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「トラベルスクエア」繰り返される日本軍の失敗

2021年1月22日(金) 配信

 

 

 日本政府の政治家諸氏は1984年発刊の「失敗の本質」を読んでおられないのだろうか。

 この本は一橋大学の野中郁次郎先生が防衛庁(当時)と組んで研究した先の大戦での日本軍の徹底的な敗北をノモンハンからレイテまで個別の戦闘の跡を辿りながら容赦なく分析したものだ。

 もはや40年近くも前の本だが、今、読んでもはは~と頷けるところばかりだ。

 大前提としての戦略目標の単一性の問題。日本はあの戦争で何をしたかったのだろう? と思う。日本の国際的な地位安定なら他のやり方もあっただろう。それがいつの間にか、米英撃滅にすり替わった。今回のコロナ騒動をみても、政府の方針の一貫性のなさは誰にでも明らかだ。疫病撲滅と経済保全。所詮、矛盾するテーマをいっぺんにやろうとするから、混乱をきたす。Go Toキャンペーンなどその最たるもので、これが一般消費者の気の緩みを生んだのは間違いないだろう。

 「決戦の3週間」。何とも勇ましいが、裏付けの手法を書いているのは、戦時中の「神国日本、負けるわけない」のスローガンと同じ。今回の緊急事態宣言も僕に言わせればツーレイト、ツーリトルだろう。ここは前回と同じレベルで施行し、管理も強化する。区切りも最低2カ月いるんじゃないか。1カ月というのは「こうあってほしい」という目標ではないのか。

 やはり、コロナ封じ込めを決意したからには、徹底的に必要な時間をかけて、念入りに、といってほしい。日本軍は小出しに戦術を繰り出し、全部、アウト。兵力の逐次投入と、やってはいけないことをしている。

 中の組織も相変わらず上司への忖度優先、部下へのおもねりが主流になっているような。

 それじゃ、日本の産業が完全にアウトになるとご心配の向きもあろう。

 だいたい、これまでのコロナ経済政策は、個人(お店)の生存権保障と産業基盤整備の中で前者を重視し過ぎのように考えている。個人の救済はベーシックインカムベースの公平的給付、それとは別に、飲食、観光、小売り、エンターテインメントなど業界別の基盤整備にどれだけ経済資産を配分できるか、を改めて国民的議論として起こすべきだと思う。

 国が亡くなるなどとお嘆きなさるな。国じゃなくて今の政府がなくなるだけ。戦後の大混乱のなかでも新政府が樹立され、立派に蘇った日本。まして戦争直後は家も焼き払われ、何も無い地点からの再出発だった。今は家もある工場もある、最低限の生活物資の備蓄もあろう。格差問題の解消は急務だが、それもいっぺんに解決する。どうか産業に携わる皆様、ここは開き直っていただけないものだろうか?

 

コラムニスト紹介

松阪健氏

 

オフィス アト・ランダム 代表 松坂 健 氏=1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年~19年3月まで跡見学園女子大学教授。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。

 

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