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「津田令子のにっぽん風土記(44)」魚介・農・人の集積地へ~静岡県御前崎市編~

2018年12月15日(土) 配信

大盛況だった御前崎大産業まつり(左端が筆者)
御前崎市観光協会
事務局長
小野木 邦治さん

 
11月24、25日、静岡県御前崎市で開かれた「大産業まつり」に、私が理事長を務めるNPO法人ふるさとオンリーワンのまちが出展した。農作物直売などのブースやイベントステージなどがあり、多くの人が訪れていた。私は地元産の柿やみかんなどをいくつも買って帰った。御前崎に来る楽しみの一つだ。

 
 25日には市出身の陸上選手で、リオ五輪の4×100㍍リレー銀メダリスト飯塚翔太選手の市観光大使就任式も開かれた。「世界で活躍されるなかで、少しでも御前崎という名前が伝わるといいですね」と、御前崎市観光協会事務局長の小野木邦治さんは話す。

 
 市の観光については他にも新しい動きがある。2019年8月に客船「ぱしふぃっくびいなす」の御前崎港寄港が決まった。横浜発着のツアーだ。市は昨年から牧之原市とともに協議会を立ち上げ、客船誘致に取り組んできた。大井川鐡道のSL乗車や浜名湖などへのバスツアー、港近くの「なぶら市場」への案内、港への出店などを準備する予定だ。「印象が良ければまた寄港があるかもしれないので、ぜひ期待に応えたいです」。19年9月開幕のラグビーW杯では、南アフリカとジョージアの公認キャンプ地となっている。

 
 こうした取り組みの背景には「新しい客層を取り込みたい」という思いがある。市にはマリンスポーツや夏の海水浴に訪れる客が多いが、年々若い世代の「海離れ」を感じると小野木さんはいう。お客を引き戻したいと取り組んできたことの一つが、海水浴場でのバナナボートの貸し出しだ。それまで家族客が多かったが、若いグループも訪れるようになった。手応えを感じ、海上アスレチックも設置した。冬はウィンドサーフィンのシーズンだが、それ以外の魅力もPRしている。伊勢エビやクエ、イチゴなど食が豊富なことだ。温水で養殖するクエは「脂っぽくないがしっとりしている。鍋がおいしい」と語る。

 
 また御前埼灯台からは11月から3月まで、太陽が海から上がり海に沈む珍しい景色が見られる。今年11月には、三重県志摩市で初めて開かれた「灯台ワールドサミット」に御前崎市も参加。「灯台はまちのシンボル。御前埼灯台に上ると、水平線が丸いことが実感できますよ」。

 
 魚介や、農作物、人の集積地として御前崎はますます勢いづいているようだ。「地元の方の盛り上がりも感じます。チャンスを生かして新しい客層を取り込み、次につなげたいですね」と話す。

 

コラムニスト紹介

津田 令子 氏

 

社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

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