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「提言!これからの日本観光」 新観光列車に乗る

2019年10月12日
編集部

2019年10月12日(土) 配信

山間部を走行する「ひえい」

 過日、京都市「出町柳」から「八瀬比叡山口」の両駅間を結ぶ叡山電鉄の新しい観光列(電)車「ひえい」に乗車する機会を得た。「ひえい」は、今年度「鉄道友の会」が前年登場の優秀車両に会員からの投票で、贈呈する「ローレル賞」の受賞車両である。

 まず、意表をつく車両のデザインに強い印象を受けた。前面には大きい“円”の枠を取り付け、車窓や出入口窓もすべて、円の形を強調していたからだ。「比叡山と鞍馬山という両山からの“気”の循環を象徴するもの」という難しい説明があった。しかしこの列車のデザインが、京都近郊の山野に溶け込んでいく不思議な調和を感じることができた。

 車内はやや渋い色調でまとめており、座席はロングシートで、今では珍しい白熱電灯調のやや暗い照明で、むしろ車窓の景色を引き立たたせたい意図を感じた。乗客の年配女性が「窓から見る景色がいつもと違うので面白い。窓の形が変わると景色も変わる」と話していたのが印象に残った。これは車内の造作を変え、車窓の景観に注目させた結果だと思う。

 そう言われれば、私も普段何も思わなかった「故郷の見慣れた沿線の景色」が車窓を通すことで、箱庭のように丸くまとまった景観に見えたような気がした。要するにこの列車は「円」を強調するデザインで乗客からの注目を集めている。それによって乗客に車内の楕円状の窓からの景色を見せることで、新しい魅力を引き出させる効果がある。すなわち地域の「光」を観る環境を変えて、乗客一人ひとりに新しい景色を造りださせる新タイプの観光列車といえよう。

 この列車のもう一つの特徴は運行距離と時間が極端に(観光列車としてはおそらく全国一)短いことだ。「出町柳」から「八瀬比叡山口」間、わずか5・6㌔で、乗車時間も15分にすぎない。さらに住宅街の都心の駅から出発。出町柳から4㌔ほどの中間駅「宝ヶ池」からは、一変して人家もまばらな山間の深い緑の中を走行する。

 そして駅前の古風な商店が目立つ終点に到達する。車窓展望に趣も添えている乗車時間に地元出身の筆者も飽きなかった。さらに、この列車は観光列車だが、一般列車として運行し、乗車券のみで自由に乗れるのもうれしい。いずれの駅でも40分ほど待てばこの列車が来る。

 これまでの観光列車は「一般列車とは区別された特別な内外装をもつ車両が充当され、車内でイベントや催行、食事、高級な喫茶を供するなどにより乗車自体を楽しむ趣向を持つもの」と我われ事業者は定義してきた。

 しかし「ひえい」だけは「特別な内外装で、造作をした車内から見る車窓展望を強調し、特別な車内サービスはなく、一般列車として運行するもの」という定義を加えなければならない。全国で100本以上を数える観光列車が今ブームとなっている。近年は、豪華な列車と大衆的で観光客にとっても身近な列車と2極化しつつある。「ひえい」こそ後者の代表例といえよう。

 

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏

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