【ハワイ】リピーターから戻ってくる JATAのアウトバウンド促進協議会「B2Bウェブセミナー」

2020年6月11日(木) 配信

ハワイ・オアフ島(イメージ)

 日本旅行業協会(JATA)のアウトバウンド促進協議会(JOTC)が6月1日(月)に開催した「B2Bオンラインセミナー」でハワイ州観光局は、新型コロナウイルス対策の現状や、今後の観光客受け入れ、日本人観光客のデータなどについて発表した。

 同観光局の酒井剛士氏は、ハワイを訪れる旅行者の特徴としてリピーターが多いことから、「コロナ禍後は、まずリピーターから戻ってくる」と予測する。そのうえで、「ハワイを訪れる外国人旅行者で最も多いのが日本人」と述べ、「ハワイの人たちにとっても、日本市場は大変重要な位置付け」と力を込めた。

 一方で、「ハワイは観光業で成り立っている。一刻も早い自己隔離の解除が期待されているが、住民感情には『まずはコロナ対策をしっかり』というのがある」と語り、感染症対策と経済のバランス調整がハワイ州内で議論になっていることも明かした。

 ハワイの4月のホテル稼働率は、前年比88%減と大きく落ち込んだという。だが、6月から一部のアクティビティ事業者がプレオープンし、6月5日(金)にはホノルル動物園が再開。宿泊施設やレストランなどの観光事業者は「まず、州内の人を受け入れ、コロナ対策の効果を試しながら、海外からの旅行者の受け入れを準備したい」と徐々に間口を広げたい考えだ。

 ハワイ州内の新型コロナウイルス感染者の累計は652人(5月31日現在)で、既に608人が回復している。米国内でも「最も封じ込めに成功している」と評価される。対策として、ハワイへの旅行者と州外から到着した人を対象に、3月26日(木)から14日間の自己隔離を実施している。

 ハワイ州知事は、ハワイ州在住者に限り、諸島間の移動制限を現地時間6月16日(火)に解除することを決めたが、日本を含め州外から到着した人の自己隔離解除の時期は不透明なままだという。

19年のデータから見る日本人観光客

 ハワイ州観光局のデータ(2019年)によると、昨年の日本人海外渡航者数約2000万人のうち、ハワイを訪れた人は154万人にのぼり、全体の7.7%を占める。渡航先の順位では、韓国、台湾、タイに続いて4番目となる。

 一方、世界・米国内からハワイを訪れた観光客は約1000万人で、このうち日本人観光客が占める割合は全体の15%にのぼる。これは、外国人旅行者で最も多い。これらを踏まえ、酒井氏は「日本市場はとても重要視されている」と述べた。

 日本人観光客の発着空港(20年1月)については、成田が54%と最も高く、次いで関西が20%、羽田が14%、中部が7%と続く。成田と羽田と合わせると約7割にのぼり、地方空港からの経由を含めて東京発が大半を占める。これは、ハワイを訪れる観光客の特徴の1つとなる。

 旅行者の状況は、初めてハワイを訪れる人が31.7%、リピーターが68.3%と、圧倒的に後者が多い。旅行形態はパッケージが61%、FITが39%で、ほぼ6:4の比率。近年、FITの割合は上昇傾向にあるという。目的は、レジャーが74.0%、ハネムーンや現地で挙式などを行うロマンスマーケットが12.9%、団体が5.7%となっている。

 これらのデータから、酒井氏は「ハワイに行った旅行者は、再び行く確率が高い」と強調。さらに「リピーターがとても大きなマーケット。夏休みは75~80%がリピーター」と述べ、コロナ禍後の回復にもリピーターの存在が欠かせない考えを示した。

中部国際空港、郵便局2つの風景印 開港15周年記念で刷新に

2020年6月11日(木)配信

常滑郵便局セントレア分室で使用される風景印

 中部国際空港セントレア(愛知県常滑市)は7月1日(水)、日本郵便との連携により、切手などに押印される「風景印(風景入通信日付印)」をリニューアルする。同企画は、中部国際空港の開港15周年記念事業の一環。

 対象となる郵便局は、セントレア第1ターミナル1階にある「常滑郵便局セントレア分室」と、貨物地区にある「中部国際郵便局」の2カ所。

 風景印は、郵便局がある地域に所縁のある、名所や記念物などの図柄が書かれた日付印で、63円以上の切手などに押印される。常滑郵便局セントレア分室では2005年に、中部国際郵便局では06年に作成され、多くの地域の人に親しまれてきた。

