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「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(168)」 観光は「感動」づくりから

2019年1月29日(火) 配信

関西国際空港で開かれた3千万人突破記念式典

昨年12月18日、アジア人観光客らでにぎわう関西国際空港で、訪日外国人客3千万人到達を祝う式典が開かれた。

 昨年は西日本豪雨や関西国際空港の閉鎖をもたらした台風21号、北海道地震など自然災害が相次ぎ、一時は3千万人達成が危ぶまれた。

豪雨被害の風評から立ち直りつつある倉敷美観地区

 しかし復旧とともに客足は戻り、2018年は最終的に3100万人を超える見通しで、20年目標の4千万人も夢ではなくなった。
 1千万人を達成した13年から僅か5年で3倍増という驚異的なスピードである。

 こうしたなか、これまで「観光」とは無縁と思われていた地域でも、ここ数年、にわかに観光への取り組みが活発化してきた。これ自体は結構なことだが、中には、政府の潤沢な地方創生資金を見込んで「観光でもやるか」といった動きも目立っている。言葉は悪いが「デモシカ観光」である。

 しかし、観光で地域を立てるためには、相応の覚悟と粘り強い取り組みが不可欠である。観光で成功したとされる各地の取り組みを見ても、最低でも10年、ましてやブランドにまで昇華するには30年といった長い年月がかかっている。

 観光は、顧客をお迎えする、いわば一連の「装置」である。まずは魅力のシンボルとなる拠点づくりが重要である。一定水準のホテル・旅館などの宿泊、現地までの2次交通、駐車場やレストラン、ブランド産品の開発などなどである。そのためには、地域の合意形成も不可欠である。地域づくりの持続的なマネージメント組織や、合意形成のためのリーダー、コーディネーターの存在も大きい。 

 4年前から取り組んできた「日本遺産」の多くは、「観光地」とは呼べない地域も少なくない。

 世界遺産も同じだが、日本遺産では、その知名度を高めるための情報編集や発信に多くの予算がつぎ込まれている。動画作成やホームページの充実、看板・サイン類の整備などである。

 しかし、受け皿としての地域づくりが不明確なままの情報発信は、訪れる人々の失望にもつながりかねない。

 海外から来る観光客には理解できないまま、大きな不満となってしまう恐れもある。

 日本遺産に限らず、地域の歴史・文化・食といった資源の物語化は、他地域との差別化をはかるブランディング行為でもある。これら地域ブランドを形成・持続するためには、地域の明確な将来ビジョンと戦略、地域づくりを推進する体制、これらを支える人材発掘と育成などが不可欠である。

 こうした取り組みの延長線上に、はじめて物語を体験できる観光事業化と情報発信が意味を持つ。決して逆ではない。

 そして何よりも重要なのは、こうした取り組みを通じて、地域が自らの歴史・文化を再認識し、「誇り」を取り戻すことである。翻って、観光とは自信を失いかけた地域の歴史・文化を再認識する行為であるともいえる。

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