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北海道でインバウンド対策に注力、地方誘客に知見生かす (ナビタイムジャパン)

2018年4月24日
編集部:謝 谷楓

2018年4月24日(火) 配信

訪日外国人旅行者(インバウンド)を取り込むためにできることは何か? 地域によって来訪者の観光スタイルが異なるなか、ナビタイムジャパン(大西啓介社長)では個々の地域に合わせた施策立案をサポートする取り組みに注力している。

 昨年7月には、北海道北海道開発局(国土交通省、和泉晶裕局長)と共同で「北海道ドライブ観光促進社会実験」を実施。インバウンドのレンタカー移動をサポートしつつ、経路や運転時間帯のデータ収集を行った。2016年度、北海道の観光入込客数(延べ人数)は約1億4千万人。13年度と比べ7%増加しているものの、道央エリアに集中している(構成比、55%)状態に大きな変化はない【下記図1、2参照】。地方部などへの誘致が課題となるなか、ユーザーが自由に目的地を選択できるレンタカー移動に対する期待は高く、その実態調査が急がれていた。

【図1】北海道圏域別観光入込客数(延べ人数、2016年度) ※北海道観光入込客数調査報告書をもとに、本紙編集部が作成した(四捨五入後の数値を参考にしたため、総数に若干の変動が生じた)
【図2】北海道圏域別観光入込客数(延べ人数、2016年度) ※北海道観光入込客数調査報告書をもとに、本紙編集部が作成した(四捨五入後の数値を参考にしたため、総数に若干の変動が生じた)

地方誘客実現に向け、ルート検索や交通コンサルの知見を生かす

 ナビタイムジャパンでは、ルート検索や交通コンサルティングで培った知見を生かし、レンタカー移動をサポートするアプリを開発・提供。ユーザーのドライブをサポートするとともに、実態調査に必要なデータ収集を実現。昨年の実験での協力が評価され、4月16日(月)に北海道開発局と「共同事業実施に関する協定」を締結し、道内で記者会見を行った。

 北海道開発局の和泉晶裕局長は会見で、「公共交通機関が非常に疎な北海道において、レンタカーによるドライブ観光は地方の隅々まで外国人観光客に行ってもらうツールとして非常に重要なもの。今後、ナビタイムジャパン様と外国人の動向の把握、把握した情報の観光関係機関への情報提供を行い、北海道を快適にドライブしていただく環境を整備していきたい」と発言(一部抜粋)。同社の協力に強い期待を示した。

締結書を交わす北海道開発局の和泉局長(右)とナビタイムジャパンの大西社長

国内でルート検索を定着させてきたナビタイムジャパン。月間UU(ユニークユーザー)数は約4100万、有料会員数は480万人に上る。海外現地ユーザー向けの検索サービス(NAVITIME Transit)の提供も好調、29の国・地域で活用されている。2016年には、旅行業に参入(第2種)。ルート検索とプランニングを同時に行えるウェブサイト(NAVITIME Travel)の提供をスタートさせ、昨年多言語化した。13年から提供を始めたインバウンド向けアプリ(NAVITIME for Japan Travel)でも動態データの収集に努めており、多くの自治体や企業でインバウンドマーケティングに活用されている。

 今回、北海道開発局との提携は同社が進める地方誘客プロジェクト(EXPLORE JAPAN PROJECT)の一環。地域の観光資源を発掘し、海外への発信を目指すもので、来訪する外国人の視点に立った情報収集・発信を行うことで、真に人が集まる仕組みづくりをサポートすることを目的とする。

ナビタイムジャパンによる、地方誘客を実現するための仕組み(同社報道資料より)

アプリ活用し、ビッグデータを地域事業者と共有

 今回データ収集に活用されたのは、同社開発・提供のスマートフォン端末用アプリ「Drive Hokkaido!」だ。収集するのは、移動経路といったGPSデータ。アプリにはカーナビゲーション用マップコードが掲載され、スマホ端末のGPS機能とも連動する。運転中、同乗者が常時アプリを立ち上げていることを想定したつくりとなっているため、アプリの起動・停止時刻から活動時間の推移を知ることが可能。集めたビッグデータは、飲食店や土産物屋など、同実験に参画した地域事業者らも活用できる。データを通じ、事業者らはオープン時刻やスタッフ配置を見直し、生産性向上を期待できるのだ。

 「いつどのエリアでアプリを停止したのか?」という、位置と時間を統合した情報を知ることも可能だ。昨年行われた実験の結果によると、アプリ利用者が札幌市など道央圏外で宿泊した割合は42・5%。他の移動手段(バスや電車など)を含む調査よりも10㌽以上高く、レンタカー利用者が地方部で宿泊する傾向が強いことを示す結果となっている。レンタカーに対する期待を後押しするものといえ、地域は今後は、レンタカー事業者と協力したうえで、具体的な施策を考える必要が出てくるかもしれない。

 実験期間中、同アプリを北海道内で利用した外国人旅行者は1211人(総ダウンロード数は8611件、18年3月末まで)。レンタカー貸渡台数の約6%に相当する割合となった。道内のオススメルート(PANORAMIC DRIVING ROUTE)や観光スポット・施設情報、お得なクーポンをゲットできることが、ユーザーにとってのメリット。マップコードをレンタカー備え付けのカーナビゲーションシステムに入力するだけで、ユーザーは迷わず目的地を目指せる。現在、43のオススメルートと、249施設がクーポンを掲載している。6月にアップデートを予定し、ルート数をはじめ情報をさらに充実させる方針だ。

来道中、アプリで閲覧された観光スポットランキングも発表された(同社報道資料より)

 レンタカー事業者に対しても、ビッグデータの提供を行うこととなっており、同社ではシステムの提供を通じ、レンタカー利用の促進をサポートする構えだ。

 なお、クーポンの掲載など、参画希望を地域事業者向けの問い合わせ先は下記の通り。随時メールにて受け付けている。

【ナビタイムジャパン インバウンド事業部】

inbound-business☆navitime.co.jp(☆を半角アットマークに変えて送信)

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