中部国際郵便局で使用される風景印

 常滑郵便局セントレア分室の新デザインには、伊勢湾上空の機窓から望む、中部国際空港と飛行機の翼が描かれている。一方の中部国際郵便局の新デザインには、中部国際空港から世界各地へ郵便物を届ける飛行機と、ラブレターや地球が描かれた。両風景印の新デザインは、中部国際空港旅客サービスの櫻井良子さんが担当した。

 なお、新しい風景印の刷新日となる7月1日の日付印を郵頼希望する場合、6月29日到着分まで対応が可能。旧デザインの風景印の郵便は、6月26日到着分が締め切りとなる。風景印の詳細は、日本郵便のホームページから。

【にっぽん旬旅】~動画で各地の魅力紹介~長崎県・佐世保市黒島~

2020年6月11日(木)配信

 2018年7月に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつである長崎県佐世保市の「黒島集落」。「黒島天主堂」は集落のシンボルとして島民に親しまれてきました。

 1902年に完成したとされる天主堂は、その当時のまま、120年近く風雪に耐えてきました。しかし時の流れには逆らえず、昨今頻発しつつある地震に耐え続けるのは、難しくなりつつあります。国の重要文化財であると共に「いつまでも黒島のシンボルであってほしい」という島民の願いも考慮され、2019年2月から2年間の長期間にかけての耐震・保存修理工事が始まりました。

 今回の動画はその耐震・保存修理工事がどの様に行われているのかを紹介しています。工事期間中は内部の見学は出来ませんが、外部に足場を設け至近距離で2階のレンガやステンドグラスが見られる見学台が設置されているので、新型コロナウイルスが落ち着き、黒島を訪れて頂いたあかつきには是非この動画と現物を見比べてみて下さい。

国重要文化財「黒島天主堂」耐震対策・保存修理工事記録映像その1

半露付客室、部屋食も楽しめる「おこもり旅プラン」を提供 四季彩々の隠れ宿 富士乃湯

2020年6月11日(木) 配信

源泉掛け流しの半露天風呂

 「四季彩々の隠れ宿 富士乃湯」(二木伸次代表、長野県松本市)はこのほど、今年2月にリニューアルした源泉掛け流しの半露天付き客室で過ごす「おこもり旅プラン」を売り出した。

 ソーシャルディスタンスの確保や3密回避のため、朝食と夕食は共に部屋食として提供する。また、温泉も大浴場に行くことなく客室で楽める。大浴場の利用も可能だが、人数制限を設けての営業となる。

 宿泊客には、携帯用アルコール除菌スプレーの無料貸し出しと、使い捨て不織布マスク1枚の配布を行う。そのほか新型コロナウイルス対策として、館内各所に消毒液を設置、パブリックスペースの換気、通常の館内清掃時に手が触れやすい箇所のアルコール消毒、スタッフと宿泊客の健康チェックなどを行う。

SMALL WORLDS TOKYOオープン ミニチュアの世界を舞台としたショートドラマも公開

2020年6月11日(木) 配信

エヴァンゲリオン格納庫エリア©khara

 世界最大級の屋内型ミニチュア・テーマパーク「SMALL WORLDS TOKYO(スモールワールズ東京)」が6月11日(木)、東京・有明にオープンした。動くミニチュアが生み出す「もうひとつの世界」への没入体験を楽しめるのが魅力。3Dスキャンで作られる自身のフィギュアを設置でき、ミニチュア世界の住人にもなれる。

 メインフロアとなる「スモールワールズ」は、(1)関西国際空港(2)スペースセンター(3)世界の街(4)美少女戦士セーラームーン(5)エヴァンゲリオン 第3新東京市(6)エヴァンゲリオン 格納庫――の6エリアで構成される。 

 関西国際空港エリアでは、航空機40機が入れ替わりで離発着を繰り返し、約30分間隔で空港の一日が観察できる。空港内のアナウンスなど、実際に関空で流れているものを忠実に再現し、今後は航空機のエンジン音なども本物に近づけていく。

関西国際空港エリア©SMALL WORLDS

 金時山展望台からの第3東京市の昇降シーンが見せ場の「エヴァンゲリオン第 3 新東京市エリア」では、世界初の試みとして3Dサウンドを導入。模型の中にスピーカーを仕込み、近づくとその場面の情景が音で聞こえてくる。

エヴァンゲリオン第3新東京市エリア©khara

 3Dスキャンで作られる自身のフィギュアを設置する「住民権付きフィギュアプログラム」では、全エリアの中から好きな場所に自身のフィギュアが置ける。「エヴァンゲリオン格納庫エリア」 購入者は、「NERV 作業員制服」で撮影が可能。セットになっている「年間パスポート」は、エリアごとの絵柄を用意する。

