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民泊EXPOプレミアム2017 レポート その1 部屋貸しから、地産地消型の「民旅」へシフト アットマークベンチャー大津山社長

2017年10月10日
編集部:謝 谷楓

2017年10月10日 配信

セミナー会場のようす

今年3月に閣議決定された民泊新法(住宅宿泊事業法)。2018年6月の施行がほぼ確実視されている。宿泊提供日数の180日規制に対応するため、簡易宿泊所やマンスリー賃貸、時間貸しと並行した運用が求められるなど、住宅宿泊事業者(ホスト)を取り巻く環境は転換期にある。

 10月9日(月)、マイドームおおさか(大阪市中央区)で開かれた民泊EXPOプレミアム2017(主催=トーキョーサンマルナナ、東京都世田谷区)には、国内外のプラットフォーマーや、物件の管理会社といった関連事業者らが集結。ホストを対象としたサービス紹介や、事業相談、セミナーが開かれた。

 セミナーの1つ、「瀬戸内DMOにおける四国官民地域連携の実例」には、アットマークベンチャー社長の大津山訓男氏が登壇。参加したホストらに対し、新法施行後の運営をめぐってアドバイスした。エアビーアンドビーのスーパーホストで、起業塾の開催やベンチャー起業の立ち上げにも尽力してきた同氏。民泊事業で利益を得るためには、地域に根ざしたうえで、アクティビティの提供も行う一棟貸しがポイントになると語り、実例として、香川県三豊市で事業を展開する無双地図の真鍋貴臣氏らの取り組みを紹介した。

部屋貸しから、地産地消型の「民旅」へシフト

登壇し、説明する大津山氏

 昨年11月、エアビーアンドビーが提供を始めた「トリップ」サービスは、旅先で気軽に参加できるオプショナルツアーとして、世界中で支持を集めている。エアビーアンドビーの発表によると17年7月、「トリップ」の登録件数は開始時の12都市500件から、8カ月ほどで3倍以上に増えており、サービス対象エリアもすでに30都市を超えている。エアビーアンドビーでは現在、ラーメン作りやカヤック体験など、インバウンドの興味関心をそそる「トリップ」サービスを日本で展開中。宿泊と同様、スマートフォン用アプリ1つで世界中から予約できる。大津山氏が指摘する「アクティビティの提供を踏まえた一棟貸し」は、この潮流を踏まえた発言だ。

 新法では、プラットフォーマーとホストが「住宅宿泊仲介業者」と「住宅宿泊事業者」として、それぞれ観光庁長官と都道府県知事の監督下に置かれることとなっている。最大手プラットフォーマーであるエアビーアンドビーも例外ではない。とくに、家主不在型の物件については、近隣への説明・クレーム対応、標識の掲示、宿泊者名簿の作成などを、プラットフォーマーに委託しなくてはならない。そのためホストは、宿泊できる日数の上限(新法では180日)遵守が求められる。

 観光庁の田村明比古長官は3月の記者会見(長官会見)で「シェアリングエコノミーを普及させたいという意見を鑑みると、あまりにも過度な規制をし過ぎると、反発などの支障が生じる恐れがある」との見解を示した。続く6月には、「合理的に必要と認められる限度は、地域の実情がさまざまであるので、法令で一律に定めるのは困難」としながらも、「最終的には自治体の判断になる」と発言。各自治体が、地域に適した民泊新法の運用をすることに理解を示しており、施行される予定の新法にも、その考えは反映される模様だ。

 民泊に対するこれら現状を踏まえたうえで、「東京や大阪、京都といった大都市圏とは異なり、各地域では、合法民泊に対する理解が深い」と強調する大津山氏。インバウンドのなかでも、ローカル文化に関心が高いリピーターを取り込む方法として、民泊に期待を寄せる自治体は多いとみる。民泊ビジネスを有望な投資先として捉える自治体担当者も多いため、食事やアクティビティの提供を行う、地産地消型の民泊モデル「民旅」へのシフトが、今後の民泊ビジネスで生き残る手段になると強調した。

実例 「無双地図」真鍋貴臣代表の場合

多くの聴講者が集まった

 「サイセイ」をキーワードに、香川県三豊市を中心に民泊やカフェの運営、地域情報の発信サポートを行う無双地図の真鍋代表。ガイド付きのツアー造成や出張シェフの派遣など事業は多岐にわたる。セミナーでは例として、三豊・観音寺エリアの湧き水と、ロールフードを利用した朝食作りを行う3時間ほどのツアーを提案。得意とするガイド事業や食分野に取り組むことで、地域への誘客増加に貢献する。

 同社の取り組みのポイントは「民泊ビジネスの付加価値創造に寄与する」こと。FIT(海外個人旅行)者をはじめとしたインバウンドをターゲットに据えつつ、地域事業者と行政を結び、自身らの強みであるガイドや食を武器に、部屋貸しに留まらない民泊モデル「民旅」の実現を目指す。

 これまでの実績として、「無人島・蔦島でのBBQランチ」や、「さぬきうどんの出汁加工場の見学と、出汁づくり・うどん打ち体験」のほか、「両親と子供(2歳)を対象とした手作り水鉄砲づくりや、買い物、BBQツアー」といったオリジナリティの高いものもある。水鉄砲は竹筒を用いてつくり、山間部に位置する滝壺で水遊びを行う。その後、地域にある「道の駅」で、ガイドからのアドバイスを受けつつ食材などを買い求め、田舎の民家の庭先でBBQを行う。まさに、地産地消を実践した取り組みといえる。

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