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「感染症対策」と「もてなし」の両立を 医療関係者が宿に提案

2020年7月14日
営業部:鈴木 克範

2020年7月14日(火) 配信

内野勝行医師(左)と前田和哉社長

 宿泊3団体から出された「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン」の遵守は、自治体が取り組む旅行需要喚起キャンペーンの参加要件になるなど、営業を再開した宿の大きな指針だ。一方、その運用はフロント対応から食事、大浴場の管理など多岐にわたる。山形県では事業者が集まり勉強会を開くなど、運用面で理解を深める動きも見られる。宿泊施設向けに、感染症対策の「医療監修」を手掛けるハレの前田和哉社長(看護師・保健師)と、同社と業務提携する内野勝行医師(医療法人社団・天照会理事長)に、取り組む際のポイントなどを聞いた。

【鈴木 克範】

■正しく恐れること

 「手指消毒用アルコールの濃度やトイレ掃除など、ポイントを把握し対策を」と、前田社長は強調する。ガイドラインはあくまでも手段。マスクや手袋の着用が目的となっては本末転倒だ。行為の意味を理解することが、感染症対策への第1歩だ。「正しく恐れることが大事」(前田社長)と説く。

 「無知は恐れを生み、結果、何もできなくなる」。内野医師が言葉を続ける。逆を言えば、知ることで余裕が生まれ、感染症対策ともてなしの両立につながる。「そんな施設が増えていくことを期待しています」。

■医療と宿のタッグ提案

 ハレでは現在、宿泊施設に向け、感染症対策の「医療監修」を提案している。最初に10問程度のヒアリングを行い、施設の危機管理意識を把握。そのうえで、従業員向けの説明会や、現場調査を経てのオリジナル対策を提案する。

 説明会の「受講修了書」や、医療関係者が感染症対策を監修した旨を伝える「ポスター」も用意。取り組みを可視化し、「宿泊客に安心・安全を伝えてもらいたい」(前田社長)という。

 新型コロナウイルス感染症は、これまでも濃厚接触の定義が変わるなど、「動向を把握し続けるのは大変」(前田社長)だ。今後は最新情報に合わせた「対応策の上書き」や緊急時の「ホットラインサービス」、福利厚生として従業員の「抗体検査」なども行う予定だ。各メニューは単館だけでなく、「地域や県単位でのセミナー開催も提案したい」(前田社長)。

医療監修の実施を伝えるポスター(イメージ)

■誰もが旅行できる環境を

 内野医師はこれまで、「トラベル内科」という造語を掲げ、終末期患者の主治医となり、旅行のサポートを引き受けたいと考えていた。非日常を楽しみ、適度な運動を伴う旅行は「医療との相性もいい」(内野医師)。ただ開業医が旅行に同行するのは、物理的に難しい。今年1月、知人を介し前田社長と出会ったことで、その思いがカタチになった。

 具体的には内野医師が旅行中の医療行為を許可し、ハレのスタッフが患者の旅行に同行。行程中、遠隔診療も含めたさまざまなサポートにあたる。次の一手として、「トラベル内科公認の宿」(仮称)を広める構想もあった。

 そんななか、世界がコロナ禍に見舞われた。2人は感染症対策の「医療監修」に取り組みつつ、医療従事者の立場から、「誰にもやさしい旅行環境の整備を推進したい」と話す。

 

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