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森林ツーリズム始動 地域資源生かし魅力創出

2018年11月14日
営業部:後藤 文昭

2018年11月14日(水) 配信

小林豊彦村長

3年前に組織された地方創生市町村長協議会(12市町村)は、地域資源を生かした新たな産業の育成など全国の先進事例を調査し、各市町村の振興に生かしている。昨年2月、加盟する長野県・朝日村と根羽村、新潟県・弥彦村、岐阜県・白川村が森林資源を活用するモデルケースとして「森林ツーリズム4村協議会」を設立。地場産業の林業を生かした地域の魅力づくりにも取り組んでいく考えだ。

 地方創生市町村長協議会は、「創(い)き生きまちおこしサミット」を毎年開催し、参加自治体が1年間の取り組みの成果や、個々に抱える課題、解決策などを話し合っている。今年は10月25、26日の2日間、新潟県・弥彦村で開催。各市町村が進める地域資源を生かした新産業の育成や、人材育成などの成功定着化に向けた連携協力などを大会宣言で確認した。併せて事業成果の表彰制度を設ける考えを示した。

 長野県・朝日村と根羽村、新潟県・弥彦村、佐賀県鹿島市、福島県・西会津町の首長らが登壇したシンポジウムでは、各市町村が抱える課題と解決に向けた取り組みが紹介された。

さまざまな課題について議論

 朝日村の中村武雄村長は、木材の自由化により地場産業である林業が衰退するなか、「魅力ある農山村にする対策が必要」とし、昨年「森林ツーリズム4村協議会」を設立したことを報告した。今後旅行会社と協同し、地域の魅力を発信する。農泊事業にも取り組む考えを示した。

 同じく森林ツーリズム協議会に参画している長野県・根羽村では、地域内での林業の6次産業化に着手した。大久保憲一村長は「捨ててしまう間伐材でおもちゃを作り木育に活用するなどし、地域理解を得ている」と説明した。また人口減少が進むなか、里山の復活も重要視し、現在、山地酪農をスタートしている。

 魅力ある観光地をつくり上げても、地域経済に結び付けなければ成果は上がらない。弥彦村では、ここ10年間で観光客数に大きな変化はないが、旅館の数は半分程度に減少した。小林豊彦村長は「村にも外国人旅行者が訪れるようになったが、キャッシュレス化への対応など重要な対策ができていない。地元経済への効果が無ければ、観光に取り組む意味が無い」とし、インバウンド対策の必要性を訴えた。

 自治体独自の取り組みは、金銭面の負担も大きな課題になる。佐賀県鹿島市では、国や県の交付金を積極的に活用。観光関係では、PVやポスターなどを作成した。土井正昭産業部長は、「国や県から外部支援を得ることで、今まで手が回らなかった部分もできるようになる」とした。

 このほか、西会津町の薄友喜町長は人材面に着目し、「将来を担う人材の確保」の重要性を強調。①生まれ育った人の定住②高齢者が健康で長生きする環境整備③移住者の受け入れ――の3条件をそろえる必要があるとした。

 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 川合靖洋次長は、「先進的な取り組みが進む自治体は、行政と住民が危機感を共有し、新しい試みに挑戦する体制を整えている。また、地域の人が移住者やIoTなど最先端技術の活用に熱心で、海外にも市場を求める視点もある」と総括。小規模に取り組みを始め、手ごたえをつかんだのちに大きくすることを成功のカギに挙げた。

 このほかシンポジウムでは、ワールドファームの幕内進会長が、自社の農業事業を説明。日本経済新聞社編集局編集委員の吉田忠則氏による講演も行われた。

弥彦村の観光資源視察

 2日目は、弥彦村の観光資源を巡る視察を実施した。毎年多くの人が参拝する越後一宮「彌彦神社」。社背後には、神体山としてあがめられている弥彦山がそびえ、山頂には御神廟がある。標高は東京スカイツリーと同じ634㍍、山頂からは越後平野や日本海、佐渡島が見渡せる。山頂までの登山道が整備されているほか、ロープウェイでの登頂も可能。ロープウェイの場合、山頂へは途中にある「山頂駅」から徒歩約15分で到着する。

 村の観光拠点になるのが、新たにオープンしたおもてなし広場だ。敷地内には、源泉掛け流しの手湯と足湯、現役芸妓が営む喫茶店、フードコートなどが集まる。フードコートでは、新潟県・粟島浦村産焼きアゴで取った出汁で味わう手打ちうどんが人気だという。農産物直売所では、村の新鮮な農作物のほか、連携する周辺自治体の特産物も買うことができる。

観光の拠点、おもてなし広場

 なお、地方創生市町村長協議会参加自治体は次の通り。
 岩手県・軽米町▽千葉県いすみ市▽福島県・西会津町▽長野県・根羽村▽長野県・朝日村▽新潟県・弥彦村▽岐阜県・白川村▽和歌山県・高野町▽島根県・海士町▽徳島県・上勝町▽高知県・梼原町▽佐賀県鹿島市

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