 また、フィギュアを使った新しい取り組みとして、スモールワールズ TOKYOのミニチュア世界を舞台としたショートドラマも公開している。全36話のショートドラマは、同館公式ツイッターで順次公開される。

プリンスホテル、西部ファン同士のリモート観戦プランを造成

2020年6月11日(水) 配信

入場チケット(イメージ)

 プリンスホテル(小山正彦社長、東京都豊島区)と西武ライオンズ(居郷肇社長、埼玉県所沢市)はこのほど、新しい観戦プランを造成した。埼玉西武ライオンズの試合を観戦しながら、同じプランを利用するファン同士をWeb会議ツールでつなぐことで、相互にコミュニケーションをはかりながら応援。ホテルにいながらメットライフドームで応援しているかのような体験ができる。

 特典として、球場同様のオリジナル入場チケットや、開幕記念の「70周年ピンバッチ」と「V2チャンピオンリング(レプリカ)」、選手直筆サインボール(または色紙)が当たる抽選会などを用意する。テレワークプランも設け、日中客室でテレワークをした後、そのまま試合観戦することも可能にした。

 同プランを行うのは、新宿プリンスホテルとサンシャインシティプリンスホテル、川越プリンスホテルの3施設。1日最大300人を超えるファン同士がつながる。

 また、ナイターゲーム開催の11試合では、チェックイン時にライオンズを応援するようすを収録し、試合中にその動画をメットライフドームの大型ビジョンで放送することも予定する。

 担当者は「思い思いの応援グッズを持ち寄り、試合中の選手たちに熱い〝青炎″をお送りください」とPRする。

 さらに、川越プリンスホテルでは、6月19日(金)の開幕に合わせ、入場チケット風にデザインされた客室ドア、選手ロッカールームを模したクローゼット、球団ロゴや球団公式マスコットのレオとライナがデザインされたベッドルームなど、ライオンズに囲まれた空間で野球観戦が楽しめるライオンズコラボルームを1室新設する。

JR九州ポスターが国交大臣賞に 第68回日本観光ポスコン

2020年6月11日(木)配信

九州旅客鉄道の「まだ見ぬ九州へ。」ポスター

 日本観光振興協会はこのほど、第68回日本観光ポスターコンクールの優秀作品を決定した。国土交通大臣賞に「まだ見ぬ九州へ」が輝いた。総務大臣賞は「The Resort, Nikko.」が選ばれた。

 今回は139作品の応募があり、うち34作品が第一次審査を通過し、審査会で各賞を選定した。

 受賞作品は次の通り。

 【国土交通大臣賞】まだ見ぬ九州へ。(九州旅客鉄道、JR九州エージェンシー)【総務大臣賞】「The Resort, Nikko.」(東武鉄道、ADKマーケティング・ソリューションズ)【観光庁長官賞】石川県観光ポスター「いしかわくわく」エリア版(石川県観光連盟、大村印刷)【日本観光振興協会会長賞】RALLY NIPPON 2019 IN KYUSHU(ラリーニッポン、同上)【インバウンド賞】TOKYO’s new LUXURY(東京都・東京観光財団、電通)【審査員特別賞】「謎めくあかし 解きあかし」シリーズ:5(兵庫県・明石観光協会、電通西日本神戸支社)【入賞】ジュエリーアイス~氷の宝石をさがす旅~(北海道・豊頃町観光協会、プロコム北海道)▽Visit Himeji(兵庫県姫路市、電通西日本神戸支社)▽「謎めくあかし 解きあかし」シリーズ:2・3・4(兵庫県・明石観光協会、電通西日本神戸支社)▽大山観光ポスター2019(鳥取県・大山観光局、同上)▽備前市里海里山発信ポスター(岡山県 備前市里海里山ブランド推進協議会 with ICM、HIDETO SATO DESIGN)

 なお、審査会に先立ち、1月20~2月21日まで行われたインターネット投票による、オンライン投票部門の結果は次の通り。

 【1位】屋久島町観光PRポスター(鹿児島県・屋久島町、美屋久)【2位】冬に恋。函館(北海道函館市、電通北海道)【3位】ジュエリーアイス~氷の宝石をさがす旅~(北海道・豊頃町観光協会、プロコム北海道)【4位】まだ見ぬ九州へ。(九州旅客鉄道、JR九州エージェンシー)【5位】大山観光ポスター2019(鳥取県・大山観光局、前同)

