに露壇(バルコニー)もあり、モダンな雰囲気を漂わせている。

 

 この公園から歩いて10分、有楽町線の護国寺駅5番出口から徒歩1分ほどの場所にあるのが、豆大福で有名な群林堂だ。創業1916(大正5)年。音羽で営業を始め今も行列のできる店として脚光を集めている。この界隈には、真言宗豊山派大本山・護国寺を北にして寺社やお茶の水女子大学をはじめ多くの学校が点在する文教地区だ。

 

 マンションの1階にあるカウンターだけの小さい店には、すでに行列ができていた。看板商品のそれを買うのに20分ほど並び、手に入れる。大通り沿いで日除けも風除けもないので真夏と真冬に並ぶのは結構つらい。ゲットするにはそれなりの覚悟が必要だ。厳しさを少しでも和らげるために扇子と日傘、マフラーと手袋あれば耳あてを持って並ぶことをおすすめする。通りを挟んで斜め向かいには講談社が数軒先には大塚警察があるので、場所はわかりやすい。

 

 ここの「豆大福」は、作家の吉川英治、三島由紀夫、松本清張への手土産として愛用されたと記されている。

 

 つぶ餡を包み込むしっとりもっちりの餅には、富良野産の赤えんどう豆が、ごつごつびっしり埋まっている感じ。餡の甘さは豆の塩分とあいまって心地よい。その日に作ったものは、その日に売り切るというコンセプトを貫き、日持ちは当日限りを誠実に謳っている。

 

 お土産とは別に大抵バラで2個買うことにしている。白い小さな袋に入れてくれるので、そのうちの一つを、家まで待ち切れず30秒でぺろっと食べる。このとき、口の周りの粉を拭き取ることを忘れてはならない。もうひとつは、つぶさないように持ち帰ってお茶のお供に、黒文字なんぞを使ってお上品にじっくり味わう。これが群林堂の豆大福の楽しみ方だ。

(トラベルキャスター)

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

愛知県旅行業協会、藤田雅也会長が再任 国内観光活性化フォーラム注力へ

2023年6月9日(金) 配信

国内観光活性化フォーラムの来場者数の目標は3000人とした

 愛知県旅行業協会(藤田雅也会長、210会員)は6月6日(火)、名鉄グランドホテル(愛知県名古屋市)で2023年度通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では藤田会長の再任を決めた。今年度は、24年2月に開催する国内観光活性化フォーラムinあいちに注力し、同県への送客を促す。

 藤田会長はコロナ禍でも経営を維持した会員に敬意を表した。全国旅行支援の複雑さについても触れ、「大変だと思うが、すべての物事を前向きに捉えないと、将来が見えてこないだろう」と呼び掛けた。

藤田雅也会長

 来年2月15日(木)に、国内観光活性化フォーラムinあいちを開催することも報告。来場者数は3000人を目指す。さらに、全国旅行業協会(ANTA)会員による同県への送客数の目標は開催後1年間で、10万人を提案することを説明。「暗い雲を取り払い、復活の狼煙を愛知県から上げ、旅行をもう一回盛り立てたい」と力を込めた。

 また、外食産業などさまざまな業界が物価と給料を上げていることから、「安い(ツアーの)値段では給料は上がらない。(価格)相応のサービスを提供するための努力を惜しまないでほしい」と語った。

 来賓の大村秀章愛知県知事は国内観光活性化フォーラムinあいちで全国のANTA会員が集まることに触れ、「秋に新エリアを開業するジブリパークは1日で見られないので、2日以上の滞在や周遊に期待を寄せている。県としてもサポートを講じる」と話した。

大村秀章知事

 また、休みを分散させ、家族で旅行に出掛けてもらおうと、県内の公立学校が、11月27日の愛知県民の日による休日を同日から1週間前まで、任意に設定できるように制度を改定したことを説明。「勤労感謝の日や土日を合わせると3~4連休になる。観光事業者の生産性向上のために、愛知県が率先して休み方改革を行う」と話した。

 ANTAの北敏一副会長は「全国旅行支援で国内の個人旅行が復活した。この先、団体も復活するだろう。共に頑張り、皆様と年の暮れに『良い年だった』と振り返りたい」と話した。

北敏一副会長

 同日には愛知県旅行センター(森川雅史社長、217株主)が株主総会を開催した。任期満了に伴う役員改選では森川社長の再任を決めた。

 森川社長は国内観光活性化フォーラムの前日に、㈱全旅主催で旅行会社と受入施設によるインバウンド商談会を実施することを報告。「お役立てできるよう、活動していきたい」と語った。

