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インフラツーリズム盛り上げろ 普及に向けイベント開催

2018年11月7日(水) 配信 

イベントは東京都市大学の二子玉川夢キャンパスで開かれた。ポスターセッションのようす

ダムやトンネルなどの社会インフラを観光資源とする「インフラツーリズム」は近年、他にひけをとらない力をつけてきた。国土交通省や東京都市大学、JTBらで構成する「インフラツーリズム推進会議」(議長=同大学名誉教授の吉川弘道氏)は11月2日(金)、普及や理解促進に向けてイベントを開いた。全国各地の取り組みを掲示したポスターセッションや事例紹介などを行った。ただ、普段では味わえない体験ができると人気を博す一方で、認知度が低いといった課題も透けた。

 イベントは昨年に続き2回目の開催となる。ポスターセッションの始まりには、兵庫県にある世界最長の吊橋「明石海峡大橋」のパネルが置かれていた。ツアーでは普段立ち入れない管理用の通路から主塔へ上ることができる。海面上から300㍍の高さで、360°の圧巻の眺望を楽しめる。年間1万人のツアー参加者のうち、1~2割は台湾人を中心とする訪日外国人からと、海外からの人気に火が付き始めている。

 業界内でも関心は高まっている。イベントを主催する推進会議は当初6人だったが、今は16人まで増えた。「インフラツーリズムはプレミア感が強く、非日常を味わうことができる。観光素材としては一級品だ」。同推進会議の立ち上げ期から参加するJTBの久保田義則(営業二課観光開発プロデューサー)氏はいう。

インフラツーリズムについてのポスターが立ち並ぶ

 地域との連携で好事例も

 ワークショップでは、群馬県の八ッ場ダムと沖縄北部ダム、埼玉県の首都圏外郭放水路のインフラツーリズムについて、それぞれの国交省地方整備局から報告があった。刻々と変化する建設現場や壮大な建造物の仕組みを解説することで、目的の1つとなる社会インフラの理解を進めている。

 好事例も出てきた。八ッ場ダムでは跡見学園女子大学と地元住民らが手を組み、より一般に広まるよう取り組んでいる。ダムを見たあと、参加者が周辺の温泉街に立ち寄るなど、地域活性化に一役買っている。

 巨大な地下神殿と称される首都圏外郭放水路は、本格的な防災インフラ観光施設として利活用が進む。国や自治体、関係団体と協議会を設立し、地域活性化の呼び水として力を入れている。国内初の民間企業が運営する社会実験行い、見学会を毎日実施。50本の柱が立ち並ぶ調圧水槽では、日々参加者が驚きの声を上げているという。

ワークショップで事例報告が行われた.

 課題は山積 初の有識者会議開催へ

 一方で、課題は山積する。「インフラツーリズムという言葉は、一般の人の2割も知られていない」(国交省総合政策局公共事業企画調整課観光・地域づくり事業調整官の菅太氏)と、認知度が追い付いていない。このほか受入環境が整っているのは一部で、まだまだ埋もれている施設は多い。

 建設業界との折り合いも課題の一つとなる。現在建設中の新国立競技場は、恰好の観光素材となる。旅行会社側は商品化したいが、建設業界からは工期が遅れると平行線をたどっているという。

 そもそもインフラの公開や開放は、政府目標を実現するための「観光ビジョン」に組み込まれている。東京・元赤坂にある迎賓館などのユニークベニューと、同様の位置付けとなる。菅氏は「観光庁とも連携して取り組んでいきたい」とする。

 今後、政府は課題解決や普及に向け本腰を入れる。11月9日(金)にはインフラツーリズムの有識者会議を初めて開く。会議での提言なども含め、認知度の向上と受入環境の整備、先進事例を増やせるかが、普及への壁となりそうだ。

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