【特集No.555】アメニティホテルin博多 “事前カード決済のみ”で簡素化

2020年6月11日(木) 配信

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その人気の秘訣を探っていく対談シリーズ「いい旅館にしよう! Ⅲ」の4回目は、アメニティホテルin博多(福岡県福岡市)の秋吉智博社長が登場。電話予約を取らず、事前カード決済のみの予約システムは、煩雑な業務の簡素化に成功した。対談は2月12日に行われたが、秋吉社長の割り切った考え方は“アフターコロナ”の宿泊業界に大きなヒントを含んでいる。

【増田 剛】

 秋吉:当館は地場独立系のビジネスホテルで、開業は1999年4月です。宿泊特化型でシングルルームが72室、メインターゲットはビジネスマンを想定しています。天神、博多駅、福岡空港へのアクセスの良さが特徴です。
 コストパフォーマンスも追求しており、「朝食は無料」ですが、しっかりとしたものを提供しています。なかでも「明太子の食べ放題」が高い評価を得ています。厳しい経営環境のなか、この部分は当館の強みであり、訴求していく付加価値だと考えています。
 宿泊客は、地元福岡が13―14%、あとは関東や関西からのお客様が多いですね。

 ――社長に就任したのはいつですか。

 秋吉:先代の父が亡くなり、私が後を継いだのは2014年4月で、32歳でした。
 父はもともと焼鳥屋を経営していましたが、不動産業に進出し、99年にアメニティホテルin博多を建てました。
 私自身は上京して大学を卒業後は、中堅の不動産会社に就職しました。色々と勉強しようと考えていましたが、リーマン・ショックの影響を受けて、10年に会社が民事再生になりました。当時20代後半でした。
 その後、福岡のリース会社に転職しましたが、14年1月に父が急逝しました。ホテルのことは何も分からずに会社を継いで6年になります。
 私が戻る前年の年間平均稼働率は68%で、スタッフの年齢も高く、当たり前のこともできていない状況でした。
 まずはその部分から改善していきました。18年には稼働率98%を達成しました。客室単価は約7千円です。
 業界の常識を分かっていなかったがゆえに、常識に捉われない手法に着手することができました。16年から楽天トラベルアワードを受賞し、17年にはゴールドアワード(金賞)を受賞しました。最近ではさまざまなカンファレンスで登壇する機会も増えてきました。

 内藤:宿泊業界の経営に外側から足を踏み入れたときの印象は。

 秋吉:最初の2、3年はがむしゃらで「何も感じられなかった」というのが正直なところです。
 まずは人間関係の構築と、やれていない部分から正常化していくことに着手しました。それで、福岡市内の平均稼働率に少しずつ近づけていこうという考え方でした。
 初期の段階では、何かあったらすぐに私の携帯電話に連絡があり、クレーム処理などに関わっていましたが、なるべく現場で、支配人レベルで完結できるようにすることが課題でした。
 基本的に人の働くモチベーションは、給料しかないと思っています。もちろん社会保険を含めた福利厚生も含まれます。
 私は中堅の不動産会社に就職しましたが、学生時代の友人らは大手商社などに就職していました。そのときに、自分の給料の低さにすごく負い目を感じる時期がありました。
 この経験からまず働く人の待遇面から改善していきました。年代における東京の平均年収なども意識して、年収を決めています。賞与も夏と冬を合わせて4・5カ月ほどは出しています。

 内藤:「給料を上げれば人が集まる」というのは誰でも分かっています。多くの会社では「業績が上がれば給料を上げます。そのために頑張ろう」と言います。秋吉社長が先に労働条件を良くしていくことに着手したのは、稀有なケースです。
 理論的には正しいのですが、どうしてそのような逆の意思決定をされたのですか。

 秋吉:稼働率などはまだ伸び代があると思っていました。OTA(オンライン旅行会社)に6カ月前から売り出すといったルールがあったにせよ、それが全然更新されていませんでした。抜け落ちている部分がたくさんあったので、そこを改善すれば稼働率が上がる余地はあるだろうと判断し、「好待遇」の方へ舵を切っていきました。
 会社の理念は2―3年かけてまとめました。
 例えば結婚している社員の奥様が誕生日だったらホテルのディナー券をプレゼントしています。
 「従業員が会社に満足していないと、顧客満足など得られない」という考えが根底にあるので、まずは従業員が働きやすい環境を整えるところから着手して、良い方向につながっていったのだと思っています。
 チェーンホテルでもない、中小企業だからできる思い切った福利厚生なども考えています。近くに博多座という劇場があるので、1年間に1回、会社が負担して、「観劇してもいいですよ」という制度もあります。裏を返すと、「実際に自分で行って観ないと、お客様に説明できない」との考えから取り入れました。
 最近は働き方改革も進め、年末年始は9日間連続で休館しています。有給休暇の積極的な取得も促しています。