森川雅史社長

 さらに、中小の旅行会社に向けて発売されていないジブリパークの団体入場券について、「全旅クーポンで決済できるよう交渉していく」と語った。

 来賓の㈱全旅の中間幹夫社長はインバウンド商談会について「地域に波及効果をもたらすため、約1000~2500万円を掛けて実施する」と語った。さらに「㈱全旅は今後、インバウンドと地方創生を大きな柱に据える。これに関連した新たな事業を展開し、皆様のお役に立てるようにしていく」と述べた。

中間幹夫社長

 愛旅協・協定会員連盟(三田幸宏会長、128会員)も同日に、21年度定時総会を催した。任期満了に伴う役員改選では三田会長が再選した。

三田幸宏会長

 三田会長は国内観光活性化フォーラムの開催に触れ、「全国から3000人が集まる予定だ。自社をアピールして、集客に努めてほしい」と話した。

 総会後には懇親会が開かれ、盛会裏に終了した。

羽田空港でさくらんぼ&観光フェア 山形県東根市

2023年6月9日(金) 配信

「東根さくらんぼ(佐藤錦)」

 山形県東根市(土田正剛市長)は6月17日(土)・18日(日)に羽田空港第1ターミナルで、日本空港ビルデング、日本航空(JAL)と「山形県東根市さくらんぼ&観光フェア」を開く。同市の魅力を発信し、観光PRや産品の流通促進につなげるのが狙い。

 同市は日本一の生産量を誇るさくらんぼを始め、果樹栽培に適した気候と土壌で桃やブドウ、リンゴ、ラ・フランスなど季節ごとに果物を生産している。

 イベントでは、JAL客室乗務員と東根市職員が観光PRを行い、日本空港ビルデングが東根市特産品を仕入れて販売する。開催は2階のマーケットプレイスで、午前10時から午後6時まで。

スリコがJTBとコラボした旅グッズを販売 6月12日から

2023年6月9日(金) 配信

旅のプロが使いたい旅グッズを商品化

 パルグループホールディングスは6月12日(月)、雑貨ブランド「3COINS」からJTBとコラボレーションしたトラベルグッズを売り出す。JTBで働く「旅のプロ」から実際に旅へ持っていきたいアイテムを聞き取り、商品化した。

 商品は荷物の整理に便利な収納グッズやスマホストラップ、軽量折り畳み傘など36種72アイテムを開発。プロのアイデアとデザインにこだわったという。

 パルグループの公式オンラインストア「PAL CLOSET」では、旅企画を開催する。6月12日(月)からオープンする特設サイトで、アンケートに答えると抽選でJTB旅行券「ナイストリップ」が当たる抽選も実施する。

「めぐる」「たべる」「つかる」 3つの視点で地域の宝探し ふじといにしえのあるまちあるき(藤沢市)

2023年6月9日(金) 配信

藤鑑賞を楽しむ

 神奈川県藤沢市で4月30日(日)、ONSEN・ガストロノミーウォーキングが行われた。

 3回目となる今回は、「ふじといにしえのあるまちあるき」をテーマに、市の花である藤と、鎌倉、江戸時代から残る歴史文化の魅力を楽しめる約7㌔のコースを造成。

白と紫の藤

 参加者は市内で一番長い約130㍍の藤棚がある「引地川親水公園」をスタートし、城郭をイメージした藤棚が2カ所ある「大庭城址公園」や、白と紫の品種が植えられている「白旗神社」などで花を堪能しながら、春のまち歩きを楽しんだ。

藤沢グルメをPR.

 イベントのテーマである藤の花にちなみ、ガストロノミーポイントでは、1923(大正12)年に創業した「古美根菓子舗」の練切「藤の宴」を用意。このほか、各ポイントでは、藤沢市の姉妹都市である長野県松本市の郷土料理の山賊焼きのおにぎりや、かながわブランドに登録されているやまゆり牛の焼き肉などが提供された。

大学生を中心におもてなし

 企画、運営には、藤沢市内にキャンパスがある日本大学、湘南工科大学の学生たちも関わり行われた今回のイベント。参加者からは、「地域の新しいグルメを食べられて、楽しかった」、「参加者とも交流でき、いい思い出ができました」、「スタッフの皆さんの温かさに癒されました」など、過去2回と同じく好評を博した。

 イベントを終え企画、運営にも携わった日本大学の学生は、「準備や開催当日の運営を通じ、さまざまなことを学びました。藤沢にはまだまだ魅力が眠っているので次回も参加したいです」とコメント。

