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「津田令子のにっぽん風土記(43)」ゆったり、ほっこり、安曇野~長野県安曇野市編~

2018年11月17日(土)配信 

望月さん(右)とシェアサイクルを楽しむ筆者
安曇野市 観光交流促進課 課長 望月 淳利さん

 

長野県安曇野市に今年8月「シェアサイクル」が登場した。利用料金は15分100円、市内など10カ所にポートを設置し、ポートからポートへと移動しながら利用する。車では、狭い路地にあるレストランやギャラリーを訪れてもらえない。「本来の安曇野のよさを体験していただけていないという思いがありました。ゆったり時間を取って自転車をこぐのは安曇野に似合う過ごし方だと思うのです」と安曇野市観光交流促進課課長の望月淳利さんは話す。駅から山麓の観光スポットまでは距離も傾斜もあるため、走りやすいよう全車を電動マウンテンバイクとした。メンテナンスなどは既存のレンタサイクルの事業者が参画している。

 望月さんと一緒にシェアサイクルを体験してみた。まず携帯電話やスマートフォンから会員登録や予約、解錠コードの取得などを行う。首都圏からの観光客には手続きに慣れたようすの人もいるそうだ。乗ってみると、空気のおいしい森の中を進んでいくのはとても心地いい。坂道もすいすい進むので、体力に自信のない人も気軽に挑戦可能な、安曇野の新しい楽しみ方になりそうだ。今後はペンションや農業者とも協力し、宿泊者が朝自転車で出掛けて、採れたての野菜を食べられるツアーも企画したいと意気込む。

 望月さんは観光課長になって3年目。「長年住んでいても、夕暮れ時や朝の峻険なアルプスの風景はいいなと思います。キャッチフレーズ“朝が好きになる街 安曇野”は上手い言葉だと思いますね」。望月さんが注目しているのが歴史だ。安曇野の地名はこの地を拓いた安曇族に由来する。安曇族はかつて海上で活動し、6世紀ごろ福岡市の志賀島一帯から全国に移住した一族で、安曇族に由来する地名が全国各地に残る。「今後は歴史のロマンを観光のスパイスとして入れていきたい。アニメなどで若い人、海外の人にも発信したいです」。

 もう一つ注目しているのが登山だ。燕岳から常念岳、蝶ヶ岳に至る縦走路はよく整備されており、その玄関口には、雑誌の「泊まってよかった山小屋」ランキング全国1位にもなった山小屋「燕山荘」がある。「本格的な山岳観光を比較的安心して体感できます」。日帰りで登る人もいるが「ぜひ穂高温泉郷に前泊して温泉に浸かり、体調を整えて、朝の空気を感じてから登っていただければ」と話す。ゆったり、ほっこりした時間を過ごせる安曇野の魅力がますます発信されていきそうだ。

 

 

コラムニスト紹介

津田 令子 氏

 

社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

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