 内藤:年間の休日は現在、どのくらいですか。

 秋吉:月に10日で、120日です。これ以外に法定20日の有給休暇もあります。

 内藤:大企業並みですね。残業はどうですか。

 秋吉:月に3時間程度で、ほとんどありません。
 これは電話予約を取っていないことが大きいと思います。電話に掴まって労働時間が延びることは基本的にありません。予約はすべてインターネット経由だけで、事前カード決済のみの対応です。
 先代の父も「手数料を払うのがもったいない」から、自社ホームページにすべて誘引しようとしていましたが、独立系のビジネスホテルであるがゆえに、限界を感じ、方針を変えました。
 楽天トラベルで金賞を受賞したのも、予約を取れば取るほど、表示順位も上がるので好転するスパイラルが生まれてきたからです。当館では、楽天トラベルが約80%、じゃらんが約15%。1・8%はリピーターが帰り際にフロントで次回の予約をするといった構成です。

 内藤:楽天トラベルに手数料を支払う代わりに、煩雑な事務手続きを簡素化しているということですね。

 秋吉:おっしゃる通りです。その方が業務の効率化になるとの考えです。

 内藤:具体的にどのようなオペレーションの効率化につながるのですか。

 秋吉:フロントで金銭の授受がないので、基本はお客様に宿の簡単な説明をして、カードキーを渡すだけです。電話に縛られないというのは大きいと思います。

 ――これはいつから始めたのですか。

 秋吉:17年の後半からです。当時はすごく稼働も良く、「稼働率を100%にするにはどうすればいいか」と考えたときに、電話予約を取っていたら、どうしてもお客様との意思の疎通にズレが生じてしまう。ノーショウの場合には、電話を掛けて「キャンセル料を振り込んでください」といったやり取りがナンセンスだと思いました。そこで思い切って電話予約をやめてしまうと、18年2月に稼働率100%を達成しました。キャンセル料も入ってきます。
 今でも電話がかかることがありますが、「当館は電話での予約を受け付けていないので、楽天トラベルやじゃらんから予約をお願いします」とお客様に説明していくことに、スタッフはすぐに慣れていきました。
 一方で、ネット予約に限定すると、間口が狭まることはしっかりと認識しています。それでも「選ばれるホテルであれば、高水準の稼働を保てる」と判断したのです。
 飲食店のドタキャンなどがあるなかで、「電話予約を取らない」ことを宿泊業界のスタンダードとして地位の改善につなげいきたいと思っています。そうでなければ業界全体が衰退してしまうと危機感を持っています。
 業界の会合などでもそのような話をしていますが、「予約が減るのではないか」と心配が先に立ちます。でも、考えるよりも、「まずやってみなければ始まらない」と思っています。

 ――電話予約を取らない宿泊施設はほかにもありますか。

 秋吉:ほとんどないと思います。最近はカード決済限定のホテルは少し増えてきた感じはします。

 内藤:スタッフはどのようなシフトになりますか。

 秋吉:基本的に日勤は3人の社員が2人体制で回し、地元の大学生が夜勤のアルバイトをしています。何かあれば支配人に連絡する体制をとっています。
 昼は基本的にチェックインとチェックアウトのほかに、電話での質問に答えたり、備品の補充などをしたりしています。

 内藤:マンションの管理人の延長のような感じですね。調理はどうされているのですか。

 秋吉:朝は無料で食事を提供しているので、湯煎で温めているものが中心です。大学生がお米を炊いて、シジミ汁を作ります。ウインナーを温めて、千切りしたキャベツと、地元の質の高いドレッシングなどを出すといったスタイルです。
 これに、食べ放題の明太子を提供しています。「無料サービス」なので概ね満足していただいているのかなと思っています。

 ――宿泊者は朝食を食べていかれますか。

 秋吉:7割くらいです。朝食券もないので数は管理していません。

 内藤:清掃は内製でやっているのですか。

 秋吉:8人の清掃パートスタッフでシフトを組んでいます。

 ――今は清掃スタッフを集めるのは大変と聞きます。

 秋吉:当館はこの2年ほど誰も辞めていません。私が戻ってきた時期は入れ替わりが激しく、私自身が客室の清掃をしなければならない状態が続きました。朝の7時から夕方の4時くらいまで20部屋ほど清掃していました。
 その時期に、予約の段階で連泊されるお客様などに「清掃は不要」というエコ割プランを導入し、清掃の絶対数が減っていきました。
 従業員に対しては時給を高くしました。福岡県の平均時給は810円ほどですが、当館では980円です。他の清掃会社に委託すれば、マージンを抜かれます。それであれば、自社で中抜きされている分を上乗せしたとしても、時給を大幅にアップした方がいいと思いました。

