test

【特集 No.482】宿泊予約経営研究所・末吉社長に聞く 「良地良宿」の理念で宿屋を支援

2018年1月31日(水) 配信

 宿泊予約経営研究所(末吉秀典社長、神奈川県横浜市)は2004年の創業以来、インターネットメディアを通じた宿の集客向上や、人材育成など幅広く支援してきた。長年蓄積してきたノウハウを結集し、選ばれ続ける宿へと導いていく「良地良宿(りょうちりょうしゅく)」プロジェクトも、今春から新たなステージを迎える。「自力自活(じりょくじかつ)」の気持ちを大事にする末吉社長は、宿での仕事を希望する若い世代が“チャレンジ”できる環境づくりにも着手。「旅館業界の地位向上を目指したい」と力強く語る。
【増田 剛】

 

 ――宿泊予約経営研究所を創設するまでの経緯を教えてください。

 前職では、宿泊予約サイトの担当者として全国の旅館・ホテルを訪れ、「ぜひサイトに登録してください」と営業をしていました。

 2003年当時は、まだ客室在庫の共有システムもない時代でした。

 宿の経営者は「忙しすぎて、複数の予約サイトの在庫管理や、料金設定などの運用を同時にできない」という困惑した声が多かったですね。断り文句として「当館が契約している宿泊予約サイトの管理や運営を変わりにやってくれるのだったらあなたと契約してもいいよ」としばしば言われました。私もいろいろ調べましたが、当時そのような一括して管理・運営する会社はありませんでした。同年暮れに会社を退社し、04年に新規事業を立ち上げる名目で転職しました。

 時代はまさにインターネットが宿の集客ツールの柱となっていく、大きな流れの中にありました。「客室の共有在庫システムを開発し、宿泊予約を管理しながら集客に結びつければ、ビジネスになる!」。前職の経験から得た1つのアイデアを出すと、会社側も「面白い。やってみよう」と、04年5月には新規事業としてスタートしました。

 まずは以前お世話になったお宿さんを訪れました。事業内容を説明し、「任せていただけますか」とお願いすると、口をそろえて「本当にそんなことができるのですか? ぜひお願いします」と言われました。地域を代表するような旅館も任せていただきました。

 2人の船出

 わずか2人のスタッフと契約施設は20軒ほどでの船出でした。しかし、ネット予約の市場が急拡大するなかで、次第に契約件数は増え、売上も飛躍的に伸びていきました。

 お宿さんは日々お客様を迎え、24時間おもてなしを提供しています。これに加えて、自分たちの力だけで宿を宣伝し、集客を上げていくことは、よほど大きな企業でなければ難しい。インターネット時代における宿泊予約の集客をきっちりと研究して、お宿さんを支える機関が必要だと痛切に感じました。

 「宿泊の予約を研究する機関=宿泊予約経営研究所」という社名には、私の“想い”が強く入っています。

 当初は全国で100軒ほど事業させてもらえばいいなと思っていましたが、創業から14年が経ち、契約軒数は累計4300軒を超え、スタッフは150人規模まで成長することができました。

 ――旅行を取り巻く環境が急激に変化しています。

 創業当時は、まだまだ多くのお宿さんにとって、ネットによる予約システムは不案内な環境でした。「大手OTA(オンライン旅行会社)から予約が増えるのなら」と、当社にすべて一任するスタンスが大部分でした。その後、宿泊予約サイトからの予約が主流になってくると、当社をパートナーにして「自分たちでネット予約の部分をしっかりとやっていかなければならない」という意識が強くなってきました。

 インターネット市場がさらに成熟した現在は、「自らの力で市場のシェアをどう広げていくか」を真剣に考える時代になっています。

 フェイスブックやインスタグラムといったSNS(交流サイト)や、ブログなど新たなメディアを駆使して、宿や地域をアピールする。国内だけではなく、世界中からより多くの人たちの関心を高め、最終的に自社のホームページや予約サイトなどから予約してもらう流れをどう作っていくかが求められています。

 総合支援サービス 「良地良宿」PJ

 このため、私たちが長年培ってきた集客のノウハウを結集した総合支援サービス「良地良宿プロジェクト」に取り組んでいます。「宿を中心に、その地域の一番光る魅力を引き出す」をテーマに、当社スタッフがさまざまな企画や提案を行っています。

 とくに、4300軒の運用実勢に基づく、写真や動画を用いて魅力を表現する技術と、その魅力を商品(宿泊プラン)や実際のサービスに採り入れて収益アップにつなげるノウハウは、当社の強みとなっています。

 ――インバウンド対策も大きな関心事です。

 訪日外国人は2020年に向けて拡大を続けるでしょう。しかし、東京五輪後が日本の観光の勝負どころだと思います。

 「何度でも訪れたい」と思わせるように、海外に向けて情報発信できる力をつけておくことがとても大事です。例えば、韓国や台湾、タイなどの有力なブロガーと一緒に宿や地域を観光して、ブログ記事に書いてもらうなどの仲介も、お宿さんと一体となって行っています。すぐに結果が表れるものでもないので、地道に継続すれば数年後に強みになります。ただ、お宿さんが単独で地道に継続することは、現実にはとても難しいため、当社がサポート体制を作って支えていきたいと考えています。

 ――多くの旅館ホテルは自社ホームページ(HP)からの集客を最終目標とされています。

 宿泊施設からみると、旅行会社やOTAの販売手数料を負担に感じ、「自社HPから宿泊客を取り込めば利益がでる」という考え方もあります。ですが、私は少し違う捉え方をしています。単純に「OTAに支払う手数料がなくなればいい」という問題でもありません。なぜなら、OTAで探して、自社HPやクチコミを見て、詳しい情報を集めるお客様が圧倒的に多く、OTAの販売を絞れば自社HPの売上も下がるという、悪循環が起こり得るからです。お宿さんが一番やらなければならないのは、来ていただいたお客様にリピーターになっていただく流れを作ることです。

 宿がOTAを使いこなす立場に

 初めてのお客様に来ていただく機会を作る場合は、OTAなどのメディアを積極的に利用すべきで、訪れるきっかけをつくってくれるチャネルは多く、間口は広い方がいいと思います。…

 

※詳細は本紙1701号または2月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

いいね・フォローして最新記事をチェック

コメント受付中
この記事への意見や感想をどうぞ!

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。