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「津田令子のにっぽん風土記(32)」「国境越え音楽で人の輪が広がる」 ~ 神奈川県川崎市編 ~

2017年12月17日(日) 配信

川崎市での「歌声の会」のようす
フリーミュージシャン
舩田 忠雄さん

 舩田忠雄さんはもともと音楽が趣味で、トロンボーンやギターなどを演奏していたが、妻と共働きの状況で子育てとの両立が難しくなると、替わりに旅行を趣味とした。毎年時間をかけて計画を練り、子供たちや義父も連れてのヨーロッパ旅行を10年ほど続けた。その後、長女は米国の大学に留学し、長男は国際空港で働いている。国際的な視野が養われたのは「旅行の影響があると思います」と舩田さんは話す。

 子供たちの独立後に音楽活動を再開し、定年退職後はより力を入れている。海外旅行も、好きな金管アンサンブルのコンサートに合わせて行くようになった。

 あるとき、コンサート後にグループのメンバーに声を掛けてみると「ビールを飲みに行こう」と誘われ、仲良くなった。交流は続き、昨年には彼らと、日本で金管楽器のフリーランスプロの若い奏者を集めて自身が代表をしているブラスアンサンブルがコラボしたコンサートが、ロンドンで実現した。

 舩田さんは地域での音楽活動にも力を入れている。その一つが、川崎市での歌声の会だ。同市を中心に、高齢の方々とともに音楽活動をしている団体が開いているもので、舩田さんは参加者の歌にギターで伴奏をつけている。伴奏者の募集を見つけて応募したのがきっかけで始めたが、最初はなかなか人が集まらなかった。しかし、好きな曲を一緒に歌う楽しさが徐々に広まり参加者が増えていった。数多くのレパートリーを持ち、その場でさまざまなリクエストに応じて伴奏してくれることも人気の理由の一つのようだ。

 この会での出会いをきっかけに、昨年は川崎市内のお寺で、金管アンサンブルとソプラノ歌手によるコンサートライブを開催した。また、今年は川崎市幸区の「さいわい健康福祉プラザ(老人福祉センター)」の講座として「うたごえサロン」が開講し、そこでも伴奏を務めている。講座には定員の2倍近い申し込みがあった。「自分は下手だから、などと言っていないで、飛び込んでみると意外とすんなりできることもあるのです。それはロンドンでも川崎でも同じですね」。

 川崎市は「音楽のまち・かわさき」を掲げ、コンサートやストリートライブなどを多く開催し、情報発信もさかん。舩田さんもさらに活動を広げたいと考えており、「もっと演奏の場がほしいですね」と話す。音楽とその人柄がともに伝わるからこそ、舩田さんをとりまく人の輪は温かく広がっていくのだろう。

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