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余暇市場70兆円割れ、「ドライブ」「自転車」参加増加

2010年9月1日
編集部

 日本生産性本部が7月30日に発表した「レジャー白書2010」によると、2009年の余暇市場は、前年比4・3%減の69兆5520億円と縮小した。景気低迷に新型インフルエンザの流行が重なり、1989年以来の70兆円割れとなった。“3D映画元年”“電子書籍元年”など技術革新による新市場開拓の活発化や、高速道路料金値下げによる「ドライブ」、また「サイクリング・サイクルスポーツ」の参加人数の増加も目立った。特別レポートでは、10年後の「2020年の余暇」も展望している。

 「旅館の売上10%減少」

 09年の余暇活動参加人口は、「ドライブ」が高速道路料金値下げの恩恵を受け、初めての首位となった。しかし、「『安・近・短』傾向が強く、支出や宿泊数の大幅な拡大にはつながらなかった」(柳田尚也主任研究員)としている。2位は「国内観光旅行」、3位は長く首位の座にあった「外食」が不況や低価格化のあおりを受け3位にランクを落とした。9位から6位に上昇した「動物園、植物園、水族館、博物館」や、(17位→13位)の「ピクニック、ハイキング、野外散歩」などの手軽な行楽系の種目が引き続き高い人気となっている。

 余暇関連産業・市場の動向をみると、「スポーツ部門」(同2・4%減)は、ランニング関連用品・スポーツ自転車が好調。石川遼選手などの活躍で、ゴルフ練習場はプラス成長となったが、ゴルフ場の売上は減少した。フィットネス市場も会員減で縮小した。

 趣味・創作部門(同4・2%減)は、「アバター」の大ヒットなど3D映画元年といった技術革新による新市場開拓の試みが相次いだ。

 娯楽部門(同3・4%減)は、パチンコが6年連続の減少。ゲーム、ギャンブル市場も軒並み低下した。低価格競争が激しい「外食」は既存店が落ち込んだ。

 観光・行楽部門(同9・4%減)は、新型インフルエンザの影響で遊園地・テーマパークの入場者数は同2・7%減。旅行業の取扱額は同2・8%減。国内旅行が同2・2%減に対し、海外旅行は同4・0%減と落ち込みが大きかった。旅行業については「従来の少品種多人数送客のパッケージ旅行商品をパンフレット主体で店頭販売するビジネスそのものが疲弊し、市場ニーズに合わなくなっているという指摘もある」。

 ホテルの売上は同6・0%の減少。旅館は同10・0%減と大きく落ち込んだ。

■「リバイバル需要」   を掘り起こす

 人口減少・少子高齢化が進むなか、過去に経験した余暇活動種目をもう一度引き戻す「リバイバル需要」の掘り起こしにも注目する。すでにその活動の楽しみ方を知っている人たちは、新規顧客に比べて需要掘り起こしのハードルが低い。「眠れる経験」へのアプローチによって、失われた需要を呼び覚ますことが期待できる。調査では、「海外旅行」「水泳」「観劇」「オートキャンプ」「登山」「スキー」などに過去参加した経験者の潜在需要(現在実現していないニーズ)が大きいという結果が表れた。

■「2020年の余暇」とは

 特別レポート「2020年の余暇 人口減少社会への調整」では、10年後の余暇の需要構造の変化について展望している。現在と今後の「余暇に求める楽しみや目的」を比較した結果、「今後」のニーズが「現在」を10ポイント以上上回ったのは(1)社会や人のために役立つこと(2)健康や体力の向上を目指すこと(3)ぜいたくな気分にひたること(4)実益(収入)に結びつくこと――の4項目。(1)(2)は高齢層、(3)(4)は熟年層に多かった。若い世代は自分への投資や自分磨き、高齢層は社会参加への意識の高まりなど、「余暇=オフ、余暇活動=娯楽や気晴らし」といった従来のイメージを脱却した「新しい余暇価値観が胎動しつつある」と指摘。そのうえで、「こうした人々のニーズに応えることによって、レジャー業界も新たな需要や顧客の創造、人口減少社会におけるさまざまな社会的課題に応えていくという展望も描ける」として、(1)健康(2)地域(3)教育・学習(4)IT(5)環境――の5つのテーマに整理し、対応の方向性を探っている。

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