 内藤:多くの施設はできるだけ低い賃金で現場を回そうとしますが、ある施設では時給を大幅に上げると、「応募してくる人材の質がこれまでと大きく変わった」と話しています。

 秋吉:当館では清掃の質は高いと思います。なぜスタッフが辞めずに長続きするのかと考えると、結局当館の清掃は肉体的負担が低いのだと思います。
 他のホテルでは人手が足りなくて1日12室などのノルマが課されるところ、エコ割プランの利用客も多く、シフトもしっかりと組めていれば、1日9―10室ほどで、残業もなく働きやすい。子供のお迎えなど予定が立ちやすいため、定着しているのだと思います。

 内藤:スタッフが辞めないと、スキルは上がっていきます。利益を出そうと人件費を安くしてもしっかりとした人材が集まらず、結局すぐに辞めてしまう。そうすると募集の広告宣伝費が嵩み、スキルも蓄積しないで悪循環に陥ってしまいます。賃上げして、得すると思えるかどうかです。
 裏方の清掃はなかなか経営者の関心が向かないため、手を入れようとする施設は少なく、ブラックボックスになるケースが多いですね。

 秋吉:宿泊業界では、ベッドメイクの時給を計算するときに、例えば午前10時―午後3時などとなっていますが、実際にはスタッフは8時30分ごろには出社して準備を行っています。これをサービス残業的な扱いではなく、実働時間を明確にして支払うことが大事だと思っています。

 内藤:おっしゃるように、多くの施設では労働契約上の「始業前の準備作業」が曖昧です。準備という善意に甘えず、給料を払わないのだったら、働かせない。働いているのなら支払って管理することを徹底するべきです。

 秋吉:細かな時給の賃上げよりも、その部分を改善する方が先だと思います。時給の30円上乗せよりも、労働時間を5時間から5・5時間にするだけで全然違います。

 内藤:宿泊施設では清掃のやり方が原始的だと感じます。どの客室がチェックアウトしたかを電話でフロントに確認したり、カギをフロントに取りに行ったりすることが多い。ITを活用すれば、フロアをまたいで空いた客室から進めることができます。
 小規模だからできるアナログの工夫もたくさんあります。「〇〇号室が空きました」とテキストにして伝えるのは大変な作業ですが、例えば15分ごとにフロントの予約画面を写真で撮って、画像をメールで送れば一目瞭然です。

 秋吉:それは面白いですね。システムの導入コストもありません。

 内藤:もう一つは客室のセッティングをいかに単純化、標準化していくかという部分です。
 ユニットバスやベッドメーキングの仕方など、施設ごとに異なります。経営者も自館をどのようにしているかは、あまり関心を持ちません。
 ユニットバスにゴミ箱が有る施設と無い施設があります。狭い空間の床に物が置いてあると、清掃がとても大変です。床には足のないものは置かないようにした方がいいと考えます。
 ホテル白菊(大分県)などは、小さなゴミ箱を洗面台の上に置くように変えました。ホテルナンカイ倉敷(岡山県)は、ユニットバスにゴミ箱は置いていません。口コミで高評価の施設ですが、「ゴミ箱は客室にあります」の一言です。あれだけ顧客満足度の高いホテルでさえ、ユニットバスにゴミ箱は置いていないのです。
 施設側は、「ゴミ箱はあるべきだ」との前提を疑いませんが、お客は「あるものでどうするか」と考えます。
 また、ベッドが2つある客室の場合、宿泊人数でアメニティをセットすると、現場の判断に委ねるため、間違いが発生します。ベッドの数でセットした方が、修正などの手間もありません。
 自分たちの中で勝手に刷り込まれた常識のもとで議論しても、新しい試みが何もできなくなってしまいます。

 秋吉:まさにそうだと思います。当館は72室すべてシングルルームです。トリプルやダブルがないので作業が単純で、「働きやすさ」にも寄与していると思います。部屋ごとの指示書もありません。

 内藤:指示書が複雑だとミスも起こりやすくなります。
 清掃の確認作業はやられているのですか。

 秋吉:スタッフも長年やっている方ばかりで信頼していますので、さらに確認作業はしていません。たまにミスがあったとしてもそれをフィードバックすればいいと考えています。
 私が業界の外側にいたためか、高級ホテルでやってこられた方のように、「完璧にしなければ」という意識が薄いかもしれないですね。

