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【特集No.588】観光業の法制度 時代に即してアップデートを

2021年8月2日
編集部:馬場遥

2021年8月2日(月) 配信

 自民党・観光立国調査会の「観光業に係る法制度のあり方に関するワーキングチーム」は、新型コロナウイルスの感染拡大で浮き彫りになった「宿泊者の拒否」に関する旅館業法第5条の改正をメインに検討を重ねてきた。WTの有識者ヒアリングに招かれた下電ホテルグループ代表の永山久徳氏は、第5条の撤廃のほか、宿泊者名簿についての第6条、風俗営業法などについて意見を述べた。今回のインタビューでは、これらの法制度をより時代に即したカタチにする考え方について話を伺った。
【聞き手=増田 剛編集長、構成=馬場 遥】

 

矛盾取り除き、未来志向に

 5条・コロナ禍でも宿泊拒否ができない

 旅館業法第5条の規定によると、営業者は宿泊を拒んではならないことになっている。「伝染病の疾病にかかっていると明らかに認められるとき」、「違法行為など風紀を乱す恐れがあるとき」、「満室で余裕がないとき」を除き、原則宿泊者を受け入れなければならないのが現状だ。

 つまり、37・5度以上の熱があり咳をしているなど、新型コロナウイルス感染症の症状が出ているお客が訪れたとしても、「泊まりたい」と希望したら宿側はこれを断れない。

 飲食店やスーパーなどでさえ、「体調不良のお客様は来店をお控えください」と意思表示できる時代に、なぜ宿泊業は拒む権利すら与えられていないのか。これには、業法が制定された時代背景が関係している。

 旅館業法が制定されたのは1948(昭和23)年。戦後間もなかった時代では、行き倒れそうな人やお金がなくて今夜寝る場所に困っている人を、宿は門前払いするのではなく受け入れる施設であれという前提の下に作られた制度だ。

 しかし、コンビニや24時間営業している店があり、緊急時に助けを求められる施設が備えられている現代に、宿泊施設だけがセーフティネットとしての役割を求められる考えが、果たして当てはまるのか。業界でも疑問の声が上がっていた。

 また、「伝染病だと明らかに認められるとき」と規定できたのは、当時の伝染病といえば天然痘や麻疹などの、体の表面に表れるものを想定したためだ。現代では、インフルエンザや新型コロナなどの伝染病が周知の存在となり、見た目からは分からなくても、重篤な影響を及ぼす病気が世間一般に知られている。

 永山氏は「旅館業法だけが昔の時代背景を基準に義務を課せられている。宿泊施設に求められているボランティア精神が、宿泊客や従業員を危険に晒すのではないか」と警鐘を鳴らしている。

 2018年9月に発生した台風24号の影響で、JR東日本など首都圏の多くの鉄道会社が、安全確保のための大規模な計画運休を行ったことは記憶に新しい。

 永山氏は「台風が接近し、電車も止まっているような事態では、100人の予約が取れているなかで95人がキャンセルをしているような状況であるのが普通。しかし、残りの5人は旅行を強行するか、連絡が取れないかのいずれかだ」と話す。

 売上が見込めないままでの営業も問題だが、「宿泊を断れない以上、従業員は災害時に危険を冒して出勤しなければならない」。……

【全文は、本紙1839号または8/5(木)以降、日経テレコン21でお読みいただけます】

 

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