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〈旬刊旅行新聞10月11日号コラム〉観光産業も脱炭素社会へ―― 最新技術を取り入れイノベーティブに

2021年10月11日
編集部:増田 剛

2021年10月11日(月) 配信

 政府は9月30日をもって27都道府県に発出されていた緊急事態宣言と、まん延防止等重点措置が全国一斉に解除され、気分が少し晴れやかになった。 

 
 何よりも新型コロナウイルスの新規感染者数が9月に入り、急激に減少していることが、長く続いている緊張状態を和らげているのだと思う。しかしながら、「第6波が年末にかけて発生する」との見方もあり、引き続き感染拡大防止には努めていきたい。 

 
 10月4日には、岸田内閣が発足した。コロナ以外にも、外交・安全保障、経済の成長と分配の好循環の実現、少子化対策、脱炭素社会への取り組みなど課題は山積だ。今月31日には衆議院総選挙が控えている。各党は日ごろ考え抜いた政策を正々堂々と競い合ってほしい。

 

 
 さて、コロナ禍のなか、レギュラーガソリンは1㍑160円台と、原油価格の高騰が国際的に大きな影響を与えている。

 
 航空会社やフェリー、バスなどの燃料代が上がることで、経営を圧迫していく。これからの季節は宿泊施設にとっても暖房代など頭の痛い問題である。

 
 脱炭素社会に向けて、世界各国が再生可能エネルギーへの転換をはかっているが、やや性急な転換によってエネルギー不足を引き起こし、停電や工場の停止、石油の高騰などへと連鎖し、経済や社会の混乱を招いているのが現状だ。

 
 日本の自動車メーカーも電気自動車(EV)へと急速に舵を切り始めているが、充電スポットの整備など社会インフラが追い付いていない。本当に対応できるのか、多くの人が不安に感じている。移動を伴う観光業界にとっても、脱炭素社会への取り組みは重要な課題である。

 

 
 人間は移動する際にも、仕事や日常生活、寝ている間にもCO2を排出している。生きている限り、温室効果ガスの「排出ゼロ」は不可能である。しかし、小さな努力によって低減化することは可能である。

 
 菅義偉前首相は昨年10月26日、臨時国会の所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言した。

 
 製造業や運輸をはじめ、さまざまな産業でも脱炭素社会に向けての本格的な努力が始まっている。ゼロエミッションに取り組み、効果を出している企業を優遇し、努力を怠る企業にはペナルティが課せられる仕組みが一層進んでいくだろう。

 
 国は新たな成長産業として、脱炭素社会に向けたイノベーションや、最新技術を生むことを後押しし、日本が世界をリードしていくことを目指している。

 

 
 その意味で、トヨタ自動車が独自に進める水素エンジンへのチャレンジ精神に敬意を表したい。水素エンジンは燃焼の際にCO2を排出しない。アウディやボルボ、ジャガー、メルセデス・ベンツなど欧州の主要自動車メーカーがEV化に舵を切るなか、トヨタは脱炭素社会に向けて技術の単一化ではなく、多様な選択肢を残す理念と飽くなき挑戦を続けている。 

 
 では、観光産業として何ができるか。旅館・ホテルでは客室の個別空調化や、連泊客にはベッドメイクをしない選択を提示するなど省エネに取り組んでいる施設も多い。最新技術や理念を積極的に取り入れて、新たな発想で自然環境を大切に育てるなど、防災・減災とも連動するイノベーティブな動きにも期待したい。

 

(編集長・増田 剛)

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