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【特集No.538】一の坊グループ 厨房スタッフ全員が表に出る

2019年10月31日
編集部:増田 剛

2019年10月31日(木) 配信

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その人気の秘訣を探っていく対談シリーズ「いい旅館にしよう!」プロジェクトⅢの3回目は、一の坊(髙橋弘行社長)グループ4宿のゼネラルマネージャーと料理長が登場した。団体型から個人型の旅館へ大きく舵を切るなか、「出来立て料理の提供」を目標に改革を進め、厨房スタッフ全員が表に出て“ライブ感を演出する試み”が宿泊客に高い評価を得ている。

【増田 剛】

 内藤:一の坊グループは、団体型から個人型の旅館に大きく舵を切ってきました。この改革に着手し始めたのが2016年夏ごろからで、そういう意味では、つい最近のことです。
 作並温泉の「ゆづくしSalon一の坊」では、そのころの印象はどうでしたか。

 柏原:以前は団体と個人の両方のお客様を受け入れていました。当時は団体客の方が多かったので、調理場の作業としては仕込みを早い時間帯からやっておかなければ間に合わない状況でした。
 さらに、食事会場は献立がすべて異なっていたので、盛り付けたものを各食事会場に分別するなど、作業的には大変でした。

 内藤:団体と個人客の割合は。

 小野寺:団体が5割強、残りの個人は和食が2割、ビュッフェが3割といった感じでした。

 柏原:当時はまだ宴会も同時にあったので、仕事に集中することができませんでしたが、今はビュッフェ一本に絞り、当日の宿泊人数に合わせた出来立て料理に集中すればいいため、前準備がほとんどなくなりました。作業的にはとてもラクです。

 小野寺:今のビュッフェは、小ロットで出来立ての料理をお客様の食べるスピードに合わせて繰り返し提供するように変えました。

 内藤:「料理の種類を絞った方が効率的」という常識的な意見とは反対に「種類を増やしていく」ことも行いました。

 柏原:最初は抵抗を感じましたが、お客様から見れば、ビュッフェにはたくさんの種類があった方がいい。料理の種類が多いと、欠品になってもお客様の目が他に向き、スタッフは補充に慌てることもありません。今はメニューを増やす方向で進めています。
 ビュッフェも演出コーナーを、「お客様のオーダーを聞いてから作り、出来立てをお出しする」というのが売りになるよう切り替えました。これを大事にしながら、盛り込み料理は季節感を出しながら、小ロットで数多く提供しています。

 内藤:演出コーナーは、何カ所ですか。

 柏原:6カ所です。スタートしたころはまだ天ぷらも揚げ置きがありました。今はオーダーを聞いてから目の前で揚げるので、お客様は「温かいものは温かく」、「冷たいものは冷たく」食べられ、満足度が上がっているのだと思います。お客様は並びますが、少々待っても「美味しかった」と喜んでいただけるようになりました。

 内藤:オーダーを聞いて作るようになったから、お客様はより待つようになったわけですね。だけどクレームはほとんどない。

 柏原:ステーキも前もって5枚焼いてお皿に盛り付けて提供していました。それをお客様に何枚必要かを演出コーナーで聞いてから焼くように変えました。そうすると、ステーキは平均3枚ほどしか出ない。「お客様は意外と食べない」ということが分かりました。

 小野寺:買ったばかりだったチェーフィングディッシュ(金属皿の下に湯せんなどの熱源がある保温器具)も、すべて捨ててから改善がスタートしました。出来立ての料理にこだわることで、お客様から高い評価をいただけるようになりました。スタッフも仕事の楽しさを感じられていると思います。
 振り返ると、当時はチェーフィングディッシュを使うのが普通で、何も疑問を持っていませんでした。ずっと温め続けることで料理の良さは失われるので、以前のようには戻りたくないですね。…

【全文は、本紙1774号または11月8日(金)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

 

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