 内藤:チェックしてもミスが起こるから、もう1度チェックすると、チック作業だけが延々に続きます。そうすると、人手が掛かって仕方がない。そうではなくて、ミスが起こらないような業務プロセスに変えることが大事です。
 清掃したあとに、「冷蔵庫の中にモノが置いたままだった」というのはよくあるミスです。その対策として、客室に入ったら、「まず冷蔵庫を開ける→清掃が終わったときに閉める」という業務プロセスにすると、業務の中にチェック工程が入り、ミスを減らすことが可能になります。
 また、ミスがあったときに経営者が怒ってしまうと、お客からのクレームも隠すようになり、悪循環に陥ります。むしろクレームが発生すると、「業務プロセスの問題点が見つかった。ありがとう。これが2度と起こらないためにどうしたらいいのだろう」と皆で知恵を出し合いながら考えていくことが大切です。

 ――今後の市場をどのように見ていますか。

 秋吉:国内需要は人口減少と高齢化によって伸び代は少ない。海外需要も新型コロナウイルスなどのリスクを考えると、市場としてはなかなか厳しいと思います。他方で宿泊施設の供給が増え続けています。

 内藤:昨年の秋ごろから、構造的な変化が起こり始めたという印象を持っています。
 2025年に団塊の世代が後期高齢者になっていきます。団塊世代以前の戦後世代の行動原理は道徳心、つまり「やってくれて、ありがとう」です。団塊世代になると権利意識が出てきて、「お金を払っているのだからやって当たり前でしょ」になります。道徳心のうえで成り立っている介護業界に権利意識を持ち込まれると一気に崩壊すると言われています。
 もう一つ、観光庁のデータですが、70歳を超えると旅行をしなくなるという傾向があるようです。
 実際に地方の温泉旅館に行くと、「忘・新年会の宴会が激減し始めている」としばしば耳にします。昨年30人の宴会が今年は15人など、これまでは「営業をすればどうにかなる」と思っていたが、「営業してもどうにもならない」状況が年々色濃くなっています。
 これまでグループで動いていた団塊世代が動かなくなり、祖父母がお金を出す3世代旅行も、昨年話題になった「老後資金2千万円問題」などの心理作用もあり、お金を出せなくなって減少しています。市場が縮小することよりも、「構造変化についていけない」旅館・ホテルが増えてきていると感じています。
 今後は、「動いている客層にどうフィットするか」がとても大事になってきます。
 実際に、構造の変化を感じていますか。

 秋吉:当館は団体の予約を取っていません。基本的にサラリーマンの1人客なので、今のところあまり感じないですね。
 しかしながら、色々なものにアンテナを張ってレベニューマネジメントに取り組んでいます。
 普段は男性の1人客がほとんどなのですが、例えば、数カ月先に女性の予約が数件入った段階で、SNS(交流サイト)などを検索すると、福岡市内で人気アイドルグループの「コンサートが決まった」というコメントがあったりします。
 アーティストによっては3日間連続で宿泊する女性客もいるので、ファンの特性なども研究しています。福岡ドームで開催されるオタク文化のイベントなどにもアンテナを張っています。

 内藤:これらも小さな構造変化に対応していくという姿勢ですね。

 ――リピーターは多いですか。

 秋吉:40―50%ほどです。ありがたい傾向ですが、ビジネスホテルや民泊、ゲストハウスなども増え、天神・中洲エリアで検索しても膨大の数が出てきて埋もれてしまい、新規で選ばれることが厳しくなっています。そうなると、1度来ていただいて、リピートしていただくお客様を囲い込むことが大事だと思っています。

 内藤:他の業種では、スーパーや美容室などはリピート率が95%ほどですが、それらと比べると宿泊業は「新規の顧客獲得」に力を注がなくてはなりません。
 宿泊アンケートなどで「当ホテルを何で知りましたか」という項目がありますが、「知人からの紹介」という口コミを増やすことが大事です。福岡に出張する際、会社の同僚などとの会話で、「〇〇ホテルがいいよ」と言ってもらえることです。つまり、「友人・知人が紹介しやすい」というところがポイントで、アメニティホテルin博多の「明太子食べ放題」などのように、とにかく記憶に残る、インパクトのある部分が必要だと思います。

 ――楽天の点数は気にしていますか。

 秋吉:気にはしています。口コミについても考えていた時期もありました。一方で、一体どのくらいの人が口コミを書いているのかというと、当館の場合1%未満の0・9%ほどです。統計学的にこの点数が確かなのかと考えたときに、そこまで信頼の水準が高いわけでもない。コメントでは、とても素晴らしいことを書いていても5段階の「3点」にすべて印を点ける人もいます。口コミ評価は、確かに大事なのですが、その評価に引っ張られ、振り回され過ぎるのはやめようと自分の中で結論づけました。