 日本大学生物資源科学部の小島仁志助教は「市内の『藤』の名所が連なるフジロードを土台に、市場や湘南地域の史跡、宿場町エリアの社寺を巡るコースを設定しました。参加された皆様には、『こんな場所があったんだ』というような新しい発見を存分に楽しんでいただけたと思います。また藤の花言葉である『優しさ』と『歓迎』にちなみ、今回は初の試みとして、地元の方々が解説スタッフとなり各ポイントで藤の育成や歴史を紹介するという仕掛けも用意しました。お迎えする地域側の皆様と、参加者の交流もあり、今回も賑わいを創出することはできたのではないでしょうか。藤沢の魅力が今回も多くの皆様に伝わっていましたら幸いです」とイベントを振り返った。

メルシャンのワインも用意

 一方でONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構の溝田祐一郎ディレクターは「藤沢市は、都心から1時間足らずの街の何気ない日常を特別なものにする企画を、地元の方と学生さんたち、年齢層も幅広いのですが、一体となって毎回創り上げられることに感動すら覚えます。まさに産官学、老若男女連携のモデル開催地といえる場所です」とイベントを総括した。

日本旅館協会、9月に秋保で金融懇談会 ふるさと納税決済の普及へ

2023年6月9日(金) 配信

総会のようす。大西会長は「息の長い支援が必要」と訴えた

 日本旅館協会(大西雅之会長、2220会員)は6月8日(木)、東京都内で2023年度通常総会を開いた。今年度は、1月に実施したアンケートで、回答数の約40%が債務超過となっていることや、今年度から返済が始まる過大な有利子負債を抱えていることから、9月7(木)~8日(金)に金融問題への議論を深める「宿泊業界における観光と金融に関する全国懇談会」を実施する。自社ホームページで予約の決済をふるさと納税で行う「ふるさtoらべる」の普及を目指す。

 大西会長は「コロナ禍のダーメジが非常に大きく、短期間では取り戻せない。本当に厳しいのはこれからだ。息の長い支援が欠かせない」と語った。

大西雅之会長

 これを踏まえ、9月7(木)~8日(金)に宮城県・秋保温泉の伝承千年の宿 佐勘で観光と金融に関する全国懇談会を実施する。当日は菅義偉前首相をはじめ、観光庁長官や金融庁長官、中小企業庁長官らが出席する予定だ。業界の金融問題への対応と観光振興の在り方について議論を深めるため、基調講演やパネルディスカッションなどを行う。

 大西会長は「(行政から)この場でしっかりした回答をもらいたい。このため、今年の陳情活動は懇談会に向けて力を入れていく」と話し、より多くの現状を伝えるため、アンケートへの回答を会員に求めた。

 今年度の取り組みとして、6月8日(木)から、丸紅と提携し、予約の決済をふるさと納税で行う「ふるさtoらべる」を本格稼働した。「丸紅から日本旅館協会に歩合の収益が入る。宿が支払うカード決済手数料は無料となる」と説明した。200会員が毎日、同制度を利用して、1万円の宿泊客を1組受け入れた場合、年間で約5千万円を受け取ることができるという。

 大西会長は「これが実現した際には、会費が無料になることも考えられる。ぜひ各会員の宿に導入してほしい」と求めた。

 同日には丸紅企業投資部の奥原総一郎部長代理が「ふるさtoらべる」の説明を行った。

 ふるさと納税は年収に応じた控除上限額まで税控除と返礼品を受けることができる制度。消費者が5万円寄付した場合、4万8千円の税控除を受け、返礼品として1万5000円分の電子クーポンを受け取ることができる。このため2000円を支払うことで、1万5000円分のクーポンが使用可能となる。

 宿泊客はスマートフォンなどを用いてクレジットカードで寄付し、電子クーポンを受け取る。宿泊代精算時に同クーポンを提示することで、宿泊料金の支払いが完了する。

 同制度のクレジットカード決済手数料は無料。旅館・ホテルには寄付額の2・5%の委託料が支払われる。また、接客などの本業を圧迫させないため、寄付方法など説明する専用サイトを開設している。

 奥原氏は「会員登録なしで、約3分で申し込むことができる。お客様には、専用ページから年間控除上限額を確認できるようにした」と導入を促した。

 その後懇親会が開かれ、大西会長は6月7日に成立した改正旅館業法で、感染防止のための宿泊拒否に関する箇所が協力に変わったが、1つの形になったことに言及し、来賓として出席した国会議員や、多くの関係者に謝辞を述べた。