 内藤:事前期待とのキャップで、事前期待を上げると点数が下がります。よく言われるのは、ビジネスホテルは事前期待は低いが、顧客満足度は高い。シティホテルはその逆です。もっと言えば、コストパフォーマンスが大きく影響します。

 秋吉:「リピーターに支持され、しっかりと利益を上げていこう」いう感覚になりました。

 ――ありがとうございました。

【全文は、本紙1796号または6月17日(水)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

〈旬刊旅行新聞6月11日号コラム〉「ハズレ」は選びたくない  旅人も美味しい店を探す努力が必要

2020年6月11日(木) 配信

旅先のランチは美味しいものを食べたい

 旅先の昼食は「賭け」であるが、私は大概負けている。勝率は2勝7敗1引き分けくらいのペースである。気合を入れれば勝つことは可能だが、気を抜くと必ず負けるというレベルだ。

 
 旅先では誰だって美味しいものを食べたいと思っている。しかし、どうして私は「ハズレ」ばかりを選んでしまうのか。理由は自分でも分かっている。気を抜いて努力不足だからだ。
 
 人気観光地の目抜き通りは、どの店もランチ時には満席になる。ようやく席に着いても、接客スタッフは忙しすぎて、前の客の食べ終えた器すら片付けてくれないし、水やメニューを持って来てくれない。やっと注文を聞いてくれても、そこから料理が出てくるまで1時間近く待つこともある。そして味は美味しくなく、料金は結構高い。このような店を選んだときは、気を抜いた自分の完敗である。
 
 田舎の駅前に1軒しかない食堂も経験上、大体、惨敗してきた。鉄道での長旅に疲れ、降り立った駅前には、「期待感の乏しい」店しかない。他を探す気力もなく、やむを得ず、「今度こそは大丈夫に違いない」と自分に言い聞かせ、暖簾をくぐる。だが、あまりのやる気のなさが漂う雰囲気に「敗戦濃厚」の流れを感じ取り、店を出ようと思うが、行動に移す勇気を持ち合わせていない。
 
 旅先なのに、壁に貼られた丼物や、カレー、ラーメンなどの品書きをしばらく眺め、「じゃあ、親子丼をください」と言う。なぜ自分は親子丼などを注文したのだろうと後悔する。
 
 そのうち、案の定、卵などが煮すぎてカチカチに固まって、水分の少ない親子丼が出てくる。ご飯と具は完全に分離している。私は出された食事はほとんど残すことはないが、「どうしても無理な場合もあるのだ」と、そのときに知る。
 
 
 最近は負けが続き、精神的なダメージもじわじわと蓄積されてきている。行き当たりばったり派の私もさすがに地方の温泉地などに行くときは、前夜、用意周到に「ぐるなび」や「食べログ」などで美味しい店を調べて、真っすぐそこに向かう。
 
 しかし、誰もが似たようなグルメ情報サイトを見ているので、人気店のスタッフが店の外で「行列の最後」という看板を持つような状態に愕然とし、仕方なく別の店を探す。
 
 ようやく客のいない店を探し出して入ってみると、乾いた具と、ご飯が完全に分離している親子丼が出てきたりする。
 
 
 人気観光地で立地条件の良い飲食店は、誘客に苦労はしない。だから、そんなつもりはないにせよ、入店してきた客に対しても心の底からうれしそうな表情を浮かべないし、メニューも頻繁に変える必要もない。
 
 集客力のある観光名所という絶大な力を頼りに、長い間、自ら「より良きものを追求する」努力を怠ってきた姿は、世界中で共通して見られる。
 
 
 私がこれまで美味しいと感じた店や、いい宿だと思ったところは、立地条件が悪いところが多い。それだからこそ、「よくぞこんなに遠くて辺鄙なところまで来てくれました」と心から歓迎してくれる。
 
 私も現状の2勝7敗1引き分けレベルに甘んじているわけにはいかない。本気を出せば5勝2敗3引き分けくらいはいける自信はある。勝利したときの心地よさは格別である。勝率を上げるためには旅人も努力が必要だ。
 
(編集長・増田 剛)

国内線の搭乗が便利に ANAオンラインチェックインサービス始まる

2020年6月10日(水) 配信 

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 全日本空輸(ANA、平子裕志社長、東京都港区)は6月24日(水)午前10時から、国内線で出発24時間前から搭乗手続きと搭乗券が発行できるオンラインチェックインサービスを始める。

 幼児連れや、国際航空券で国内線の予約を持つ人でも利用できるのが特徴。事前に予約・購入を済ませることで当日空港のカウンターや自動機に向かうことなく、保安検査場に直行できる。

 スキップサービスを利用できなかった層も、搭乗券の手続きと発行が可能になる。